イエローモンキー『スパークルの惑星X』ツアー ブロック3セットリストに見るイエモンの気概
どうもSimackyです。
本日は2025年3月7日に行ってきましたイエローモンキーのコンサート
『スパークルの惑星Xツアー ブロック3初日 熊本城ホール』
のセットリスト公開と感想をたっぷり語っていきたいと思います。
この後、ブロック3を観に行く予定の人で、セットリストのネタバレが嫌な人は、ライブ終わってからまた読みに来てくださいな。
『スパークルの惑星Xツアー』概要
今回のツアーはイエモンが2024年10月にリリースした最新アルバム『スパークルX』にともなう全国ツアーで、前回の全国ツアー『グレイトフル・スプーンフル・ツアー』(2019年で全27公演)以来5年ぶりとなります。
2020年からコロナ禍が始まったし、ロビンの喉の件もあったから、めっちゃ久々なんですよ、実は。
今回は2024年10月~2025年6月まで、足掛け9ヶ月で全35公演が行われます。
2016年の再結成以降のツアーとしては最大規模ですよ。
もうメンバーの中には還暦を迎えている人もいるというのに(カニさんとか)、地方都市まで全国津々浦々まで回ってくれるメンバーたちには頭が上がりませんよね。
とは言っても、かつて1990年代の『パンチドランカー・ツアー』の時のように、2~3日に1公演というハードすぎるスケジュールではなく、1週間~10日で1公演というペースなので、ずっと旅路で家に帰れない、というわけではなく、各公演が終わるごとに一旦東京に帰って、また公演前日に現地に向かう、みたいな感じなんじゃないかな?
広大なエリアを回るアメリカツアーとかならこんなことはできないでしょうが、ここは島国・ジャポンなのでそれも可能というわけです。
スケジュールを見てちょっと安心しましたよ。
余裕のある時代になったものです。
こうして現代の感覚で昔のツアースケジュールを見ると、ほぼバンドのことを人間として見ていないと言うか、
強制労働を課された奴隷のように見えますからね。
一体誰の都合であんな事になっていたのか教えてもらいたいぐらいです。
んな過酷なことさせるから、バンドが精神的に消耗して、ストレスからメンバーの人間関係が崩れて解散に繋がっていた側面は間違いなくあったと思うんですよね。
現代のようなペースでできるのであれば、今後もなんの心配もせずに見守れそうですよね。
ツアーは、開催順でブロック1~3,そして追加公演であるファイナルブロックと、4つのブロックに別れてます。
すでに2025年2月までの時点でブロック1~2が終了し、私が今回行きました3月7日の熊本公演からブロック3がスタートしました。
『スパークルの惑星Xツアー』の最大の特徴
さて、『ブロック』に分かれているとは言え、各ブロックが終了するごとに休止期間が大幅に入るのかと言うと、実はそうではなく、それまで通りのペースで進行していきます。
ブロック2が終了したのが2月23日でブロック3の開始は3月7日。
その間12日。
この程度の間隔はブロック中でもあったりします。
それではブロックを分ける理由は何なのか?
それは
セットリストの違い
です。
今回のセットリストの特徴は、
新作『スパークルX』と過去のアルバムとのバトル
にあります。
『コラボ』と表現せずにあえて『バトル』と表現したのは理由があります。
それは、
『スパークルX』の楽曲たちに過去のアルバムの1枚をぶつけている
ようなセットリストに感じたからです。
ブロック1ではそのぶつけた1枚が4作目『ジャガー・ハード・ペイン』、ブロック2では5作目『スマイル』になります。
『ぶつける』とは穏やかじゃない表現のように感じるでしょ?
「ちょっと間に差し込んだだけでしょ?」
と思うでしょ?
けどね?
新作からの曲数と特定の旧作1枚からの曲数が同じ割合
なんていうセットリストを見たことありますか?
ましてやこれ一応、新作『スパークルX』を宣伝するためのプロモーション・ツアーなんですよ?
これじゃあどっちが新作(主役)だか分かんないじゃないですか。
私も今回のブロック3に行く前に、ブロック1,2のセットリストを調べてみて驚きましたよ。⇩
(ブロック1)
スパークル9曲 ジャガー9曲
(ブロック2)
スパークル9曲 スマイル8曲
※SE『考える煙』は除き、アンコール曲は含みます。また『スパークルXコンプリート・エディション』のみに入っている曲(『Kozu』『未来は見ないで』)も含んだ曲数です。
これですよ!?
まるで
「俺達の新作と旧作をエコ贔屓(ひいき)なしに同等に扱うから、どっちのアルバムからの曲がいいか、あんたらが判断してくれ。どうだい?俺達の新作は過去作に負けてるかい?」
って挑発されているかのようなセットリストだと感じたわけなんですよ。
これってすごい自信だと思いませんか?
1990年代に黄金期を終えた世界中の多くのバンドが2000年代に再結成をしましたが、それらの再結成はかつての名作たちに“おんぶに抱っこ”の状態で活動している印象があります。
いわゆる“過去の名声で活動してるバンド”っていうのが多いです。
ツアーのセットリストはほとんどが旧作からの代表曲で固めてます。
新作リリースしたって
「やっぱ全盛期の作品には全然及ばないよね」
って毎度毎度こき下ろされて、セットリストにいいとこ1,2曲しか入れることができません。
それくらい、『自分たちが過去に生み出した名曲たちの中』に分け入っていける楽曲を生み出すなんて、これはもう至難の業なんですよ。
それが再結成バンドの実態ですよ、世界中で。
悲しいことに、私の大好きなXだって、再結成後は新作で勝負なんて出来てませんでした(その前に新作アルバムを出してさえないじゃん…)。
再結成後も奇跡の充実作を連発しているLUNA SEAですら、ここまで大胆で挑発的なセットリストはやってません。
解散無しでずっとやってきてるバンドだって、最新作メインのセットリストで勝負できているバンドなんてどれほどいるというのでしょう?
ストーンズだってエアロスミスだってキッスだってメタリカだって出来てませんよ。
すなわち、イエモンは過去の名声で活動しているバンドではなく、現在進行系としてミュージックシーンの第一線で勝負しているバンドなわけですよ。
若者バンドたちと同じ土俵で勝負してるんですよ。
その気概がこのセットリストに表れている、と感じたんですよ、私は。
かっけぇな~…。
惚れ直すぜ、イエモン。
まあ、これらはあくまで私の勝手な妄想であって、バンド側が言っていることではないですよ?
ひょっとしたら姑息なロビンのことだから
「こういうやり方すれば、会場の物販で旧作アルバムを買っていく人が増えるから、物販で売れるCDの枚数が増えるじゃん!さらに今後のアニバーサリー盤の拡販に繋がるし一石二鳥!ナイスアイデアだな、これ。ウッシッシ♪」
とか考えてるだけかもしれませんが。
こら!ここまで上げといて最後に落とすな!
俺達のロビンがそんな姑息なこと考えるわけ無いだろ!
ロビンは「ウッシッシ♪」なんて言わないぞ!
そういうのは楽屋かキャバクラでだけだ!(いい加減怒られるよ?)
それでは、今回私が行ったブロック3初日の熊本公演では、その自信の新作に対して、どのアルバムをぶつけたのでしょうか?
『スパークルの惑星X』ブロック3セットリスト
今回ブロック3でぶつけた作品はこれです⇩
出た~~~~!!!
黄金期の大名盤であり、個人的にイエモンとの出会いのアルバムであり、個人的に最高傑作と位置づける
『フォー・シーズンズ』
でした。
『スマイル』と同じく30周年なんで、8割がた予想出来てはいたのですが。
このアルバムがどれだけ偉大で、どれだけ大好きなのか、とくと語った過去記事がありますので、読んでみてください⇩
私はどんだけ幸運なんでしょう!
私なんて会場の選択肢の余地などなく、地元の熊本城ホール一択ですよ?
それが一番大好きなアルバムにあたるなんて!
しかも私が高校の頃イエモンと出会ったのも、『フォー・シーズンズ』ツアー(1995年)の熊本公演のテレビCMで『太陽が燃えている』が流れていたことがきっかけだったんですよ!?(イエモンが熊本に来るのはこの時が初めて)
あの時行けなかった熊本公演、あの時たっぷり生で聴きたかった『フォー・シーズンズ』の曲たち…。
それが30年も経ってまさか実現できるなんて、これはもう夢のようではないですか!
もう『フォー・シーズンズ』との間になにやら運命的なものさえ感じます。
今年の俺はツいてる!
あれ?今年のおみくじは『小吉』だったはずなのに!
小吉っつぁん、あんたナイスや。
きっと小吉っつぁんの持てる限り運を使ってくれたんやね。
今後は小吉っつぁん…いや、小吉さまは格上げの扱いにして、引いたときは大吉以上に喜びますから許してくんなませ。
いやいやいや、しかししかししかし、
このアルバムと勝負するのはハードル高すぎでしょ?
大丈夫か?『スパークルX』…。
と、言うわけで、ブロック3初日、熊本城ホールのセットリストがこちら⇩
S.E 考える煙
1.スイート&スイート
2.罠
3.シャイン・オン
4.エグザウスト
5.ドライフルーツ
6.アイ・ラブ・ユー・ベイビー
7.ピリオドの雨
8.ラブ・ソース
9.ラプソディ
10.メイク・オーバー
11.月の歌
12.ソナタの暗闇
13.太陽が燃えている
14.ファザー
15.空の青と本当の気持ち
~アンコール~
16.パンチドランカー
17.追憶のマーメイド
18.ビーバー
全18曲中、
『スパークルX』から8曲
『フォー・シーズンズ』から9曲
『パンチドランカー』から1曲
となりました。
なんとなんと!
ブロック3にしてついに新作よりも旧作の曲数が上回りました(笑)。
『パンチドランカー』が演奏されたのはアンコール枠で、この枠は他のブロックを見る限り、どのアルバムからでもありの枠のようですね(『バラ色の日々』『BURN』とかもやってたし)。
『スパークルX』収録のキーが高い曲たちは、喉の調子が心配されるロビンの負担を考えてセトリから外される傾向があります。
『透明passengar』はブロック1のセトリから今回までずっと外されていて、『ホテルニュートリノ』はブロック1のみで半音下げで演奏。
そして今回のブロック3熊本公演では『Beaver』をアンコール・ラストでついにやってくれましたね。
ロビンがMCで
「喉の調子があれだからサビの部分は皆で歌ってくださいね。
会えない夜はBeaver 前歯を出してBeaver
ですからね?」
ってちゃんと講釈までつけてくれたので、私のような歌詞を読まない派の人間でも、一緒に歌うことが出来ました(まあ、あの高さは出てないけど:笑)。
熊本公演の感想
いや、正直言って驚きましたよ。
何にかって?
『スパークルX』の楽曲たちの強さにですよ。
もうね、予想では『フォー・シーズンズ』色に塗りつぶされるライブになるかと思ってたんです。
会場入りすると、お客の年齢層も私くらい、もしくは私より上の50代が非常に目立つし。
言い方悪いけど
「ここは『のど自慢』の会場かよ!?」
って思うくらい(それだと70代だろ)。
『スパークルX』なんて全然聴いてなくて、昔の懐かしさで来ている年齢層のお客たちに見えたんです。
で、SE『考える煙』が終わって、のっけから1曲目がいきなり『スイート&スイート』なのにですよ?
全体的には『フォー・シーズンズ』からの楽曲数の方が多く演奏しているのにですよ?
最後まで
『スパークルX』のツアーだという印象を強く残しました。
それくらい『スパークルX』からの楽曲はかっこよかったし、存在感がありました。
何より驚いたのは、『フォー・シーズンズ』からの楽曲が始まる時より、『スパークルX』からの楽曲が始まる時のほうが、歓声が大きかったんですよ!
っていうか、『フォー・シーズンズ』からの曲が始まると
シーーーーン
みたいな(笑)。
いやいやいや、『ピリオドの雨』とか『月の歌』とか、そりゃ地味なナンバーではありますが。
けど、下手すりゃ30年ぶりとかにライブで演ってんのよ?
かなりのレア曲ですよ?
私はもう鼻血出る寸前だったんですけど。
てめぇら、もっと有難がれ。
昔のアルバムをあんまり知らないかのような印象でした。
さすがに『太陽が燃えている』では全体的に爆発しましたが、アンコールの1曲目『パンチドランカー』で狂喜乱舞する私と周囲の観客たちの温度差(笑)。
まるで俺一人だけ滑っちまったみたいじゃねぇか。
運悪く私の席は2階の最後列だったため、会場の全体が俯瞰して見れる位置だったので、観客の反応がよく分かりましたね。
ってことは、この人たちって『スパークルX』聴きたくて来てる人たちってこと?
すっげぇな、『スパークルX』すっげぇ…。
ライブ盤『ライブ・ラウド』を聴いた時も、往年の名曲たちの中に混ざって存在感を放つ『9999』からの楽曲には驚かされたものですが、『スパークルX』の楽曲たちも同様の存在感でした。
またしてもやられましたよ。
ここである疑問が確信に変わりました。
イエモンは再結成後に生み出した作品たちで新規ファンを増やしている。
旧来ファンをノスタルジーで喜ばせるだけのバンドなんかじゃない。
今現在の作品で勝負しているし、その作品たちは黄金期の作品たちに引けを取らないほど観客を魅了している、と。
そりゃ2019年のドームツアーだって埋まるわけだ…。
それからもう一つの事実が分かりました。
音楽っていうのはそれを作った時に演奏している時が一番リアルで説得力があるんだと。
かつての名曲たちは、その時のイエモンが演奏していたからこそリアルなんです。
もう、20代の頃の彼らと同じ感性ではないし、今の彼らのグルーヴは、20代の頃とは違う。
そんな彼らが過去の名曲をやっても、あの時と同じようにはならない。
今の感性で作った楽曲たちを、今の彼らが演奏していることの方が強い。
しかし、それは現在生み出されている楽曲たちのクオリティが高くないとそうはならない。
今の楽曲たちに彼らの“今の感性”“今のグルーヴ”が100%表現できているからこそなんだと。
つまり、それだけ純度の高い自己表現を今でも維持できているってことです。
若い頃と変わらない“熱”を楽曲の中に込められているってことです。
おそるべし、再結成後の還暦前バンド(言い方!)。
個人的には『フォー・シーズンズ』が大好きなアルバムなんで、13.『太陽が燃えている』14.『ファザー』15.『空の青と本当の気持ち』のラスト3曲はもう夢見心地だったのですが、
「この日のハイライトがどこだったか?」
と聞かれれば、やはり9.『ラプソディ』10.『メイク・オーバー』そして『月の歌』を挟んでの12.『ソナタの暗闇』になるんじゃないかな?
「ほんっと、いい曲だよな~」
ってしみじみ思いましたもん。
はい、というわけで今回は2025年3月7日『スパークルの惑星Xツアー』熊本城ホール公演を観ての感想、セットリストをたっぷり語ってきました。
この人たち、やっぱやばいです!
きっと彼らが引退した後10年くらい経って、全カタログが後世になって再評価される時に、人気上位に再結成後のアルバムたちがひしめく可能性さえあります。
いま現代では『シックス』や『フォー・シーズンズ』が最高傑作とか言われてますけど、10年後にもそのままかと言われると…これは本当に分かりませんね。
それほどすごい作品を現在進行系で生み出しているんですよ、我らがイエモンは。
そんなバンド、世界中見渡したっているのかな?
今後もイエモンから目が話せませんぜぃ!
Simackyでした。
それではまた!