『ホナルーチ・ブギー』イエローモンキーがモット・ザ・フープルをカバー
本記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日はイエローモンキーの数少ないカバー曲
Honaloochie Boogie
(ホナルーチ・ブギー)
を語っていきますよ。
あのグラムロック界の雄、モット・ザ・フープルのカバーです。
「ん?デビッド・ボウイじゃないんだ?」
そう、「イエモン=グラムロック心酔=デビッド・ボウイ」の構図は皆さんもご存知のことと思いますが、ここでモット・ザ・フープルをカバーするってところが面白い。
以前『ジャガー・ハード・ペイン』の解説をした時にデビッド・ボウイに関して軽く紹介しましたが、せっかくイエモンを好きになったのならそれをきっかけにルーツを遡って新しいバンドと出会うのも楽しみ方の一つです。
というわけで、今回はモット・ザ・フープルの紹介からしていきましょう。
モット・ザ・フープルってどんなバンド?
このブログでも何回もお話してますが、イエモンはグラムロックをその音楽性のルーツにした日本でも珍しいバンド。
グラムロックというのは1970年代前半に流行ったロックの一派で、女と見紛うばかりの派手でグラマラスなファッションでブギー調のロックを演奏します。
代表的なバンドがグラムロック4大バンドと呼ばれるT-Rex、デビッド・ボウイ、ロキシー・ミュージック、そして今回お話するモット・ザ・フープルなんですよ。
やっぱりどことなくデビッド・ボウイをイメージさせる奇抜なファッションに身を包んでおります(笑)。
当然、イエモンはモット・ザ・フープルの影響も強く受けています。
で、モット・ザ・フープルはどんなバンドか説明しますね。
モット・ザ・フープルは1969年にデビューしたイギリスのバンドです。
当時、ライブは好評だったにも関わらず、最初の4枚のアルバムはさっぱり売れず、1972年には早くも解散しようと考えていたところ、以前からファンだったデビッド・ボウイが説得します。
「いやいや、あんたらせっかく音楽が素晴らしいんだから、ちょいとこの曲を演ってみてくれよ」
と楽曲提供とプロデュースを行います。
その楽曲こそ、グラムロックの金字塔とも言える名曲
「すべての若き野郎ども (All the Young Dudes)」
です。
同じ名前のアルバムに収録されています⇩
で、ミュージックビデオが⇩
この曲が素晴らしすぎてそれまでで最大の、そしてバンド史上最大のヒットとなります。
バンドは解散の危機から一躍大スターへと躍り出たわけです。
調子こいたデビッド・ボウイはさらに楽曲提供を申し出ますが(笑)、
「(な、なんかこいつゴイゴイ来るな)ありがとうデビッド。しばらくは大丈夫だよ」
と断り、続いて大ヒットさせたシングルがこの『ホナルーチ・ブギー』というわけなんですよ。
アルバムとしては6作目のアルバム『MOTT』(邦題:革命)に収録されています。
で、ミュージックビデが⇩
モット・ザ・フープルは1974年リリース7作目アルバム『The Hoople(ロックンロール黄金時代)』までは快進撃が続くのですが、イエモンのアルバムにも参加したモーガン・フィッシャーが加入したり、デビッド・ボウイのギターをやっていたロビンも崇拝するミック・ロンソンが加入したりとメンバーの入れ替えが激しく、ボーカルであるイアン・ハンターが最後に脱退したことで解散します。
つまりは1972年~1974年の3年間にパーっと売れてあっという間にいなくなったイメージです。
これはデビッド・ボウイら他の4大グラムロックバンドのなかではもっとも短命でしたね。
もっとも人気と知名度の高かったT-REXでもこの頃くらいから人気は下火になってきており、グラムロックというムーブメント自体が鎮火していく時期です。
なので、モット・ザ・フープルも解散後はギタリストがバッドカンパニーを結成したり、デビッド・ボウイはここからカメレオンのように様々に音楽性のカラーを変えながら、伝説を作っていきます。
『Honaloochie Boogie』カバーに至る流れ
次にこの曲をイエモンがカバーするに至った経緯をお話しましょう。
このモット・ザ・フープルのキーボードであるモーガン・フィッシャーは、日本が好きで1985年から日本で暮らしており、通常の音楽活動はもとより、映画音楽、CM曲なども手掛けており、がっつり日本の音楽業界で活躍してました。
結構有名だったんじゃないかな?
で、イエモンのアルバム制作にあたりモーガンを招待したことから交流が始まります。
4作目アルバム『ジャガー・ハード・ペイン』の「セルリアの丘」「メリー・クリスマス」のピアノ演奏は彼の手によるものです。
で、モーガンがモット・ザ・フープルのトリビュートアルバム『Moth poet Hotel』を企画した際に、イエローモンキーにも声がかかったというわけです。
ジャケットに登場するこの白い変な形したギターは、ボーカルであるイアン・ハンターのトレードマークのギターです。
このトリビュートアルバム、なんとクイーンのブライアン・メイが参加してます(その参加曲でドラム叩いているのはなんとコージー・パウエル)。
大物来ましたね~。
モット・ザ・フープルはクイーンの先輩バンドであり、クイーンはモット・ザ・フープルの前座をしていた時期もあるので、交流があったのでしょうね。
っていうか、ロビンも言っていたけど、イギリスの音楽業界ってすごい狭くて閉鎖的らしいので(笑)、ミュージシャン同士が知り合いじゃないことなんてあんまりないらしいですね。
ちなみに他の参加者はハイロウズ、ZIGGY、BOOM、ヒートウェイブなどの日本のバンドのメンバー達です。
このアルバムは日本限定企画で、イギリスやアメリカでの販売は早い段階でポシャってしまっていたため、おもしろい趣向がなされています。
なんと、原曲の英語歌詞を日本語に解釈してカバーしている曲が4曲あるんですよ。
そのうちの1曲がイエモンがカバーした『ホナルーチ・ブギー』です。
聴いたことがある人はおそらく
「あれ?これモット・ザ・フープルのカバーなのに日本語になってない?」
って首を傾げたことだと思います(笑)。
これね、原曲の英語歌詞は分かんなくともアレンジしているであろうことが一発で分かります。
「俺は普通の日本人」
「ボロは着てても心は錦」
とかモット・ザ・フープルが歌うわけ無いですもんね(笑)。
「ボロは着てても心は錦」って最高じゃないっすか?
もうね、カバーなのに歌詞からもメロディからもグルーブ感からもイエモンが滲み出ててニヤニヤしてしまいます。
「ホナルーチ・ブギー」が収録されたベストアルバム⇩