森高千里 楽曲解説 オリジナルアルバムに未収録の楽曲を紹介②
どうもSimackyです。
森高千里のオリジナルアルバム未収録全37曲を時系列順に紹介していく今回の企画。
前回は1988年『CHASE』~1992年『自転車通学』まで、17曲を解説しました⇩。
今回は残り20曲をダダ~っと駆け抜けますからね。
- 18.『ライター志望』1993年1月
- 19.『九州育ち』1993年10月
- 20.『ロックン・オムレツ』1994年1月
- 21.『こわい夢』1994年5月
- 22.『素敵な誕生日』1994年10月
- 23.『二人は恋人』1995年2月
- 24.『今日から』1995年3月
- 25.『忘れ物』1995年10月
- 26.『一月一日』1995年12月
- 27.『千里サンバ』1996年2月
- 28.『むかしの人は…』1996年6月
- 29.『未来』1997年6月
- 30.『パッパッパヤ』1997年11月
- 31.『DRAGON』1998年3月
- 32.『SLEEPLESS NIGHT BLUES』1998年7月
- 33.『冷たい月』1998年10月
- 34.『私のように』1999年3月
- 35.『SPACE』1999年3月
- 36.『まひるの星』1999年5月
- 37.『EVERYDAY』1999年5月
18.『ライター志望』1993年1月
今や森高の代表曲となったシングル『渡良瀬橋』との両A面シングルとしてリリースされました。
あの『渡良瀬橋』と両A面を張るだけあって、この曲もかなりの名曲です。
『クイズ!純粋男女交遊』というテレビ番組のエンディングテーマとして『どっちもどっち』に引き続き、森高の楽曲が採用となりました⇩
2:40あたりからエンディングが流れ始め、最後はちゃんと森高のクレジットも出てますね。
ってか板東英二懐かしっ(堀越学園同期の山瀬まみまで出演してるし:笑)
こういう番組を見ると、この楽曲もかなり昔なんだなと、実感できるな~。
「夢のない男より夢のある女」
なんて強烈な歌詞だ(笑)。
こちらはラッキー7ツアーでのライブ映像⇩
19.『九州育ち』1993年10月
意外かもしれませんが、初のオリコン1位となったシングル『風に吹かれて』のカップリングです。
私は全アルバム解説の中で、この頃の森高の声を”キャリア最高の美声”と書きましたが、それはこの『九州育ち』でも十分堪能できますね。
ぶっちゃけ、この声で歌えばすべてが名曲になりそうな気がする(笑)。
森高得意のローカルソングで、長崎や宮崎といった
いかにも熊本県民がチョイスしそうな旅行先
が出てきてクスッとしてしまいます。
森高の楽曲ではおそらく最初で最後となるスライド・ギターが駆使されていますが、これは楽曲制作者である斎藤英夫自らが弾いてます。
っていうか、このシングルは両曲ともボーカル・ドラム=森高、他のすべての楽器を斎藤英夫が演奏しており、二人だけで完結している曲なんですよ、実は。
森高と斉藤のコンビが最高のケミストリーを生み出していた証拠だし、この時期のシングルは軒並み好セールス、アルバム『ステップ・バイ・ステップ』は57万枚という、売上実績にも表れてます。
20.『ロックン・オムレツ』1994年1月
まるでNHK「みんなのうた」で流れていそうな曲ですが、それもそのはず。
『ポンキッキーズ』のオープニング曲用に作られてます。
歌詞のお気楽感がまさにポンキッキって感じなのですが、バンドサウンドがビートルズっぽいので、ビートルズをよくBGMに使っていたポンキッキにピッタリハマっているのがウケる。
ちなみにポンキッキーズの映像は⇩
「懐かしいっ!!!」
っていうコメントが尋常じゃない数でコメントされてて笑えます(笑)。
これね、名曲とは思いませんが、かなり好きです。
好きだし、この平和な日常の歌詞って、森高じゃないと書けないと思います。
「オムレツ上手は料理上手 料理上手は愛情上手 パパもママには愛され上手」
もう天才(笑)。
シングルカットの予定がなかったのに、ポンキッキの視聴者からリクエストが殺到したからリリースすると
10万枚セールスでコカしてしまう
というオチまで付いてきます。
21.『こわい夢』1994年5月
41万枚を売り上げて、森高のシングルで3番目に売れた曲『夏の日』のカップリング曲です。
B級感が漂っており、『ステップ・バイ・ステップ』に収録されなかったことも納得の楽曲です。
こんなビートルズっぽいサウンドじゃなく『ROCK ALIVE』の頃のハードロック、もしくはメタル調で仕上げていれば楽曲はもっと輝いたと思うんですがね。
要するにこのボーカル展開に対してギターの音が弱すぎなんですよ。
ボーカルメロディに光るものがあるだけにちょっと勿体ないかな。
22.『素敵な誕生日』1994年10月
アイドルのイメージがあるから意外かもしれませんが、森高がシングルでオリコン1位を獲得したのは『風に吹かれて』とこのシングル『素敵な誕生日』のみ。
『ロックン・オムレツ』よろしく、この曲には“湿り気”が一切なく、カラッと仕上がってます。
って唐揚げの食レポかて。
『気分爽快』から引き続き、アサヒビールCMとのタイアップですね。
ほのぼのしてて悪くはないのですが、同じ1位でも『風に吹かれて』とは雲泥の差で、心にぐっと響くものはありませんでした。
『ジン・ジン・ジン』あたりからタイアップも安直・お手軽に作って、とても音楽としては褒めれたものではなくなるのですが、この頃まではギリギリ許容範囲かな?
でも、このあたりからいずれはそうなる気配が漂ってはいますね…。
23.『二人は恋人』1995年2月
森高最大のヒット曲で44万枚を売り上げました。
ヒットしただけでなく、森高屈指の名曲でもあります。
そして森高ボーカルの最高峰でもあると思います。
それほど透き通っていて、伸びが良く、色気も可愛さもある。
オリジナルアルバムでのピークが『ステップ・バイ・ステップ』であるならば、シングルでのピークはこの『二人は恋人』で決まりです。
セールス的にも内容的にもです。
このシングルから2年後の『レッツ・ゴー』『スウィート・キャンディ』の頃には、もはや10万枚にさえ届かなくなるなんて、誰が予想したでしょう。
24.『今日から』1995年3月
137万枚を売り上げプラチナセールスを記録したベスト盤『DO THE BEST』に収録された中では唯一のオリジナル楽曲です。
その中に入れるとあって、かなり気合い入れて作られてます。
名曲オンパレードでまさに「森高の決定版!」とも言える楽曲が並ぶ中、見劣りしないのがスゴイ。
決して派手ではなく、静かな楽曲ではあるのですが、あえて抑えめにしたアレンジだからこそこの歌詞にはまる。
自然体で等身大。
大げさではなく、ドラマティックではなく、キャリアのピークに差し掛かった森高が、ただ淡々とこれまでの人生を振り返るような歌詞で、心に染み渡ってきます。
この曲でアルバムを締めるからこそ、『DO THE BEST』は良いんですよね~。
でも意外にも『DO THE BEST』ライブではやらずに、『TAIYO』ツアーで2回目のアンコール曲として最後の最後で演奏されます。
森高も感極まって、曲の途中で声をつまらせているシーンではかなりぐっと来るものがありますよ。⇩
25.『忘れ物』1995年10月
シングル『休みの午後』のカップリングですね。
『休みの午後』がシングルとしての存在感薄いから、当然そのカップリングならばほぼほぼ存在感ゼロです。
そんなに悪い曲じゃないですけど、良い曲でもないかな。
26.『一月一日』1995年12月
シングル『ジン・ジン・ジングルベル』のカップリング曲です。
『ジン・ジン・ジングルベル』がクリスマスソングだったので、カップリングは正月ソングになっているというわけです。
粋なことを(笑)。
昔からある日本の曲なのですが、こうしてあらためてちゃんと聞くことってないから、なんかありがたいですよね。
原曲は聴くことなさすぎて、替え歌の「と~しのは~じめーのー、かーくーしーげい~」の方が覚えてる人多いと思う(笑)。
27.『千里サンバ』1996年2月
シングル『SO BLUE』のカップリングです。
タイトルがこれだからかなり期待するのですが、別にノリノリソングというわけではありません(サンバのリズムではありますが)。
カフェなんかで流すには最適で、その意味ではアルバム『ピーチベリー』にインストなんか入れずにこれを入れればよかったのに。
28.『むかしの人は…』1996年6月
森高のセールスに陰りが指してきたことを予感させたシングル『ララサンシャイン』のカップリング曲です。
曲調的にはさっきの『千里サンバ』と似たりよったりなのですが、こっちは森高独特の歌詞が炸裂してます。
まるで小学生が率直に思った疑問そのままを歌詞にしたようです(笑)。
別に昔の人が風呂に入っていたかどうかなんて…
これ歌詞にするか?
29.『未来』1997年6月
シングル『スウィート・キャンディ』のカップリングです。
実は熊本で開催された第54回国体のテーマソングなんです。
なので、歌詞にも
「阿蘇を目指して出かけよう」「ここは火の国燃える火の国」
とか出てくるんですね。
う~ん、でもこれって国体用の歌っていうより
阿蘇の観光PRソング
っていう印象しか残らないんだけど(笑)。
30.『パッパッパヤ』1997年11月
シングル『SNOW AGAIN』のカップリング曲です。
なんかこうして順番に書いてくると、ちょっとこの手の曲調が多すぎると実感しますね。
癒やしの曲調でBGMにぴったりっていう。
つまり森高の個性がどんどん無くなっちゃってるんですよね。
昔はシングルのB面だからこそ、森高の変なテイストが濃厚に出ていたものなんですが。
そしてやっぱりアルバムもそういう個性がどんどん無くなっていっちゃいます。
31.『DRAGON』1998年3月
シングル『電話』のカップリング曲です。
森高のテイストどころか森高のボーカルそのものが無くなっちゃいました(笑)。
インスト曲です。
こんなんやるくらいなら森高のドラムソロを10分くらい入れてくれたほうがまだ楽しめるのに。
これじゃあビートマニアだよ。
32.『SLEEPLESS NIGHT BLUES』1998年7月
シングル『海まで5分』のカップリング曲です。
ジャズやブルースの夜のムードたっぷりです。
さっきから思うんだけど、こういう曲を森高に歌わせても、ハマってないし、新たな魅力が発掘されてる、とかいうわけでもないです。
中途半端。
33.『冷たい月』1998年10月
はい、ここからのシングル曲は、森高がアルバム『SAVASAVA』を最後にオリジナルアルバムを作らなかったので、未収録となります。
もうどうすればいいのか分かんないくらい煮詰まっちゃってる感じ。
まともな感覚であれば、このクオリティでシングル勝負しようとは思わないでしょう。
タイアップしても10万枚に届いていないのに、タイアップしなけりゃ1万枚にもなるわけです。
34.『私のように』1999年3月

19049-35-5
こういうのを待ってた。
もうさっきからレビューするのが苦痛になってきてました(笑)。
それくらい後期の森高の楽曲は首をひねるものが多い。
初期であればB面であってもそれなりの面白さ、いや、B面だからこその面白みがあったものなのに、後期はA面であってもつまんなかったから。
もはや既存ファンが完全に離れてしまったため、セールス的には1万枚しか売れませんでしたが、これは文句なしの出来栄えです。
これ、キリン『ナチュラルズ』ていうドリンクCMのタイアップなのですが、歌詞がモロにタイアップ意識している割には、楽曲はそれと別にしっかり作られてます。
こちらがCM⇩
いいですよこれ!
CDの時代であれば、おそらく殆どの方が聴いたことないと思うので、ストリーミングの時代だからこそ聴いてみてください。
隠れ名曲認定です。
35.『SPACE』1999年3月
シングル『私のように』のカップリングです。
ほぼインストです。
だからもうこういうのはいいって…。
36.『まひるの星』1999年5月
最後にリリースされたシングルが『一度遊びに来てよ』のセルフカバー『一度遊びに来てよ’99』なので、オリジナル新曲としての実質最後のシングルがこの曲ということになりますね。
そしてその曲を作ったのはなんと
スガシカオ。
斎藤英夫、伊秩将弘など、森高を支えてきたソングライティング陣が離れていき、セールスも落ち込み始めてきた時期に、森高が直談判で直接メールを行い依頼した経緯があります。
アルバム『SAVASAVA』収録の『たんぽぽの種』に続き、楽曲提供してくれました。
『私のように』ほどの手応えはないにしても、これも十分及第点で、オリジナルアルバムに入れても差し支えない内容だと思います。
37.『EVERYDAY』1999年5月
セルフカヴァーであるシングル『一度遊びに来てよ’99』のカップリングです。
これも『まひるの星』同様、『私のように』には及びませんがいいですよ。
ここらへんの3曲の変化って、まず森高のドラムではなく打ち込みドラムになっていること、そして気付きにくいけど、
森高のキーを実はかなり下げている
ことが挙げられます。
だから腹の底から声を出していない感じというか、いまいち感情移入がしにくいというか。
熱唱ではなく、サラッと歌いすぎてるんですよね。
このあたりが後期森高に物足りない部分の正体でしょうね。
いや~、なんか書いているうちに落ち込んできた未収録解説の後半戦だったのですが、最後のほうでこれらの曲があってくれたおかげで救われました(笑)。
はい、というわけで、今回は2回に分けてオリジナルアルバム未収録曲37曲を紹介しました。
「一体どんだけの長さになるんだ?」
と心配しましたが、たったの1万字ちょいで終わりました。
うーむ、やっぱり未収録曲だけあって名曲だらけではないので、そうなるわな。
ま、でも、森高の熱心なファンの方であれば是非ともこれを参考にしながら、ストリーミングで聴いていってみてくださいな。
森高というアーティストの全貌を知るためのお役に立てたら嬉しいです。
それではまた!