玉名ラーメンのすべて~全店舗紹介2024年度版~
どうもSimackyです。
これまで玉名ラーメンの歴史やらお店を紹介してきましたこのサイト『ひよこまめ』ですが、ここらでそれら全てを1つに凝縮した総まとめをしたいと思います。
玉名ラーメンの歴史、そして流儀、店舗ごとの紹介などなど。
この記事を読めば
玉名ラーメンのすべてが分かる決定版
となっております!
それぞれのお店の紹介部分には、これまでに書いてきたお店ごとの紹介記事のリンクを貼っておきますので、気になる店舗はそちらから要チェックですよ~。
ランキング?評価?採点?
そんなことはしませんよ?
それにお店に対して否定的なお話もしません。
ちょっと最近のクチコミ・ブログ・youtubeなんかを見ていると
金を払って食っている客の立場だったら何言ってもいい
と思ってる人が多うように感じます。
褒める分にはお店に迷惑かけませんが、バッシングってのはお店の死活問題にもなりかねません。
みんな一生懸命ラーメンを作って、家族たち食わせてるんですから。
そこの店の家族が読んで悲しくなるようなことは…やっぱり書いちゃあいけませんぜ?
私は玉名ラーメンを誰よりも愛しています。
そして
こんなに美味しいラーメンを作っているお店たちに敬意を表したくて
この記事を書いてます。
どのお店も全てすばらしいです。
なのでただひたすらにその『玉名ラーメン愛』を語っていくだけです。
読んでいるあなたが
「ああん、もうだめぇ!早くちょうだいっ!」
とヨダレが出てくるまで、ただひたすらに(笑)。
あまりにも長い記事なので、ここで使い方を説明しておきますね。
順番に読んでいくと、本当に読みたいお店の部分になかなかたどり着けません。
なのでスマホ画面左下に表示されてる青いアイコン「目次へ」をクリックすると、目次に戻ります。
目次ではタイトルをクリックするとその部分まで一気に飛ぶことが出来ます。
これを繰り返して読みたい部分から読んでいかれたら良いと思います。
でも本音としては全部読んでもらいたいんですけど(笑)。
それではここで始まりの一言を…
・・・・・・・
・・・・・・・
だけん、替え玉は出来んて言いよっどがぁっ!!!
- 玉名ラーメンの歴史
- 玉名ラーメンの定義
- 玉名ラーメンの現状
- 玉名ラーメンの流儀
- 玉名ラーメン全店舗紹介
- 天琴(てんきん)1957年~創業67年
- 来々軒(らいらいけん)1957年~創業67年
- 桃苑(とうえん)1963年~創業61年
- 玉龍(ぎょくりゅう)1971年~創業53年
- 案山子(かかし)1977年~創業47年
- 雲龍軒(うんりゅうけん)1978年~創業46年
- 千龍(せんりゅう)1979年~創業45年
- 中王(ちゅうおう)1980年~創業44年
- 大輪(たいりん)1982年~創業42年
- 大宝(たいほう)1982~創業41年
- 恵比須(えびす)1988年~創業35年
- 番屋(ばんや)2002年~創業22年
- 極ラーメン宙(きわめらーめんそら)2006年~創業18年
- 麺屋いっぽう(めんやいっぽう)~2014年~創業10年
- まる孔(まるこう)2015年~創業9年
- 麺の小やま(めんのおやま)2015年~創業9年
- 味噌の恵み壱 2024年創業~
- あとがき
玉名ラーメンの歴史
玉名は、久留米で発祥した「現在では一般的になっている白濁した豚骨ラーメン」が次に伝わった地、つまり
九州で2番目に豚骨ラーメンが始まった場所
です(ちなみに透明感のある豚骨ラーメンの元祖は南京千両という屋台です)。
その現在の豚骨ラーメンの元祖
三九ラーメン
が、2店舗目を玉名駅前に出店したからそうなったんです。
そして玉名の地域性を受けて『玉名ラーメン』へ独自の進化をしていくんですね。
久留米から受け継いだラーメンに、お客からの要望を受けて、ニンニクを揚げたオイルだったり、カリカリにしたニンニクチップをスープ表面にかけ始めます。
で、この頃に三九ラーメン玉名店を視察に来ていた『こむらさき』の店主たちによって、熊本に久留米ラーメンの手法、ならびにニンニクを組み合わせる手法が伝播していく、という流れ。
ちなみにこの「にんにくを揚げたオイル」はその後、桂花ラーメンが生み出す『マー油』の原型なんじゃないかな?と個人的には考察してます。
こういう歴史があるため
「熊本ラーメンの元祖は玉名ラーメン」
と言われたりします。
ちなみに、玉名ラーメンでは『ニンニクを揚げたオイル』(その後のマー油)はだんだんと使わなくなり、ニンニクチップのみが主流となったのに対し、熊本ラーメンはマー油のみ、もしくはニンニクチップの両方を使うのが一般的です。
そんな熊本ラーメンの基礎を作った有名店『こむらさき』や、熊本ラーメンチェーンの『味千拉麺』も、もともとは創業者がこの三久ラーメン玉名店の味に感銘を受けて、創業したらしいです。
そして玉名においては、三久ラーメン玉名店で働いていた従業員が、その味をしっかり受け継いで、玉名ラーメンの元祖とも言える『天琴』を創業。
その後、この天琴の従業員たちが桃苑や大輪を創業し
『玉名ラーメン御三家』
と呼ばれるようになっていきます。
また、桃苑従業員の親戚筋の人が千龍を創業した後、長い年月をかけて大人気店にまでなったので、近年では先の御三家に千龍を加えて
『玉名ラーメン四天王』
と呼ばれるようになりました。
玉名ラーメンの味は、これらの三九ラーメン直系店の味を核として、その他のお店にも広がっていきました。
もっと詳細に歴史を解説している記事がありますので、詳しく知りたい方は下をクリック⇩
玉名ラーメンの定義
『玉名ラーメン』という言葉が使われる場合、『味』を指す場合と『場所』を指す場合があると思ってください。
これ抑えておかないとわっけ分かんなくなるんで(笑)。
『味』は「この味が玉名ラーメンの味」っていう意味で使われます。
『場所』は「玉名にあるラーメン屋だから玉名ラーメン」っていう意味で使われます。
まず、『味』に関しては、三久ラーメン玉名店をスタートとして、その直系である天琴に受け継がれていった伝統の味、ということになりますね。
そしてその味が御三家(四天王)へと伝わり、他の様々な店舗にも影響を与えてきた歴史があります。
具体的に
「どの店の味が玉名ラーメンの味なの?」
と聞かれれば、天琴・桃苑・千龍・大輪・来々軒・玉龍・中王・雲龍軒・番屋の9店舗が該当します。
もしあなたが玉名ラーメン初めてで、「王道の玉名ラーメンが食べたい!」ということならば上記店舗に行って『普通のラーメン』を注文して貰えれば、肩透かしを食らうことはありません。
ただ番屋だけは久留米ラーメンと玉名のハイブリッドなので、ここに入れるか入れないか微妙なラインですが、ちゃんとニンニクチップもあるし、紅生姜や辛子高菜はデフォルトで入っているわけではないので、ここに並べて語っても問題ないと判断しました。
しかし、麺屋いっぽう・麺の小やま・極ラーメン宙・味噌の恵み壱などの店舗は、オリジナルメニューだったり、鶏ガラスープを売りにしていたり、味噌ラーメン専門店だったりして、いわゆる『玉名ラーメン』は置いてありません。
これはお店側もはっきりと公言していることです。
「うちは皆様が期待する玉名ラーメンではありません」と。
なので、あなたの要望が『玉名ラーメンを食べること』であれば、これらのお店には行かないでください。
「なんだよ!期待してた玉名っぽい味とは全然違うじゃん!」
とか言われても、お店側も困るので。
「いやいや、だから最初から言うてますやん…」
となりますから。
実際そういうクチコミを目にすることもあるので、こうして説明しているわけですよ。
次に『玉名ラーメン』が『場所』を指す場合のお話をしますね。
『場所』という意味で玉名ラーメンが語られる場合、基本的には玉名市内にあるラーメン店のことを指します。
天琴・桃苑・千龍・大輪・来々軒・玉龍・中王・雲龍軒・番屋・麺屋いっぽう・麺の小やま・極ラーメン宙・案山子・味噌の恵み壱
これらの14店舗が『玉名ラーメン』に該当します。
しかし、往々にして玉名市と玉名郡はごっちゃに考えられがち(笑)。
だから玉名郡である4町(長洲町・南関町・玉東町・和水町)にあるラーメン屋までごっちゃになるんですよ。
私のブログではここをごっちゃにしないように、玉名郡のラーメンのことを『非玉名ラーメン』として紹介してきました。
これまで紹介したお店でいうと、長洲町にある大宝・長洲ラーメン(閉店)・まる孔、和水町にある恵比須は玉名郡なので、本来、玉名ラーメンではないんですよね。
けど、昔は玉名郡だった岱明町にある案山子も、市町村合併で玉名市に入っちゃうと(平成17年)、途端に『玉名ラーメン』に入っちゃうわけですよ(笑)。
ってことは今は玉名郡のラーメンでも来年は『玉名ラーメン』になってる、なんてことも起きうるわけです。
なので、『玉名市にあるラーメン以外は玉名ラーメンとは呼ばない』っていう頑ななスタンスじゃなくて、そこは厳密になりすぎない括りで今回は書いてます。
『非玉名ラーメン』という区別はせずに、これまで紹介した玉名市・郡のラーメン店17店舗を全て『玉名ラーメン』としてここで紹介しました(もちろん玉名郡部にはここで紹介した以外にもラーメン屋はまだまだあります)。
それから、『玉名ラーメンスタンプラリー』が催された時は、本来玉名ラーメンと呼ばれるべきお店が参加していなかったり(天琴とか)、味千ラーメンのように
「いや、あんたは玉名ラーメンじゃなくて熊本ラーメンチェーンだろ?」
っていうお店まで参加してたので、混乱を招いたと思うんですよね。
スタンプラリーで言う『玉名ラーメン』は一旦忘れちゃってくださいね。
玉名ラーメンの現状
九州で2番目に豚骨ラーメンが伝わった場所…
そうは言ってもやっぱり田舎町。
そもそも人口が8万人くらいしかいない町では当然のことながら行列なんてできません。
よって昔は話題にも登らなければ注目もされて来ませんでした
私の学生の頃はそんな時代で、県外客なんてほぼ見かけない時代は長かったです。
玉名ラーメンは博多ラーメン、久留米ラーメン、熊本ラーメンに比べると、ブランドとして認知されるのはかなり遅かったと思います。
しかし、20年前ぐらいからテレビでもわりと扱われるようになったり、玉名ラーメン協議会を作ってスタンプラリーなんかの町ぐるみのイベントもやったりして、だんだんと認知度が上がっていきました。
玉名ラーメンを特に贔屓にする的場浩司なんかの芸能人もテレビで言ってくれちゃったりして、だんだんとゆっくりゆっくり認知度が上がってきました。
ネットが充実してくるとランキングサイトやクチコミなどの情報も豊富になってきます。
そんな時代が来て「熊本ラーメン人気ランキング」で、玉名ラーメンの店舗が人気ランキング上位に入ってくるようになると、徐々に玉名市以外からのお客が来るようになります。
現在では『熊本ラーメンの元祖は玉名ラーメン』っていうのは驚くほど県民に認知されてますし、『玉名ラーメン四天王』の店舗は熊本県トップ10にさえ入ってくるようになってます。
そのため、土日は行列ができるような店舗が多くなりました。
地元民の私が、どうしてすぐそこで食べれるラーメン屋に並ばないといけないのか、首を傾げるほどです(笑)。
まあ、昔から通ってる私なんかの感覚では、
人気が出るのも当然というか。
あの味で上位にランクインしないほうがおかしいくらい、昔から美味かったので。
というより、ここで育ってしまったので、正直、熊本で色んなラーメンを食べても
「え?これで人気店?」
って感じることはザラにありましたから。
それくらい玉名は全体的なレベルがハイクオリティです。
現在では九州豚骨ラーメンのブランドとしては博多・久留米・熊本に次ぐ認知度になってきましたが、まだまだ有名になって沢山の人に来て欲しいものです。
ただ、やっぱ田舎だから、はるばる来ても
ラーメン食べたあと他にすることがないんだよな~。
・・・・・
そうだ!玉名に来たついでにグリーンランドに行こう!(荒尾に頼るな…)
玉名ラーメンの流儀
玉名ラーメンには独自の流儀があります。
まあ、とは言っても時代に合わせて変化してきてますので、そこまでガチガチではないです。
替え玉は基本できない
「替え玉」っていうのは博多・長浜ラーメン発祥の文化です。
そちらが有名になりすぎたがために
「九州豚骨ラーメン=替え玉」
みたいに認識されてますが、実はもともとが久留米の文化ではないので、それを受け継いだ玉名・熊本ラーメンの文化ではありません。
「別に茹でた麺を持ってくるだけでいいんだから、そんなに突っぱねなくたっていいじゃん」
と思われるでしょうが、実はコレ
簡単な話じゃないんです。
替え玉は茹でた麺を持ってくるのですが、当然茹で汁が付いてくるので、それを入れたらスープが薄まります。
博多・長浜ラーメンはそれを見越して最初からスープをしょっぱ目(濃い目)に作ってあるんですよ。
分かりやすく話すと、素麺を食べるときの「麺つゆ」みたいなイメージなのが博多・長浜ラーメンです。
スープはあんまり飲まない。
具もたくさん入れない。
で、バーっと食べてさっと出るみたいな、都会なだけにせっかちなんですよ。
麺が極細なのも、それをカタ麺で出すのも、茹で時間を短くして提供時間を早くするためだし。
忙しいビジネスマンのための、立ち食いそばのノリに近いというか。
もともとの博多・長浜ラーメンはそういう考えですよね。
それに対し、玉名ラーメンの考え方は
「スープも“汁物“として当たり前に飲めなきゃいけない」
っていう考え方なんです。
だから飲むこと前提の濃さに作ってあるわけですよ。
当然、替え玉を入れようものならかなり薄まるわけです。
玉名ラーメンの大将たちはそれが分かっているから、昔から替え玉は突っぱね続けているわけです。
「だったら初めから大盛りかダブルを頼んでよ」
っていう考え。
これが玉名流(というより源流の久留米がもともとそうなのですが)。
逆に、彼らが替え玉できるようにスープを濃くしたら、これまでの味に慣れている玉名の人たちが
「うわっ!大将、これしょっぱ過ぎでしょ!飲めないよ!」
って言ってくるわけです。
面倒くさっ(笑)。
ね?簡単な話じゃないでしょ?
まあ、現在では新陳代謝もあり、新たなお店が替え玉文化に対応するようにもなってきて、半分、いや3分の1くらいの店舗ではできるようになったかな?
ただ、老舗の店舗で『替え玉』という単語を口にすると
ブチ切れられて激しく罵られる
ので注意してください(脅すなよ)。
まあ、かつてそうだった昔の頑固親父たちはとっくに世代交代してるので、そんなにビビらなくてもいいですけど、メニューに書いてないのであれば口にしないことをオススメします。
玉名ラーメンはもともと“ヤワ麺“が基本
あとついでに言うと、『麺の硬さを選べる』というのもこの替え玉と全く同じことが言えます。
あくまで博多・長浜の文化であることを理解しましょう。
「ハリガネ」(超硬め)とか「粉落とし」(ほぼ生麺)とか言っちゃあ駄目ですからね?
玉名ラーメンのデフォルトはもともとは
『ヤワ麺』ですから。
ここを勘違いして
「麺が伸びている」
とクチコミしている人が多すぎます。
私はこれまで玉名で食べてきて『伸びた麺』が出てきたことは一度もありません。
『ヤワ麺』が出てくることはあっても。
まあ、時代は変わって今では「カタ麺で」とか頼めばやってくれる店舗は増えたし、県外客からの要望の影響で全体的にデフォルトを「チョイカタ」や「普通」にしてるお店が増えてきてます。
けど、私が高校生の頃に食べまくってた頃は、全てのお店がもっとヤワ麺だったですね。
一つの例外もなく。
だから私の中ではあのヤワ麺こそが玉名ラーメンです。
あれが美味いし、あれじゃなきゃ嫌なんです。
バリカタとかは別に一蘭とかの博多ラーメン食べる時にすればいいわけで、それが美味かったからと言って、玉名のラーメンにまでカタ麺を求めるのは違うでしょ?
スリランカやタイのサラサラスープカレーを食べて、
「シャバシャバカレーって最高!」
ってなった後に、インドカレー屋に行って
「なんかルーがドロドロしてるから、もっとシャバシャバにして」
って言うようなものですよ?
違うでしょ?
玉名でちょっとカタめにした麺とかが出てくると
「おいおい、そんな中途半端に博多に寄せんなよ。もともとの持ち味を忘れちゃ駄目じゃん」
とか思ってしまいます。
郷に入れば郷に従えで
出てきたものを素直に食べてみてください。
ヤワ麺でも美味いですから、いえ、ヤワ麺だからこそ美味いですから。
ちょっと最近は『バリカタ信仰』に皆が毒されてない?
カタめなら何でも美味いわけじゃないですよ?
私も一蘭・一風堂・龍の家なんかに行けばバリカタやハリガネを頼みます。
大好きですカタめの麺。
ですが、それがヤワ麺を否定することにはならないと思います。
ヤワ麺だって立派なラーメンの食べ方です。
それは「麺が伸びている」こととは違います。
天琴や大輪のヤワ麺をすすった時に
「うおおおおおっ!やっぱこれこれ!」
ってなる地元客は私だけじゃないはず。
ニンニクチップはスプーン一杯だけ
玉名ラーメンではニンニクチップをテーブルに置いてある店もあれば、ラーメンが配膳される時にニンニク入れるかどうかを訊かれるお店もあります。
後者がいわゆる玉名の伝統ってやつです。
「はい」
って言うと、小さじ一杯だけ入れてくれます。
多分、何も知らないで来た人は
「うわ、もっと入れてもらいたかったのになんか
ケチ臭いな」
って感じること請け合いです。
けどこれはケチだからじゃないんです。
このニンニクチップは手作業で手間ひまかけて煎ったり揚げたりしてるから、
量をそんなに作れないんですよ。
例えば、餃子の皮も手作りで作ってるラーメン屋は、餃子が途中で売り切れになるようなものですよ。
皮を手作業で作るのは非常に手間ひまがかかるので、量をそんなに作れない。
けど、美味いから皆がバンバン注文する。
だからすぐに売り切れる。
餃子は売り切れで済むからいいけど、ニンニクチップが途中で切れたらクレームになりますよ、そりゃ。
「なんでいつもと同じ値段を払ってラーメン食ってるのにニンニクが入らないんだ!じゃあ同じ値段取るのはおかしいだろ!?」
ってなりますでしょ?
またしても面倒くさっ(笑)。
そういうわけなので、当然のことながら
「山盛り入れて」とか「2杯入れて」はタブーです。
それ言ったら、
「な、なんば言いよっとね、あんたぁ!あんたは自分のことさえよけりゃそれでよかつかぁ!?どうせあんたは熊本地震の時も食うに食えない住むに住めない被災者たちを尻目にぬくぬくと腹いっぱい飯食うとったっだろがぁ!この非国民がぁ!」
って軽蔑の眼差しをされますので注意してください(なんで非国民扱いされにゃならんのだ)。
つまり、
「ニンニク入れますか?」
と訊いてくるお店は、『ニンニクチップを手作りしてるこだわりのお店』だということを言いたいんです。
卓上に置いてあるニンニクチップとはこだわり方が全然違うということです。
ここ重要ですよ?
何でもかんでも入れればいいわけじゃない。
「美味いお店のニンニクは入れるべきだけど、実は入れないほうがいいお店もありますよ」
って話をしてるんですよ。
実は「ニンニク入れますか?」の答えは「イエス」しかないんです。
数学的に説明すると
『ニンニクを訊かれる』=『こだわりのお店』=『それがないと成り立たないほど劇的に美味い』
こういう公式です(どこが数学なんだ)。
はっきり言って、
卓上ニンニクチップのお店は、入れても入れなくてもどっちでもいいです。
別にそれを入れたからといって、特段プラスに働くことはありません。
「ああ、このニンニクの味がすると熊本に来た気がするな~」
っていう雰囲気が出るだけです。
それを入れてラーメンが一段上のレベルになるかと言うと、全然違います。
それどころか、もともとのスープの味を台無しにすることさえあります。
さらに言うと当然のことながら風味は劣化してます。
お店だって別にニンニクを推してはいません。
しかし、スプーン1杯のお店のニンニクは
爆発的に美味いです。
特に玉名ラーメン四天王のお店は、どこもニンニクチップの風味が強烈です。
食べる前から前のめり気味になりますし、口の中で弾けます。
これが入って玉名ラーメンの完成形。
『玉名ラーメンの歴史』の記事で話しましたけど、久留米ラーメンと玉名ラーメンを明確に分けるのは
ニンニクの有無なんです。
この極上のニンニクが入ってないと、そもそも玉名ラーメンって言わないから。
玉名ラーメン四天王のお店で
「ニンニク入れますか?」
の質問に
「いいえ」
と答えるのは
「今日は玉名ラーメンじゃなくてもいいです。今日は久留米ラーメンでいいです」
って言ってるのと同じことなんですよ。
「いいえ」の人を非難してるわけじゃないですよ?
口臭くなったら困るタイミングもありますからね。
ここまでの話をまとめると、
『ニンニク1杯ルールのお店ではマスト、卓上ニンニクのお店は入れても入れなくてもどうでもいい』
ということになるのですが、例外があります。
番屋と雲龍軒の卓上ニンニクチップは、人気店だけあって回転が早いからか、ニンニクの風味があまり飛んでいません。
さらに、厳選したニンニクチップを使っているのか?
もしくは手作りしたニンニクチップを瓶に詰めているのか?
それは分かりませんが、美味いですよ。
玉名ラーメン全店舗紹介
さて、前置きが長くなりすぎましたね(前置きに8000文字:笑)。
いよいよお待ちかねの全店舗紹介やっていきますよ!
余すことなくたっぷり語っていきますからね?
これを1日かそこらで簡単に読めると思うなよテメェらぁ!(なんで喧嘩ごし?)
長さもあれなんですが、だいぶ熱がこもってますので一気に読むと胃もたれしますよ(笑)。
紹介順は人気順でもおすすめ順でもございません。
創業の順番で語っていきます。
玉名ラーメンの歴史も学べて一石二鳥!(余計なお世話だ)
そして、これまでこのひよこまめでは玉名市近隣、つまり玉名郡にあるラーメン屋を『非玉名ラーメン応援企画』として紹介してきましたが、便宜上、この記事では全て『玉名ラーメン』として紹介していきます。
また、個別の店舗紹介では解説したけど、その後に閉店となっている店舗は今回省いてますので悪しからず。
それではこの掛け声とともに始めましょう。
・・・・・・
・・・・・・
だけん写真ば撮んなて言いよっどがぁっ!!!
天琴(てんきん)1957年~創業67年
まず最初にご紹介するのは玉名ラーメンの元祖たるこの
天琴です。
先述した三九ラーメン玉名店で修行をしていた若干二十歳の若者が創業しました。
この店こそ現代の玉名ラーメンの礎(いしずえ)を作ってます。
70年近くにもわたって玉名ラーメンをリードしてきました。
そのため、玉名ラーメンのリーダーとして矢面に立つのもいつだって天琴です。
だって
「それ玉名のラーメン全体に当てはまる問題じゃん。天琴だけに言うのは酷ってものじゃない?」
っていう場面に出くわすからです。
賛否両論は付きまといます。
そんな天琴の凄いところはたった一つのことしか考えていないし、それが玉名ラーメンの『核』だと言えます。
それは
受け継いだ伝統の味を守る
これに尽きます。
玉名ラーメンのすべての店舗は天琴からの派生だったり、影響を受けてます。
なぜならこの天琴の味こそ
玉名ラーメンの定義そのもの
だからです。
天琴の味がブレたら「何をもって玉名ラーメンと呼ぶのか?」という基準自体がブレます。
雨に打たれても風に吹かれても、その場から微動だに動いちゃいけないんです(笑)。
その受け継いだものの大きさとプレッシャーは想像を絶します。
だから、そこだけに命がけなんです。
だから他のことはおろそかになっても仕方がないと私は思ってます。
クチコミを見れば、お世辞にも良いとは言えない接客態度にマイナス評価が結構な数で付いてます。
何を隠そう「写真撮るな」とか言ってヒンシュク買ってるお店がここなのですから(笑)。
しかしあえて私は言いましょう。
天琴はそれでいいのだ
と。
なぜなら、創業から70年近く経っても、コロナ渦でお客が減ろうとも、物価上昇で仕入れ価格が上がろうとも、
その味に一切のブレがないのですから。
まったく感心します。
これだけ有名になり、県外客も増えれば、お客の中には替え玉を望む声もあれば、硬麺(かためん)を望む声もあるわけですよ。
ニンニクだって「もっとくれ」というお客だっているでしょう。
けど、
お客の要望には基本的に合わせない。
そう、お客の要望に合わせることだけが正解じゃないんです。
他の店では正解でも、天琴の場合は当てはまりません。
それに合わせてたら玉名ラーメンは今では何ら個性のない、博多・久留米・熊本ラーメンの『二番煎じ』になっていたことでしょう。
クチコミには色々書いてあります。
脂が多い、麺が柔い、替え玉が出来ない…etc…
それが玉名ラーメンなのだから、それが合わないのであればよそに行けばいいだけの話。
そういうお客に合わせて玉名ラーメンの伝統を崩す必要がどこにあるのでしょう。
そんなものに合わせていたら、玉名ラーメンはこの世からなくなるじゃないですか。
クチコミには色々書いてあります。
海苔が小さい、チャーシューが小さい、それなのに800円は高い…etc…。
でもね、ラーメンの価格は具材のトッピング量で決まるっていう単純な話じゃないでしょ?
スープのダシを取るのだって、こだわればこだわるほどコストは掛かるわけじゃないですか?
物価が上昇したからと言って、ランクの下がる豚骨ダシに切り替えるわけにはいかないんですよ。
「この味でこの価格が玉名ラーメンでございます。それに納得する人だけ来てください」
っていう玉名のスタンダードを決めているのが天琴だと思うんですよね。
天琴がラーメン1杯800円だと言えば、玉名ラーメンの『格』が1杯800円の価値になるんです。
天琴がラーメン1杯500円だと言えば、玉名ラーメンの『格』は1杯500円に成り下がります。
だから昨今の物価上昇に合わせて一番最初に値上げをするのもやっぱり天琴なんです。
これに他のお店がどれだけ救われてることやら…。
玉名ラーメンの他のお店は天琴に足を向けて寝れません。
そりゃラーメン1杯が800円もすることに賛否両論はありましたし、個人的にもムカつきましたよ?
なにせ500円しなかった頃から通ってたもので(笑)。
だってそれはもう都心部の物価だもん。
ここはド田舎の玉名ですからね。
けど、それでもいつまでも変わらぬ味を求めて、やっぱり感動するために800円払って食べて、そして期待通り感動してしまうんだから、私はこの味に対する価格に納得しているってことなのでしょう。
やっぱりこの旨さは得難いです。
クチコミには色々書いてありますが、先入観抜きにして、まずは食べてみてください。
いいですか?ポイントは『接客態度をハナから度外視すること』ですよ?(笑)
あなたの心が動揺しない“魔法のおまじない“を教えておきますので、ぜひ使ってみてください。
店に入って、店員呼んで、はい、無視された。
その時、これを唱えるんです。
「へんじがない、ただのしかばねのようだ」
これを心のなかで唱えておけば、嫌な気分がなんと当社比で96%は軽減されます(当社比ってなんだ)。
ただ、声に出してはいけませんからね?
『玉名ラーメンを味わう』ということのみにアンテナを立てて、他の情報はシャットアウトしましょう。
クチコミにも書いてあるように、写真撮ってて大将に怒られたり、1杯まるまるは食べ切れないであろう小さい子供やご年配の家族でも1杯注文させられたり、不快な思いをした人は間違いなくいるのでしょう。
それを「いや、そんなことは絶対ない」なんて私も言いません。
私だってそれくらいは分かったうえで、それでもこの味を知ってもらいたいんです。
その先にある『感動』を知ってもらいたいんです。
偉大すぎる玉名ラーメンの元祖・天琴の味は、あなたの味覚に合うにしても合わないにしても、人生で一度は食べてみる価値があると思います。
1店舗目から長くなっちゃいましたが、
天琴は玉名ラーメンの最重要店舗
なのでコレだけでは全然語りきれません。
ぜひ詳細記事も読んでみてください。
もっと詳しく語っている記事はこちら⇩
来々軒(らいらいけん)1957年~創業67年
なんと創業が天琴と同じ年という
玉名市民の誰も知らない驚愕の事実!
なんで天琴ばかりが元祖って言われて、誰も来々軒をそう言わなかったの?
個別紹介記事でも『隠れすぎた名店』というキャッチコピーをつけましたが、ホント、隠れ過ぎだよ。
しかし、来々軒は知る人ぞ知る店のままでい続けてほしい。
『黒子のバスケ』の黒子くんのように、その存在感を消し続けていてほしい。
こんなに美味いラーメンをいつだって並ばなくて食べれるのですから、私のような玉名ラーメンマニアは自然と一番通ってしまう店になるというわけです。
創業が一番古いということも驚愕だったのですが、これだけの味であんまり有名じゃないことのほうがもっと驚愕です。
ちなみに天琴や大輪などの『玉名ラーメン四天王』が玉名ラーメンの味を維持し続ける凄さを持っているのに対し、
「ここの大将は何作っても美味いものを生み出すセンスが有るな~」
っと感じる『大将のセンス抜群3店舗』のうちの1つです(また勝手に命名する)。
ノーマルのラーメンがやっぱり抜群に美味いのは言うまでもなく、そこから改良を加えたオリジナルラーメンのクオリティがヤバすぎる。
『背脂ラーメン』も『辛麺』も、工夫に工夫を重ねて、豚骨ラーメンと絶妙にマッチするバランスを見つけているので、単に何かをトッピングしただけのものではなく、
豚骨ラーメンが別の何かに進化している
と感じます。
そんなオリジナルメニューの中でも個人的に最高傑作なのが
『香油ラーメン』。
香油って何かって?
私に訊かないでください!(逆ギレすんな)
なんの油をかけたのか知りませんが、
「かけたのは魔法か何かですか?」
って思うくらい全てが調和して素晴らしいバランスを誇ってます。
来々軒はやばいですよ~。
ただ、ここはラーメンがこだわっている割には、ニンニクにはこだわっていないように感じられます。
卓上ニンニクはありますが、マストではないかな~。
皆さん、これを読んでも、行列できるのが嫌なので、
絶対に行かないでくださいね
(なら紹介すんなよ)。
もっと詳しく語っている記事はこちら⇩
桃苑(とうえん)1963年~創業61年
ビッグネームの登場です。
その名も
桃苑!
『玉名ラーメン御三家』にも『玉名ラーメン四天王』にも名を連ねる老舗の名店。
そして今では、あらゆる雑誌やランキングサイトを総合的に見ても、熊本のみならず、
九州全体においても上位に位置付けされる
ほど評価の高いお店ですね。
特に業界関係者、専門家からの評価が異様に高いです。
つまり一般大衆に人気が高いというより、玄人好みというか。
もともとは天琴で修行した人が創業しただけあり、やはりここも玉名ラーメンの王道中の王道ラーメンです。
私は玉名ラーメンを個人的に開拓しまくってた高校生時代に一番通いましたね。
馬鹿みたいに美味いのに店内ガラガラだったんだもん(笑)。
高校の頃はこれくらいの美味しさはラーメン屋では当たり前なんだと思ってました。
だからガラガラなのかなと(さっきから失礼だぞ)。
けど、やっぱりこの味は当たり前ではなかったことがその後、大人になって色んなとこで食べて分かってくるのですが。
地元戻ってきて久々に食べると
「ああ、やっぱり桃苑は只者じゃなかったんだな。これを当たり前に日常で食べれていたのはラッキーだったんだ」
って思ったものです。
10年ほど熊本を離れて戻ってきた時には、さすがに行列店になってました。
スープ表面にはしっかりとした油膜が張っており、塩分もおそらく玉名でトップクラスに濃いと思います。
体には悪いと分かっていながら、あの濃くてしょっぱいスープを最後まで飲んでしまうのは一体何のマジックなのやら。
ちなみに、トッピングで生卵を入れている人をよく見ますが、個人的にはおすすめしません。
駐車場はすぐ埋まってしまうので、国道挟んだ文化センターの無料駐車場を使われることをオススメします。
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玉龍(ぎょくりゅう)1971年~創業53年
これまた50年を超える老舗の名店。
その名も
玉龍
です。
玉名ラーメンの文化遺産というか、どのお店もリニューアルして小綺麗になった中で、玉龍だけは昭和時代からの変わらぬ佇まいを維持してます。
お店に入ると昭和にタイムスリップしたような感覚に襲われますよ。
ここは昔から天琴などの四天王とは一線を画していて、そもそもの麺が玉子麺でした。
なので、合う人合わない人がはっきり分かれる傾向があったのですが、今は玉子麺は使ってません。
クチコミ読むと玉子麺とか書いてありますが、それは昔の話だということです。
玉龍の味の特徴は、優しくてじわ~っと口に広がる旨味というんですかね?
派手さとかパンチはないのですが、ほんとに「じわ~」っと旨味がして顔が「ニマ~」っとします(笑)。
さらに玉龍の一番すごいところは、空気感だけじゃなくて
価格設定までタイムスリップしてる
とこです。
玉名ラーメン四天王に対してまったく遜色ないほどのラーメンなのに、
ラーメン1杯600円
です。
「値段がこれだからそれなりの味だろう」
とか思って油断してると腰を抜かしますからね(笑)。
この流れる空気感といい、時代錯誤の価格設定といい。
なんだ、俺は昭和にタイムスリップさせられたのか?
もしやここの大将は、
時を操るスタンド能力者
なのか?
いや、多分そうなのだろう。
食材も過去から仕入れている
に違いありません。
多分昭和50年代の寿屋あたりで(懐かしすぎだろ)。
時代が変わろうが、玉名ラーメン事情が変わろうが、そんなものどこ吹く風と、我が道を歩み続けている不思議なお店です。
ちなみにお笑い芸人の花輪さんが年に1回は食べに来るほど熱烈なファンらしいです。
サインもありますよ。
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案山子(かかし)1977年~創業47年
きっと人生でこんな漢字を読めなくたって生きていけますが、ちょっと友達に自慢することくらいはできそうですよ。
案山子は「かかし」って読むんですよ。
隣にある坂本龍馬の看板(保険代理店の看板)が怪しすぎて、ずっとスルーしてきた人生を今さら悔いております。
どうしてこの周りで営業15年やってて一度も入らなかったんだろう?
それはやっぱりこのお店の放つ
ほぼ常連客しかいないオーラ
のせいでしょう。
「なんかカウンターの座る席とか決まってるんじゃない?知らないで座ってたら常連さんに睨まれたりしないよね?」
そんな心配などまったくもって杞憂でした(どんな想像?)。
玉名市街地からは遠く離れ、ここはすでに岱明町(一応玉名市)。
そこで、すごく優しい老夫婦がひっそりと営まれておりますし、ガラの悪い常連さんなどいません。
実は天琴よりも古い元祖玉名ラーメンだった「静海(しずみ)」(もう閉店してます)で修行した人が創業しているので、天琴の味を基本とする玉名ラーメンとはちょっと違います。
脂は少なく、塩分も強くなく、ニンニクチップもかけてないそのラーメンの出で立ちからは、私達が知る玉名ラーメンとの共通点はあまり見つかりません。
しかし、「玉名ラーメンにはもう一つの源流があった」という歴史を教えてくれます。
そして案山子のラーメンは「ラーメンが非日常の食べ物ではなく日常の食べ物」であったことも教えてくれます。
そう、ここは玉龍を凌ぐ驚きの価格
ラーメン1杯500円
なのですから。
価格破壊王か?
ラーメン業界の『トライアル』なのか?
もはや過去の寿屋から仕入れているとしか思えなかった、あの玉龍(600円)より100円も安いんですから!
もう、病院の中の食堂のノリじゃないですか。
有名店じゃないから行列に並ぶ必要もなく、仕事の昼休憩でもさっと食べれてお財布にも優しい。
そして何より味付けが優しい。
毎日でも食べれます。
天琴や大輪のラーメンが例え1杯500円になったとしても、毎日食べようとは思いませんが、案山子のラーメンは毎日食べれますよ。
これは単に味が薄いとか、ありきたりのラーメンということではありませんからね。
郡部にある安いラーメン屋は数多くあるし、そういう店は九州中を営業で周って食べたけど、こんなに美味しいラーメンはありませんでした。
つまり、玉名中心街からこんなに離れたとこで、こんな安い価格でやっているお店でさえも、クオリティが高いんですよ、玉名ってとこは。
あらためて玉名ラーメンのレベルの高さを実感できる、そんなお店が案山子です。
職場の近くにあったら毎日でも通うのに、遠いんだよな~(笑)。
ちなみに「静海」流のラーメンなので、ニンニクは乗っていませんけど、
実は頼めば出てきます。
「いや、あったんか~い!」
ってなりますよ(笑)。
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雲龍軒(うんりゅうけん)1978年~創業46年
住宅街の中に隠れてますので、こんなとこにラーメン屋があることを知らない地元民は多いと思います。
実は隠れファンが多い名店です。
その名も
雲龍軒。
ケンシロウがラオウを倒す時に使いそうな技名ですね(技名言うな)。
その必殺技のような名前からは意外すぎるのが
大将はなんと女性。
そのため、いたるところに女性の気遣いが見て取れるお店です。
メニューはすごく丁寧で分かりやすいし、海苔巻きおにぎりなんて感動しますよ。
海苔で巻いてストックしておくのではなく、提供する時にふわっと巻いてあるのでパリパリ。
これこれ、このひと手間、このちょっとした気遣いが女性的。
え?そんなことは当たり前?
いや、ここ玉名では当たり前じゃないんで、やたらとハートに染みてくるんですよ(笑)。
市街地からは離れてますが、玉名ラーメンとしてはA級の味を当たり前のように出してきます。
その特徴は玉名ラーメンの味はそのままに、男性的な部分(脂っこさや塩分)を抑えているところでしょうか?
それを『薄い・パンチがない』ではなく『洗練されている』と捉えられる人は見事にハマります。
玉名ラーメンを食べた時にありがちな胃もたれ感とか、唇のベタベタ感とか、喉の乾きとか…そういったものは心配する必要がありません。
そして玉名の『ニンニクはスプーン1杯ルール』がここにはなく、卓上に置いてあるのですが、このニンニクチップがなかなかにいい仕事します。
これってお手製?既製品?
けど、自由にかけていいからといってかけすぎると、この雲龍軒の繊細な味を損ないますので、半分くらい食べた後に入れて味変するのがいいと思いますよ。
あと、玉名ラーメンの相場ではラーメンの大盛りは150円増しなのですが、ここでは
たったの50円で出来ます。
さらに
ダブルが100円増し
です。
思わず「目の錯覚か?」とメニューを二度見してしまいますよ(笑)。
女性的な店なのにしっかり大食漢も相手にできる。
この意外性が面白い。
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千龍(せんりゅう)1979年~創業45年
ここで
玉名ラーメン行列ナンバーワン
のお店を紹介します。
昔は『玉名ラーメン御三家』(天琴・桃苑・大輪)に人気は及びませんでしたが、時代とともにどんどん人気を上げていき、御三家と人気が並んでしまったため『玉名ラーメン四天王』と呼ばれるまでになりました。
それが
千龍
です。
先程は桃苑を『九州で上位の評価を得ている』と書きましたが、それは千龍にも同じことが言えます。
あらゆる人気ランキングで見ても
桃苑と千龍はほぼ互角です。
どちらかというとラーメン専門家からの評価が高い桃苑に対し、一般的な人気が高いのが千龍といったところでしょうか?
『熊本でラーメン総選挙』とかやると、千龍が玉名ラーメンで一番上位にはきますね。
そのため千龍の行列の長さは玉名ラーメン随一です。
土日の行列の長さときたらすごくて、わざわざお客さんのために冷暖房完備の待合室を店舗横にドンと作ってます。
なんて優しいんだ(笑)。
それでも待合室に入り切らずに、余裕で溢れてるんですもの。
商店街の一角がまるで『千龍歩行者天国』みたいになります。
こんな現象が起きるのは千龍だけです。
私が高校の頃に通っていた頃はこんな人気ありませんでした。
むしろ桃苑同様ガラガラでしたね。
そして当時はもっと中華料理屋みたいなメニューだったんですよ。
それがいつからか中華メニューがごそっとなくなり、ラーメン専門店を漂わせたメニューになりだしたあたりから、急にお客さんが増え始めた印象ですかね。
でもこの人気の一番の理由は、千龍は玉名ラーメン四天王の中でも『お客様ファースト』の姿勢が一番強いということでしょうね。
早くから替え玉、麺の硬さといったお客の要望を取り入れてましたし、行列が出来るようになると、待っているお客のために外にテントとベンチまで用意して。
さらに「それでは暑かろう、寒かろう」ということで冷暖房完備のプレハブまで建てちゃった(笑)。
そこまでしちゃう?
どんだけやさしいんだ(笑)。
看板メニューは当然ラーメンと言いたいところですが、ほぼ2枚看板と言ってもいいほどの人気を博しているのが
モンスターチャーハンです。
(正式名称は『五目焼き飯』ね)
なんとそのボリュームは1キロほどもあり、とても一人では食べ切れないので、複数人で行ってシェアして食べるしかありません。
そのため、どうしてもここの焼き飯が食べたかったらご友人をお誘い申し合わせの上、お伺いするしかありません。
つまり千龍は他の店と違って複数客の割合が非常に多いんです。
なかなかの策士だな、おい。
だからハーフサイズを出さないのか、コノヤロ(というのは冗談で、食べきれなかった分はお持ち帰りとしてパックしてくれます:笑)。
これがね、ただボリュームのインパクトだけじゃなくて、
悪魔的に美味いんですよ。
小栗旬が昔CMでやってた
「このチャーハンが家でも食えたら…家でも食えたらぁっ!」
っていうあの状態になります。
是非一度食べてみてください。
それから肝心のラーメンはしっかりと玉名ラーメンです。
桃苑とは『姉妹店』という表現もされますが、桃苑ほど塩っ気は強くないかな。
まごうことなき堂々たる玉名ラーメンですよ。
昔からこのラーメンを押していればもっと早く人気が出たのかもしれません。
中華メニューに隠れてラーメンの影が薄かったから(笑)。
天琴や桃苑ほど『過ぎる部分がない』という意味では、バランスがいいため、これほど多くの人に好まれているのかな、と。
とにかく大食漢の男たちが複数人で来るのを見かける店で、ダブルラーメン頼みながらモンスターチャーハンをシェアして食べているので、見ていて胸焼けすること請け合いですよ(笑)。
駐車場は20台以上停めれる専用駐車場があるのですが、このお客の多さではすぐ埋まってしまうので、文化センターの無料駐車場に停めるか、河川敷に停めるかして歩いていくしかありませんね。
いや、どうせここで食べたら食後の運動必須なんだからいいじゃないですか(笑)。
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中王(ちゅうおう)1980年~創業44年
玉名で最もこじんまりしたアットホームなお店です。
畳に座ってちゃぶ台でラーメン食べれるのが、実は私の密やかな喜び(テーブル席もカウンター席もありますよ)。
先代のおじいちゃん大将が老齢で引退する際に、担い手がいないことを聞いたこの店の常連客が
「この味を終わらせるなんてあまりにも勿体ない。ぜひ、この味を受け継がせてほしい!」
と熱心に説得し、リニューアルオープンしたのがもう10年以上前になるのかな?
それまでは、ぱっと見だとラーメン屋だとは気が付かない上に、中が見えなくて入りづらかったかつての外観が、すごく「やってる感」のある外観に生まれ変わりました。
店内も活気のある声が飛び交ってて、窓も開放してて、以前とは段違いに入りやすい店になりましたね。
その常連客だった人も今では立派に大将姿が板についてますよ。
もともとは天琴のように「ラーメン ラーメン大盛り」しかメニューがなかったお店が、リニューアルで品数大幅アップ!
玉名ラーメン屈指の品揃えを持つお店となりました。
厚切り炙りチャーシュー麺、坦々味噌ラーメン、カレーラーメン、つけ麺、カレーつけ麺、ちゃんぽん、味噌ちゃんぽん
魅力的なメニューが並びますが、なんと言ってもここは老舗の中王ですよ?
現大将が「この味を無くしたくない!」と引き継ぐほど、玉名ラーメンど真ん中のノーマルラーメンがちゃんと美味いのは言うまでもありません。
実は私も先代おじいちゃん大将の頃はアパートが近くで通ってましたので、ここのノーマルラーメンの味は保証しますよ。
が、ここではあえて「中こってりラーメン」をおすすします。
中王では基本ラーメンに脂を3倍に増やした「中こってり」、6倍に増やした「大こってり」というように、こってりの度合いを選べる玉名で唯一の店舗です。
ノーマルラーメンだとすこし塩辛さが立つところを、この背脂とコラーゲンがまろやかに包みこんでくれます。
「大こってり」はね…私の場合スープを飲み干す派なので、「大こってり」だとかなりきついですわ。
これはスープ飲まない派の人のためのメニューです。
かなり脂多めと言われる天琴のスープと、ここの中こってりが同じくらいくらいかな。
ギリギリ飲み干せます。
ただ罪悪感は半端ないですけど(笑)。
あと、私が食べた中では『坦々味噌ラーメン』は辛い上にコクが合ってクリーミーでホント美味いですよ。
それと『つけ麺』も実は美味いんだな~。
単にバリエーション増やすために手を広げたわけじゃなく、一品一品ちゃんと気合を入れて開発しているのが分かります。
とか言ってると全メニュー紹介することになるからこの辺にしときますか(笑)。
最後に、中王はね、道路側から見ても『駐車場がよく分からない』のがネック。
ここは玉名なので歩いて来る人より、車で来る人のほうが圧倒的に多いわけじゃないですか?
でも、道を走っててもどこに駐車場があるのか分からないから、素通り…こんなパターンはかなり多いと思います(これは近隣の『極めラーメン』も『いっぽう』もそうなのですが)。
う~ん、チャンスロス…。
まあお陰で私は待ちなしで、いつでもさっと食べれるから重宝してるのですが、土日で他の店が行列できてる時に中王は閑散としてる時もあって、ちょっとお店が可愛そう。
中王は行列ができても不思議じゃないお店ですからね、本来。
なので、今回は特別にご享受するんで、友達に教えてあげてくださいよ~!
まず、中王を右手に見ながら100mほど先の交差点(信号あり)を右に曲がります。
曲がって100mも行けば、すぐに左側に
砂利の大駐車場があります。
ここに停めて歩いて行くのが間違いないです(歩いて2分です)。
ちなみにこの後紹介する「極めラーメン宙」や「麺屋いっぽう」に行く際も、この砂利駐車場を知っておくと非常に便利ですよ。
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大輪(たいりん)1982年~創業42年
さあて、ここで私の一番好きなお店の登場です。
こうして創業順に書いてくると、この店ってそんなに古い方に入らないんだなって感じますよ。
新しい方から数えたほうが早いんじゃないか?
玉名ラーメン御三家の1つであり、玉名ラーメン四天王の一角を担う
大輪
です。
実は「大輪の花が咲く」って言う時の「たいりん」っていうのが正式名称なんですよ。
けど誰一人としてそんな呼び方はせずに「だいりん」でまかり通ってます。
すげぇなそれ。
店が決めた呼び名を誰も読んでくれないなんてそんな馬鹿な話があるのか?
あ、でも、濁点ありの方でしか読んでもらえない高木(たかぎ)さんとかいるよな(本当は「たかき」なのに)。
けど、「だいりん」の方が力士としては強そうじゃない?(なんで力士出てきた?)
というわけで私は今後も「だいりん」で通しますよ(笑)。
そう、今の話の流れで「おや?」って思いませんでした?
「創業時期は新しい方から数えたほうが早いくらい」なのにですよ?
早々と玉名ラーメン御三家として呼ばれるようになってます。
だって天琴(1957年)桃苑(1963年)の創業時期から約20年も遅れて創業しているにも関わらず、堂々とそこに名を連ねてる?
その20年の間に千龍・玉龍ら名だたる名店が創業しているにも関わらず、後発の大輪が御三家として玉名ラーメンのトップ3として扱われた?
これってとんでもないことですよね。
つまり早い段階から評判になったということ?
どうして?
それはもちろん大輪のラーメンが美味かったから、ということもあるでしょうが、私が推測するに、大輪は創業当時から天琴と何かしらの関係がある店舗と思われていたんじゃないかな?
資料を漁ってみると諸説あるのですが、どうも天琴の初代大将の弟さんが創業したのが大輪という説があるんですよ。
しかも弟さんはそれまで天琴で修行していた、と。
つまり創業当時、大輪は天琴からの『分家』とか『暖簾分け』『2号店』みたいな位置づけで見られていたんだと思います。
「大輪は天琴と同じくらい美味いラーメンが食べれるぞ。だってもともと天琴の人らしかけん」
みたいな。
実際、天琴と変わらぬクオリティのラーメンを創業当時から実現していたのでしょう。
あれ?
創業者が天琴で修行していたという意味で言えば、桃苑もそうでしたよね?
ということは『玉名ラーメン御三家』という呼び方は、「元祖・天琴とその直系筋」を指して使われていた言葉だということが分かってくるんですね。
なるほど!
これって『味のトップ3』という意味合いもちろんあるでしょうが、それ以前にもともとは『本家一派』的な意味合いもあったわけです。
さて、ちょっと長めの『御三家談義』をしたのにはちゃんと理由があって、大輪と天琴・桃苑の関係性を知ってもらいたかったからなんですよ。
大輪と桃苑はどちらも天琴からの直系なのですが、
大輪は桃苑より天琴に忠実です。
『玉名ラーメン四天王』という言い方をしますが、実は天琴・大輪と桃苑・千龍の間には明確な一本の境界線があるように感じます。
天琴・大輪は伝統に対し保守的(というより頑な)で、桃苑・千龍は時代やお客のニーズに柔軟に合わせている印象を受けます。
それは麺の茹で方への対応だったり、替え玉が出来るかどうかだったり。
大輪も天琴と同じく、伝統に忠実な側面が感じられます。
というより完璧主義の先代大将が、天琴から受け継いだ味をとことん磨き抜いたようなイメージです。
大輪のラーメンは天琴から継承する伝統の味を一切ブラしていませんが、
グレードアップさせているんです。
ちょっと意味が分かりにくいと思うので、野球で例えると、
「イチローからバッティングフォームを教わりました。来る日も来る日も素振りしているうちに、教わったバッティングフォームはそのままに、スイングスピードはイチローよりも速くなりました。イチローであればヒットになるだけだったのが、スイングスピードが速くなったため、打率はイチロー並でいながら、ホームランはイチローよりも遥かに多かった」みたいな。
つまり化け物ってことですよね(笑)。
先ほど天琴の紹介で、『天琴こそ玉名ラーメンの定義』と書きました。
桃苑も千龍もその定義からは逸脱していません。
けど、大輪の場合は、逸脱してないのはもちろん、玉名ラーメンに忠実にあろうと磨き上げすぎて
玉名ラーメンのクオリティを超えちゃった
みたいな。
ゆえに私は大輪のラーメンをこう呼びます。
『完璧ラーメン』
と。
伝統っていうのは、普通は時代を経るごとに劣化するものです。
維持するだけでも至難の業なんです。
それを継承しながらグレードアップさせるなんてとんでもないことですよ。
天琴のラーメンを食べるたびに私は
「やっぱこれ!色々言われてるけど天琴には誰も勝たん!ぶっちぎり!」
って思うくらい最高にドーパミンが出てラリってしまうんですよ?
それなのに大輪はその感動を超えてくるんです。
ラリるどころか寒気を覚えるほど美味いです。
想像できますか?
私は人生で大輪のラーメン以上に美味いラーメンを食べたことがありません。
これ食べると
「ああ、ラーメン作る側じゃなくて良かった…」
って心の底から思います。
無責任に、無邪気にこのラーメンを楽しむことが出来るのですから。
もし私が玉名のラーメン屋だとしたら、もう脱帽するしかないですもん。
白旗上げます。
これには絶対勝てる気がしません。
嫉妬に狂うと思います(笑)。
ジミ・ヘンドリックスのギタープレイを観た時に、あの3大ギタリストと言われるエリック・クラプトンやジェフベックが
「こりゃもう廃業だ…かなわねぇ」
って言った話は有名ですが、あれみたいなものです(笑)。
細かい説明は野暮ってもんです。
問答無用で行ってください。
玉名に来たら大輪はマストです。
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大宝(たいほう)1982~創業41年
はい、さて…、あまりにもヒートアップしすぎて「次何を書けばいいんだ?」感が半端ないんですけど(大輪で完全燃焼しすぎだ、あんた)。
この大宝は玉名市からは程遠い、玉名郡長洲町のラーメン屋です。
「これって玉名ラーメンなのか?」
と問われれば、先程述べたように『味』的な意味でも『場所』的な意味でも
「いいえ」
と答えざるを得ないでしょう(厳密にはね)。
ではなぜ紹介するかというと、
「いや、だって今現在『玉名市』って呼ばれてる市町村も、合併前のかつては郡だったわけだし。もう玉名市も玉名郡も一緒くたでよくね?どうせよその人から見たら一緒くたでしょ?」
みたいなノリです。
うん、正直でいいと思います(笑)。
何より、玉名は郡部のラーメンも
やっぱりレベルが高いからです。
そして驚くべきは、その圧倒的コストパフォーマンス!
そう、この大宝ラーメンこそ、私に『非玉名ラーメン応援企画』を思い立たせた張本人なのであります!
「なんのこっちゃ?」と思われそうですが、そのへんの顛末(てんまつ)は、個別紹介記事で詳しく読んでくださいね。
その価格は衝撃の
ラーメン1杯450円!!!
実況「キターーーーーーーーーーーwww大宝選手ぅ、玉名市で最安値の案山子選手さえも超えて、今季最高の記録を叩き上げましたァ!!!すごいすごいすごい!どうですかぁ、解説のセルジオ越後さん?」
セルジオ「これは素晴らしいですね!いや、もう神の領域ですよ。「ほどこしの心」を持つと言われるキリスト選手やブッダ選手ですら、いいとこ500円どまりでしょう。彼らにはローンもありますし」
いきなりセルジオ越後出てくんな。
一体何の解説してんだ。
なんかもう色んなところから怒られるよ、こういうこと書いてると?
いや、「ほどこしの心」なのか知らんけどね?
奉仕の精神にもほどがあるでしょう。
あなたも今、こう思ったでしょう?
「そんな値段で利益出るの?」
ですよね?
もしくはこう思った人もいるでしょう。
「まさか!?う、うまかっちゃんでも出てくるの?確かにいつか誰かがやるとは思ってたけど。」
んな不謹慎なこと考えるのはお前だけだろ(何ちょっとワクワクしてんだ)。
しかし、出てくるものは熊本県民のソウルフードなんかではありません(当たり前です)。
れっきとした本格的な九州豚骨ラーメンが出てきます。
それも玉名ではなく久留米寄りなものが。
サイズだって普通サイズですよ。
これが美味いんだまた。
ちょっとよく考えてみてください。
ありとあらゆる外食店でですよ、450円っていう値段がつけられているものって何ですか?
うどん屋であれば一番下の「かけうどん」ですよ?
居酒屋であれば「冷奴」か「バターコーン」かもしれません。
玉名ラーメンで言えばこれはもう「ハーフラーメン」の価格なんですよ?
同じ450円払うなら
どっちがいいですか?
それがちゃんと美味いラーメン1杯として出てくるなんて、ここはユートピアですか。
ちなみに子ども達は、私がこんなブログ書いてるもので、色んな玉名ラーメンに付き合わせます。
「お前たちに玉名ラーメン四天王の味くらい教えてやろう。はっはっは、仰天するくらい美味いぞぅ」
と連れて行くのですが、店出た後に
「大宝のがよかった。次は大宝連れてって」
と言います。
ラーメン通ぶって1杯800円のラーメン食わせた挙げ句、これ言われたら…
父親としての威厳、保てますか?
でも、それぐらい美味いんですから。
なんでこの価格でこんな味が出せるのか不思議でしょうがありません。
だって玉名ラーメンの相場の半額近いんですよ?
案山子のラーメンもそうでしたが、これは土日に食べるというより、普段遣いができる味というか。
当然のことながら平日の昼時はごった返します。
思わず
「え?長洲ってこんなに人いたの?」
ってくらいです(失礼ですよ)。
この大宝はね、実は隠れたトリックが潜んでるんですよ。
実は、ラーメンが安すぎるがために、ほぼ全てのお客さんがラーメン一杯では帰らないんですよ。
そらそうでしょう!
だって
なんか申し訳ないんだもん…。
恐るべし大宝…。
これは心理学で言う
『返報性の法則』
と呼ばれるテクニックを使ってますね。
『人は何かをしてもらうと、お返しに何かをしてあげたくなる』
っていうあれです。
「こんなに美味いラーメンをこんなに安くしてもらったんだから、こっちとしても何かお返ししなきゃ!」
っていう気にさせられるんですよ。
私なんかこの前、ラーメンと味噌ラーメンを両方食べましたから。
大して腹は減っていなかったのにですよ!?
恐るべし大宝…(お前が食いしん坊なだけだろ)。
で、そうやって「安い」という先入観があるから頼みすぎちゃうんですよね。
そうすると、そこで化け物が潜んでいたりするんです。
そう、それは『皿うどん』です。
化け物みたいな『サイズ』というわけではありません。
化け物みたいな『旨さ』という意味です。
一体何をもってこれを皿うどんと呼ぶのかさっぱり分からないようなビジュアルをしてます。
見た目は塩焼きそばですね。
これがどんな味付けをしてるのか分かりませんが、とにかく美味いので、一回食べてみてください。
熊本方面から荒尾・大牟田方面を目指す際には、ちょっとだけ長洲に足を伸ばして食べに行ってみてくださいね。
ってか学食じゃないんだから、もうちょっと値上げしても誰も文句言わないっすよ、大宝さん(笑)。
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恵比須(えびす)1988年~創業35年
画像を見て幽霊屋敷かと思ったでしょ?
いいえ、ここはれっきとしたラーメン屋であります。
またしても玉名郡のラーメンです。
その名も
恵比須
知る人ぞ知るB級グルメの帝王として名を馳せております。
ここは熊本県は和水町、陸の孤島でございます。
和水町を知らないそこのあなた。
Googleマップで探そうと思っても無駄ですよ?
和水町はまだGoogleに認知されてません
(和水町民に怒られるよ?)。
こんなマニアックなエリアにラーメンを探しに行く人は、もう筋金入りのマニアです。
なにせ、それ以外にこんな辺鄙なエリアに行く理由が皆無なのですから!
まああるとしたら、熊本のラフテル(終着の島)と呼ばれる山鹿に向かう時、
『山鹿灯籠まつり』の時だけ
ちょっと通るだけでしょうが。
エリアもそうですがあの強烈なお店の外観ですよ?
この敷居の高さはもはやレッドラインの高さです(たびたびワンピースネタですみません)。
ですが、そんなマニアな方のためにご紹介しようではありませんか。
まず、この恵比須のラーメンは豚骨ラーメンではありますが、玉名ラーメンの味とはだいぶ違います。
というより思いっきり熊本ラーメンなのですが、恵比須の熊本ラーメンは例えるならば
時代とともに進化しなかった生物
みたいなラーメンです。
普通は時代の変化に対応できなかった生物は絶滅してしまうのですが、それがなぜか現代にまで奇跡的に生き残っている、みたいな。
私の友人のポルナレフさんも、この恵比須を体験し、こう語る一人です。
「体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『俺は 何の変哲もない熊本ラーメンを食ったと思ったんだ
思ったんだけど いつのまにか泣いていた』
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…」
らしいんですよ(てかお前ポルナレフと友人だったのか?)。
まあ、ポルナレフの言うことは分かります。
私もしっかり泣きました。
この味に泣かない熊本県民はいませんから
(ポルナレフを熊本県民にするな)。
しかし、私は何をされたのか、何が起きたのかを解明しましたよ。
フッフッフ…。
それは個別の解説記事にて読んでくださいね(笑)。
『解き明かされる恵比須ラーメンの秘密!次週のジャンプを見逃すな!』(ジャンプ言うな)
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番屋(ばんや)2002年~創業22年
さて、ここで創業時期が一気にとんで、2000年代になりました。
これまた『東の千龍、西の番屋』と呼ばれるほど人気を誇る
番屋
ですね。
ちなみに『東の千龍、西の番屋』と呼ばれているのは
私の中だけなのですが(笑)。
玉名市の繁華街から西にずーっと外れた魚市場の中にあります。
ここでちょっと興味深いお話をしておきます。
玉名市ということだけで見れば、現存しているラーメン屋としては番屋の前に創業したお店は…
なんと大輪が最後!
その空白期間はなんと20年にもなります。
「え?大輪が出来た後はラーメン屋はまったくオープンしなかったってこと?」
と思うかもしれませんが…これが違うんです。
「空白の20年に一体何が起きたっていうんだ!?」
そう思ったあなたに解説しましょう。
実は、新しいラーメン屋がパタッとオープンしなくなったということではなく、
オープンしたラーメン屋が生き残れなかった
ということです。
ラーメン激戦区玉名ではそれほど生き残るのが大変ということだし、逆に2000年代にオープンしてこの2024年の現在にも続いている、ということはかなりの実力者だということを意味します。
だって出店した途端、40~60年ものキャリアを誇る老舗ラーメン屋たちと競い合うことになるわけですよ?
これは生き残るだけでも至難の業ですよ。
ましてや人気店にまで上り詰めるなんて、かなりの実力者である証拠ですよ。
そう、その実績が示す通りなんです。
番屋のラーメンは美味い…
実は番屋が出来た時期は、私は大学で山口に行ったまま8年ほど住んでまして、帰ってきたころには創業からもう5~6年が経ってたんですよ。
だからお恥ずかしながら、人に教えてもらって一緒に行ったんです。
「Simackyさん、昼はラーメンにします?いや、俺最近めっちゃ大好きなラーメン屋がありまして。玉名では一番うまいと思うんですよね」
「一番うまいって天琴・大輪は食ったことあんの?」
「いや、大輪はないっすけど、天琴はあります。ちょっと脂っこくて僕には合いませんでしたね~」
っていう得意先の営業マンとのやり取りがありまして。
「おいおいおいおい、あの大輪を食ったことない上に、天琴の旨さが分かんねぇだとぅ?まだ玉名ラーメンの「た」の字も知らない小僧っ子が、この俺様に玉名ラーメンを勧めるだと?こちとら8年間も玉名離れてたっつってもなぁ、玉名ラーメンの味に関しちゃあ一家言あるよ?」
みたいな気持ちで付いて行ったのを覚えてます。
だいぶ性格悪いね、うん、クソみたいだね、コイツ(15年以上前の自分ね)。
で、食べてみるとうんまいんですよ!
「お見逸れしました~!!!」
って謝りましたとも(一家言はどこいった)。
ただ、これは「玉名ラーメンとはちょっと違うな」と。
実は番屋の大将は久留米で修行されていたらしく、かなり久留米寄りの味だったんですね。
私は常々、久留米ラーメンと玉名ラーメンを区別するのは『ニンニクの有無』だと言っているのですが、正確に言うとダシに使うメインの豚骨も違うんじゃないかな?
ニンニクの有無は抜きにしても、スープの特徴が玉名のそれとは違うんですよね。
その後、営業周りで九州中のラーメンを食べ歩く私も、この頃はまだ久留米ラーメンも食べたことなかったので、今思えばこの番屋との出会いが久留米ラーメンとの出会いだったのかもしれません。
玉名に合わせてニンニクチップをテーブルには配置してますが、他にもごま、紅生姜、辛子高菜などなど、『福岡のラーメン屋』を連想させる調味料が並びます。
玉名ではこれらはまったく入ってこないので、かなり新鮮でしたね。
紅生姜なんて、彩りとしての用途以外に使い道はないんだと思ってましたから。
「え?これほんとにガチで食べるの?これって食べ物だったの?」
ぐらいの勢いですよ(笑)。
玉名では久留米系統の味は番屋、来々軒、大宝などが当てはまりますが、
久留米系統の味を出すお店は、実は紅生姜を置いている
という事実に気がついた今日このごろ(笑)。
考えてみると、博多・久留米系の調味料がここまで取り揃えられているのは番屋だけですね(来々軒・大宝にも紅生姜だけはあるけど)。
「そういや、ゴマも玉名ラーメンには入ってない!そういえば辛子高菜も置いてないよね!」
こうして番屋のラーメンを食べることで、玉名ラーメンのスタイルを逆に知るというか。
きくらげ入れるのも玉名ラーメンスタイルだったんだなって。
そしてネギは『小ネギ』じゃなくて『長ネギ』が表面の半分くらい覆ってて。
何から何まで玉名ラーメンと異質なんですよ。
でも、玉名ラーメンもルーツは久留米だから、共通点があるのはあるのですが。
ただ、やっぱり玉名ラーメンって「くっさいんだなぁ」って分かります。
番屋はそんなに臭くないですから。
頭にタオルがトレードマークの大将は寡黙に、そして超真剣な顔で麺を茹でているんですけど、頑固親父の先代たちが引退した現代において、今、もっとも職人気質なのが番屋の大将じゃないですかね?
余計な色気は出さない。
トッピングメニューも、味噌とか醤油とか、ちゃんぽん関係もなし。
ただひたすらに究極の一杯を追い求めている、といった感じ。
そんな番屋の『硬派ラーメン』!
これも絶対食べてもらわなきゃいけませんな。
で、食べる際の注意事項というか、アドバイスです。
『辛子高菜はスープに入れちゃ駄目!』
これやっちゃうと、もともとのスープの味が分かんなくなっちゃいます。
それくらい辛いので。
番屋の極上スープの旨味が分からなくなるのは、あまりにももったいない。
小皿に分けるか、御飯の上に乗せて食べながら、それをスープで流し込んじゃってくださいな。
これがまた堪らないっ!
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極ラーメン宙(きわめらーめんそら)2006年~創業18年
ずっと「きわみラーメン」と読んでましたが、正しくは「きわめ」みたいですね。
ここもかなり好きなんですよね。
それに近くに引っ越した直後にオープンした店で、最初の子供が小さい頃はよく家族で行ってたので、思い入れが特に強いです。
昔は熊本市に同じ名前(看板)の店を見てましたが、あれは2号店だったのかな?
ご存じの方いらっしゃればコメントでお願いします。
自身のホームページにも書かれているように、元和食料理人である大将が作るここの豚骨ラーメンは、玉名のものとは一風変わっていて、
非常に上品で繊細なのがポイント。
スープってのは濃かったり、脂こかったりしすぎると、ダシの風味を消してしまっているのだということを、私はこの店でおそわりました。
その秘密は豚骨ダシに魚介系のダシをブレンドしていること。
じっくり味わってください。
それぞれの持ち味が複雑に絡み合って、絶妙なハーモニーを奏でてます。
和食ですんごく美味しい吸い物を吸った時の、あの感動と言いますか。
まさか、豚骨スープを「上品だ」と感じる日が来るとは思いませんでしたよ(笑)。
ただ、玉名ラーメンのパンチを求めていくと肩透かしを食いますので、ここはそういうものだと思って行ったほうがいいと思います。
先程も言いましたように『場所』的には玉名ラーメンと呼びますが、『味』的には玉名ラーメンではありませんので。
玉名スタイルに合わせてニンニクチップはテーブルに置いてありますが、これはせっかくの出汁の風味を台無しにしてしまうので、入れないことをおすすめします。
っていうよりせっかく上品だったのがお下品になっちゃいます(笑)。
それから面白いのが、ここのメニューは2枚看板で、豚骨ラーメンと同等に醤油ラーメンも推していること。
っていうよりこっちが本命なんじゃないかってくらい、この醤油ラーメンが美味い。
スープは、もうここまで和風だとうどんか蕎麦かっていうレベルなんですが、トッピングもワカメが入ってるし、そこにレモンスライスがフレッシュな香りを加えてたまりません!
これだけ感動させてくれる2枚看板のラーメンを味あわせてくれて、価格は玉龍同様、
ラーメン1杯600円
なのですから、この奇跡を神に感謝しましょうね、皆さん。
断言しましょう。
玉名一の穴場ラーメン
です。
けど、穴場過ぎて、見たことあるけど行ったことない人はかなり多いハズ。
平日はお客さんが少ないためか、13時くらいにはもう店じまいしてる時もあるんですよ。
ロスを出さないために仕込む量を絞ってるんでしょうね。
土日はがっつりお客入ってますけどね。
ここは中王同様に、道を走ってて駐車場があるのか分かりづらいからな~。
ただここは中王と違って、ちゃんと奥にあります(斜面だから停めづらいけど)。
正面が3台、奥が3台くらいしかありません。
なのでここも砂利駐車場に停めてちょっと歩いてください(中王のところで書いた場所ね)。
ラーメンの味は優しいし、カウンターやテーブルだけじゃなく、かなり広めでゆったりできるフロア席もあるので、小さいお子さんを連れたママさんに非常に重宝されるお店。
うちも子どもが小さい頃はよく使ってたな~。
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麺屋いっぽう(めんやいっぽう)~2014年~創業10年
今年、ついに10周年を迎えた玉名で一番シャレオツな店です。
以前は玉名高校のすぐ近くにありましたが、お客さんが増えて手狭になって元玉名中央病院の近くに移転しました。
ここは何から何まで『玉名初ものづくし』です。
まず、店内はめちゃめちゃキレイで明るく、玉名ラーメンのくっさい雰囲気とまるで違います。
一瞬ファミレスに入ったのかと思います。
そしてなんと
注文はタブレットです。
らしくない、全然玉名ラーメンらしくない(笑)。
さらに外には行列客用の日除けネットが張ってあり、そこにはベンチまで並べる親切ぶり。
その行列客の眼の前にはドーンと
無人販売機
が鎮座してます。
ここいっぽうのラーメンをご自宅でも味わえる画期的なシステムで、お土産用のラーメンは数多くあれど、ここまでお店のラーメンをそのまま売ってるのは直売ならでは。
玉名ラーメンとしては大打撃とも思える『日曜休業日』を実現できているのも、この自販機が頑張ってくれるから可能というわけです。
そしてここからが本題なのですが、なんといってもいっぽうの『初もの』の真髄はそのメニューとシステムにあります。
豚骨ラーメンが看板メニューとしてあるのは当然なのですが、醤油も味噌も担々麺も辛麺もつけ麺もあります。
どれもただ品数増やすためにあるような商品ではなく、1品1品の全てがこだわりの力作。
極めつけはトマトチーズラーメンです。
特に「チーズ増し増し増し」にすると、でっかいチーズ板がドーンと乗っており、若い女子の感性を打ち抜きます。
言うまでもなくこの店は『大将のセンス抜群店舗』の1つで、ここの大将のこだわりぶりっちゃあ凄いですよ。
通常ラーメンの麺だけでなく、つけ麺用の麺まで自家製。
そして盛り付け方もインスタ映えするようなおしゃれな盛り付けしてきます。
さらに画期的なシステムとして替え玉ならぬ『変わり玉』があります。
これは替え玉する時に調味料や具材も付いてくるので、替え玉すると同時にスープの味まで変えることが出来るという画期的なシステムです。
このシステムを米にも応用して『変わり飯』としてリゾットにも出来ちゃうんだから、もうこのアイデアの豊富さには脱帽ものですよ。
こうした画期的なアイデアを取り入れたいっぽうを私はこう呼んでいます。
「玉名ラーメンの革命児」と。
そんな革命児いっぽうの数あるメニューの中から、私のおすすめするメニューは『トマトチーズラーメン増し増し増し』などではありませんよ?
そんなインスタ映えするかどうかで書いている記事と一緒にしないでいただきたい。
ここにきたら絶対
『トマト醤油ラーメン』
は一回食べといてください。
メニューの中での扱いがあまりにも地味で、「ここは誰も注文しないゾーン」みたいなとこに載ってるので、私の周りでもこれを食べたことある人いません(ちなみに私は全メニュー食べてます)。
けど、これは来々軒の『香油ラーメン』を発見した時ほどの衝撃でしたよ。
前例がないものをここまでのレベルに仕上げられるっていうのは、やっぱり大将のセンスが素晴らしいですよ。
『トマト+豚骨』は、正直あまり相性がいいとは思いません。
答えは『トマト+醤油』だったのです。
ぜひ一度ご賞味あれ!
それから、サイドメニューに至るまで、ここはなんでも美味いです。
軽く晩酌がてらにつまみを頼むなら、ここの唐揚げは食べておくべきですね。
はっきり言ってからあげ専門店が裸足で逃げ出す旨さですよ~。
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まる孔(まるこう)2015年~創業9年
大宝に続いて、またしても長洲町のラーメン屋を紹介しましょう。
この『まる孔』は玉名市501号線から荒尾市に向かっている途中の長洲町にあります。
501号線沿いなのでものすごく分かりやすいです。
だって他に遮るものがないんですもの(笑)。
左側にドラゴンボールの『亀ハウス』みたいなのが出てきますので、とてもラーメン屋には見えないのですが、とりあえず入ってみてください。
れっきとしたラーメン屋です。
四方に窓からの明かりが差し込む作りになってますので、そうですね、例えるならばビーチとかの観光地にありそうなカフェみたいな雰囲気してます。
とにかく明るくて開放的。
なんならオープンカフェやらテラス席もありそうな勢いです(それは汗だくだくになるでしょ)。
自然の大パノラマが窓から一望できます。
まあ、『大パノラマ』言うても
田んぼと雲仙
しか見えないのですが。
このまる孔は、雲龍軒と同じく、大将が実は女性です。
荒尾市にある人気ラーメン店『武蔵』で修行された方が創業されてます。
クチコミにはよく「武蔵の味だ」とか書いてあるのですが、私は共通点を感じることはあれども、そこまで武蔵に似ているとも思わないんですよね。
武蔵はもっと久留米よりの味だったと記憶してます。
このまる孔は、これまで紹介した大宝や案山子、恵比須と同様、玉名ラーメンの中心地からは遠方にあるため、やっぱり価格が比較的安い傾向にあります。
通常ラーメンが最近値上がりして
600円
になりました。
20年前の話?
今は、玉名ラーメンのどの店舗でも値上がりして800円に落ち着いてきた頃だというのに。
20周くらいの周回遅れです。
これまでの郡部ラーメンがあまりにも衝撃的な価格だったので感覚が麻痺していますが、今どき600円でも実は相当凄いんですけど(笑)。
しかし、この価格からすると本格的な一杯が出てくるので驚くと思います。
メニューはノーマルのラーメン、赤ラーメン、黒ラーメン、豚骨味噌ラーメンの4種類に、「まぜそば」などの季節限定メニューがあります。
さすがラーメン天国の玉名クオリティというか、やっぱり熊本の平均的なラーメン屋の味は軽く超えていて、全部がおいしいです。
誰もここのラーメンを食べて「まずい」とは言わないでしょう。
ただ、このお店、全てのクオリティが高くて、ど田舎のお店の割に『いじる要素』が全然ないので、あんまり注目される傾向にありません。
話題にも登らないし、恵比須みたいにマニアックな人にも注目されていないし。
優等生すぎるのかな(笑)。
ぶっとんだところがないというか、話題性がないというか。
ただ、冷静に食べ比べてみれば、ここのラーメンは玉名ラーメン四天王にも迫るほどのクオリティは十分あるんですよ。
だってここの黒ラーメンなんて、そのへんの熊本ラーメン食べるより、よっぽど洗練されているのですから。
こっちが本家本元じゃないかってくらい熊本ラーメンとしてのレベルが高いんですよ。
つまり何が言いたいかというと、
「ラーメンに人々が期待するものって味だけじゃないんだな」
ってことです。
話題とか、歴史とか、雰囲気だとか…ラーメンに付随する様々なストーリーごと楽しんでいるんだと思います。
なので、『玉名ラーメンというストーリー』に参加できていない、蚊帳の外であるまる孔は、そこに乗っかれていない分、ハンデを背負っているようなものです。
けどね、『玉名ラーメンというストーリー』ごと楽しんでいる観光客とかラーメンファンとか土日客とかは関係なく、『ラーメンを単に昼食として食べている人』にこそ、このまる孔の凄さは伝わっているんだと思いますよ。
玉名ラーメンの価格は都心部の価格、もしくは観光地の価格にほぼ並んできています。
そんなもんを毎日昼に食べてたら、財布に優しくないですよ(かく言う私がヒィヒィ言ってます)。
けどね、まる孔のラーメンは、肉体労働者が『弁当のヒライ』とかで済ませるのと変わらないくらいの価格帯で、これほどのラーメンを食べさせてくれるんですよ?
ヒライの『山ちゃんラーメン』(580円)を食べて昼を済ませていた建設業のおっちゃんが、まる孔でラーメン600円を食べたら、満足度では比較にならないと思います。
つまり、このまる孔はね、
玉名ラーメンのお店たちとは勝負している土俵が違う
ってことを言いたいんです。
もしこの記事を読んでいるあなたが、
「仕事上、外食で済ませることが多い」
という方であれば、このまる孔は最強の力を発揮しますので、ぜひ行ってみてください。
もう、いっそのこと名付けちゃいましょう。
『建設男子キラーのまる孔』と。
(いや、実際はそんなに建設業の人ばっかじゃないよ:笑)。
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麺の小やま(めんのおやま)2015年~創業9年
近年オープンしたお店としては破格の人気で、玉名ラーメンのパワーバランスを一気に崩した、いや、玉名ラーメンに下剋上(げこくじょう)時代を到来させた風雲児をご紹介しましょう!
麺の小やま
です。
ここはねぇ、もう始めっから実力派の匂いがプンプンしてました。
『白』『黒』『金』『赤』の4つのラーメンをどれも同列で推す
『4枚看板』というやり方は斬新でしたね。
それは頑固職人のように、豚骨一本勝負をしている玉名ラーメンのお店たちとは一線を画してます。
けれどもこの4つのラーメンが全て本格派で、料理人の魂のこもった一品一品なのだから説得力が抜群なんですよね。
それに丼の形から、麺の盛り付け方に至るまで全てに
卓越した美意識
が感じられます。
私が勝手に名付けた『大将のセンス抜群3店舗』の最後のお店がここなんですよ。
和食の創作料理を追求している人みたいなセンスって言えばいいですかね?
明らかに
『ラーメンしか作れない人が生み出せる味じゃない』
って分かります。
極ラーメン宙の大将のように、料亭で修行した人なんじゃないかな?
安直に『濃厚こってり』なラーメンを良しとする時代の風潮とは真逆のラーメンたちです。
そのため女性客が多い。
小やまはテーブル席がなく、カウンターのみのお店なのにですよ?
これってすごいことですよ。
4枚看板とは言えども、見た感じ9割くらいの注文が集中しているのは『白のラーメン』と『金のラーメン』です。
まあ、この2品は感動するのでぜひ食べてみてください。
鶏ガラからダシを取っている黄金スープが本当に美しい『金のラーメン』。
これは断言しますが、
豚骨でないラーメンとしては玉名でこれほど人気が出た前例はない
です。
どこのお店も味噌とか醤油とかあっても、注文している人は1割にも満たないと思います。
でもここ小やまでは半数以上のお客が『金のラーメン』を注文しているイメージなので。
それから、『金のラーメン』に使った鶏ガラの二番ダシに豚骨をブレンドした優しい味わいの『白ラーメン』。
これが『金のラーメン』の次に多く注文されてますね。
優しくまろやかで、旨味が複雑なんですよ。
多分、このスープが5人前の土鍋で波々と提供されても私は飲み干せるでしょうね(笑)。
もう、ずっと飲んでたいもん。
この繊細な豚骨ラーメンという意味では、極ラーメンの『宙豚骨』と小やまの『白ラーメン』が玉名のトップ2かな。
もちろん、どちらもいわゆる典型的な玉名ラーメンの味とは全然違いますが、これはそんなん関係なく美味いラーメンとして敬意を払いたいです。
ただ、ここまで紹介しておきながら誠に申し訳ないのですが…。
残念なことに、2024年の10月からリニューアルし、
ここを切り盛りしてきた大将ら夫婦がいなくなっちゃった。
メニューも以前のままやってるくらいだから、一応、作り方とかの引き継ぎはやった上でリニューアルしたんでしょうが、ここのラーメンはあの大将のセンスあってのものだと思うので、私が感動したあの味がどこまで維持できるのかは心配ですね。
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味噌の恵み壱 2024年創業~
さて最後にご紹介するのは2024年3月にオープンしたてホヤホヤの
味噌の恵み壱
です。
さあ、ついにこんな時代がきましたよ。
あの玉名に味噌ラーメン専門店が開店する日が来ました!
「む、無謀では?」
と思うでしょ?
かつてラーメンに命をかけたどれだけの漢(おとこ)たちがこの地に散っていったことか…。
そんな地で、豚骨で勝負するならまだしも『味噌』だと?
それは自殺行為だ…。
怖くないのか?
し…死ぬんだぞ?(死にはしないでしょう)
壱の大将「フフフ、人間の偉大さは『恐怖に耐える誇り高き姿にある』。ギリシアの史家ブルタコスの言葉だ」
ジョジョ「やめろ!話はまだ半分だぜ~!!!シュトロハイム~!!!」
シュトロハイムは今、一切関係ねぇだろ。
いや、壱の大将ってシュトロハイムだったの?
どんな設定?
というジョジョネタでのお遊びはここまでにして(笑)。
この『恐怖に耐える誇り高き姿にある』ことこそ、味噌の恵み壱の心意気だという話をしとるんですよ。
ただね、
まんざら勝機がない挑戦というわけでもない
と思うんですよ。
なぜなら、2000年代にオープンして、現在人気店にまで上り詰めた麺屋いっぽう・麺の小やまは
玉名ラーメンを売りにしていないからです。
いっぽうはトマトラーメンなどの多彩なメニュー、小やまは鶏ガラベースのラーメンを、それぞれ売りにしている。
「ひょっとすると、ちょっと変わったラーメンの方がウケるのかも?」
とか考えたりします。
というより、『玉名ラーメンの味を出す店』はとっくに
飽和状態なのではないのかな、と。
『玉名ラーメンの定義』のところで語った『玉名ラーメンらしい味を食べれるお店』は9店舗もあります。
そこで間に合ってるから
「あ、それ系統の味なら、こっちの店がお気に入りだから別にいいや」
となるのかな。
そう考えると思い当たる節が合って、近年出店しては消えていったお店は
まともに玉名ラーメンの味で勝負していた
ように思います。
中にはかなり美味しい店もあったんですよ。
かなり美味しい上に、価格は老舗店舗の下をくぐってたから、私はわりとそういう店に通っていた方だと思います。
でも、やっぱり続かないということは、『求められていない』…、そういういことなんじゃないかな?
っていうことは、活路はむしろ『玉名ラーメン以外の味』にこそあったのかもしれません。
ま、まさか大将、そこまで考えてたのか?
とてもシュトロハイムとは思えません(しつこい)。
「これはひょっとしてひょっとするのではないかな?」
と期待でワクワクしてしてる自分がいます。
それじゃあ、肝心のお味の方はと言うと…
美味いんですよ。
正直言いますと、玉名ラーメン馬鹿の私が、味噌ラーメンのウンチクを語れるほど、有名店の味噌ラーメンを食べつけているわけもありませんが、ラーメンとして美味いかどうかぐらいは分かります。
田所商店(味噌ラーメンの大手チェーン)のように、味噌のこだわりとかウンチクがやたら饒舌(じょうぜつ)に語られているような上手さはありませんが、ちゃんと美味い味噌ラーメンを堅実に出されていると感じました。
チャーシュー乗ってないから、第一印象は
「そっけなさっ!」って感じるんですけど(笑)。
私はラーメンは麺とスープが全てだと思ってる派なので大して気にはなりません。
それが気になるなら天琴には通ってませんから(天琴はチャーシューも海苔も小っちゃいんだもん:笑)。
ぜひ、ここの味噌ラーメンを食べてみてください。
地味だけど美味いんですよ。
頑張れ!シュトロハイム!(最後までそれ言うか?)
あとがき
いや~、私って玉名ラーメンこんなに好きだったんだな(笑)。
自覚はありましたが、ここまでとは。
その総文字数なんと!
36000字。
かつて玉名ラーメンをここまで長々と語ったものはなかったのでは?
さらに、各店の個別紹介記事が5000~10000文字もあり、それが20記事近くもあるんですよ?
とんでもないボリュームです。
どんだけ玉名ラーメン好きなんだ…。
そりゃ好きにもなりますよ。
だって、玉名って
ラーメン屋以外に選択肢がほとんどないんだもん(笑)
『金がない若い頃に、友達にタバコをもらってたら、そのタバコの銘柄しか吸えなくなった』
みたいな感じ?
まあでも、こんなに美味いラーメンに囲まれて私は幸せです。
欲を言えばもっと
カレー屋が増えてくれないかな~。
(ここまで書いといて身も蓋もない)
さて、創業順に17店舗をズラーっと語ってきましたがいかがだったでしょうか?
この記事を読んだ本日、めでたくあなたは
『玉名ラーメンマスター』になりました。
テレレテッテッテッテ~!
防御系スキル『天琴の接客に動揺しない』『大宝でラーメンを2杯頼んでも財布は傷まない』や、攻撃系スキル『いっぽうであえてトマト醤油ラーメンを攻める』『案山子でカウンターに隠してあるニンニクチップを頼む』などなど、数々の強力なスキルがあなたには備わっているはずですよ。
堂々と
「俺、玉名ラーメンに関しては結構詳しいよ」
とお友達に自慢できます。
中王・極ラーメン宙・いっぽうの駐車場はどこを使うんでしたっけ?
『王道の玉名ラーメン』が食べたかったらどこに行って、どこに行くべきじゃないんでしたっけ?
もうあなたは全て分かってるはずです!
さあ、行くんです!
ここの美味いラーメンたちは、あなたの来訪を心待ちにしているのですから!
じゃ、私はスリランカカレーのわさんたらんかに行ってきますね!
それではまた!