『ア・ウィル』13年ぶりの復活作!期待通り!
どうもSimackyです。
本日は2013年リリースでLUNASEAの8枚目のオリジナルアルバムである『A WILL』を解説していきたいと思います。
いや~、こうしてLUNA SEAを現役バンドとして取り扱えることにじわーっと感慨が(笑)。
よくぞ復活してくれた!
そしてよくぞ新作を出してくれた!
どっかの「出す出す」と言いながら10年以上待たせるバンドと違い、しっかり新作を出してくれるあなた達は偉い!
本作があるから今のLUNA SEAがある。
感謝の意味を込めてたっぷり語っていきますよ~。
で…Xはいつなんだ?
ついにLUNASEAが再結成!終幕からリブート(再起動)までの流れ
本作は2000年に終幕したLUNA SEAがついに復活を果たしたアルバムです。
しかし、実質的な再結成や、ライブなどは、実はずいぶん前から始まっています。
それでは終幕から再結成までの長い道のりをまとめてみましょう。
まず、再結成への兆しが初めて見えたのは2007年。
それまで再結成に関してオフィシャルなコメントはまったくなかったLUNA SEAが、一夜限りとは言え『復活』ライブを行います。
この時点では『復活』であって『再結成』ではないというのがポイントなんです。
「え?一緒にライブやったのに再結成じゃないの?」
と思うのが普通の感覚だと思うのですが、彼らは普通じゃないんですよ(笑)。
「(再結成を)口に出すとすべてが壊れてしまうような危ういバランスの上に成り立っている」
とJが語ってますが、やっぱり変なバンドだな~(笑)。
っていうか、相変わらずバンドメンバー間にあるその異様な緊張感はなんとかならんのかね?
「もっと馴れ合えよ」と言いたいところですが、馴れ合わないのがLUNA SEAだからしょうがない(笑)。
翌年2008年には大先輩hideのメモリアルサミットに出演し、Xとも仲良く共演してます。
しかし、まだこの段階に至ってもまだ『再結成』という言葉は出てきません。
そして再び長い沈黙…。
動き始めたのは2010年。
香港での記者会見にてLUNA SEAとしてのワールドツアーを発表します。
つまりここが正式な再結成宣言となります。
そして実質的な再結成は11月からのワールドツアー開始。
最終公演である東京ドームでの公演をもって初めて日本のファンにとっても再結成LUNA SEAのお目見えになったという流れです。
つまり終幕から正式な再結成までは10年かかっています。
そして翌年2011年には、なんとインディー時代の作品である『LUNA SEA』をセルフカバーしてリリースするという、古くからのファンが大歓喜することをやってくれます。
さらに、配信限定ではありますが、『ラブソング』以来11年ぶりとなる新曲『プロミス』を発表。
2012年に入ると、12年ぶりのシングルとなる『THE ONE -crash to create-』をリリース。
これがアルバム未収録にはなるのですが、なんと23分もある大作で、『LUNACY』収録の『VIRGIN MARY』を聴いた時に「大作(長尺曲)を演るLUNA SEA」を期待していた私としては非常に興奮する内容になってます。
いや~、再結成するなりファンを驚かせっぱなし(笑)。
ここから『END OF DREAM』『THOUGTS』『乱』と、合計4枚のシングルを経て、ようやく13年ぶりのオリジナルフルアルバムとなる本作『A WILL』がリリースされることとなったのです。
いやー長い長い(笑)。
復活するまでの8年間、彼らは何をしていたのか?
旺盛な表現欲求を持つLUNA SEAの各メンバー。
バラバラに活動してた2000~2007年の8年間に彼らが行ってきた活動を大まかにまとめてみましょう。
SUGIZO~バンド活動以外が活発~
INORANやJが「趣味も音楽」と言ってはばからないのに対し、このSUGIZOさんは興味関心事が多岐にわたっていることで有名です。
そんな彼の活動はやはり通常のバンド音楽活動とはちょっと違ったものになっています。
まず2001年には柴咲コウと共演し主演を務めた映画『サウンドトラック』へ出演。
出演だけでなく音楽も担当しましたが、いきなり役者に進むとは(笑)。
この他にもドラマと映画に各1本ずつ出演してます。
音楽活動としては映画などの音楽を手掛けることが多くなり、たくさんのサウンドトラックをリリースしています。
通常の音楽作品制作としてはソロで1作、FLAREやSPANK YOUR JUICEなど3~4年のプロジェクトをちょこちょこやっていますが、注目すべきはSHAG。
ジャズ/フュージョン界隈のミュージシャン達とSUGIZO(ギター/バイオリン)がジャムセッションでバトルを繰り広げる凄まじく前衛的な内容。
マイルス・デイヴィスやフランク・ザッパが好きなSUGIZOの核心が詰まってますので必聴です。
多分、LUNASEAとの共通点がなさすぎて難しく感じるとは思いますが、SUGIZOがどんな人かの本質は分かります(笑)。
また、YOSHIKI、GACKT、MIYAVIとのドリーム共演だったS.K.I.N.はたった1回の公演でポシャりますが、それが後のX加入やラストロックスターズに繋がります。
J~ソロ活動一筋~
Jはやはりイメージそのまんまというか、硬派に自身のソロ活動をやってます。
2007年の復活ライブまでにフルアルバム5枚、ミニアルバム2枚と旺盛な制作意欲で、自分がベーシストとして、いや一人のロックンローラーとして追い求める理想像をまっしぐらに脇目も振らず追い求めている感じがします。
ガンズのスラッシュと一緒に制作し始めた時は興奮したな~。
INORAN~ソロのみではなく他のアーティストとバンドの結成~
INORANもJと基本的には同じ嗜好を持っている人なので、ひたすら作品を生み出しています。
ただ、自分のソロアルバム3枚だけでなく、他のアーティストと組んだユニットであるFAKE?でアルバムを4枚出したり、RYUICHIと組んだTOURBILLON(トゥールビヨン)で2枚と、あくまで対等なバンドメンバーという関係で作品を生み出しているのがポイント。
この人は自分ひとりで作り上げることよりも、他者との化学反応を楽しむ作り方をするんでしょうね。
LUNASEAは基本的に原曲をもってきた人が主導して曲を作っていきます。
昔からINORANの原曲のものにはLUNA SEAメンバー一人一人の個性が強く出ていると感じていたのは、こういう彼のスタンスに要因があるのでしょうね。
真矢~武者修行時代~
ドラマーであり、LUNA SEAでは原曲を持ってくるタイプではなかった真矢は、当然、他のアーティストの作品にドラマーとしてサポートする活動がメインになります。
しかし、セッションドラマーとしての経験はゼロのため、楽譜を初見で演奏することが全く出来ず、かなりの挫折感を味わい、苦労したとのこと。
なので、真矢はこの頃の苦労が自身を成長させたと語っています。
大黒摩季、氷室京介、吉川晃司、Gacktほか、たくさんのアーティストの作品に携わっていますね。
ちなみにこの時の縁で、なんと大黒摩季が後にLUNASEAのアルバムにコーラス参加することになったんですね。
この期間はセッションミュージシャンとしての武者修行のようなもので、その修行の成果は本作に色濃く現れています。
いや、もう冗談ではなく『先生』とお呼びしなきゃならないほど(笑)。
しゃべりがメンバーで一番うまかったため、テレビから引っ張りだこで、終幕以来、一番顔を見ることが多かったのが実は真矢(笑)。
RYUICHI~ダントツの知名度で横綱相撲~
RYUICHIは1997年の活動休止期間中にソロ歌手として大ブレイクし、確固たる地位を築いたため、すごく落ち着いているというか、舞い上がっていないというか。
顔がいいのでやはりドラマ出演の誘いはあったようですが、本業である音楽をないがしろにするような目立った活動はしていなかった印象があります。
テレビへの露出も昔ほどひどくなかった。
すごく好感が持てたんですよね。
そのため、以前はあった『河村隆一を馬鹿にする空気感』はマスコミからなくなったような。
『河村隆一フィーバー』の頃のような地に足がついていない感じは全然なく、落ち着いた大人の貫禄と余裕がありましたね。
でも、メンバーの中で一番ふっくらしちゃいました(笑)。
ウ~ン、貫禄か…。
『A WILL』楽曲解説
『LUNACY』以来13年ぶりとなる本作。
メンバー全員が13年の長きに渡り吸収してきたものが遺憾なく発揮された作品になっております。
本作を一言で表すると
『若い』ですね。
もっと大人になって返ってくるのかと思いきや、少年のようになって帰ってきたのが面白い(笑)。
「こんなにアグレッシブにやるんだ!」
と思った人は多いハズ。
下手すると終幕前より若々しいかも。
Xの後輩でありながら、音楽性は全然共通点がなかったように感じていたのですが、今回はなんとヘヴィメタルにまで接近してます。
RYUICHIのヴォーカルがなんか陰陽座っぽくなったというか(笑)。
ヴィブラートが効きまくってて。
真矢のドラムもかつて一度も見せたことのないスタイルを垣間見せてますし。
LUNA SEAにメタルを感じたことなんてかつてありました?
ないですよね?
メンバーの中で特にこの13年間の変化が大きいと感じたのがやっぱりこの2名。
まずは真矢。
曲を殺さないように限りなくシンプルに手数を少なく、というのが彼の信条だったと思うのですが、まあこの手数の嵐(笑)。
しまいにはツーバス連打までやってます。
真矢の存在感がかつてないことになってますよ。
次にRYUICHIのボーカル。
明らかに声は若い頃より低くなっているのに、表現力がさらに広がり、凄みを感じました。
体全体を鳴らしているかのように、太い声を聞かせてくれます。
変な表現をするとアニソンっぽい歌い方にも感じました。
とかいうと褒め言葉に聞こえないから申し訳ないんですけど、ほめてます(笑)。
レビューではやはり
「『SHINE』の頃の歌い方のまんまでがっかりだ」
という一部の声もあるようなので、このアルバムは『SHINE』以降のRYUICHIのボーカルを受け入れることができなかった人にはもしかしたら苦痛かもしれません。
でもね?
いつまで『SHINE』で止まってるんですか?
と言いたい。
いい加減前に進みましょう。
そんな方のために私が『憑き物落とし』をやってるんで、本作を聞く前に『SHINE』から出直してらっしゃい!⇩
それでは全曲解説行ってみましょう!
#1『Anthem of Light』
SUGIZOのファンファーレのように鳴り響くロングサステインのギターが、LUNA SEA復活の狼煙(のろし)をあげます。
真矢のスネアロールはいかにもSF映画のオープニングっぽくて、とにかく明るい未来を照らす最高のナンバーに仕上げてきましたね。
まあ、この曲はアルバム未収録曲の『INTO THE SUN』へのアンサーソングということもあり、このようスネアロールになっているとのこと。
#2『Rouge』
おお!
のっけからまるでブランキー・ジェット・シティを思わせるワイルドでダーティなリフではないですか。
PVもミッシェル・ガン・エレファントっぽいし(笑)。
要はガレージロックっぽいってことなんですが。
ちょいワルオヤジたちですね~、大人の色気ですね~。
こういう雰囲気って実は終幕前のラストアルバム『LUNACY』でも#2「Sweetest Coma Again」なんかで感じる事ができたし、なんだかんだ言って13年経っても流れが繋がってんだなって感じたナンバー。
しっかしテンポ速いな~。
『STYLE』の「G」を思い出した人もいるかも。
シングル『The End of the Dream』のカップリングだったのですが、1枚のシングルの中にこの曲と次曲が入っていれば、そりゃ期待値マックスでしょう(笑)。
#3『The End of the Dream』
この先行シングルでわくわくと胸を高鳴らせた人は多かったでしょう。
これこれ!
これぞLUNA SEA。
あらたなLUNA SEAアンセムの誕生ですね。
Jはアンセム生み出す天才です。
#4『MARIA』
3曲怒涛のように攻めてきてここでやっと一息つきます。
だからこういうドラムが真矢の変化なんだって。
『手数を増やすことは必ずしも曲を邪魔することにはならない』
と悟ったのでしょうか?
こういう脱力系の曲を活かすプレイ。
レッチリのチャドみたいですばらしいですよ。
LUNA SEA以外のたくさんの曲を叩いてきたからこそのお土産でしょう。
#5『Glowing』
気怠いね~、面倒いよね~、全てが嫌んなっちゃうよね~っていうSUGIZOのリードギター(笑)。
これは一体何だ?
もはやジャンル分けできないし、もはやジャンル分けの必要もないニューLUNA SEAです。
#6『乱』
先行シングル第4弾。
なんかアニメのオープニング主題歌っぽいよね~。
SUGIZOがガンダム好きらしいけど、これガンダムとかの主題歌にホントにちょうどいいと思います。
とか言ってると10作目『CROSS』ではホントにガンダム曲がえらく増えるんだよな(笑)。
ボーカルなんてメロディだけ抽出すればアイドルの曲みたい。
しかしギターソロ聴くだけでLUNA SEAだと思わせるのはさすが。
#7『absorb』
ポジティブだな~。
なんてガッツをもらえる曲なんだ。
本作で一番ポップかな。
けどバックサウンドがしっかりロックしているのが良い。
そして最後に行くほど盛り上がっていき、大合唱で大団円のままフェードアウト…。
これライブで大合唱したくないですか?
新しいタイプのアンセムソングが誕生しました。
#8『Metamorphosis』
さあ、本作で最も激しい疾走ナンバーの登場です。
LUNA SEAのスネア2ビート(スッタンスッタン)のパターンはいつ以来か?
「STYLE」の「1999」まで遡るのか?
しかも真矢が初めてツーバス踏みまくってます。
うーん、これはYOSHIKIだぞ。
SUGIZO原曲だし、これはX参加の影響が出ているのかな?
ギターソロ部分だけ聴いてたらホントにXの新作聴いている気分になってくる。
もうYOSHIKIの代りにXの方も作ってよ(笑)。
#9『銀ノ月』
これは私が今はまっているアニメ「僕のヒーローアカデミア」のエンディングテーマなんかに挿入したら最高です。
私は間違いなくボロボロ泣きます。
どうして本作はタイアップが似合う曲が多いのか(笑)。
私はここまでに何度「アニメっぽい」を連呼したか。
ということはつまり?
RYUICHIのヴォーカルメロディが非常にキャッチーだということでしょう、全体的に。
全曲にわたってフックが効いているということですね。
ということは?
#10『Thoughts』
先行シングル第3弾。
オンラインアクションRPG「マスター オブ カオス」CMソングとのこと。
これまた若々しいな、って…そうか!
つまり本作『A WILL』は対象年齢を下げているのか!
どうもさっきから私が表現している言葉が一つの共通ベクトルに向いている気がしていたのはそういうことか!
私のようなロック玄人の40代を見向きもせず素通りして、10~20代のゾーンを狙い撃ちで勝負しているってことか!
あいた~っ!こりゃおじさん一本取られたな!
40代のおっさんがご丁寧に解説していることが、なんか痛いことしている気になってきた!
穴があったら隠れたいです!
いや、恥ずかしながらアニソンもゲームソングも大好きなんですけども(笑)。
まあ、確かに本作は振り返ってみると、マニアックさや小難しさと言った要素が皆無なんですよね。
非常に聴き易すい。
その意味ではLUNA SEAらしくないのかもしれない。
けれどこれが新生LUNA SEAなんだろうな~。
#11『Grace』
「もうここまできたらディズニーとタイアップしてまえ!」
と言いたくなってくるほど壮大なバラードです(笑)。
RYUICHIの熱唱にはただただ圧倒されます。
先程は以前よりも声が低くなっていると書きましたが、それは音域が狭まったということを意味しません。
すごい音域です。
2013年当時のRYUICHIは1970年生まれの43歳。
これは全盛期でしょう。
はい、というわけで本日は「A WILL」の解説をしてまいりました。
まぎれもなく『2013年度版LUNA SEA流ロックンロール』なアルバムです!
全11曲54分と絶妙のタイム感のため、非常に聴き心地の良い作品で、LUNA SEA初心者も全然こっから入門して大丈夫だと保証しますよ。
っていうかこれはあらたな名盤ですね。
終幕前を超えてくるかのようなクオリティ。
圧巻のLUNA SEAです。
『no music no life!』
”音楽なしの人生なんてありえない!”
Simackyでした。
それではまた!