『オクタヴァリウム』ドリームシアターが集大成として放った完璧な作品!あなたはこれを読んだら必ず聴きたくなる…
本記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日はドリームシアターの2005年リリースの8作目アルバム『オクタヴァリウム』を語っていきたいと思います。
私は1990年代までがドリーム・シアターよく聴いてて、6作目の『シックスディグリーズ~』からはここ数年になってストリーミングで最新作までをじっくりと聴いてきたくちなのですが、驚いたのはそのクオリティの高さ!
全部いいですからね~。
しかしその名作たちの中でも突き抜けた輝きを放っていたのがこのアルバムです。
最もハートが揺さぶられたアルバムでしたね。
それではどんなアルバムなのかたっぷり語っていきますよ!
ジョン・ペトルーシをして『最高傑作』と言わしめた本作は、絶妙のバランス感覚で作られた全てのファンを納得させる仕上がり
見てください、この『プログレッシブ感』丸出しのジャケット。
もうね、ジャケットが語りかけてきてますよ。
「ねぇ、聞いて聞いて」と。
まるで
『ロングヘアーをばっさりカットしてきた女子が朝から必ず放つ無言の圧力』
のようです。
目線はこっち向いてないけど、テレパシーで「聞け!」って言ってるでしょ、あれ(笑)。
このジャケを見た瞬間の皆さんの気持ちを代弁しましょう。
「絶対何か深い意味あるんだろうけど、長くなりそうだから訊きたくない…」
おそらく質問したが最後、30分くらいどうでもいい話に付き合わされそうです(笑)。
そうなんです。
この『オクタヴァリウム』はめちゃめちゃ面倒くさいヤツなんです。
深すぎます。
ジャケットとか曲ごとの音階とか、もういたるところに仕掛けがしてあるみたい。
オクターブ、5,8,黄金比にまつわる仕掛けが。
あまりにもマニアックなため、仕掛けはここでは解説しません。
というより私もついていけてないので(笑)。
このあたりの解説については下記動画を案内しておきます。
「せっちんミュージック」は日本でドリーム・シアターを語らせたら右に出る人はいないでしょう。
ただ、黄金比というキーワードが出たので、この黄金比と本作の関係について、私なりの勝手な解釈で語りたいと思います。
さて、前作『トレイン・オブ・ソート』はドリームシアターがかつてないほどメタルヘッド丸出しの方向性に振り切った痛快すぎる作品だったため、
「おっしゃー!これを待ってた!」
となったコアなファンがいる一方で
「ちょっとこれは極端すぎ。いつものドリームシアターに戻ってよ」
という方も結構いたのではないでしょうか?
『メタリカ・ミーツ・ラッシュ』どころか『KORN・ミーツ・ラッシュ』になっていた部分もありましたし(笑)。
私なんて
「ギタリストはザック・ワイルドにでも交代したのかな?」
とさえ思いましたから(笑)。
前前作『シックスディグリーズ~』のDISC2では、かなり明るく爽快な作風、前作ではかなりダークでヘヴィな作風と、両極端な側面を思う存分に発揮した作品が続いたわけですよ。
であるならば、次の一手としては当然
『集大成』
となってくるわけですね。
これまでにやってきたあらゆる要素を含む、と。
おそらく本作を通して聴いていただけば分かるのですが、どの方向性にも『振り切る』ことはありません。
今回は『振り切る』は禁じ手です。
極端な行き過ぎ・やりすぎを徹底的に排除して、どんな種類のリスナー(ファン)相手でも許容範囲を超えないように細部まで細心の注意を払って作ってるイメージです。
頭のてっぺんから爪先まで全て意識的に作られています。
このアルバムに関して偶然の産物など一片たりともありません。
全て彼らのバランス感覚によって選びぬかれています。
このバランス感覚こそが『センス』と言えるのではないでしょうか?
これって服のセンスみたいなもので、ちょっとあなたが街で見かけた「あ、オシャレだな」って感じる人を想像してみてください。
高級なブランドをこれ見よがしに着ている人ですか?
誰も着ないような奇抜なファッションに身を包んだ人ですか?
多分、そんな人にオシャレだとは感じないと思うんですよね。
さりげなく着こなしていたり、合わせ方が上手かったり、場や季節にマッチしていたり。
つまりオシャレな人は『やりすぎない』し『空気を読んでいる』。
空気を読むっていうのは『多くの人に共通する感覚が分かる』ことだと思います。
音楽におけるセンスもこれに近いと思うんですよね。
まあ、ファッションと違いこれは音楽という自己表現なので、空気は分かったうえで意図的に読まないことはあるでしょうが。
それが前作、前前作だったのかもしれません。
これまでは、一番多くの人が望むものは大まかに分かってはいるけれども、あえてそこを外して狭いポイントに絞って作品を作る。
その結果、悪い言い方になりますが、前作ではミュージシャンとしてのエゴが剥き出しになった部分がありましたし、前前作(DISC2)ではコアなファンがドン引きするようなポップさに振り切った部分があります。
作品の質は素晴らしく高くとも、焦点が狭いためにやはりセールスは伸び悩むわけです。
だからといって、空気を読んだ上でやりすぎないように整え始めると、これはひとつ間違えば
『ドリームシアターらしさがなくなった』
と言われかねないわけですよ。
個性が弱まってしまうんですね。
単なる売れ線の作品ができただけになってしまう。
そんなもの彼らは望んでいないわけですよ。
もっと高次元のものを目指している。
これは『振り切る作品』を作るよりもはるかに難易度が高いことだし、神経をすり減らすと思いますよ。
明るさ、暗さ、ヘヴィさ、スピード感、テクニカルさ、曲の長さ、展開の大きさ、美しさ…それらドリームシアターの備える魅力を全て発揮しながら、それぞれが行きすぎず食い合わない…
それを神経を研ぎ澄ませて絶妙のバランス感覚で配合させることに成功した本作は、ペトルーシをして『最高傑作』と言わしめるクオリティを備えています。
「この場面はメタル度が65.3%でプログレ度が34.7%で行くのがベストだ!」
みたいな、コンマミリ単位のさじ加減!
それこそが
『黄金比』
ということだと私は解釈しました。
さて、ここまでのプレゼンを聞いてもう一度ジャケットを御覧ください。
振り子って『左右の振り幅が同じ』なんですよね。
つまり高らかに『絶妙のバランス感覚』を宣言している、と。
なんかめっちゃ誇り高くてかっこええやないですか。
深い…でもなんだかんだで楽しい…奴らの思うつぼ(笑)。
「黄金比=空気を読んでいる=多くの人に共通する感覚を汲んでいる」ということなので、多くのファンを納得させつつ、当然セールスも非常に好調なチャートアクション。
2005年という「もうCDが売れなくなっている時代」であるため、販売枚数こそ高くはないのですが、チャート順位は3作目『アウェイク』の32位に次ぐ36位。
なんとここ5作で最高なんですよ。
日本でも『アウェイク』(7位)以来のトップ10入り(10位)。
こうしたセールス結果からも分かるように、とにかく聴いてて気持ちいい。
捨て曲があるなんて次元の作品ではございません。
完璧なアルバムです。
アルバムトータルが75分という長さにも関わらずあっという間に感じます。
言いたかないですけど、彼らの敬愛するメ●リカの『LO●D』78分と比べたら半分くらいの長さに感じますよ(笑)。
興味ある人はこの解説も読んでみてください。⇩
それでは全曲レビュー行ってみましょう!
『オクタヴァリウム』アルバムレビュー
#1『The Root of All Evil』8:25
例によって前作のラストだったピアノの音を引き継ぎスタートします。
この『メトロポリス2』から続いてきたパターンは今作でもって終わります。
というのも、本作のラスト曲『オクタヴァリウム』の最後の部分が、実はこの1曲目にループする仕掛けになっているからです。
ここ2作のオープニングだった『グラス・プリズン』『アズ・アイ・アム』に比べるとずいぶんヘヴィさも和らいでます。
この塩梅こそがこのアルバムの方向性ですね。
でもこのリフは快感指数が高くて好きだな~。
#2『The Answer Lies Within』5:33
2曲目でいきなりバラードです。
「え?もう?」
とびっくりした方も多いでしょう。
しかし、実はこのバラードの配置は2作目『イメージズ&ワーズ』と一緒なんですね。
2曲目と4曲目にバラードを配置して全体が8曲というフォーマット。
静かな静かなバラードです。
ラブリエは伸びやかな声ももちろん魅力なんですが、こういう『語りかけ』みたいなヴォーカルでも味わい深くて魅力的なんですよね。
#3『These Walls』7:36
歪んだギターの始まりから前作を想像した人も多いと思いますが、一転してルーデスの美しいキーボードメロディが展開します。
非常にドラマティックな曲で、ラブリエのサビにからむルーデスのキーボードは気持ちいいです。
ラストのペトルーシのメロディを重視したギターソロも最高。
曲を良くするためのプレイに徹してます。
#4『I Walk Beside You』4:29
本作で見られる彼らのバランス感覚=センスは、ここ数作でやりすぎ感のあったインスト部分や曲の長さをかなり抑え込むことになりました。
しかし、逆にそのバランス感覚によって浮上してきたものがあります。
実はドリームシアターの魅力でありながら、長らく忘れられてきた要素です。
それが『フックの効いたヴォーカルメロディ』ですね。
早くも2回目のバラードではラブリエの本領発揮です。
ガシッと鷲掴みにされるほどのつかみですよ。
バラードでこんなに鳥肌が立ったのは『アウェイク』の『Lifting Shadows Off a Dream』以来ですよ。
3:30からヴォーカルがさらに上がるとこはもうやばいのなんの。
ギターもキーボードもソロはなし。
この曲こそ、ヴォーカルを基軸に持ってきた本作を象徴するような作風ですよね。
「U2っぽい」だと?
それがどーした。
#5『Panic Attack』8:13
究極のバラードからの究極のプログレメタルの流れにはしびれますね~。
おそらく前作のような作風を好む人からは、本作で最も気に入られるであろう曲(笑)。
しかし、これはそんな条件付きでなくとも問答無用の説得力を持っています。
これドリーム・シアターでもしかしたら一番好きな曲かもしれません。
完成度の高さに脱帽。
冒頭のマイアングのベースもかっこいいのですが、そこからのギターリフやばすぎ。
全てのメロディが美しすぎ、ヴォーカルとオーケストレーションの融合度が高い。
曲は長いのにも関わらず緊張感がずっと続くのであっという間の8分(実質7分ですが)。
というより、後半に行くほどさらに緊張感が加速していきます。
ペトルーシもルーデスも交互のパートで遺憾なく力を発揮してますが、これまた弾きすぎない。
メロディも文句なし。
一旦バトルが終わった後の6:00からのユニゾンにはメタルファン狂喜の鳥肌もの。
そのままエンディングまで怒涛のように走り抜けます。
疾走するポートノイのツーバスに、ドラマーの私としては血が沸騰しそうになります。
「聴きすぎて感動が色褪せるともったいないから1日1回しか聴くまい」
と思うほど大切に聴いている曲です。
こんな気持にさせてくれる曲なんて10年に1曲くらいしかありません。
この曲が入っていることで私の中のアルバムランキングで3つくらい順位を上げてます。
#6『Never Enough』6:46
このアルバムで2番目に好きな曲です。
オープニングのイントロにやられます。
超サイバー。
昔、ゲームサントラマニアだったので、こういうのたまらないんですよね。
しかし、サビではバラードのような雰囲気をまとい、ラブリエが美しく歌い上げます。
ここだけ抜き出してバラード作っても#4みたいな名バラードになりそうです。
3:50からの間奏部分はペトルーシとルーデスの掛け合い。
本作では変態プレイでのバトルはやはり封印してますね。
前曲でもそうだったのですが、インプロヴィゼーション色が弱く、練り上げたメロディを紡いでいる感じがします。
ルーデス加入の5作目以来、ちょっとリキッドテンションっぽいなと感じていたのですが、あれは意図的な選択だったんですね。
しっかし、ルーデスの扱いって完全にリードギタリストだよな~(笑)。
#7『Sacrificed Sons』10:42
ここで10分を超える長尺曲がやっと登場します。
彼らもよく我慢しましたね~。
っていうか8分の曲がすでに2曲あったのに、長尺曲とカウントしない私もだいぶと麻痺しておりますが(笑)。
この曲は偉大なる繰り返しが素晴らしいですね~。
リフの変拍子の規則性が分かってノレてくるとかなり気持ちよくなってきます。
まさにドリームシアターでしか味わえない中毒性です。
最後はオジーの名曲『ダイアリー・オブ・ア・マッドマン』へのオマージュだと思うんですよね。
タイトル曲『オクタヴァリウム』24:00
そして最後はタイトル曲24分です。
『シックスディグリーズ~』のDISC2の42分を1曲と呼ぶのに違和感はありましたが、これは正真正銘の1曲ですね。
パートが分かれていてもトラックは分かれていないので。
プログレメタルの『メタル』部分に寄せたのが前作とするならば、この曲は思い切りど真ん中の『That‘sプログレメタル』。
すべてが詰まってます。
友達に「プログレメタルって何?」って聴かれたらこれを聞かせてください。
初めて聴くのに24分の曲を聴かされる友達もなかなかに地獄でしょうが(笑)。
説明無用、と言いたいところですがあまりにも無責任なため少し語ります。
24分あっても聴いててキツくはないのでご安心ください。
序盤4:00はいかにもプログレの浮遊感があり、ちょっと苦痛かもしれませんがそれを乗り越えたら心地良い音世界にどっぷり浸れますよ。
4:00過ぎからはすごく大きくゆったりと流れます。
ここまでじっくりと聴かせるなんて、長尺曲でも今までなかったですよね。
すぐにテンポアップせず、丁寧に丁寧に世界観を表現しています。
8:00過ぎから、ここでやっとドラムが入ってきてテンポがアップ。
9:00からはヒーリングミュージックのような爽やかさです。
ドリームシアターのこういう爽やかな側面が私は大好きなんですよね~。
12:00過ぎからはルーデスのキーボードで一気に明るく展開します。
縦横無尽に響き渡るこのキーボードなんですが、どうも特殊なタイプのキーボード使っているみたいですね。
どう考えても鍵盤弾いてもこんな感じならなそうですもんね。
14:00過ぎからは雰囲気がまた一段変わってマイナー調になります。
インストゥルメンタルが始まり目まぐるしく展開していきます。
16:50あたりからはついに出ました!
封印していた変態プレイを開放し、どんどんカオスな流れへ。
ダークとポップが目まぐるしく入れ替わる展開です。
いよいよこの曲のハイライトクではラブリエが叫びます。
そしてクライマックスへ。
全然長く感じない。
繰り返しがないからずーっと引き込まれて行きます。
この力量には舌を巻くしかありませんね。
ドリームシアターの長尺曲の中でも最高の出来ではないでしょうか?
はい、本日は『オクタヴァリウム』を語ってまいりました。
完璧な作品なだけに完璧なプレゼンを目指すべく力が入ってしまいました。
こんな理屈っぽくてクソ長いレビューを読んで頂きありがとうございました。