『フォー・シーズンズ』ついにイエロー・モンキーが大ブレイク!
本記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日は1995年にイエローモンキーがリリースした6作目のオリジナルフルアルバム
フォー・シーズンズ
を語っていきますよ。
私にとってイエモンとの出会いとなった作品であり、
1990年代の日本のロックにおける大名盤
と呼んでも言い過ぎではないでしょう。
イエモンは次作『Sicks』が最高傑作と呼ばれることが多いのですが、本作をそう呼ぶ人もかなり多いんですよ。
私もその1人です。
やっぱりバンドがブレイクする時の作品っていうのは、言葉では説明できないエネルギーを持ってるものです。
だってそれまでイエモンに見向きもしなかった一般リスナーを軒並み振り向かせるっていうのは、とんでもないパワーが必要なわけで。
こうして語っているだけでも鳥肌が立ってきます。
もう語りたくて語りたくてアドレナリンが…(笑)。
鼻血を拭くティッシュを準備して読み進めてください!
苦節3年…イエモンがついに大ブレイク!
通算4作目となる『ジャガー・ハード・ペイン』がセールス的に振るわなかったことを受け、イエモンは前作『スマイル』より『売れるための音楽』に音楽性をシフトします。
ここからのイエモンは怒涛のリリースラッシュに入ります。
1994年7月シングル『熱帯夜』59位
1995年1月シングル『ラブ・コミュニケーション』29位
1995年2月アルバム『スマイル』4位
1995年3月シングル『嘆くなり我が夜のファンタジー』39位
1995年7月シングル『追憶のマーメイド』19位
1995年9月シングル『太陽が燃えている』9位
1995年11月アルバム『フォー・シーズンズ』1位
…と、わずか1年半くらいの間に
シングル5枚、アルバム2枚
も出すんですよ!
とんっでもないペースです。
「ここが勝負時だ!!!!」
と言わんばかりにもう畳み掛けてますね。
「本当にやりたいことしかやりたくないんだけど、レコード会社もうるさいし…」
みたいな迷いとか躊躇とかは一切なく
「絶対売れてやる!」
という覚悟さえ感じます。
飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこのことですね。
そして本作においてついに念願のオリコン1位、本作の直後にリリースされる『JAM』にて6位という大ヒットを飛ばし、イエローモンキーのミュージックシーンにおける人気・地位は盤石のものとなります。
つまりこの1年半というのはイエモンが日本の頂点に行き着くまでの怒涛のリリースラッシュ期というわけです。
等身大で大人の深みを放つようになった
ダークな歌詞や雰囲気、またデビッド・ボウイらグラムロックからの影響が減退し始めたのは前作『スマイル』からで、かなり『ポップ化』したのですが、本作は『ポップ』という流れは継承しつつも、雰囲気はガラッと変わります。
何がどう変わったのか?
より『等身大の人間味』を感じさせる作風になったということです。
それは歌詞に顕著です。
すごく雑にぶっちゃけるとそれまでの歌詞は
「何を歌っているのか分かりにくかった」
身も蓋もねぇな(笑)。
ロビンに謝れ。
言い方ってもんがあるだろう?
言い換えると、
「抽象的で想像する余地がある歌詞」
だったということです。
歌詞には色んな役割があっていいと思います。
いつだって何言っているのか分かって、メッセージ性があるものがいいというわけではなく、なんとなく意味が分かる程度であとはリスナーの想像に任せるっていうのも歌詞のあり方として全然いいわけで。
その方が、曲のイメージを狭めないし。
私はそっちがいい、というよりもそもそも歌詞はほぼ読まない派なんですよ。
歌詞で楽曲のイメージを阻害されたくないから。
ただ本作は、そんな読まない派の私にもグサグサと刺さってくるんですよね。
またそれまでは、扱っている題材に関しても、非現実的(身近なものでない)だったり、究極の状況下における人間の心理とか、狂気だったりとか、あんまり身近な題材でなかったですね。
イエモン聴いてて
「それ分かる~!」
って感じるようなことは殆どなかったですね。
『共感』というよりは、『フィクション(物語)を楽しむ』、みたいな感じでした。
それが本作では歌詞が物凄く分かりやすいし、題材が身近で非常に共感を呼ぶんですよ。
そもそも日本語の比率が格段に増えてることに気がつくはずです。
これは意識的にやってます。
洋楽コンプレックスのロビンが開き直って、日本語表現の才能を開花させてます。
しかも韻の踏ませ方だったり、ビートへの乗せ方だったりがすごく上手くなっているので、聴き終わったあとに印象的な『言い回し』がやたらと胸に残る作品ですね。
ワンセンテンスがグサッとあなたのハートに響いて来ると思いますよ。
歌詞もそうなのですが、サウンドの雰囲気、メンバーのプレイに関しても変わりました。
サウンドは『質素』になりましたね。
『貧弱』とか『地味』ということじゃありません。
ありきたりの表現をすれば『シンプル』。
『スマイル』のようなゴージャスさがないですね。
なので前作の流れから来た人だと
「あれ?地味になった?」
と感じる人もいるかも知れません。
けど、ジワジワきて、しまいには一番好きになりますよ。
これってレッチリで言うと『マザーズミルク』の次に『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』が出た時の作風の流れによく似ています。
ここで説明はしませんが、知ってる人には一発で伝わる例えじゃないかなと思います。
音楽って絵画とかと同じで『終わりがない』と思うんですよ。
絵画なんて、どこまで加筆すれば終わりかなんて決まってないから、不安であるほど、自信がないほど、
「もうちょっと加えたほうがいいかな…?」
ってどどんどん加筆していくと思うんですよ。
音楽もそうだと思います。
「もっとシンセとかで他の音色も入れたほうがいいかな…?」
ってなるのは、現在録っているギター、ベース、ドラムのフレーズに自信がなかったり、物足りなかったりするから。
けど、それらが十分魅力的ですばらしければ
「これで完璧!他に何もいらねぇ」
って堂々と終わらせられる。
その潔さこそが『自信』だし、極力シンプルに仕上げてある本作からはその『自信』がビンビン感じられるんですよね。
実際フレーズも秀逸なものが多いです。
最後にファッションも変わりました。
若い時ってイキってみたり、エキセントリックなロックスターを演じてみたりするもんじゃないですか?
衣装だって派手派手で。
そういう風なのがガラッとなくなり、非常にシックな大人の余裕を感じるんですよ。
本作から『貫禄』さえにじみ出ているのはこうした、歌詞・サウンド・プレイ・ファッションと全てが『成熟』という同じベクトル上にあるからだと思います。
ファンにはもっとも人気のある作品
先程、私は本作がイエモンの最高傑作だと語りましたが、それは私だけじゃなくファンの皆さんもそう思っているのではないでしょうか?
「SICKS」が最高傑作だと言っているのは主にメンバーなんじゃないですかね?
2013年にリリースされたベスト盤『イエモン・ファンズ・ベスト・セレクション』では、ファンからの人気投票で上位50位が公開されました。
で、各アルバムからのランク入り曲を分析すると面白い結果が分かったんですよ。
1作目『バンチド・バース』2曲
2作目『夜行性のかたつむり~』4曲
3作目『エクスペリエンス・ムービー』5曲
4作目『ジャガー・ハード・ペイン』4曲
5作目『スマイル』4曲
6作目『フォー・シーズンズ』8曲
7作目『SICKS』6曲
8作目『パンチドランカー』4曲
9作目『8』5曲
どうですかこの結果?
イエモンの各アルバムから満遍なくランク入りしていることから見ても、「イエモンのアルバムには駄作なし」ということが分かってもらえるかと思いますが、その中でも本作からのランク入りが突出して多いことが伺えます。
なんと、
アルバム収録全11曲のうち8曲が50位以内にランク入り
してるんですよ!?
ヤバくないですか!?
個人的に一番好きなアルバムではあったのですが、この結果にはちょっと引きましたよ。
ちなみにそのランク入りした楽曲は
「追憶のマーメイド」11位
「太陽が燃えている」14位
「フォー・シーズンズ」18位
「ファザー」22位
「空の青と本当の気持ち」23位
「タクティクス」34位
「アイ・ラブ・ユー・ベイビー」38位
「スウィート&スウィート」44位
となってます。
いや、ベスト10入りが1曲もないんかい!(笑)
まあ、それが本作の恐ろしさなんですが。
しれっといい曲が多い。
さらに言えば、本作の直後にリリースされたアルバム未収録シングルが、大ヒットした「JAM」2位、「スパーク」9位と、上位にランキングしてます。
つまりこの時期のイエモンがソングライティングの全盛期だったと言えるのではないでしょうか?
『フォー・シーズンズ』楽曲紹介
先述したようにかなりシンプルな作りになっていますので、イエモンの大作主義的部分や各パートの火花散るバトルを期待して聴くと物足りないアルバムとも言えます。
楽曲は完璧で頭からケツまで無駄な楽曲など一切ない完成度を誇ってはいますが。
#1『Four Seasons』
イエモンにとっての『国歌』は『JAM』らしいのですが、私にとっては今でもこの曲が国歌かな。
四季の移ろいのようにゆったりと展開していきます。
派手さはないのですが、聞けば聞くほどジワジワジワジワ好きになります。
おそらく最初はあんまりピンとこないかもですが、最終的にはみんなこれが一番好きになるんじゃないかな?
バラードのようなのに、気がつくと最後の方はかなり激しくなっていて、感情移入度がとんでもないことになってます。
もうね、ロビンの『言霊』と呼んでもいいほどのメッセージがガンガン来ますよ。
カラオケで思いっきり熱唱しちゃってください。
歌って一番気持ちいい(笑)。
#2『太陽が燃えている』
イエモンが初めてシングルでトップ10入りしたナンバーで、代表曲中の代表曲。
私にとってはこの曲こそ『イエモン』ですね。
多くのリスナーにとってもこの曲こそがイエモンの名刺代わりとなった曲でしょう。
この曲が出来たことがイエモンの分岐点でしょう。
シングル『熱帯夜』以降、ポップなイエモンの黄金パターンを模索してきた彼らが、ついに王道を作り上げたというか、
『掴んだ曲』
ですね。
イエモンのキャリアの中でも超重要曲だと認識してます。
シングルの順番では『追憶のマーメイド』の方が先なのですが、出来たのは実はこっちが先で、それまでのイエモンのあり方を粉々に粉砕した本作におけるスタート地点の楽曲でもあります。
『ジャガー・ハード・ペイン』の頃とは完全に生まれ変わりましたね。
#3『I Love You Baby』
これまた代表ナンバー。
イエモンのハードロックと言えば前作『スマイル』収録の『“I“』と並び間違いなくこの曲が挙げられるでしょう。
ロビン本人は『ヘヴィメタル』とさえ表現するほど、イエモンで数少ない縦ノリナンバー。
「足枷という名の幸せの鎖を外す鍵を探す」
一度サイケになった後のラストサビ前あたりで卒倒します。
「感じるぅぅぅぅううううううあっ!!!!」
あ~ゾクゾクする…。
#4『Tactics』
アニメ「るろうに剣心」のエンディングテーマになりました。
ちなみに本作の方がリリースが先なので、当時アニメでいきなり流れ始めたときは
「うわーこの曲持ってくるとかセンス良すぎ!」
と思ったものです。
『るろ剣』はそんなに渋いアニメでもないのに、このエンディングの時の絵がめちゃめちゃ渋くて哀愁漂ってて、この曲とマッチし過ぎなんですよ。
もうこれを「MVにしたら?」ってほどかっこいいので、You Tubeで観てみてください⇩
#5『ピリオドの雨』
ここで一休み的な静かなバラードです。
このアルペジオの感じが雨のシトシト感を出しててすごく秀逸です。
映像的だな~。
窓際で静かにシトシトと降り続ける雨を眺め続ける絵が浮かんできます。
実はタイムが6:40もあるのにそう感じさせないのがこの曲のすごいところ。
#6『Love Sauce』
下ネタソングです。
久々に来ましたブギーなイエモン。
この「ギャグ」のようなコミカルな作風は新境地ですね。
同じSEXを題材にしてても、『ジャガー・ハード・ペイン』のようなドロドロした感じが一切なく、クスって笑えるっていう。
テレビなどに出演している時のロビンはともかく、楽曲におけるこの笑いの要素は本作と次作までしかなくて、『パンチドランカー』からはなくなるんですよね。
「これは愛だといつもその時は思う」
これなんか最高のフレーズ!
#7『Sweet & Sweet』
イッツ・イエモンロックンロール!
文句なし!
おいおい、名曲しか入ってないのかこのアルバムは!?
#8『月の歌』
2回目のバラードは悲壮感が溢れてます。
解説を読むまでは
「この人はどうしてこんなに絶望的なんだ?」
と意味が分からなかったのですが、『心中』がテーマらしいです。
そう聞いてからこの歌詞を読むと痛々しすぎる。
#9『追憶のマーメイド』
本作からのファースト先行シングルになりました。
情熱と追憶のロックンロール。
不思議な雰囲気のある曲で、サビで雰囲気が明るくガラッと変わるんですよね。
#10『Father』
さあ、いよいよアルバムも大詰めです。
ロビンが幼き日に死に別れた父のことを歌っています。
このナンバーが一つのハイライトではないでしょうか?
聴きはじめの頃はこのラスト2曲がそれまでと全然雰囲気が違って、いまイチしっくりこなかったんですよ。
「『フォー・シーズンズ』はなんでラストの2曲がこんな感じになってんだ?」
って長い間疑問だったんですが、これまたじわじわくるんですよね~。
で、この2曲の良さが分かった時に本作がとんでもない名盤だということに気がつくっていう。
すごく透明感を感じる曲で、捻りなどはなくただひたすら純粋に届かないものに想いを馳せた曲、ですかね。
この曲もラストナンバー同様に『空』が見えてきますので、どっちが『ファザー』でどっちが『空の青と~』か分からなくなってくるんですよね(笑)。
すんごい名曲…。
#11『空の青と本当の気持ち』
さわやかに終わるイエモンのアルバムって初かもしれませんね。
『空』というものをこれほど音楽で表現した楽曲を他に知りません。
ギターソロ前の英語フレーズなんかパイロットが無線で話している雰囲気出てるし、そこで低音から高音に上り詰めていくギターも飛行機が上昇していく雰囲気出てるし。
やっぱり『空』を感じるんですよね。
「白と黒の羽を伸ばして」
「魂が虹のトンネルをハイスピードで駆け抜けてゆくのさ」
とかいうフレーズからは、
「もしやこの曲ってジャガーのその後なのか?最後はハッピーエンドなのか?」
とか思ったり思わなかったり(笑)。
圧巻のラストです。
はい、というわけで本日は『フォー・シーズンズ』を語ってきました。
私にとってイエモンとの出会いのアルバムのため、思い出補正も入っているとは思いますが、これは傑作であることは間違いありません。
皆さんに良き音楽ライフが訪れることを願ってます。
それではまた!