『メトロポリスPart2シーンズ・フロム・ア・メモリー』ドリームシアターが”らしくなって”戻ってきた!初のコンセプト・アルバム

 

本記事はプロモーションを含みます。

どうもSimackyです。

本日はドリームシアターの1999年リリース5作目アルバム

『メトロポリスPart2』

を語っていきたいと思います。

名曲『メトロポリス』の続編として生まれたアルバム

おそらくドリームシアターが好きな人で2作目『イメージズ・アンド・ワーズ』を聴いていない人などいないでしょうから、当然、2作目の収録曲(5曲目)である『メトロポリス』はご存知のことかと思います。

あのクソ長い複雑怪奇極まりない変態ソングにして至高の名曲です(笑)。

最初聴いた時は

「いやいやいや、やりすぎだろ!」

とはなるのですが、最終的には『イメージズ・アンド・ワーズ』の中で一番好きな曲になっちゃったりして。

「Part1」という表記がしてあったので、いつか「Part2」が来るのかと思ってはいましたが、それをアルバム1枚で作ってくるとは予想外でしたね。

「メトロポリス」といえばドリームシアターの超絶変態技巧を世界に知らしめた象徴のような曲なので、その続編となればやはりそういう作風になるのかな、と当時は予想してました。

「前作「フォーリング~」が大人しかった分、今回は暴れまくるつもりだぞ!」

と超絶変態技巧の嵐を期待した方も多かったのではないでしょうか?

それほど前作はドリームシアターらしさが鳴りを潜めたアルバムになってましたので。

しかし、蓋を開けてみれば、本作は私が想像していたものとは全然違っていましたね。

もはや迷いはなくなった!右肩下がりのセールス

前作が”らしくない作風”になってしまったのはセールス的な要因にあります。

ドリームシアターは2作目『イメージズ・アンド・ワーズ』でブレイクし、全米60万枚セールスを記録しました。

さらなるセールス的飛躍を期待されたのですが、3作目『アウェイク』があまりにもスルメ盤であったため、全米27万枚と売上を落とします。

ウ~ン、前作の半分。

前作#1の『プル・ミー・アンダー』のようなヒットシングルが出なかったことも要因ですが、結構ダークでとっつきにくい作風のため問題作扱いされました。

あの作風であればそりゃあそうでしょう(笑)。

内容的には実は最高だったんですけどね。

のあたりは語りまくってますので『アウェイク』の記事を読んでみてください⇩。

当時はすでにグランジオルタナの時代ですよ。

長尺の大作主義という、『トレンドとは真逆の音楽性』だったドリームシアターは、他の大勢のメタルバンド同様、方向性の転換を余儀なくされます。

レコード会社からは「プルミーアンダー」のようなヒットソングを強要され、自分たちの持ち味を否定されるような音楽性を求められたわけです。

テクニカルなインスト部分を大幅に減らし、長尺の曲も減らし…。

しかしそうして作った4作目『フォーリング~』はさらに売上を落としてなんと全米14万枚。

ウ~ン、前作の半分。

ずっと売上が半分になっとるやないかい(笑)。

これがどれだけヤバい状況か説明しましょう。

時代はまだストリーミング配信より以前の時代。

CDがガンガンに売れていた時代なんですよ。

CD販売のピークは1998年で、音楽産業全体としては1990年代という時期はマーケットがずっと拡大していた時期になります。

だからまあ普通に考えたら1992年リリース『イメージズ・アンド・ワーズ』の60万枚から右肩上がりに伸びていくことが期待されるわけですよ?

それがアルバム出すたびに前作の半分の売上になるってことがいかにやばいか分かるでしょ?

それほど、時代はメタルやプログレにとって逆風だったということです。

それを考えると、メタリカやメガデスは大変な苦労をして時流を乗り越えたんだなと思います。

「あんたたち(レーベル)の言う通りに演ったけどやっぱり売れへんやないかぁ!」

もう、ガックリきたと思いますよ。

音楽的に妥協したにも関わらず売れないのであれば、自分たちがやりたいようにやるしかない。

というわけで、『フォーリング・イントゥ・インフィニティ』では選曲漏れした『メトロポリスPart2』を拡大し、アルバムとしてリリースしようということになったんですね。

「もう失うものなんてあらへんのやから、腹くくって納得のいく作品作ったるで!」

そんなミュージシャンとしての心意気があらわれた非常にアーティスティックな本作は、なんとバンド初のコンセプトアルバム

まあ、プログレ・バンドはもともと大作主義だし、毎回アルバムに何かしらのコンセプトは大なり小なりあるので、それまでのドリームシアターからガラッと違う作風には感じませんよ。

コンセプトアルバムじゃなくても色々凝ったことをいつもやっている人たちなので。

マニアックではないし、ミュージシャンエゴむき出しのプレイの数々というわけではありません。

というより、コンセプトアルバムの敷居の高いイメージを覆す聴きやすさ

敷居の高さでは『アウェイク』のほうが数段上です(笑)。

そして歌詞もすごく分かりやすい。

けれども、この『分かりやすさ』が思わぬ落とし穴なんですよね。

まあこれに関しては最後にお話します。

妥協など微塵もない、思う存分に創作意欲をぶつけまくった本作は起死回生の力作と語り継がれてます!

最高傑作と呼ぶ人も多いですね。

『イメージズ・アンド・ワーズ』の次に多いんじゃないかな。

そんな起死回生の傑作の気になる売上は…

 

(ヒソヒソ)全米で12万枚

 

いや、さらに落ちるんかい(笑)。

しかし、ここで自分たちらしさを取り戻した彼らは、この後から現在に至るまでもれなく名作を生み出し続けます。

凄まじいクオリディの高さですから、1枚1枚気長にレビューしていきますよ。

それでは私のお気に入り曲から紹介しましょうかね。

『メトロポリス2』のおすすめ曲

前作でがっかりした人にとってはこれは最高の復活アルバムじゃないですかね。

「これぞドリームシアター」っていうフレーズがこれでもかと出てきます。

さらに疾走感のあるナンバーもあり、美しいバラードも健在で文句言うことがありません。

ただ、本作からギターリフの音が2000年代のメタルっぽいというか、ニューメタルっぽくなったというか。

同じヘヴィでも『アウェイク』と違い、オルタナティブの匂いがします。

分かりやすく言うとKORNのように極度に歪んだ音が入ってきますので、初期の2枚がが好きな人なんかはちょっと抵抗あるかもしれません。

この音は今後、11作目『ドラマティック・ターン~』までの7作品に大なり小なり必ず入ってきますね。

それが一番強いのが7作目『トレイン・オブ・ソート』、一番弱いのが8作目『オクタヴァリウム』というわけです。

ちなみに本作はちょうどいい塩梅で入ってます。

それでは、私が特に好きな3曲をご紹介しますよ~。

#5「第3場: II フェイタル・トラジディ」~Scene Three, Part II: FatalTragedy~

私がまずインパクトあったのがこの曲ですね。

凄まじいですよこの曲。

いやー、曲の冒頭からは信じられないほどに大化けします。

まあ、目まぐるしいことこの上なしです。

ブライアン・メイ(クイーン)のギターが出てきたかと思えば、そこからメタリカの『ワン』ばりにユニゾン決めて、今度は超ド級のヘヴィさでパンテラになり、極めつけがツェッペリンばりの切り裂くようなリフ!

やばすぎ!

そこからペトルーシの珍しくワイルドなソロと新加入ルーデスのキーボードが熱く火花をちらしてバトルしながらも、バックはカオスみたいなユニゾンを連発しまくり。

「あ~もうなんかわけわからん!」

と思うとピタリと止まり、そこから今度はファイナルファンタジーのボス戦のようなピコピコ音楽で疾走を始めます。

これまたかっこよすぎる。

やっぱこの人達変態です。

変態丸出しです(笑)。

#6「第4場: ビヨンド・ディス・ライフ」~Scene Four: Beyond This Life~

アグレッシブなナンバーが続きます。

のっけからワイルドなギターリフにツーバス(ドコドコ)も加わり爆走し始めます。

このアルバムで一番鳥肌立つ瞬間かな。

この曲も目まぐるしい展開。

序盤はスピーディで緊迫感がありますが、中盤は割りとグルーヴィーで気持ちいいんですよね。

なんか今度はディープ・パープルの『ハイウェイスター』みたいな決めがあったり。

ミディアムテンポのアメリカンハードになったかと思えば、途中まるでフランク・ザッパみたいなコミカルなフレーズが入ってきたり。

ドリームシアターって「これ知ってるかな!?」みたいに狙ってオマージュを入れることがこのアルバムからやたら多くなってるような。

レビューを読むと「使いまわし」だの「パクリ」だの書いてあるのも見ますけど、これはそんなんじゃなく、影響受けたバンドへの敬愛の念であり、音楽好きなファンとのコミュニケーションと言うかファンサービスと言うか(メガデスもよくやる)。

聴きながらニヤニヤしてしまいます。

皆さんも見つけてみてください。

#9「第7場: ザ・ダンス・オブ・エタニティ」~Scene Seven, Part I: The Dance of Eternity~

出た!

メトロポリスだ!

このアルバムが「メトロポリス」の続編であることを一番強く感じたのがこの曲を聴いた時でしたね。

「キタ~!!!」と思わずにはいられないインストゥルメンタルです。

しかし、意外だったのがチャップリンの映画で使われてそうなピアノプレイ。

こういうの『ラグタイム』っていう音楽ジャンルらしいですよ。

ジョーダン・ルーデスという人はミュージシャンとしての引き出しの多いこと。

#8「ホーム」ではシタールも弾いてるし。

ドリームシアターに新たなテイストを加えることに間違いなく大きく貢献しています。

その直後にマイアングの超絶ベースソロ。

そこからはもう何やってっか分かりません。

もうカオスです。

この人たちもうメカだ。マシーンだ。

『メトロポリスPart1』で感じたあの混沌から昇天していくような快感が再現されたのには驚きました。

「この程度は朝飯前」と言われた気がしたのは私だけ?(笑)。

ストーリーはファンタジーかと思いきや…

※この先はストーリーのネタバレを含むのでまだ未視聴の方は注意してください。

コンセプトアルバムって、人類の普遍的かつ壮大なテーマを扱ったり象徴的な表現をしたり…っていう抽象的・間接的イメージがあったのですが、このアルバムはえらく具体的で直接的です。

テーマは『輪廻転生』という普遍性のあるテーマなのですが、ストーリーの中心はなんと

サスペンスです。

『三角関係・痴情のもつれ・殺人』のお話。

「それ火曜サスペンス劇場に持っていくべき3点セットでは?」

っていう(笑)。

昼下がりの団地妻がよだれ垂らしそうな脚本というか。

「催眠術で前世の記憶に遡ってまで何見させられてんの?」

みたいな(笑)。

まあラストは意表を突かれはしますが。

私みたく歌詞を読まない派の人間は、音楽の壮大さに酔いしれていたのが、最近ストーリーを知って結構がっかりしました(笑)。

今回はブログを書くにあたり、何も知らないで書くわけにもいかなかったので歌詞も読んだし調べてもみたのですが…。

「凄いアルバムだ!」と褒めちぎるはずだったのが、思わぬ苦言をていするはめになっちゃいました。

ロックオペラを狙っているため、ストーリーが具体的すぎ、想像の余地がないというか。

「いや、今回の作品はアルバム全体で1つのストーリーを伝えて楽しませるっていう作風なんだから今回はそれ言っちゃいけないでしょ」

と言われればその通りです。

熊本県民の私が北海道のみそラーメン専門店に入って

「オレは熊本人だからとんこつラーメンじゃなきゃ駄目なんだよ!」

って言い出すようもの。

私がかなりわがままを言っているのは承知の上です。

ただお伝えしたいのは、ドリームシアターの音楽ってすごくいろんなイメージが湧いてワクワクする音楽なので、ストーリーで限定されるともったいないな、ってことです。

他のバンドであればこんなこと言いません。

それにドリームシアターの音楽は近未来的だったりファンタジーだったり、スペーシーな雰囲気を持っているので、『音楽の放つ雰囲気』と『サスペンスストーリー』というギャップに大きな違和感を感じてしまいます。

分かりやすく言うと、

「銀河帝国艦隊と同盟軍が宇宙大海戦をやっている!」

とかいうイメージで聴いてたら

「それ恋人が浮気してるとこを表現してんのよ」

って言われたようなものですよ?

「おい、最高の世界に浸ってたのに冷水浴びせんなよ!オレのワクワク返せ!」

っていう気分なんですよ(笑)。

その意味で言うと同じコンセプトアルバムでも13作目『アストニッシング』なんかは、ストーリー構想がもともとあってそれに合わせた音楽を当てはめていっているから、音楽の放つ雰囲気とストーリーの間のギャップがないんですよね。

皇帝の登場シーンではいかにも「皇帝が出てきてます!」っていう音楽になっている。

ゲームサントラ的というかね。

だから音楽聞いた後にストーリーを聴いてもあんまりがっくりこないというか。

CDの時代であれば最初から皆さん歌詞を読むので、私のように幻滅することは起き得ないのですが、これからのストリーミング配信時代であれば、私のような事が起きてもおかしくありません。

皆さん、歌詞を読まないというのも1つの楽しみ方ではありますよ。

DVDを見ることはオススメしません

このアルバムを解説するブログやレビュー記事では、歌詞・ストーリーも知ってこそ、この作品の本当の良さが分かるという意見が多いです。

さらには全曲を再現したライブDVDにストーリーの短編映画(30分程度?)が入っているからそれを見た方がいいという人もいるのですが、

私はおすすめしません

理由の1つは先程も述べましたストーリーと音楽世界のギャップ。

もう1つの理由はDVDで見られる短編映画の出来です。

私もYou Tubeにアップされてたのを見てみました。

私が見たのは完全再現ライブの合間合間に短編映画の映像が差し込まれるものなので、完全にDVDと同じものではないのかな?

確かに、作中の効果音だけでは何をしているのか伝わりにくかった状況が「あ、そういうことが起きてたのね」と全てはっきり分かります。

でも率直に言わせてもらえば、分かったから何だっていう。

観たくなかったし早く忘れたい。

役者たちの三文芝居が酷すぎて、度し難い。

しかも目にしっかり焼き付いちゃいます。

私が出演しても大差ないレベルです(失礼すぎ)。

「やめてくれ、これ以上オレの『メトロポリスPart2』を壊さないでくれ」

って気持ちになりました。

大好きな曲をカラオケで歌おうとしたら、モニターに映る『時代錯誤の昭和の映像』で気分をぶち壊しにされた時あるでしょ?

あれみたいなものです。

「いや、そんな世界観ちゃうねん!そもそもお前誰やねん!」みたいな人ばっかりが出てくるでしょ、あのモニター?

「今どき聖子ちゃんカットの女子はいねぇだろ!男のお前もTシャツをジーパンにインするのはやめろ!」っていう。

なんかあれ観て以来、本作聞いてて嫌などろどろした気分になっちゃうんですよね。

このトラウマを払拭するために、今は『オクタヴァリウム』(8作目)流しながらこの記事書いてるくらいなんですから(笑)。

私の結論を言うとこのアルバムは、音楽を聴いただけの状態が完璧。

そこがピークで、歌詞を読んで減点、映像を見るとさらに減点…

といった感じですね。

あ、ただ、全編再現のライブ自体は素晴らしいのでDVD自体を否定はしていないですよ。


はい、本日は『メトロポリスPart2』を語ってまいりました。

こんなプレゼンで果たして聴こうと思うのかね?(笑)

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