【メタリカのおすすめアルバム】最高傑作はどれだ?全10作品を一挙に解説!
どうもSimacky(シマッキー)です。
本日はヘヴィメタルの代名詞メタリカの歴史を語り、全オリジナルアルバムのレビューをします。
「ちょっと怖いけどこれからメタリカを聴いていきたい」
と思っている方に役立てる記事になれば幸いです。
ヘヴィメタルって外側にいる人からするとすごく怖いと思われがちなので。
私も熱が入るあまり、あんまり押し付けがましくならないよう注意して書きます(笑)。
先日、各アルバムごとのレビューを全アルバム分アップ終わりましたので、今回は総まとめになります。
詳細を読みたい方はリンクをアルバムごとに貼っておきますので、そちらからどうぞ。
本記事とそれぞれの詳細記事を全て読もうと思ったら、ちょっとした単行本くらいの文字の量になってきますので、メタリカにどっぷり浸かれること請け合いです。
ストリーミングででもじっくり聴きながら気長にお付き合いください。
さあ、前回はメガデスを書きました全アルバムレビュー。
今回はそのライバルとも言えるメタリカ。
私の人生に計り知れない影響を与えたバンドなので今日は力入りますよ!
OHHH YEAH!!??
(ジェイムズ語で「テメェら付いてこいよ!?」の意)
- メタリカの音楽性の変遷
- メタリカ全スタジオアルバム紹介(年代順)
- キル・エム・オール-Kill ‘Em All (1st : 1983年)
- ライド・ザ・ライトニング – Ride the Lightning (2nd:1984年)
- メタル・マスター – Master of Puppets (3rd:1986年)
- メタル・ジャスティス – …And Justice For All (4th:1988年)
- メタリカ – Metallica (5th:1991年)
- ロード – Load(6th:1996年)
- リロード – Reload(7th:1997年)
- セイント・アンガー – St. Anger(8th:2003年)
- デス・マグネティック – Death Magnetic(9th:2008年)
- ハードワイアード…トゥ・セルフディストラクト』 – Hardwired… to Self-Destruct(10th:2016年)
- 私にとっての最高傑作
メタリカの音楽性の変遷
メタリカはメガデス、スレイヤー、アンスラックスと並び『スラッシュメタル四天王(ビッグ4)』と呼ばれていますが、その中でもダントツの人気と世界的知名度、そして何より圧倒的なセールス規模と影響力を持つモンスターバンド。
セールス規模のイメージ的にはオジー・オズボーン、KISS、エアロスミス、といったレジェンドクラスをイメージしてもらえばいいです。
総セールス枚数が1億以上2億未満の人達ですね。
あまりのスケールの大きさから、もはや『ヘヴィメタル』というカテゴリーに入れていいものかどうか?という議論もあるかとは思いますが、近年、彼らは『ヘヴィメタルであることを前面に出す』アティチュードが感じられますので、声を大にしてメタルとして語っていきますよ。
かつて、メタル軍団の先頭を切ってメジャーシーンに殴り込み、スラッシュメタルを世界に知らしめ、天下を取った後はロックシーン全体のパイオニアとして実験、冒険、挑戦の嵐。
メタリカが動く時、業界に地殻変動が起きると言われています。
ビッグになりすぎて、1枚のリリースに慎重にならざるをえないのか?
1983年デビューにして40年が経とうかというのに(2022年時点)、オリジナルアルバムはたったの
10枚!
寡作すぎっ!
しかし、彼らのすごいところはこの10枚に
駄作がない
ことです。
音楽的方向性がどんなに大きく変わっても、かなりの高水準でもってくる。
そして活動休止や一時的解散もなく(長期休暇はあるけど)、
セールス的な低迷期がない。
これは特筆すべきことですね。
あれだけ問題作だなんだと物議を醸し続けても、その作品たちは旧来ファンを惹きつけてやまず、新規ファンを増やし続けてきたということです。
そんなメタリカの激動の歴史を大きく3期に分けてみますね。
(スラッシュメタル期)1~4作目まで
1980年頃からNWOBHMによって形作られたヘヴィメタルの様式に、ハードコアの要素を加え、さらに激烈にスピードを上げた音楽、すなわちスラッシュメタルを引っさげ大暴れしていた時期。
『これこそメタリカ!』と、ほとんどの方がイメージする音がすべて詰まっています(1~3作目)。
後のアルバムを出すたびにファンの賛否両論を巻き起こすのは、この時代の音に受けた衝撃が凄まじすぎたから。
世界中を中毒者にしちゃったんですね。
当時は「過激すぎて音楽ではない」とまで叩かれた音楽性も、現代の感覚で聴けばどうなんでしょうかね?
(実験期)5~8作目
ざっくり『実験期』としてまとめましたが、ここの4作はアルバムごとにカラーが全部違います(LOAD→RELOADの流れは別として)。
自らに求められる音楽性に反発するかのように、これでもかとファンの期待を裏切ってくれます。
「俺たちもうU2やオアシスのほうがいいんで!髪も長いのはださいし!PVもいかしてるだろ?」
ここまで言ったわけじゃないけど、そう受け取られてましたね、当時は(笑)。
そりゃ荒れましたよ~。
メタリカファンにとっても試練の時代です。
しかしメタルをこれまで聞かなかった人達をも取り込むことに成功した時期とも言えますし、『メタルの雄』から『ロックシーンの頂点』に上り詰める時期ですね。
(メタル復活期)9~10作目
心機一転でいわゆる『メタリカっぽい』メタルの作風に戻ってきます。
その傾向は実は8作目にもあったのですが、それを覆い隠すほど実験色が強すぎたため、そのような認識はされていませんが。
これはメガデスの時にもそうだったのですが、自分たちの原点の音楽性を一旦確認し、そこに実験期で得た様々な要素を融合させていく試みでしょうね。
10作目では全盛期もかくやと思わせる雰囲気も所々見られるため、11作目への期待感はかなりのものがあります。
(おすすめの入り方)
音楽的な好みはともかくスラッシュ期、特に1~3作目のどれかは必ず聴くことをおすすめします。
ここを聴いておかないとメタリカを聴いたうちに入りません。
「う、押し付けがましい…わざわざアンダーラインまで引くなよ…」
そう感じたあなた。
ちょっと想像してみてください。
あなたがすごく美味しいトンカツ専門店を発見したから友達連れて行ったら、友達が蕎麦だけ頼みやがったらキレません?
「だったらこの店来たうちに入らなくね!?」
ってツッコミ入れるでしょ、普通。
実は蕎麦も美味いのかもしれないけど、まずは専門店のゆえんたるトンカツ食べるでしょう?
つまりそういうことです。
それで合わなかったら5作目のブラック・アルバムいきましょう。
間違っても6~8作目を最初に聴くのはやめましょう。
そこでメタリカを嫌いになられた日には、私は死んでも死にきれません。
それでは10作品まとめてレビュー始めますよ!
メタリカ全スタジオアルバム紹介(年代順)
キル・エム・オール-Kill ‘Em All (1st : 1983年)
音悪ッ!
インディ感丸出し。
バラエティがありません。
もうワンパターンの極み。
もうこんなの音楽じゃないです。
それしかできねーのかよ。
やれやれ…。
かっこよすぎじゃねぇかよ!!
徹頭徹尾攻めまくるアルバム。
この瞬間『スラッシュメタル』という言葉が生まれました。
実は「純粋にスラッシュメタルアルバム」なのはこのアルバムだけ。
意外でしょ?
2~4作目は単純にスラッシュメタルアルバムとは呼べない音楽の幅をもっているので。
しかしね、このアルバムには後続のスラッシュメタルバンドにはない突出した武器があります。
これが実はメタリカがその後、ロックシーンを制覇するバンドたり得た理由です。
それは『普遍性のあるメロディ』です。
ここで奏でられる最初は轟音にしか聞こえない音には、実はあなたの深層心理に中毒性を引き起こす極上のメロディが潜んでいます。
とにかく快感指数の高い名リフに次ぐ名リフ。
私はドラマーなのにこのリフ全部練習してました、好きすぎて(笑)。
あなたは鼻歌ではなく『鼻リフ』を口ずさむようになるので、周囲からドン引きされるでしょう。
『いつもズクズクズクズク言っている人』になります。
あまりにも甲高い声は最初は違和感あるかもですが、慣れるとこれも好きになれます。
このアルバムを好きになった時、どうしてメタリカがアルバム出すごとに物議を醸すのかが理解できるでしょう(笑)。
曲のアグレッシブさの割には重さはあまりなく、メロディもキャッチーなため、私は高校当時に流行っていたグリンーデイやオフスプリングなどのメロコアと同じような感覚で聞いてましたね。
歴史的名盤とされてもまったく遜色ない作品だと思います。
オススメ度:★★★★★
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ライド・ザ・ライトニング – Ride the Lightning (2nd:1984年)
成長のスピードが尋常ではないです。
物凄い大作を出してきました。
どうして1枚目があの内容でいきなりこうなるのか?
それは今は亡きベーシスト:クリフ・バートンが作曲の段階から参加していることが主な要因として挙げられます。
前作はクリフが加入した時点ですべての曲は出来上がっていたので。
クラシックの音楽理論をバックボーンに持つクリフがこの大作主義の音楽性に大きく貢献していると言われます。
またサウンドプロデューサーとしてもかなりの影響力があった模様。
これもまだメジャー契約はしていないのですが、音のグレードが3段階くらい上がってます。
とにかく音圧がとんでもないです。
その轟音リフには凄みすら感じます。
メジャーでブレイクしたバンドの中には、インディー時代の作品があまり脚光を浴びなかったり、パンテラみたいにラインナップの中から『なかったこと』にされる例もあるのですが、メタリカの場合はインディ時代のこの2枚も堂々と存在感を放っていることは、実はすごいことです。
というより、インディの作品として見たことがないですね。
それほどのクオリティです。
私は個別レビューではこのアルバムを入門編としておすすめしましたが、その理由はこの作品にその後のメタリカの基本がすべて盛り込まれているからです。
とにもかくにもその過激さを世に知らしめたメタリカ最凶の曲#1Fight Fire with Fire と、ジェイムズのシャウトと極上のリフがしびれまくる#5Trapped Under Iceの2曲は強烈です。
家で頭振りすぎてムチウチになること必至です。
後のブラック・アルバム(5th)にもつながるスロー&ヘヴィ路線の#3For Whom the Bell Tolls,
メタリカ特有の叙情性のあるバラード#4Fade to Black、
嵐のダウンピッキングで押しまくりながらドラマティックに展開する#2Ride the Lightning,#7 Creeping Death。
重要録音物登録になった次作が最高傑作に挙げられることは多いですが、このアルバムこそ「That’s METALLICA」だと思ってます。
捨て曲は1曲もなく、バラエティがあり、完璧な8曲です。
ライブでのアンセムソング足り得るナンバーが最も多く詰まったアルバムでもあります。
ちなみにこの1,2作目までは、初代ギタリストであるメガデスのデイブ・ムステインが作曲した曲、もしくはその1部があります。
そのため、のちの変化した音楽性について語る際、
「やっぱりデイブの才能がなきゃ傑作は作れなかったのね」
みたいな語られ方をする時もありますが、そうでないことは次作で証明されてますので、あまり真に受けないほうが良いかと思います。
オススメ度:こっからいっとけ
詳細レビューはこちら⇩
メタル・マスター – Master of Puppets (3rd:1986年)
アメリカ議会図書館の『重要録音物登録作品』としてヘヴィメタルで唯一選ばれた作品です。
一般的にはメタリカの代表作であり、ヘヴィメタルの代名詞的アルバムでもあります。
アルバムとしての基本フォーマットは前作と同じですが、まとっている緊迫感や叙情性、大作主義はさらに強まっている印象で、「暗さ」「複雑さ」が顔をのぞかせ始めます。
1,2作目よりキャッチーさが薄まった感じがありますね。
ややもすると「少し難かしい作品」に感じるかもしれません。
しかし、超強力なスラッシュメタルアンセム#1「Battery」と、メタルリフの教科書であるタイトル曲#2の冒頭2曲のツカミがかなり強烈なため、一般的には入門アルバムと認識されています。
#2のリフはバンドマンであればギタリストでなくとも練習するほどの名リフです。
しかし、油断してると#3、6で死にますよ(笑)。
私が入門編にこのアルバムを選ばない理由がこの2曲の存在があるからです。
私が高校の頃は上記2曲はすっ飛ばして、速い曲の#1,5,8でひたすら頭振ってました(笑)。
物悲しさが究極の形をとったカークのベストギターソロ#4「Welcome Home」 ,
トップスピードのリフが快感指数マックスの#5「Disposable Heroes」,#8「Damage, Inc.」、
インストの完成度では前作を超えた#7「Orion」
と、すばらしい名曲揃いであることは保証します。
この頃のメタリカの持っている冷徹な世界観というか、”濡れた”空気感というか、、、すごく西欧的であんまりアメリカを感じないんですよね。
後の「LOAD」あたりから出てくる乾いたアメリカンな雰囲気とは真逆なので、この頃が好きでしょうがない人にはそりゃ「LOAD/RELOAD」は抵抗あるでしょうね。
曲の全体構成、アレンジ全般に強い影響力を持ったベーシストのクリフ・バートンは、このアルバムの後、交通事故で亡くなり、1つの時代が終わりを告げます。
オススメ度:★★★★★
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メタル・ジャスティス – …And Justice For All (4th:1988年)
ここからベースが2代目のジェイソン・ニューステッドに交代となります。
しかし、このジェイソンが憧れのメタリカに加入できた嬉しさで舞い上がっていたのが、クリフを失ったばかりのメンバーを怒らせることになったみたいで。
なんと、ジェイソンが録ったベーステイクは、すべてジェイムズが録ったものに差し替えらるというドタバタ劇になります。
そして問題はベース音だけにとどまらず、ドラムの音に関してもでした。
非常に平坦で厚みのない、2次元的な音の作りになってしまったんですね。
このサウンドを巡って賛否両論が爆発します。
プロモーションビデオもずっと作らない方針できたのに、『One』で作っちゃったもんだからそれも拍車をかけたのですが。
私はリアルタイムではなかったのですが、このアルバムがメタリカ初体験なので
「なんてマニアックな音をしたバンドなんだ。前衛音楽?」
と思ったのを覚えています(笑)。
音が特殊な上、#1「Blackened」の変態リフが不可解すぎてのっけから面食らいます。
しかしこのアルバムがすごいのは、実はここから予想を超える評価を獲得していくことなんです!
こんなチープで特殊な音をした作品であるにも関わらず、なんとアルバムのセールスはさらに伸びます。
しかも#4『one』はグラミー賞を受賞しちゃいます。
しまいには、2019年にイギリスの音楽専門誌「ケラング!」が行った1~10thアルバムにおける人気投票で、3th「マスターオブパペッツ」に次ぐ2位になるほど評価が高い作品となってしまいました。
日本と海外では感覚が違うとは言え驚きましたね。
私はこのアルバムのサウンドに面食らったこともあり、好きになるまでに3,4年はかかったんじゃないかな?
とにかく、サウンドが特殊なうえ、長くて暗くて複雑でキャッチーさがない(笑)。
けっこうハードル高いです。
しかし聴き込んでいくと、トリッキーなリズムチェンジや複雑な楽曲構成の奥にある本当の良さに気がつけます。
メタリカの虎の子の武器である「物悲しい泣きのメロディ」が異常なレベルで詰まってるんですよ。
何かが舞い降りているというか、マジックが起きています。
どんなに天才でも、そう何度も作れるようなものではないというか。
ジェイムズのリフもすごいけど、特にカークのソロの構成力が圧巻ですね。
この世界観の完成度はすごいですよ。
おそらくメタリカ史上『もう一度作ることが最も難しい作品』なのではないでしょうか?
それはこのアルバムに似ていると言われる9th『デス・マグネティック』と聴き比べてみると明らかでしょう。
グラミー受賞の#4『One』も名曲ですが、私的にはインストナンバー#8『To Live Is To Die』の破滅的なまでの美しさにやられました。
私はインスト曲で泣くなんて、この曲以外で経験ありません。
サウンド面での失敗を跳ねのけるほどの説得力を持つ怪作です。
最初には聴かないほうが良いけど、メタリカを好きになったらいつか絶対に聴いてほしい。
オススメ度:絶対いつか聴け
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メタリカ – Metallica (5th:1991年)
さて、やってまいりました。
こちらが1990年代のロックを代表する大名盤、通称『ブラック・アルバム』です。
今さら語るまでもない全世界で3500万枚以上を売ってまだまだ売れ続けているモンスターアルバムです。
このアルバムの影響力たるや、メタル勢がこぞって方向性を転換せざるをえない状況になりましたからね。
ニルヴァーナがデビューし、オルタナティブシーンが台頭してくる前から、メタリカはアリス・イン・チェインズやサウンドガーデンのようなヘヴィロックに早くから着目し、スローでヘヴィなサウンドへの路線を進めていました。
これがタイミング的に絶妙だったんですよ。
ニルヴァーナがロックシーンをひっくり返すデビュー作『ネヴァーマインド』の1ヶ月前リリースですよ?
グランジ/オルタナティブにメタル勢が蹴散らされていく中、メタリカは時代を先取りしたバンドとして、ニルヴァーナと並び一足飛びに時代の寵児(ちょうじ)となったわけです。
前作では色々言われながらも一応、スラッシュメタルの分野にまだ片足突っ込んでいたのですが、今回は両足でジャンプしちゃいました。
レビューを見る限り、ここで「つまんなくなった」と離れた人が意外に多かったのは驚きました。
しかし、それを補ってあまりあるほどの新規ファンを獲得することに成功します。
まあ、この程度の変化は序の口です。
メタリカはここから4作もれなく『問題作』が続きますので。
メタリカファンは一歩踏み出すたびに地雷を踏むことになるのです(笑)。
メタリカのトレードマークであった『スピード感』を無くしたことが不満の原因なのですが、この作品はその完成度の高さによって批判をねじ伏せましたね。
音楽的内容は非の打ち所がありません。
サウンドもメロディも全てがとんでもない完成度。
これに並ぶ作品をロックのカテゴリーで探すのは難しいでしょう。
特に、タイム感と前作で失敗したサウンドプロデュースにはかなり力が入っており、演奏が機械みたいに正確だし、音が完璧すぎて人が演奏してるように聞こえない。
打ち込みの要素はないのにも関わらず、密室度が高すぎる。
そのため、音楽を聞きながら『映像的なもの』がイメージされる作品となっております。
冷たく人間味を感じないため、日本刀を触っているような気分になるのは私だけでしょうか?
本人たちは「ライブ感にこだわった」と言ってますが、「あんたたちのライブはもっとリズムずれて、人が演奏してるように聞こえるよ」とか思ったりしてます(笑)。
全12曲の中に必要ない曲など1曲もありません。
#1『エンター・サンドマン』はニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』と並び、時代の変化を象徴する曲として色褪せることがない名曲。
どっしりとタメの効いたスローテンポの重量感がやみつきになる#2「Sad But True」、#5「Wherever I May Roam」、
スラッシュメタルと言えるほどの速さではないがアップテンポでスリリングな#3「Holier Than Thou」,#7「 Through the Never」,#12「The Struggle Within」、
非常に叙情性の高い悲しすぎるバラード#4「The Unforgiven」,#8「Nothing Else Matters」
と、ほぼ全方位にバランスよく名曲が並んでおり、60分があっという間に感じます。
おまけに日本版ボーナストラック#13「So What? 」のカヴァー曲のかっこよさにはしびれまくりです。
ここだけの話、一番好きでした(笑)。
高校生当時、この曲を聴かせただけでメタリカにハマる友達が続出しましたからね。
でも今はカヴァー・アルバムの『ガレージ・インク』に収録されているから、日本版を買う必要はありませんよ。
オススメ度:★★★★★
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ロード – Load(6th:1996年)
確か当時読んだ音楽雑誌では
「またしても時代を変えてしまうのか?」
とかいう見出しが踊っていたと思うんですけど、これは時代を『変えた』のではなく、『追従した』作品ではないでしょうか?
ブラック・アルバムの頃にはまだ影響力の弱かったオルタナバンドの雄であるサウンドガーデンやアリス・イン・チェインズが、この時期にはチャートの上位に食い込むビッグスターになっており、彼らが前年、前々年にリリースした作風に挑戦してるんですよね。
特にサウンドガーデンが1994年にリリースした「Superunknown」のフォーマットを踏襲しているようにも感じます。
メタルの音を一旦捨ててるんですよね。
メタリカがここではっきりと変わった点は、アメリカンハードロックを想起させる乾いた雰囲気の音作りですね。
さらにブルース、カントリーの要素まで入ってきてます。
これを一聴してメタリカと思う人は誰もいないって言うほど雰囲気が変わっています。
その変化の度合いは、ブラック・アルバムでの変化の比ではありません。
私も含め、世界中のメタルファンがこの慣れないサウンドに苦しんだことでしょう(笑)。
このアルバムがもたらしたファンへの衝撃を前にすると、世の中にある『問題作』と呼ばれるものなど取るに足らない問題とさえ思えます。
TV版エヴァンゲリオンの最終2話並みのトラウマを引き起こしたと思います(笑)。
絶望感、悲しみ、叙情性というものがメタリカが表現していた核の部分だったし、唯一無二の必殺武器だったと思うのですが、その雰囲気は皆無ですね。
しかし逆の言い方をすれば、『人のぬくもりが感じられる』作風とも言えます。
悲しみどころかノリノリで歌いまくるジェイムズを好きになれるかどうかが分かれ目ですね。
このブルースやカントリーの要素は、ジェイムズを構成する重要な要素として間違いなく内在していたんでしょう。
それまで出さなかっただけで。
一見するとヘヴィメタルに戻り、「原点回帰」を歌った9作目や最新作にさえ、このアルバムの要素が色濃く臭ってくるので、この作風は付け焼き刃でやっているわけではないことあることが分かります。
聴くなら最後です。
しかし駄作では決してありません。
オススメ度:★★
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リロード – Reload(7th:1997年)
タイトルが示す通り、前作『LOAD』の姉妹作です。
作曲は『LOAD』と同時期のものですが、レコーディングを別にしてリリースは1年半空けて行われました。
似たようなサウンド、似たようなヴォーカル、似たような楽曲構成。
しかし、これは『LOADとは似て非なるもの』です。
表現が難しいのですが、1年半という期間が微妙な違いを生んでいます。
そしてそれが実はかなり大きいです。
前作のジャムを思わせるルーズさ、ブルース的な要素が弱くなってます。
しかも、ドラムサウンドがより硬質化されています。
さらにツーバスのドコドコも復活しているので、かなり『ロック』を感じさせる要素は強いです。
このテイストの違いをものすごく極端に表現しますね。
メタリカは前作で「METALLICAじゃなくてROCKALLICAだ」とか言われたみたいですけど、あれは正確には「BLUESLLICA」であって、「ROCKALLICA」と呼ぶならばこっちでしょうね。
そのため、前作のルーズな印象はぐっと弱くなり、曲がピリッとタイトに締まっています。
前作に続き非常にアルバムトータル時間が長いのですが、「LOAD」より3分だけ短い実質タイム以上に体感的にはもっと短く感じます。
前作にがっかりした人が、「今度はもとに戻ったかな?」と一縷の望みを託して手にしてみたら、第一印象で「全く一緒じゃん」と一刀両断にしている印象がありますが、ちゃんと聴き込めば違いは明らかだと思うんですがね。
特に#1「Fuel」と#10「Prince Charming」は出色の出来で、後期の作品としては突出していますが、アルバム全体的にメロディが非常にいいですね。
レビューでもこの2曲の人気が伺えます。
メタリカのロックンロールの完成形と言っていいと思いますよ。
「LOAD」には大苦戦しましたが、今作は一発で気に入りました。
言うまでもなく作品のクオリティは1級品です。
しかし、うーん・・・「LOAD」よりは推すけど、これも最後に聞いてください。
オススメ度:★★★
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セイント・アンガー – St. Anger(8th:2003年)
またしてもガラッと変えてきました。
またしても物議は醸しましたが(笑)。
しかし今から振り返ってみると、これは起死回生というか、前作のテイストがもう1枚続いていたらかなり致命的だったのではないでしょうか?
ノリノリで歌うジェイムズはいなくなり、とにかく怒りまくってます(笑)。
シャウトするジェイムズが帰ってきました。
何で怒っているのかは個別アルバムレビューで読んでみてね(笑)。
無くなっていたスピードもタイトルナンバー#2などの爆走する部分で復活しているのも見られ、超速のリフとツーバス連打はど迫力です。
しかし、さすがはメタリカ。
単純にヘヴィメタルに帰ってきたと安心させてはくれません。
なんと、カークのギターソロを全面カットしております。
さらに、強烈だったのがラーズのドラム。
なんとスネアのスナッピーを外して叩いているので、「カーン」という金属音のような甲高いサウンド。
これが拒否反応を起こす人続出(笑)。
ギターリフはこれまでで最大級にヘヴィに歪んでおり、ニューメタルに通じるサウンドですね。
KORNのような引きずる重さとナイン・インチ・ネイルズの打ち込みサウンドを足したような印象を受けます。
でもって、ギターソロもないものだから、メタルに戻したようで実はさらにオルタナティブな作品になっているという、一筋縄ではいかないクセを持ってます。
このアルバムは一般的に評価低いというか、駄作とさえ言われがちですが、『LOAD・RELOAD』と同様にもっと聴き込んでいただきたいですね。
実はメタルとは全く違う種類の快感指数が非常に高い作品です。
メロディではなくグルーブで気持ちよくさせる作品ですね。
なんと最終的にはあのスネアの音も好きになってしまうから不思議です。
難しいスルメ盤だけど隠れ名盤ですよ!
オススメ度:★★★★
詳細レビューはこちら⇩
デス・マグネティック – Death Magnetic(9th:2008年)
ここからは「ヘヴィメタル復活期」になります。
『原点回帰』という触れ込みでリリースされてもまだ物議を醸す(笑)。
このアルバムに関して最近気がついたことがあります。
かつての基本フォーマットであるヘヴィメタルで作品を作るということは、かつての名作たちと言い訳のしようもないほど比較されることになるんですね。
前の3作は方向性を全く変えたので、ある意味で「これは別物だから」と言い訳できたわけでしょ(別に言い訳をしてはいませんでしたが)。
まだメタルファンを唸らせるだけのメロディセンスが彼らに残っているのか?
枯渇しているのか?
そこをモロに見られるわけですよ。
怖いですね~。
このアルバムだけプロデューサーを務めたリック・ルービンが
「かつての自分たちと作風が似ることを恐れるな」
と言っていたのは、つまりこういうことだったのかと気づきました。
メタルで天下を取った後は求められる音楽を安易に作ることを拒否し、今作では過去の名作と比較されることを恐れず突き進む。
このドMさ加減はラーズの趣味なんでしょうか(笑)。
だって、そのままメタルに戻ってこないで独自路線を開拓しても良かったわけですよ。
そっちのほうがラクだったかも。
長年振り回されたおかげでファンは変化に慣れっこになっているし、私なんかはもはや何が来ても、もう付いて行く気になっているので。
なんならまた『Load』並の爆弾を浴びせて欲しかったぐらいだったので、メタルへの回帰には正直、『肩透かし』を食らった感じもしてます。
ここにきてメタルに寄せた作品を出す方がよほど叩かれる可能性は高かったのでは?
そこに踏み込んだ勇気を称賛したいですね。
作風としては『And Justis~』以来ひさびさに『いわゆるメタルのフォーマット』に戻してきたのですが、そこに『LOAD』の頃のようなルーズさ、ジャム的雰囲気が混ざっており、音もプレイもかっちりしすぎていない印象を受けます。
レビューではよく「フック(耳に残る印象的メロディ)がない」と評されていましたが、”あえて”そういう作りにしていることが「『And Justis~』っぽい」と呼ばれるゆえんだと思います。
他にも意図的に『And Justis~』に寄せている雰囲気はあり、リフもボーカルも痛快さではなく不穏さをまとってますし、なんならカークのソロにも『And Justis~』を感じさせる部分はあります。
何と言っても音がラフに録られてますね。
最初はあまりピンとこない作品だったのですが、後の作品を聞いた後で振り返るとこれは『あらたな原点』と呼べそうですね。
今作がなければ次作は生まれていなかったかな、と。
私の場合、不思議なほど嫌いな曲がなく、スキップすることがないです。
結局、またもやスルメ盤になるという(笑)。
オススメ度:★★★
詳細レビューはこちら⇩
ハードワイアード…トゥ・セルフディストラクト』 – Hardwired… to Self-Destruct(10th:2016年)
2022年12月現時点での最新作です。
「直近何作かのメタリカでおすすめが聴きたい」
と聞かれれば、前作よりこっちを確実に推します。
色々レビューを読んでいるとこれは割れてますね。
前作好きな人は今作が嫌いだし、前作嫌いな人は今作を褒めてちぎっている、という傾向が見えてきます。
どっちも好きという意見があんまり見かけなかったんですよね。
私の立場はどちらも好きは好きなのですが、前作は良盤で、こちらは名盤だと思います。
おそらく今作に対する批判の要因は、「LOAD」風のテイストを持った曲が増えているから。
「LOAD」のところでも前述しましたが、やはりこのテイストはメタリカを構成する個性として間違いなくあります。
中には本当に「LOADに入ってなかったか?」と思うような雰囲気をまとっています。
それらの曲が、ちょっと…長いかな…。
悪い癖が出ちゃってるように感じました。
それもあるし、そもそもメタルファンはオルタナの匂いが感じられると拒否反応を示すっていうのもあるんじゃないかな?
しかしそれを補って余りあるほど『メタリカ純度』が上がってきている数曲があります。
このアルバムは曲ごとの持っているカラーが両極端なんです。
#1「Hardwired」、#4「Moth into Flame」,#12「Spit Out the Bone」この3曲はとにかく強烈。
リフが3rd「マスター・オブ・パペッツ」の頃のような正統派どストライクのソリッド感!
何よりスピード感が戻っている。
嘘くさくなく本物のスリリングさを感じました。
ラーズのドラムも久々に非の打ち所のない理想的な音で、ツーバスも迫力ありますよ。
年齢的にかなり苦しいだろうけど頑張ってます(笑)。
まあ、快感指数の高いこと。
メタリカの新作で『鼻リフ』を口ずさむなんて高校の頃に初期作品を聴いていた時以来ですよ(笑)。
メタリカが本当の意味でかつての自分たちの姿を取り戻した部分に感じました。
PVが先行公開された#2「Atlas, Rise!」もダウンピッキングで押しまくりながらも、ジャストのリズムのグルーブ感がたまりません。
#8「ManUNkind」は一見LOAD風に始まるのですが、これは跳ねたビートとタメがめちゃめちゃ気持ちいいです。
最終的には全12曲がすべてPV公開されるという新しい試みもされています。
これからの時代、You Tubeがメインとなってきますので、映像と音楽は切っても切り離せない関係ですから、いいアイデアだと思います。
全体的に長過ぎる感が拭えませんが、突出した名曲の中に『かなり光った部分』が見えてきましたので、私としては十分すぎるくらい満足のいく作品でした。
この5曲があるだけで私は名盤と呼びます。
好きになれない曲を聴いてこのアルバムを嫌うくらいなら、上記した5曲だけしか聴かないというのも全然ありです。
6th『LOAD』以降の中では一番好きかな。
次作に是非とも期待!
オススメ度:★★★★
詳細レビューはこちら⇩
私にとっての最高傑作
即答で2作目「ライド・ザ・ライトニング」です。
しかし初期5枚は歴史的傑作ばかりです。
ここまで長いこと聴き込むとその時期によって変わってくるんですよねー。
高校の頃は1~3作目のどれかでした。
しかし大学になり4作目『メタル・ジャスティス』の凄さに気づき、社会人になってからは2作目と5作目しか聴かなくなりました。
そして40代に差し掛かるとあれだけ嫌いだった『LOAD』や『セイント・アンガー』もかなり好きになってくるんですね~。
特に「LOAD」は最近になって苦手意識がガラッとなくなりましたね。
好きになるのに一番時間がかかった分、人生で一番多く聞いているのは間違いなく「LOAD」です。
なのでメタリカを好きになったら全部聴いてください。
駄作はありませんから。
この記事でメタリカ熱がホクホクと上がってきたら、熱が冷めないうちにストリーミング配信で一気に聴いちゃってくださいな。
ストリーミングがよく分からない方には分かりやすく解説してますで参考にしてください⇩
このアルバムレビューを読んだ方が一人でも多くメタリカの素晴らしさに触れていただけたらこの上ない喜びです。
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