『NAI』イエローモンキー隠れ名曲の決定版
本記事はプロモーションを含みます。
どうもsimackyです。
本日はイエローモンキーが1997年にリリースしたシングル『ラブ・ラブ・ショウ』のカップリングとして収録されていたナンバー
NAI
(ナイ)
を語っていきますよ~。
イエモン史上屈指の『隠れ名曲』
皆さん、『隠れ曲』ってどんな定義でしょうか?
よくシングル・カットされていないアルバム曲をそう呼ぶことがありますし、実際、私もそうでした。
しかしそれだと際限がありません。
イエモンでのそれを定義するとすれば
①オリジナルアルバムに未収録(ベスト盤にしか入ってない)
②シングルB面曲(カップリング)
これらを同時に満たす楽曲です。
そして『隠れ名曲』と呼ばれるためには、さらに
③人気投票で上位にランキングされる
ここでは、これら①~③まで満たした場合にそう呼ぶことにします。
例えば、『JAM』や『スパーク』『ソー・ヤング』『プライマル。』と言った曲たちは、オリジナルアルバムには未収録ですが、シングルとして大ヒットして、テレビでも演奏されるし、ライブでもほぼセットリストに入ってくるから、認知度が高い代表曲なわけです。
当然ながら『隠れ曲』であろうはずがありません。
例えば、『タクティクス』や『見てないようで見てる』『ディア・フィーリング』なんかはシングルB面曲ですが、そもそもアルバム曲からのリカットであるため、ずっとアルバムで聴かれ続けるわけで、隠れてなどいません。
『夜明けのスキャット』や『ホナルーチ・ブギー』のようなカバー曲は、そもそも作曲したのがイエモンではないし、やっぱり『隠れ曲』とは呼べても『隠れ名曲』と呼ぶのは無理があるのかもしれません。
こういう風に考えながら①アルバム未収録であり②シングルB面曲であり、③人気投票で上位にランキングされて、なおかつカバー曲でもないナンバーは実は限らてきます。
シングルB面ってほんっと迷惑というか(笑)、手が届きづらい位置にあるんですよね。
だって、私みたいに『アルバムが一つの作品』と捉える古いタイプの人間にとって、いちいちシングル買うかっ!て話なんですよ。
「ベスト盤にも入ってます」つったって、知ってる曲が9割収録されたベスト盤を3000円とか払って買うかって話なんですよ。
私よりももっとイエモン好きな一握りのコアファンであれば、シングルが出るたびごとに律儀に買っていたでしょう。
けれども、私はそういうのとはちょっと違います。
そんなもんに使う金があるくらいなら、1枚でも多くのロックの名盤を買うことに使いたかったので。
こういうスタンスの人にとっては『シングルB面集』とかいう企画のアルバムを出してくれると非常にありがたいのですが。
そういうことはやってくれず、ただベスト盤をひたすら連発されると
・・・・・チーン・・・
って感じです(笑)。
一体、ベスト盤どんだけ出せば気が済むんだってくらい多いですよね。
私の知る限り7~8枚ありますからね。
オリジナルアルバムが10枚しかないバンドで、ベスト盤がどうして8枚もあるんでしょう(笑)。
話がだいぶ逸れましたが、そういうわけなのでシングルも買わない、ベスト盤も買わない私のような人は、近年のこのストリーミング時代にようやくそういった『隠れ曲』たちを発掘できたわけなんですよ。
今回ブログでイエモンシリーズを書くにあたり、1曲たりともあますことなくすべて徹底的に聴き込みましたよ。
で、それら『隠れ曲』の中で、人気の指標として私が最も信頼を置いている『イエモン・ファンズ・ベスト・セレクション』での人気投票で上位50位に入っている楽曲が2曲あります。
この2曲こそ『イエモンの隠れ名曲』と呼ぶにふさわしい楽曲でしょう。
それがシングル『スパーク』のB面曲である
『ムーンライト・ドライブ』(24位)
と、シングル『ラブ・ラブ・ショウ』のB面曲である『NAI』
というわけなんですよ。
ちなみに『ムーンライト・ドライブ』に関しては、『スパーク』解説記事の中ですでに書きましたので、そちらを読んでみてください⇩
この『NAI』の何がすごいかって、A面の『ラブ・ラブ・ショウ』28位を上回る
26位
に入っていることです(笑)。
いやいやいやいやいや
『ラブ・ラブ・ショウ』ってかなりの代表曲よ?
ロビンの中でも自己評価が非常に高く、ライブでは1つのハイライトにもなる楽曲ですよ?
しかも、私、かなり好きなのでちょっとショックだったりして(笑)。
しかもシングルA面でB面曲に負けるとか、立場丸つぶれじゃないっすか?
ここまでくると『A面キラー』『ラブ・ラブ・ショウ殺し』とまで呼んでいいと思います(笑)。
プロ野球で言えば、1軍が2軍に負けるようなものです。
「1軍替わらんかい!」
って話なんですよ。
AKB48で言えば、いっつもセンターに陣取ってドヤ顔してる前田のあっちゃんが、脇にいる大島優子にAKB総選挙(人気投票)で負けるようなものです。
「センター替わらんかい!」
って話でしょ?
まあ、番狂わせしてくれるしてくれる。
しっかし、この曲がまた驚くほど良いんですわ。
楽曲のクオリティとしては26位でも全然おかしくないです。
何より、ロビン自身、自伝で
「バンドが一番幸せだった時代を切り取ったような楽曲」
と語ってます。
それではこの『NAI』とはどんな曲なのでしょうか?
『NAI』ってどんな曲?
ものすごい抽象的な表現をすると、イエモン史上もっともブリティッシュな匂いを放つ曲ですね。
で、ブリティッシュの中でも、1970年代後半から1980年代初期のニューウェイブやポスト・パンクの匂いがプンプンします。
まずもって、このロビンの歌い方がザ・スミスのモリッシーみたいで、やたらと耽美的だし、ギターは美しすぎるアルペジオ。
これは完全に意図的でしょう。
ちょっとしたパロディに感じるくらいですから、ギャグの意味も入ってるのかも(笑)。
さらに遡ると、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドっぽい匂いもします。
世界観がルー・リードの美しすぎる世界に通じるものがあるんですよね。
スネアの4つ打ちに、このギターサウンドが雰囲気似てますね。
日本人でここまでブリティッシュのテイストを再現できる人達を他に知りません。
っていうか、何も知らずに聴いたら、もしかしたらイエモンって分かんないかもしれないですよ。
それくらいロビンの歌い方がそれまでと違いますから。
モリッシーっぽくもあるんですけど、古い日本歌謡のようにも感じるんですよね。
「青雲~それは~きみが~見たひかり~♪」
古すぎて知らないですね(笑)。
知らない人のためにこれを⇩
よく聴けば、
言うほど似てねぇじゃねぇか!
ロビンに謝れ(笑)。
歌詞は抽象的です。
「何もないあなたと私」
色んなことが想像できます。
「お互い空っぽの人間なので与えるものがない。ただ求め合うだけの関係、奪い合うだけの関係は時にキリキリ痛い。」
みたいなニュアンスにも取れるし、
「女性同士(あれがナイ)の背徳的な関係性」
を歌っているようにも感じます。
「二人の背中に描いた同じ形のきれいな色の十字架」
という部分にそれを感じたりもするし。
ラストのバックサウンドは精神が壊れていっている様子を描いているようにも感じるし。
おもしろいな~、この曲。
『芸術性』っていう言い方をするのはちょっと違うのかもしれませんけど、深いです。
シングルB面にしておくにはもったいない楽曲です。
こういうのをアルバム曲に入れてくれたら、アルバムとしての深みが増すと思うんですが、じゃあ『パンチドランカー』に入れたら…だいぶと浮きますね。
それほどイエモン楽曲の中で『浮いている』楽曲ですよね。
まさに『隠れ名曲』(笑)。
「NAI」が収録されたベストアルバム⇩