『スタイル』(LUNA SEA)レビュー:黄金期貫禄のアルバムをレビュー

どうもSimackyです。

本日は1996年リリースでLUNASEAの5枚目のオリジナルアルバムである『STYLE』を解説していきたいと思います。

『STYLE』に至る流れ

1994年に前作『MOTHER』で大ブレイクを果たしたLUNASEAは、その年末にはついにあの日本武道館公演を実現。

アリーナクラスになかなかステップアップできなかったLUNASEAが一気に突き抜けます。

明けて1996年3月からは『MOTHER』の全国ツアーを行い大盛況。

そこから約半年のレコーディング期間の後にニューシングル『DESIRE』『END OF SORROW』は当然のようにチャート1位を獲得、1996年末には初の東京ドーム公演を実現しチケットは即日ソールドアウトと、まさに破竹の勢い!

こういうのを『飛ぶ鳥を落とす勢い』っていうんでしょうね。

そしてこの快進撃の真っ只中でリリースされたのが本作『STYLE』になります。

シングルだけではなくアルバムチャートにおいてもついに1位を獲得します。

いや~、この頃のLUNASEAは凄まじかったですよ。

私はパンクとかグランジだとかいう『ロックの転換点』にはリアルタイムで立ち会えなかった世代ですけど、日本における一大ムーブメントである『ヴィジュアル系ムーブメント』に関してはドンピシャでしたね、今思えば。

高校3年間がLUNASEAのブレイクから人気絶頂とちょうど重なってしまうんですよ。

でもだからといって、

「おおーヴィジュアル系最高!もっと聴きたい!」

って、どんどん出てくるヴィジュアル系のバンドたちをどんどん漁っていったかというと違うんですよね。

ああいったブームって便乗組がわんさか出てくる。

リアルタイムだとかなりうんざりしますよ。

もうかっこだけ、音楽的には「それロックじゃないじゃん、J-POPじゃん」っていうのが非常に多かった。

信念も感じなければ、高い音楽性も感じないバンドがほとんどでした。

実際そういう有象無象のバンド達は今では「あいつらどこいった?」状態です。

だからLUNASEA以降のバンドにははまったく1ミリたりとも進まなかった。

「別にヴィジュアル系が好きだからLUNASEA聴いてるんじゃなくて、LUNASEAの音楽性に惹かれたから聴いているのであって、聴いてもらいたかったら音楽で納得させてみろ」

みたいに嫌悪感を持ってましたよね。

まあ、そのせいでグレイやラルクなどのしっかりした音楽性を持ったバンドたちでさえも大して聴きもせず遠ざけてしまうことにはなるのですが。

ムーブメントお陰で出会えるバンドもあれば、ムーブメントのせいでタイミングを逃すバンドもある…一長一短ですね。

最高傑作と呼ばれた前作と比べてどうなった?

あまりにも完璧すぎた前作『MOTHER』。

ああいう作品を作っちゃうとそのプレッシャーたるや凄まじいものが想像できますが、同じくらいのクオリティで仕上げてくるのではないかという予想は、先行シングルの段階で感じていた人も多かったんじゃないかな?

それほど先行シングル『DESIRE』『END OF SORROW』の2枚は強力でした。

しかし今回は予想が半分外れ半分当たったというところでしょうか?

作品の質としては予想通り文句なしの傑作でしたが、実験性が思ったより強いのは予想外でした。

基本的に前作で築き上げたフォーマットを踏襲しながらも、これまでのLUNASEAになかった要素がけっこうありますよ。

すごいのは実験が全て成功していることです。

#1『WITH LOVE』には面食らいますし、#4『RA-SE-N』には「何これ?どこに向かうの?」と戸惑うし、ラスト曲#11『SELVES』にはもはや「????」ってなりますから。

でも置き去りにはされないんですよ。

なんとか付いていける。

つまりファンの理解度を分かった上で、ちょい先くらいのものを提示しているというか。

「ほら、もうちょっと頑張ったら分かるよ」

っていう絶妙のさじ加減で仕上げてるんですよ。

難解とまではいかない。

これってすごいことですよ。

『どこまでが売れ線の音楽か?』っていうことを見切っているというか。

そういう作風なので、前作『MOTHER』ほどのインパクトはないものの、クオリティとしては非常に高いため息の長い作品です。

長い目で見ると『MOTHER』より聴いている回数は多いですね。

ようするに『スルメ盤』ってことです。

LUNASEAの全盛期を象徴する代表作と呼ばれる貫禄は持っている作品ですよ。

『STYLE』楽曲紹介

本作のツアーをもってLUNASEAは一旦活動休止します。

1年間の充電期間ということでメンバーが1年限定のソロ活動を行います。

これって当時の印象としては、まったく解散なんて頭をよぎらなかったのですが、今となって振り返ってみるとやっぱり予兆だったんでしょうね。

活動休止は予告通り1年程度で済み、復帰後はきっちりとシングルをリリースします。

しかしソロでRYUICHIが大ブレイクしてしまったがために、ソロで身につけた歌唱法をそのままLUNASEAに持ち込んでしまいます。

例の甘ったるい歌唱法ですね。

これに抵抗を示す人が続出。

私もその一人で、次の『SHINE』は長い間放置プレーしました。

まあ、慣れればなんてことないし、あれはあれで素晴らしいのですが。

この『STYLE』は歌唱法が変わる前のRYUICHIの声が聞ける最後のアルバムというわけです。

#1『WITH LOVE』

こういうナンバーを1曲目に持ってくるのが、自信というか余裕というか大御所感を感じます。

これまでLUNASEAにまったくなかった要素だから、それをアルバムのど頭にもってくるのは自信の表れでしょう。

この曲はLUNASEAが初めて、ゆったりとルーズな側面を見せたナンバーで、これ最初はびっくりしますけど、病み付きになるんですよね。

今にして思えばニルヴァーナ『イン・ユーテロ』のオープニングに雰囲気が似てるな~。

これの1曲目を聴いてみてください。

 

#2『G.』

前作の『ROSIER』のように2曲目にLUNASEA流ロックンロールを持ってきました。

非常にスリリングでヘヴィです。

リズム隊がとにかくかっこよくてスライドベースがいい仕事してるし、拍の裏に入れるバスドラムがねちっこいんですよね。

これライブでカバーしてた時は超気持ちよかったです。

これは名曲入りですね。

#3『HURT』

色々凝ったことをしないでストレートに哀愁ロックをカマしてます。

前作から『男っぽく』なったLUNASEAなんですが、この曲とかそれを強く感じますよね。

で、ギターソロは非常にオルタナっぽいですね。

ものすごく好きだという人もいますが、私はまあまあかな。

#4『RA-SE-N』

こういう不思議な感じすごい好きです、実験的で。

本作は実験を感じるナンバー多いですよ。

SUGIZOが「マニアック」と表現するのも分からなくもないです。

まるでプログレッシブ・ロックのようにじわじわと展開していくから、10分を超える大作なのかと思いきや意外に5分で終わるのががっかり。

LUNASEAで15分とかの組曲を聴いてみたいですね。

#5『LUV U』

エフェクターをかけたベースがブイブイうねってますね。

今回のjにはうねらせることがテーマになってるんでしょうね。

#6『FOREVER & EVER』

おそらく本作で一番人気なのではないかな?

私にとっては突出して光るものを感じなかったのに、じわりじわりと好きになった曲です。

10分もある長尺曲の割になぜか長く感じないのが凄いですよね。

陳腐な表現ですが、心があったくなります。

#7『1999』

来ましたね~スネア4つ打ちのスピードナンバー。

2作目『IMAGE』の「SYMPTOM」以来ですね。

しっかし今回の真矢は凄いとは思ってましたが、この曲は特にそうですね。

ものすごくタイトでぴしっと締めてます。

ドラムのビートは細かいのにベースが大きめのリズムを刻んでいるのが面白いです。

#8『END OF SORROW』

はい、ここからなんと3曲続けて怒涛のシングルナンバーラッシュ!

すごい自信です。

本作が傑作たる由縁は、シングルを後半に固めているにも関わらず、中盤が全く中だるみしてないどころか、むしろハイライトとさえ呼べる曲があったりしますからね。

ちなみにこの曲は人によってはLUNASEA屈指の名曲にあげますが、私としてはなんか「狙いすぎ」感がして好きになるのに結構時間を要しました。

というより自分のバンドでコピーしてからかな?好きになったのは。

真矢のタメの聴いたドラムがたまりません。

っていうか本作の楽曲って、メロディが好きになれなくてもとりあえずグルーブは全曲気持ちよくなれるんですよね(笑)。

#9『DESIRE』

はい、これも前曲同様に最初は好きじゃなかったな。

どうもシングルに対しての偏見があるようですね、私には。

好きになったきっかけは、カラオケで歌ったら思いのほかキーが低くて気持ちよく歌えたから(笑)。

前作でいうと「TRUE BLUE」みたいな位置づけにも見えるのですが、どっちかというと「ROSIER」っぽいので、2曲めに配置してみても面白かったかもしれない。

実は「ROSIER」より好きです。

#10『IN SILENCE』

シングルにも関わらず最初からお気に入りだったのは、アルバムで聴いたのが先立ったからでしかない(笑)。

いや~、名曲です。

美しすぎる。

ワクワクします。

考えてみると『MOTHER』にはこの手の明るい系なかったですよね。

『EDEN』で身につけたポップセンスがここに来て花開くとは。

また、彼らの血の中にU2のスピリッツが脈々と流れていることが分かります。

この曲があるかないかが、本作の評価を左右するほどの重要曲です。

#11『SELVES』

なかなかコメントに困る曲です(笑)。

最初聴いたときは

「意図するところが分からん…」

でしたね。

ダークなバラードです。

SUGIZOが「やりたいことを全てやれて大満足」みたいなこと言ってましたが、どこのことを言ってんのか未だに分かりません(笑)。

ただSUGIZO趣味ということだけは伝わります。

まあ、こういう終わり方があってもいいのかな、と。


はい、というわけで本日は「STYLE」の解説をしてまいりました。

『MOTHER』にまさるとも劣らない名盤で、売上枚数は前作の71万枚に対し72万枚!

ここの2枚をトップ2に挙げる人が多いでしょうね。

もう『MOTHER』と兄弟みたいなものなので、セットで聞いてください。

no music no life! 

”音楽なしの人生なんてありえない!”

Simackyでした。

それではまた!

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