【LUNA SEAの名盤/おすすめアルバムはどれだ!?】オリジナル全10作品をまとめてレビュー
この記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日はLUNA SEAのオリジナル・アルバム全10作品をリリース順に解説していき、最後に最高傑作と私の個人的推しアルバムを発表したいと思います。
各アルバム解説ごとに私のアルバム個別解説へのリンクとアマゾンレビューを貼っておきますので、気になった作品はどんどん深掘りしていってくださいね。
さて、まずはこの全アルバム解説シリーズのいつもの流れとして、まずはLUNA SEAをよく知らない方のために「LUNA SEAとはなんぞや?」から語っていきますよ。
それでは皆さん気合を入れましょう。
「テメェらかかってこぉいっ!!!」
「ジャンジャン!」
「かかってこぉい!」
「ジャンジャン!」
「かかってこぉい!」
「ジャンジャン」
- LUNA SEAの歴史
- LUNA SEAの音楽的特徴
- 1.『LUNA SEA』1991年リリース
- 2.『IMAGE』1992年リリース
- 3.『EDEN』1993年リリース
- 4.『MOTHER』1994年リリース
- 5.『STYLE』1996年リリース
- 6.『SHINE』1998年リリース
- 7.『LUNACY』2000年リリース
- 8.『A WILL』2013年リリース
- 9.『LUV』2017年リリース
- 10.『CROSS』2019年リリース
- 番外編1.『LUNA SEA』セルフカバー 2011年リリース
- 番外編2.『another side of SINGLES II』2002年リリース
- 私の思う最高傑作と推しアルバムを紹介
LUNA SEAの歴史
LUNA SEAは神奈川県出身の5人が1989年に結成したヴィジュアル系の元祖バンドです。
インディーズでのファーストアルバムは1991年になり、XのYOSHIKIが経営するエクスタシーレコードよりリリースします。
そのため『Xの弟分』と呼ばれていたのですが、本当に弟のようにがっつり仲がよく、特にhideは遊び友達としても、そして音楽制作としても関わっていますね。
ラジオでもhideとメンバーが喋っているのが結構見つかりますので探してみてください。
後の話ですが、ギターのSUGIZOが亡きhideの代りにXに加入するのはこういう背景があったからです。
しかし、弟分とはいっても音楽性はXと全く違い、ヘヴィメタルの要素は殆どなく、パンク・ニューウェイブ・ゴシックなどから影響を受けた独特でダークな世界観を持っていました。
そして1992年に2作目『IMAGE』にてメジャーデビュー。
翌年には3作目『EDEN』も発表しますが、コアなファンを水面下で掴みながらもまだまだ世間一般的な認知度は低く、マニアックな存在でした。
しかし4作目『MOTHER』ではシングルヒットも手伝い、ついに大ブレイクを果たします。
この瞬間からいわゆるヴィジュアル系ムーブメントが勃発します。
後に2000年代に入り『V系』として世界中から注目を集める日本の独自シーンの原点は、このLUNA SEAのブレイクに端を発するといっても過言ではありません。
テレビでは引っ張りだこで、当時は『美形集団LUNA SEA』とか言われていましたっけ(笑)。
ダークで耽美的な世界観だったLUNA SEAが、もっと骨太なハードロックに接近した『MORHER』は非常に完成度が高く、ヴィジュアル系というカテゴリーを抜きにして日本ロックシーンにおける歴史的名盤と言えるでしょう。
名実ともに一流バンドの仲間入りを果たしたLUNA SEAの人気は爆発し、日本武道館、東京ドームでの公演を次々と成功させ、次作『STYLE』をリリースする頃にはその人気と地位は確固たるものになったように見えました。
しかし、あまりに売れっ子になりすぎてしまった彼らの忙しさはメンバー間の精神的余裕を奪い、軋轢(あつれき)を生み始めます。
もともとリーダーが存在しないLUNA SEAは、それぞれのメンバーが個性的で我が強く、そのバラバラの個性がぶつかり合って生み出される複雑な音楽が持ち味でした。
メンバーの人間関係が良好であれば、ぶつかりあいながらも素晴らしい曲を生み出せるのですが、ギクシャクしてくると音楽的な衝突が人間関係の悪化に拍車をかけてしまうんですね。
このメンバーの衝突を回避しようとしたのか?
1997年は活動を停止し各メンバーのソロ活動に当てました。
しかし、ここでボーカルのRYUICHIがソロ歌手/河村隆一として大ブレイク。
ソロで発表した1stアルバムは、2023年現在に至るまで塗り替えられることのない『男性ソロアーティスト過去最高売上』(約300万枚)を記録します。
このことにより、LUNA SEAとしての活動休止明けリリース6作目『SHINE』では、RYUICHIのボーカルがソロでラブバラードを歌うような甘ったるいくせのある歌い方に変わってしまったため、多くのファンから批判を浴びます。
「それはロックじゃねぇだろ!」と。
LUNA SEA史上最高の売上である90万枚を記録したヒット作『SHINE』は、同時に多くのファンを失ってしまう作品になってしまったんですね。
そういったRYUICHIのボーカルスタイルの変化は、メンバー間の不仲にさらに拍車をかけてしまったんでしょうか?
2000年リリース7作目『LUNACY』は、後輩であるGLAYやL’Arc~en~Cielが200万枚セールスを連発している時期に30万枚足らずのセールスとなり撃沈。
もともと1年ほど前から解散を話し合っており、このアルバムをリリースして数カ月後に終幕を発表します。
そこからは長い長いソロ活動期に入ります。
誰も可能性を口にしなかった再結成が動いたのは2007年。
『一夜限りの復活』としてライブを開催。
さらに翌年は『hideメモリアルサミット』にもLUNA SEAとして参加。
再結成の期待は高まりますが、ここからさらに2年が経過した2010年。
ついに記者会見にて再結成を発表すると同時に、なんといきなりワールドツアーを行いファンを喜ばせてくれます。
ここから2011年に1作目『LUNA SEA』をセルフカバーしリリース、2013年には通算8作目となる再結成後に初の新作アルバム『A WILL』をリリース。
これが凄い作品だった…。
長年待ちわびたファンの度肝を抜くようなクオリティの高さ、LUNA SEAらしさでもって完全復活を成し遂げます。
そして2017年に9作目『LUV』ではこれまでのLUNA SEAになかったほどのポップな華やかさを見せたり、2019年10作目『CROSS』では初めて外部プロデューサーを迎えたりしながら順風満帆に活動をしています。
最新作『CROSS』から今年2023年の現在で4年近く経ってますので、もうそろそろ新作が期待される時期になってきたといえるでしょう!
LUNA SEAの音楽的特徴
あんなファッションだし、『Xの弟分』っていう先入観から勘違いする人もいるかも知れませんが、ヘヴィメタルバンドではありません。
彼らの音楽性の特徴は、メインソングライターであるJ、SUGIZOの音楽的特徴から構成されます。
そこに第3のソングライターであるINORANの特徴が要所要所で大きく貢献している感じですかね。
Jの持つヒットメーカーとしてのポップさ、そしてストレートでワイルドな骨太ハードロックの要素。
SUGIZOのゴシック・ロックやニューウェイブ、前衛音楽、クラシックの要素。
INORANの持つ先鋭的なロックの要素やアコースティックのセンス。
彼らが原曲として持ち込んだものを土台としてジャムセッションを行いながら、各メンバーのオリジナリティをこれでもかと詰め込んでいくスタイルです。
よって作曲者のクレジットは全て『LUNA SEA』となり、印税も平等に分けるというかなり変わったバンドなんです。
さらに「大人の人たちが信用できないから」という理由でプロデューサーもつけずに自分たちでやる、と。
右も左も分からない1作目の頃からですよ?
子供か(笑)。
普通はこんなやりかたは収集つかないと思うのですが、それが成り立っているのがLUNA SEAというバンドの希少性ですね。
そういうバンドなだけに、いつ喧嘩別れしてもおかしくないはずなんですが、音楽的衝突を人間関係にまで発展させるような子供ではないということなのでしょうか?
まあ、「仲は別段良くはない」とメンバーが口をそろえていますが(笑)。
それでも1989年結成から2000年まで一旦は続いたのですから、人間ができた人たちなんじゃないかな~。
それぞれのメンバーが非常に能力が高いため、いつでもピンでやっていけるバンドとも言えますが、各メンバーのソロでの作品はLUNA SEAの作品の持つ奇跡的な完成度にまでは達していないと感じるので、やはり5人が集まったときだけに起きる化学反応というものが間違いなくあるのでしょうね。
はい、基礎知識を叩き込んだところで全10作のオリジナルフルアルバムを解説していきましょうか。
あと、それに加えて「これだけは抑えておきたい」重要な作品を最後に2作品追加してますのでこれも重要ですよ。
1.『LUNA SEA』1991年リリース
記念すべき1作目にして驚異的な出来を誇るデビュー作です。
若いから当然なのかも知れませんが、もっとも攻撃的な作風でハードコア色が強いですね。
まあ、バカっ速。
「こんなの今の真矢叩けるの?」
っていうナンバーもあります。
あんまり代表作には挙げられることがないアルバムですが、代表曲揃いなんですよ実は。
『PRECIOUS』『MOON』『TIME IS DEAD』『BLUE TRANSPARENCY』『FATE』『SHADE』
っておいおい、どんだけ(笑)。
レコーディングの仕方もよく分かっていないのにプロデュースを自分たちで行った結果、スカスカなサウンドに仕上がっていますが、それが逆に良かったりもします。
まあ、ライブの定番にこれだけの楽曲が残っていくってことは、原曲の持つパワーがいかに凄かったのかということの証明です。
しかもファンクラブの名前にもなった、これまたライブの定番曲『SLAVE』はこの頃から存在したにも関わらず、収録されていないという層の厚さ(笑)。
You Tubeでライブハウス時代の映像を探してみてください。
その演奏能力の高さに度肝を抜かれますから。
『CHESS』とか速すぎて何やってっか分かんないくらい激しいですよ。
ちなみに後にヴィジュアル系でGLAYと並びもっとも商業的成功を収めるL’Arc~en~Cielも、この時代にLUNA SEAの楽曲のカヴァーをやったりしていたみたいなので、同世代、そして後進のインディバンドたちに与えた影響の大きさが伺い知れますね。
アンダーグラウンドの匂いが強烈な割には非常に聴きやすく、男の子であれば胸が熱くなる作品ですよ。
2.『IMAGE』1992年リリース
メジャーデビュー作となる2作目です。
サウンドが洗練されていることもあるのですが、楽曲の練り上げ方が異常というか、こだわるにもほどがあります(笑)。
「これはやりすぎ」ってことで、次作では逆にスッカスカサウンドになるのですが、このマニアックなまでの凝り方がやっぱり大好きなんですよね。
世界観の完成度で言えば全カタログ中でもトップクラスで、絵本の世界の中に入り込んでいくような感じ。
ジャケットの絵と音楽の持つ雰囲気がマッチしているからこそですね。
そのあたりはSUGIZOのセンスに頭が下がります。
とにかくダークでゴス色が強いのですが、対比的に美しさが際立つんですよ。
前作から出ていたSUGIZOのロングトーンギターソロとバイオリンという耽美的な側面が特濃級に出ているのですが、INORANのアコースティックも負けないほどの個性を放っていてすごい。
それがタイトルナンバー『IMAGE』に結晶化されていて、これ私がLUNA SEAで一番好きな曲です。
それからこのアルバムはRYUICHIのボーカルが最も低い音域を歌っているんじゃないかな。
この頃の低音の魅力はこの頃しか味わえません。
っていうかこの頃のRYUICHIのボーカルが好きな人は『SHINE』以降のRYUICHIのボーカルの変化に一番抵抗感があるかも知れません。
何を隠そう、私がそうでしたから(笑)。
個人的には一番好きなアルバムで、もっともっと評価されて然るべきだと思うのですが、ダークでマニアックだから万人受けはしないでしょう。
にも関わらず、アルバムのラストはLUNA SEAライブの不動のラストナンバーである『WISH』で締めるので、なんだか不思議なアルバムですよね。
3.『EDEN』1993年リリース
3作目となる『EDEN』は思いっきりポップに振りました。
前作と真逆でダークさがピタッとなくなるので、当時の私は目が点になったのですが、特にファンから非難を浴びた作品にはならなかったのが不思議です。
鳴り物入りでデビューしたのに『IMAGE』のセールスに対しレコード会社からクレームが来たのか?
彼らは初めて『売れる曲』を作る苦しみを味わいます。
メイン作曲者のJは慣れない作曲作業にノイローゼになり、失踪し、一人旅に出ます。
どんだけ?
しかし、ここでの苦しみが次作『MOTHER』での大ブレイクに繋がることを思えば、通過儀礼だったのでしょう。
本作はマニアックに凝った作風ではなく、すごくシンプルでストレートに聞かせている側面が強いです。
ダークさはなくなっても、耽美的なゴス要素や幻想的な雰囲気が相変わらずで、まぎれもなくLUNA SEAではあります。
しかし前作が大好きな私としてはなかなか好きになるまでに時間がかかった作品です。
『BELIEVE』や『IN MY DREAM』はポップすぎで抵抗あったな~。
ただ、ストレートなハードロックである『JEASUS』、疾走感がありリフがかっこいい『ANUBIS』だけはかなり好きでしたね。
4.『MOTHER』1994年リリース
4作目にしてLUNA SEAが覚醒しました。
彼らの出世作であり、日本ロックシーンの歴史的名盤と呼んでもいいほどの傑作です。
本作でLUNA SEAを知ったという人も多いでしょう。
音楽的実力は十分にありながらも、一般大衆へのチューニングを行っていなかった彼らが、前作の経験を踏まえてメジャーバンドらしい作品を出してきた、といったところでしょうか。
本作のブレイクにより、時代はヴィジュアル系ムーブメント全盛期へと入っていきます。
日本の音楽シーンに与えた影響は非常に大きく、ヴィジュアル系専門の音楽雑誌が明らかに本屋で増えましたし、私の周りでLUNA SEAの影響でバンドを始める人も多かったな~。
ロックなんか普段聞かない女の子なんかがLUNA SEAを入り口にロックに入門したことでしょう。
かくいう私も彼らの音楽雑誌でのインタビューを読んで、彼らが影響を受けたと語るアーティストを片っ端から買い揃えていったものです。
音楽的内容としては、メンバーの個性がかなり高次元で融合しており、どのパートも魅力的でかっこよすぎ。
私は当時ドラマーを目指していたのですが、本気でベースに転向しようか悩んだし、でもギターも捨てがたいしってなりましたね(笑)。
オープニングの『LOVELESS』からして各メンバーの個性の結晶ですから。
こんなに完璧なオープニング曲は滅多にお目にかかれません。
また本作から骨太なハードロック要素を音楽的な支柱とするようになり、非常に『男』を感じさせる作風になったというか。
Jが前作の産みの苦しみの中から開眼して生み出した代表曲の『ROSIER』、前作では鳴りを潜めたスピードナンバーが最新版LUNA SEAとして復活した『IN FUTURE』などにその『男っぽさ』が感じられます。
本作の時期からファッション的にもそれまでのゴスファッションから、メンバーそれぞれの個性を出したファッションになり、RYUICHIは短髪のイケメン、Jはアメリカンなワイルドさ、SUGIZOはシックな黒レザーに真っ赤な赤髪といった具合にバラバラ。
一人一人が一流ミュージシャンとして認知されていきます。
5.『STYLE』1996年リリース
飛ぶ鳥を落とす勢いの中で放った5作目。
『MOTHER』にまったく引けを取らない傑作を生み出しました。
基本的なフォーマットは前作を踏襲している感じがありますが、前作より実験的要素が高く、またダークな側面もあるため、ぱっと聴きはとっつきにくいと感じる人もいるでしょうが、じわじわ好きになります。
そのため長い目で見ると意外に『MOTHER』より聴いている回数が多くなってたりします(笑)。
LUNA SEA全盛期を象徴するアルバムで、レビューをたくさん読んだ印象としては、おそらく最高傑作と呼ばれることが2番目に多い作品でしょうね。
私は最高傑作は前作だと思いますが、個人的にはこっちが好きです。
前作と真反対のオープニングナンバー『WITH LOVE』では見たことも聴いたこともないLUNA SEAなので、びっくりすると思いますが、これがまた病み付きになるんですよ。
ヒットシングルを後半に固めているところなんか、自信の現れで#8『END OF SORROW』#9『DESIRE』#10『IN SILENCE』の3連発は圧巻!
しかし何と言っても本作のハイライトは名曲#5『FOREVER & EVER』でしょう。
いかにも名曲然としたインパクトこそないものの、非常に優しく包容力を感じる曲で、最初の頃こそなんとも思わない曲だったのですが、一度良さに気がつくと癒やされながら泣かされます。
いわゆる『LUNA SEAらしさ』が語られる場合、『MOTHER』と本作の音楽性を指すことが多いのですが、その理由として本作が『それまでのファンが好きだったRYUICHIの歌い方で作った最後のアルバム』であることも挙げられるでしょう。
6.『SHINE』1998年リリース
通算6作目となる本作はLUNA SEA史上最大のヒット作でありながら、大問題作となってしましました。
理由は先述したボーカルRYUICHIの『河村隆一化』ですね。
実際に当時ここでLUNA SEAから離れてしまった人は多く、私自身も、そして私の周りのバンドマンたちも結構離れましたね。
これは詳細レビューでも再評価をしているのですが、『駄作』のレッテルを貼られるにはもったいなさすぎる作品だと今では認識しています。
確かにRYUICHIの変節は当時かなりショッキングではありましたが、その後のセルフカバー『LUNASEA』、7作目『LUNACY』から10作目『CROSS』までのキャリアを通して変節していくRYUICHIのスタイルを聴き終えてから、あらためて聴くと
「ああ、RYUICHIはああいうスタイルを確立したくてこうした歌い方を始めたばかりだったのか」
っていうのがなんとなく分かります。
単純にソロでバカ売れしたから安易にそのままのスタイルでやっているわけではなく、我々ファンとは違う終着点を見ていたんだな、と。
残念ながら、本作ではそのRYUICHIのイメージするスタイルと楽曲が完全には噛み合っていないし、前作からの変化ということもあり、多くのファンに受け入れてもらえなかっただけで、次作『LUNACY』からは新しいスタイルだからこそ表現できるものを生み出しています。
ものすごくヒンシュクを買うことを覚悟して例えると、最初は「なよなよしたちゃらいボーカルスタイル」と感じていたものが、ブランキー・ジェット・シティの浅井健一のようなスタイルに感じ始めるというか。
今ではこのRYUICHIの歌唱スタイルが妙にパンキッシュに感じているんですよね。
下手すると『STYLE』以前の歌唱スタイルよりも好きかもしれないです。
なので、以前一度LUNA SEAから離れたことがある人はあらためて聞いていただきたいですね。
まあ、RYUICHIのことばかり話してきましたが、楽曲としては相変わらずクオリティ高いです。
LUNA SEA最大のヒットシングル『STORM』は文句なしにかっこいいし、『I for You』も最初は河村ソロを想起させますが実はすごい名曲。
しかし、アルバム収録曲数とトータルタイムが長すぎたために、後半はダレます。
レビューでも不評だったのは#9~11までの3曲で、この3曲がなければ名盤と呼ばれていたんじゃないかな~。
7.『LUNACY』2000年リリース
7作目である本作がラストアルバムとなりました(一旦はですね)。
『SHINE』のリリースと全国をくまなく回ったツアー33公演で、メンバーの不仲はピークに達してしまいました。
そんな中であえて合宿を組んで新作制作に望んだ彼らは偉いです。
しかし、制作を行いながら同時並行で「LUNA SEAを継続するか否か?」も話し合われており、本人たちも最後のアルバムになるであろうことを考えながら制作した作品になりました。
最後に最高の作品を生み出したいという意思が働いたのか?
なんと期間無制限のレコーディングを決め、結果的にトータル1年くらいかけて妥協なく作り上げています。
セールス的には失敗に終わったと先述しましたが、実はこういう背景を持っているため、過去に比類がないほどのクオリティに仕上がっており、ファンの中では最高傑作と呼ぶ声がかなり多いのですが、多くの離れていったファンたちや一般リスナーには、本作が傑作だという認識はあまり浸透していないでしょうね。
前作からの先入観や、1曲目『Be Awake』の印象が強いため、わりとパッと聴きでは
「おいおいRYUICHIはまだこれでいくのかよ?」
と感じると思いますが、聴き込むと『SHINE』の頃よりバリエーションや表現の幅が広がっていたり、ボーカルエフェクトを駆使したりと、かなり進化していることに気がつけるはずです。
曲のバリエーションが豊富でバラバラのため、ベスト盤の様相を呈していますが、個々の楽曲のクオリティでねじ伏せてきます。
ファンから『LUNASEA最高の曲』という声も上がる『Gravity』、10分近いプログレ風な大作『Virgin Mary』、LUNASEA流ロックの到達点である『Tonight』、そして長い旅の終わりを告げるかのような『Crazy About you』。
捨て曲一切なしのアルバムです。
このアルバムは必ず聞くことをおすすめします。
内部事情はガタガタだったとは言え、このクオリティで作れるっていうのは、音楽的には全盛期だったことを証明しています。
ここから10年空けるのはあまりにももったいなかったと、今更ながらに思わせてくれる傑作アルバムですよ。
8.『A WILL』2013年リリース
8作目は13年ぶりの新作になります。
再結成からここまでに『LUNASEA』のセルフカバーや、20分超えの大作シングル『THE ONE -crash to create-』、配信限定シングル『プロミス』などもありましたが、オリジナルフルアルバムとしてはかなりの久々になりました。
ファンが想像しているよりも遥かに上を超えてきました。
レビューは大絶賛の嵐でしたね。
よもやここまでのクオリティとアグレッシブさでくるとは。
CD全盛時代であればミリオンセラーになってもまったくおかしくないほどの『全カタログ中屈指の名盤』だと言うのに、2010年代にリリースされても目立たないんだよな~。
レビュー評価は高くても、それでもまだ過小評価されすぎだと思ってます。
『MOTHER』『STYLE』と並んで代表作と呼ばれるべきアルバムですね。
とにかく若いです。
ザ・LUNASEAが感じられる『Rouge』『The end of the dream』には血液が沸騰しますし、『Metamorphosis』で見せるまさかのメタル魂にはワクワクさせられます。
真矢がツーバス踏んだり、SUGIZOがメタルみたいな速弾きしたりとかなり新鮮です。
SUGIZOがXに加入して「実は自分がメタル好きだった」ことを思い出したことも影響しているのでしょう(笑)。
RYUICHIのボーカルスタイルがかつての河村隆一からまたさらに変化しており、本作からは戦隊モノ、もしくはアニメソングっぽい歌い方になります。
がっつり効きすぎたヴィブラートには、新たに拒否反応を示す人が出る気も…。
「それは『ズンドコ~!』って言ってないだけで、もはや氷川きよしでは?」
とか思ったり思わなかったり(笑)。
アニソンっぽさとメタルが組み合わさった瞬間なんて、陰陽座か和楽器バンドかって感じるかもです。
誤解のないように言っておきますが、私はこのボーカルスタイル大好きですよ。
それから本作以降の作品は、メンバーの個性よりも『歌モノ感』を重視しているようにも感じます。
特に顕著なのがJで、あの低音でグイグイ引っ張ったり、ギターに対しカウンターメロディを入れたりといったスタイルは完全に鳴りを潜めますね。
メンバーのプレイヤーとしての個性を重視する人にとっては少し寂しいかもですが、純粋にそういうこと抜きで楽しめるアルバムだとは思います。
9.『LUV』2017年リリース
意外にも4年ものスパンが空いての9作目。
『SHINE』以来にレビューが荒れました(笑)。
50歳も目前に迫ってリリースする作品でこうまで物議を醸すなんてすごいですよ。
特筆すべきが、若いロックリスナーや楽器のプレイヤーが喧々囂々(けんけんごうごう)の議論をしていたことです。
おそらくまだ20代と思われるような若者が
「こんなのオレが大好きになったLUNA SEAじゃない!」
とかって言ってるんですよ?
いや~嬉しいじゃあありませんか。
つまり、2017年に至ってもLUNASEAは現在進行系で若いファンを開拓しているということが何よりも驚きです。
やっぱりね、ロックは賛否両論なきゃだめですよ。
皆に「いいアルバムだねぇ」なんて言われる当たり障りのない作品なんて、大したパワーを持ってないんです。
そんな作品は本当の意味では誰の心にも深く刺さってなんていません。
一部の若者にはその手にギターを握らせるほど影響与えて、一部では批評家からボロッカスに酷評される…
それこそが本来のロックのあるべき姿じゃあありませんか。
そうでしょう皆さん!
まあ、作風としては
ロックと真逆の方向に行き過ぎたから
物議を醸しているんですが(笑)。
『LUNASEA』のセルフカバーや前作『A WILL』は、『それまでの』LUNASEAへの原点回帰であったのに対し、今作は新しい『これからの』LUNASEAを目指して作られた、といったところでしょうか。
なのですごく自由だと感じました。
びっくりする人は多いんじゃないかな?
オープニングの光に満ち満ちた雰囲気もすごいですけど、#3『誓い文』なんてサザンのシングル曲が始まったのかとさえ思いますから。
「え?まさか桑田さんご本人登場!?」
みたいな。
ちゃんとRYUICHIが歌いだした時になぜかほっとするという(笑)。
他にも驚くのは、#8「Ride the Beat~」はまるでクラブミュージックのようなインストナンバーだし、#6「Miss Moonlight」はスラムダンクの主題歌のような雰囲気だし。
バンドサウンドのアグレッシブさが前作に比べ弱くなったため、ロックから離れてしまったように感じるファンの気持ちは分かります。
けれど本作は「LUNA SEAの音楽としての許容範囲」を思いっきり広げた作品ではあります。
これまで「LUNA SEAでこれをやっちゃアウトでしょう」となっていた範囲に踏み込んでますので、意外性はピカイチ。
裏切られることを喜びに感じる『度量のある人』は聴いてください、とあえて挑発しときます(笑)。
何も考えないで聴くと実はいい曲ばかりだし、LUNA SEAの雰囲気が皆無かと言われればそうでもないですよ。
反発にあうのもまあ分からなくはない作風ですが。
いや、めっちゃいいですよこれ。
再結成後の3枚の中では一番好きですからね。
10.『CROSS』2019年リリース
30周年に合わせて作ることになったため前作から2年のスパンでリリースとなりました(笑)。
とうとう10作目になりました現時点での最新作です。
今回はU2を手掛けたことでも有名なスティーブ・リリーホワイトをプロデューサーで起用。
10作目にして初のプロデューサー起用ときましたね。
実はこのスティーブさんはかなり世界的に有名な大御所プロデューサーで、ローリング・ストーンズの1986年作『ダーティ・ワーク』において、もっとも険悪な時期だったミックとキースの関係の中で、アルバムを最後まで仕上げきったお人です。
おそらく神のような人格をお持ちなのでしょう(笑)。
日本のアーティストを手掛けるっていうのはある意味、事件って言ってもいいほどの出来事なのです。
LUNA SEAが世界のトップバンドと肩を並べたようで嬉しいじゃあないですか。
本作は前作『LUV』で広げた音楽性の範囲を、見事にLUNA SEA流に帰着させているように感じました。
前作の拡大バージョンのような、と表現してもいいのかな?あらゆる面で前作を超えていると言えば言い過ぎでしょうか?
前作と違い今回は楽曲に展開をもったものも見受けれられ、大作主義とまでは言いませんがプログレ要素も少し感じられます。
かなり作り込まれた印象があり、本作は純粋に楽曲の練り上げ方が素晴らしいです。
おそらく今後10年のライブで定番に入ってきそうなレベルの楽曲が何曲もありますからね。
特にSUGIZOが原曲を持ってきた#4『THE BEYOND』#6『宇宙の詩 ~Higher and Higher~』#8『悲壮美』の”ガンダムタイアップ3部作”(と勝手に呼んでます)は、かなり強力ですよ。
また、前作と違い今回は明るくない、ちょっと暗めの雰囲気の楽曲も見受けられ、じっくり聴いて浸れるのが嬉しいです。
SUGIZOは「次回作は思いっきりダークな方向性で進めている」とインタビューで語っていましたので、このあたりの楽曲は次作に繋がるポイントになってくるかも知れませんね。
番外編1.『LUNA SEA』セルフカバー 2011年リリース
セルフカバーアルバムですが、LUNA SEAの歴史の中ではかなり重要な一枚でしょう。
これは抑えておいたほうがいいと思いますよ。
そもそも1作目って名曲ぞろいだったので、こうして現代の音で蘇った楽曲たちは最強です。
「どうせ丸くなってるんじゃないか」
とか思って聴くと、とんでもない目にあいますよ(笑)。
侮らないでね!
一番心配されていたRYUICHIのボーカルも、かなり攻撃的に、しかも凄みを伴って復活してますから。
もし、最近のLUNA SEAにアグレッシブを求めている人であれば、まずはこれ聴いときましょう。
番外編2.『another side of SINGLES II』2002年リリース
LUNA SEAって、シングルのカップリング曲をオリジナルアルバムに含めないことが多いバンドで、未収録曲が実は宝の山だったりします。
5作目『STYLE』までにリリースされたシングル曲はA面B面ともに全て『シングルス』に収録されており、こちらはLUNA SEA史上最高売上123万枚を記録し、唯一ミリオンセラーを達成しています。
そして6作目『SHINE』以降のシングルA面曲はベスト盤『ピリオド』に、B面曲だけを集めたのが本作というわけです。
なかなか複雑なんですよね~。
このアルバムを聴くと「LUNA SEAがどれだけ厳選された楽曲しかアルバムに収録していないのか?」が分かります。
ミュージシャンっていうのは何が売れるのか、ファンが喜ぶのか?そんなもの本当のところは分からないんですよ、出してみないことには。
世の中の名曲と呼ばれるものの中には
「もともと過去のアルバムに入るはずだったけどボツになっていたものをまたやってみた」
ということがよくあります。
ボツになるものの中には、音楽的クオリティは申し分ないけど、他に似た雰囲気の曲があったり、アルバム全体のカラーと違ったりという理由で収録されない場合も多いですしね。
だからそんな曲をシングルのB面に入れて世に出してあげるっていうのは、すごくいいアイデアだとは思います。
そんなわけなので、本作に収録された楽曲たちは、オリジナルアルバムのものと比べてまったく見劣りするものではなく、アルバム収録されなかったのがにわかには信じられないような曲もあります。
『Inside you』で聴けるの極上のラウドロックや、『Into the sun』の息を呑むような緊迫感とRYUICHIの魂の叫びには圧倒されますよ。
もしかすると3本の指に入るんじゃないかってくらい好きだったりするアルバム(笑)。
私の思う最高傑作と推しアルバムを紹介
さて、ここで私の思う最高傑作と、個人的に大好きなものを発表しましよう。
『最高傑作』は時代に与えた影響やセールス結果などの客観的な視点で考えてるので、『好き』とは違います。
それから先にお断りしておくと、LUNA SEAは駄作一切なしです。
どのアルバムもお気に入りで聴き込んだ過去があります。
一番聴いているアルバムも一番好きなアルバムも時期によってコロコロ変わってきました。
なので、本日の推しは今がたまたまそうであるだけですね。
まず、最高傑作としてはやはり
4作目『MOTHER』これしかないでしょう。
やっぱりね、自分たちのことをまだ知らない人たちを軒並みこっちに振り向かせるアルバムっていうのは、特別なパワーを持っているものです。
3作目『EDEN』からの飛躍の仕方が衝撃的すぎたというリアルタイムの『思い出補正』も若干は入っていますが、色んな人気ランキング見てもやっぱりこれがいつも1位になっているので動かしようがないでしょう。
5作目『STYLE』も同等のクオリティを持っているのですが、じゃあ『STYLE』が4作目として出ていたとしてあれほどの衝撃があったかと言われれば…ちょっと違うかな。
それほど何かのマジックが起きているのを感じるんですよね『MOTHER』は。
次に私の推しアルバムをご紹介します。
まずは2作目『IMAGE』です。
これは聴いたことがない人は是非聴いてもらいたい。
「うぇっ」
って感じる部分があっても聴き込んでもらいたい。
SUGIZOは最初の3作を「技術がつたなすぎるし音が悪すぎるから聞き返せない」
と語っていますが、本人談なんて無視してください(笑)。
めっちゃ作り込まれてて、とてもデビュー作の完成度とは思えません。
特にタイトルナンバー『イメージ』は、初期LUNASEAで一番の傑作だと思ってます。
私は個人的には初期2枚は音がチープだからこそ生まれる独特の世界観があると思っている派です。
『MOTHER』以降のギター音圧で録っていたら、この独特の耽美な世界にはならないと思うんですよね。
物悲しく美しく儚い…そんな『IMAGE』が私は大好きです。
次に8作目『A WILL』。
これは後期LUNA SEAを聴いていない人に是非ともプッシュしたい⇩
これを聴いていないというのは『MOTHER』を聴いたことがないというのと同義だと思ってください。
そこまで言っちゃいます。
それほどマストな1枚だということです。
もう色々言いません。
聴けば分かります。
あなたの『お耳の幸せ』を、simackyが保証しますので問答無用に聴いて下さい。
はい、というわけで本日はLUNA SEAの全アルバム解説でした。
この解説記事を読みながらどっぷりLUNA SEAというアーティストのストーリーに漬かっていただきたいので、ストリーミングでドドーっと聴いてみてくださいな。
皆さんにとってこのSimackyブログが『ストリーミング時代のライナーノーツ』になれたら、この上なき幸せです。
ストリーミングがよく分からない方には分かりやすく解説してますで参考にしてください⇩。
それではまた!