『9999(フォーナイン)』イエローモンキー~収録曲を解説~
本記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日はイエローモンキーが再結成して2019年にリリースした通算10作目の記念すべきオリジナルフルアルバム
9999
(フォーナイン)
を語っていきますよ。
解散に至った状況~再結成まで
2000年7月に通算9作目となるオリジナルフルアルバム『8』をリリースしたイエローモンキーは人気絶頂でした。
その前の『パンチドランカー』の時は113本にも及ぶ長大なツアーを行ったので、ファンはイエローモンキーの1年半ぶりの全国ツアーを今か今かと期待していました。
しかしなんと、この『8』に伴うツアーは行われなかったんですよ。
音楽番組には普通に出演していて『パール』とか、リリース前の『ブリリアントワールド』とか演ってたのを覚えてるんですけどね。
お客には「キャーキャー」言われてて、その人気には陰りが差す様子はまったくありませんでした。
で、そんな中、ツアーはやらないながらも夏の音楽フェスに参加したりしてたんですよ。
2000年8月6日には北陸で最も長い歴史を誇る音楽フェスティバルである『ポップ・ヒル』(石川県)へ出演。
イエモンは過去1992年のデビュー年に一度だけ出演していたフェスに久々の参加です(自伝には初参加って書いてあったけど、確か1992年のポップヒルの映像をYou Tubeで観たと思うんですが)。
また8月13日には、音楽評論家であり音楽雑誌『ロッキン・オン・JAPAN』の社長である渋谷陽一氏の立ち上げた大型フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2000』への出演だったり(渋谷氏はフジロックにイエモンを推薦した人であり、自伝本のインタビューをした人)。
ここでは新曲『ネバー・ギブアップ』以外は全て『8』からの楽曲で固めた9曲を演奏しました。
この2つのフェスでもお客は盛り上がってて、人気はまったく衰えてる気配がありませんでした。
そしてシングル『ブリリアントワールド』が2000年11月にリリースされた直後に活動休止宣言。
1ヶ月後の初東京ドーム公演を控えていただけにファンに衝撃が走りました。
ホントに人気絶頂でしたからそりゃびっくりするでしょう!
考えてみてくださいよ?
それまでやれてなかった東京ドームでライブをやるということは、
「まだ東京ドームが埋めきれるか心配」
という状態から
「今なら東京ドーム満杯にできるぜ」
っていう状態になったってことでしょ?
つまり、それまでずっと右肩上がりでライブ動員数が伸びてきていたってことなんだから。
本人たちが音楽的にはどう思っているのか分かりませんが、少なくとも商業的にはここまでずっと右肩上がりできたことを意味します。
音楽的にも、この時期の作品はどれも非常に人気が高いです。
アルバム『8』もそうだし、その後のシングル『ブリリアントワールド』も『プライマル』もファンの人気投票上位に食い込んでくる楽曲なんですから。
決して『落ち目』なんかじゃなかったんですよ。
そんな状況で活動停止とか不穏なこと言われたら、びっくりでしょう。
まあ、ロビン本人はアルバム『パンチドランカー』が、自分で作ったデモテープをレコーディングで超えられなかった時点で『落ち目』だと感じていたみたいですが。
2001年1月8日のこの東京ドーム公演を最後に活動休止に入り、その後1月31日に『プライマル』も出ますが、結局復帰の目処は立たず。
3年半後となる2004年7月7日に解散を発表。
最後にイエモンのライブを上映するフィルムギグ『THE EXHIBTION AND VIDEO FESTIVAL OF THE YELLOW MONKEY メカラ ウロコ・15』を10公演開催。
フィルムギグ(?)なので、基本的にメンバーは出演しないのですが、最終日となる東京ドームではメンバーが最後に集結。
ここで最後に「JAM」のみが演奏され、大合唱の中、イエローモンキーは終焉し、長い長いソロ活動に入っていきます。
解散の原因は、ロビン1人に責任がのしかかっている状況に本人が耐えられなくなったためと言われています。
まあ自伝本読む限り、フジロックでの“失敗“に端を発する、音楽の方向性のズレ、バンドへの意識も持ち方の違いが徐々に積もっていった結果でしょう。
半ば自暴自棄になっていたロビンは、先に出演した『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2000』でも上下ともにアディダスのジャージ姿、しかもノーメイクで演奏していたとのことで、「ロックスター」として振る舞うことに疲れ切っていたのかもしれません。
2000年1月8日、初の東京ドーム公演の時も「なんの気持ちの高ぶりもなかった」らしいですし。
本人も「もはやイエローモンキーを引き受けていない」状態だったことを語っています。
しかし、メンバー間に「人間関係の悪化」などの決定的な確執があったような印象はまったくなかったし、ロビンのソロをエマが手伝ったりしているような状況も垣間見られたので、
「そのうち再結成するでしょ」
とか思っていたのですが…一向にしないんですよね(笑)。
2007年にはXが、2010年にはLUNASEAが再結成したのに、イエモンはまったく再結成する気配がない。
そんな中、2013年にイギリス・ハイドパークで行われたローリング・ストーンズのライブを見たロビンは
「ストーンズのステージ上に、金で買えないような黄金の塊みたいなものが見えたような気がしたの。その人たちが演奏するだけで、こんなに人々が集まって熱狂してるのを見て、バンドって宝だな、と」
と感じ、メンバーに再集結を呼びかけます。
ナイス、ストーンズ。
ナイス、ミック・ジャガー!
当時、70歳も超えて未だに最前線のロックバンドとして世界に君臨しているストーンズを見て、
「こんなんスポーツとかじゃ絶対ありえない。バンドだからこそこんなことができるんだ!」
と感銘を受けたとのこと。
イエモンと言えばデビッド・ボウイの影響を受けている印象が強いと思うんですけど、実はストーンズにも強く影響受けてるんじゃないかと個人的に思ってます。
だってちょいちょいストーンズっぽいオマージュが楽曲に入ってくるし、メンバーのインタビューでも話題に出てくるし、ストーンズのメンバーがイエモンのバンド名を聴いた時に
「イエローモンキー?すげぇ名前だな。絶対忘れねぇ」
とか口にしたという話もわりと有名ですよね(いつどのメンバーがどんな状況でそんなこと言ったのかは調べても出てきませんが)。
再結成から『9999』に至る流れ
しかし、ここからが時間がかかり、ようやく再結成にたどり着いたのは2016年。
実質最後の活動である2001年1月の東京ドームから15年も月日が流れていました。
待たせ過ぎにもほどがあるのですが、待たせるのはさらにここからなんですよ。
「このメンバーでの今の音が完成していない」
とのことで、ツアーという“リハビリ“を行いながら、今の自分達の音を確かめ、手探りしながら1曲ずつ制作していく方針を取ります。
さらに、セルフカバーをやります。
かつての感覚を取り戻すためなのか?
それともかつての曲を今のメンバーで解釈した時にどういう音世界になるのか、という現状確認だったのか?
ツアーと並行して『イエローモンキー・イズ・ヒア・ニュー・ベスト』の制作を進めます。
これは2013年にリリースされたベストアルバム『イエモン・ファンズ・ベスト・セレクション』とまったく同じ曲を再結成後に再レコーディングしたもので、あの作品に対するアンサーアルバムとも言われてます。
セルフカバーって、それLUNASEAもやってたやつ!
以前も言いましたけど、どこまで似てんだ、この人たち(笑)。
再結成したからすぐにオリジナルアルバムを作るという安直なマネはせず、前作からファンをさんざん待たせただけのものを出したい、というメンバーの思いもあったのでしょうね。
ここまで間が空くと生半可なものは出せない、という気持ちもわかります。
しかし、そうやって出すタイミングを逃すと、どっかのバンドみたいになるので要注意です。
ねぇ、YOSH◯KIさん(Xは28年間ニューアルバム出してない:笑)
こういう流れの中でニューアルバムに向けた制作は、ちょっとずつ、3年かけてゆっくりと進んでいきました。
待望の第1弾としてリリースされたのは、再結成から10ヶ月後となる2016年10月の『砂の塔 C/Wオールライト』。
よもやシングル1枚に10ヶ月も待たされるとは…。
『砂の塔』はドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』のタイアップ曲で、カップリングの『オールライト』はツアーでもすでに披露されていた再結成後1発目の新曲です。
そしてさらに7ヶ月後の2017年5月に先述した『イエローモンキー・イズ・ヒア・ニュー・ベスト』をリリースします。
ここで新規購入特典として新曲第3弾となる『ロザーナ』を収録したCDを付属。
う~む、再結成からここまで1年半で新曲は3曲。
焦らしに焦らすイエモン(笑)。
しかし、ここからはちょっとペースアップ。
3ヶ月連続配信を行います。
まず第1弾としては、敬愛するデビッド・ボウイのカバーである『ジギー・スターダスト』を2017年9月に配信開始。
この曲はかなり初期にライブでカバーしてたんですよね。
メイクまでデビッド・ボウイになったロビンをご覧ください⇩
2016年1月10日(イエモン再結成の2日後)に亡くなったデビッド・ボウイを追悼する意味もあったのでしょう。
そして第2弾として 2017年10月に『Stars』を配信。
実はこれもデビッド・ボウイへの追悼ソングです。
っていうか、ジャケがデビッド・ボウイの遺作『ブラックスター』意識してますもんね。
そして2017年11月に第3弾の『Horizon』
が順調にリリースされます。
そして、ここからさらに1年が空いて、2018年10月に『天道虫(てんとうむし)』、2019年1月に『アイ・ドント・ノウ』が配信。
いや、焦らしすぎだろ。
ここまで再結成から丸3年。
シングル既発曲はすでに7曲にも登ってます。
「もう辛坊たまらんわ!」
というファンたちの心の叫びが聞こえたのでしょうか(笑)?
2019年4月にようやく、ようやく19年ぶりであり、通算10作目となる本作がリリースとなります。
書いてて長かったわ。
ここまでくると、断言せざるを得ませんね
2020年代の今日に至って、もはや
「アルバムを早く作りなさい」
なんてプレッシャーかけてくるレコード会社なんていないってことに。
アルバムなんてせいぜい5~10万枚しか売れない時代なんですよ。
だから出来た曲から配信して、少しでも再生回数を増やさなきゃなんない。
そして何より、収入のメインとなっているコンサートを重視しているんです。
なので、アルバムに既発曲が7曲とも丸々収録されたからといって怒ってはいけません。
たとえ、それが3年前に既発のものであったとしても…。
そういう時代なんです。
他のアーティストでも起きることです(サザンとか)。
なので、もうアルバムを『一つの作品として』作られることを期待してはいけないってことですね。
『9999』を聴く心構えとは?
1枚リリースされるごとにシングルを購入し、あるいはダウンロードしてきたコアファンの皆さんにとって、本作は微妙だったかもしれません。
なぜなら
全14曲中に新曲は7曲しか入っていないコアファン泣かせなアルバム
になっているからです。
まあ、これは先述した通り時代がそうなってしまったので仕方がないと割り切りましょう。
その意味で言えば『8』の頃からこの兆候はあったわけで、それに関しては前に書きましたので読んで見てください⇩
けど、本当のコアファンからは
「この時代にイエモンの新譜が聞けるだけで幸せ」
という声だって挙がってます。
ファンの鑑(かがみ)ですな。
ある意味、これこそ『正しい待ち構え方』なのかもしれません。
それに聴き込めば、何が先行シングルやらアルバム曲やらは関係なく、アルバムとして聞けるようになるものなので。
で、19年ぶりの新作、その作風の変化はいかに?
一番大きな変化、旧来ファンの期待とのギャップの大きさで言うと、ボーカルもサウンドもなんか暖かくなりました。
これは50代になってしまった彼らのアティチュード同様、
尖ってません。
しかし、これは当たり前のことです。
レビューでは
「かつてのイエモンにあったスリルとか妖艶さとかがなくなった」
という声がわりと見かけられたのですが、
当たり前じゃないですか?
約20年経ってるんですよ?
人は変わりますし、「20年前と同じであれ!」とか言うのは随分と酷な注文じゃないですか?
あなたは20年前にご自分が何をしていたのか?
胸に手を当てて思い出してご覧なさい。
かなり変わってるでしょ?
赤ちゃんが成人するくらいの年月なんですから。
20年前の私なんてまだバリバリの金髪ロン毛で、山口の居酒屋でツバ吐きながら日本酒1升くらい飲んでた頃です。
「居酒屋に行ったらロックンローラーっぽく“伝説“作んなきゃ!」
って思ってたアホだったので、
居酒屋の植木鉢に一本背負い
とか食らわせてたんですよ?
こんなマニアックなサイトにやってきた、そんなあなたにだってあるはずです、黒歴史が。
でも私なんて、今は玄米食べながらドレッシングもかけない有機野菜を食べてる
ほぼ草食動物ですよ?
頭だってかなり薄くなってます。
つまり20年も経てば人は別人になるってことですよ。
なので、まずは一旦、変化は否定しないで受け入れる気持ちのスタンスを作って聴かなきゃ、新作を買う意味なんてないです。
そんなん過去と比べて否定しようと思えばエンドレスで出来ます。
さらにそういう人にちょっと聞いていただきたい話があります。
やたらと過去作と比較して本作を否定している人なんかは、まず、
過去作をもう一度ちゃんと通して聴いてみてください。
これは私自身が経験したことなのですが、自分の中でのイエモンのイメージは変わります(どのバンドだってそうなります)。
「イエモンってこういうバンドだと思ってたけど、こうして聞き返してみると意外とこういうバンドだな」
ってことは起きますから。
それに好きなアルバムランキングだって変わるはずです。
それは聞く側である自分自身の感性も変わっているからです。
「あの作品が特に良かった。あの作品はあんまり良くなかった」
という記憶(決めつけ)だけが残っていて、実際聞き返してみると
「あれ?こっちよりこっちのほうが断然良いぞ」
ということが起き得るんですよ、特に20年という月日があれば。
かつての自分には分からなかった魅力が分かったりするし、かつてビンビン来ていたフレーズに何も感じなかったり。
その自分の感性の変化を認識した上で、そして今のあなたの視点から見えるイエモン像を明確にして新作に望むのか、そうでないかでは雲泥の差ですから。
で、本作には確かに『20年分の変化』はありますが、その中にも『変わらない良さ』はちゃんとあります。
「これぞイエモン!」っていう、思わずニヤッとしてしまう瞬間もありますのでお楽しみに!
収録曲解説
それでは楽曲解説いってみましょう。
本作は『サウンドが暖かくなった』と表現しましたが、60年代のビートルズのような音作りを目指したとのことです。
バンドサウンドの基本であるボーカル・ギター・ベース・ドラムがしっかり聞こえてくるアルバムで、シンセサイザーなどの使用は極力控えている印象がありますね。
使ってる楽器もヴィンテージものを使ったりしているので、洋楽リスナーの方にに分かりやすく伝えると、
レニー・クラヴィッツ(特に初期)っぽい音づくりをした
と言えば伝わるでしょうか?
実はロビンはイエモン初期の頃からレニクラに影響受けてます。
ロビンのソロ作品にそれははっきりと現れてますね。
1960~70年代のアナログサウンドを1990年代に蘇らせた第一人者ですから。
イエモンでも演りたかったらしいのですが、とにかくお金がかかるから却下されてたんですよね(笑)。
そりゃ使ってる機材から楽器からヴィンテージものになったら…恐ろしい。
で、『9999』では、さらにいうとリバーブ(残音)抑えめなので、ゴージャス感はなく、質素ですね。
ドラマーのアニーが『ソリッド』と表現しているのは、そういうことなのでしょう。
『8』のようなオルタナ感、ダークさは殆どありませんが、爽やかでシンプルです。
『耳障りが良い』という表現はマイナスの意味に受け取られるかもしれませんが、薄っぺらい作品であることを意味しません。
聴けば聴くほど味が出てきます。
ただ、ロビンの声質が20年前とは違うので、最初はわりと面食らうというか。
声質が違うというより、声量は落ちてますよねやっぱり。
「なんか喉が開ききってないような歌い方だな」
って感じたのは私だけでしょうか?
個人的な見解としては、ソロ5作目『VOLT』あたりから、
「おお、まるでイエモン時代のロビンの声に戻ってきてんじゃん!」
と感じることはあっても、ロビンの声に「衰え」とか、「老い」とかはほぼ感じなかったんだけどな~。
その声には『張り』があったあし『艶(つや)』がありました。
ソロ7作目『スターライト』(2015年)の時点でもその声から『若々しさ』は感じても、『衰え』は感じませんでした。
『スターライト』から本作までの4年間に何があった?
ロビンはこの後2021年くらいからに喉のポリープ(咽頭がん?)治療を始めるのですが、その2年前となる本作のレコーディング時点ですでに喉がきつかったのかもしれませんね。
というのも2017年再結成した年が明けてすぐ「カウンドダウン・ジャパン」出演時に、ロビンの声が出なくなるアクシデントが実は起きているんですよ。
うん、そういうことでもないと、やっぱりこの声の変わりようは説明がつかないんですよね。
ただ、病気はしょうがないことです。
それに若干声が変わったとしても、それを『老い』と感じさせずに『いい感じの枯れ具合』と感じさせるのはさすが。
なんか本作の雰囲気とは合ってるんですよ。
もしかしたら、本作がこういう『温かみ』とか『いい感じの枯れ具合』を感じさせるサウンドになっているのも、こうしたロビンの声とマッチするよう考えられたのかもしれません。
再結成してからテレビで久々に『JAM』を演奏しているのを多くのファンが目にしたと思うのですが、かつての楽曲でこの声だと違和感が残るのに、このアルバムの楽曲では実ははまっている、ということが聴けば聴くほど分かってきます。
#1『この恋のかけら』
こういう曲をアタマに持ってくるのがやっぱりイエモンっぽいな~。
ただかつてのように『プチプログレ』のような展開は見せません。
ヒーセのベースがゴイゴイ引っ張っていきます。
ヒーセはキッスのジーン・シモンズに心酔していて、シンプルで大きなメロディで低音を支えているのがプレイの特徴なのですが、ここではブラック・サバスのギーザー・バトラーのような音を聴かせてますね。
こういう風に前面に出てきてあからさまに引っ張っていくのは、かつての初期イエモンを思い出します。
#2『天道虫』
なんか雰囲気がいかにもガレージロックって感じでミッシェル・ガン・エレファントっぽいなって感じました。
初っ端の低音が入ってくるところで「ドーン」と入ってくる音は何なのかな(爆発音)?
こういう雰囲気の曲って荒っぽくてなんぼみたいなとこがあると思うのですが、サウンドは驚くほどマイルド。
#3『Love Homme』
またしてもヒーセのベースが引っ張ります。
この路線ずっと続けてくれないかな。
このうねうねした音が病みつきになってきそう。
60年代ヴィンテージのベースらしいです。
久々のエロソングと同時に久々のブギーです。
エマのギターソロはレッチリのジョン・フルシアンテみたいに『枯れた』味わいを出してますね。
#4『Stars』
もうイントロからして日本の音楽を聴いている気がしない(笑)。
サウンドが、空気感が。
なんかサウンドとビートが超王道感というか、AC/ DCとかキッスみたいな堂々とした印象を受けますね。
ギターソロもやっぱりそうですね。
イエモンからは西欧風の湿った空気感を感じることが多いのですが、この曲に関しては珍しくアメリカンの乾いた空気感を感じますね。
タイトルからも察しが付くかと思いますが、『Dear My Rockstar』というのは、2016年に亡くなったデビッド・ボウイのことで、追悼ソングになってます。
#5『Breaking The Hide』
これ大好きなナンバーです。
序盤がちょっと『TVのシンガー』みたいな雰囲気ですが、セルフオマージュ感はありません。
『かつてのロビン』ではなく『今のロビン』の声がハマっている曲だと感じました。
ギターリフの音が70年代みたいで好きなんですよね~。
#6『ロザーナ』
人気ナンバーです。
なにげに疾走感あります。
アニーのハイハットにちょいちょいオープンを入れてくるのがドラマーとしてはたまりませんね。
この曲のグルーブを作っているポイントは間違いなくハイハットです。
また、再結成後の曲ではエマのギターソロを一番長く堪能できるナンバーと言えるでしょう。
#7『Changes Far Away』
この幸福感、イエモンだな~。
『夜行性のかたつむり~』の頃の雰囲気が漂ってます。
基本的にピアノが引っ張っていく曲なんですけど、ギターソロではエマが聴かせてくれます。
クイーンのブライアン・メイがやっていたギター・オーケストレーションってやつで、かなり『っぽい』感じが出てます。
#8『砂の塔』
第1弾シングルです。
これをテレビで演奏してるの聴いた時はまったくピンとこなかったですね。
正直
「うわ~、再結成後はこの路線で行くのかぁ…」
ってなっていたんですが、アルバムとして聴き込むとこれが妙に耳に引っかかってくるんですよね。
よもやここまでこの曲を好きになるとは思いませんでした。
15年前の最後のシングル『プライマル』を初週売上で超えてきました(9.5万枚)。
15年前と比べCDの市場がはるかに小さくなっているのに、これはすごい記録ですよ。
っていうか今どきよくシングルとか買うね?
ファンの方々の熱心さに頭が下がります。
15年間の間にそれだけ新たにイエモンファンを獲得してきたということだし、多くの人が再結成を待ち望んでいたという証明でしょう。
ドラマの脚本に寄せて作品を作るというのは初の試みで、そのため、イエモンとしては新境地とも言える作風になってるんですね。
アウトロでは最後「天国に近い!」と同時に『天国旅行』のギターが入ります。
#9『Balloon Balloon』
普通のJ-POP感というか、日本歌謡の歌メロで進んでいくというか、なんか斉藤和義っぽいんですよね。
お友達からの影響強いのかな?
それがこんないかがわしい展開を見せるなんてまったく予想できません。
けど、これが「まさにイエモン!」って感じで「キタキタキタ~!」ってなります。
かっちょええな~。
これは今ではかなりの人気ソングになっているらしいのですが、私も大好きです。
#10『Horizon』
エマの作詞作曲。
確かにこの歌詞はロビンのものじゃないですよね。
サザンの桑田佳祐もそうだったんですが、震災復興とかチャリティーとかあると、ミュージシャンの価値観が変わるみたいですね。
本当に人に対して励ましが必要だと感じた時に
「これはクサイかな」
とか
「ちょっと小っ恥ずかしいな」
とはならないんだと思いますよ。
音楽って世の中の風潮にやっぱり影響される部分はあるんだな~。
#11『Titta Titta』
これが一番『らしさ』を感じたナンバーで、最初から一番好きだし、やっぱり今でも一番のお気に入り。
『バルーン』とどっちか迷うとこですが。
もう、のっけからギターイントロの音がもろにイエモンじゃないですか。
サビ後の部分にちょっとギターコードにパンクっぽさも入ってるんですよね。
で、ギターソロはもろにストーンズ『悪魔を憐れむ歌』のキースのソロへのオマージュですね。
#12『ALRIGHT』
始まった瞬間まるで1曲目のように感じるのは私だけ?
再結成して最初に作られたまさしく『15年ぶりの新曲』と呼べる曲です。
ギターリフが典型的にイエモンで『フォー・シーズンズ』の頃をモロに思い出させます。
世間一般的に『ザッツ・イエモン』に感じられる雰囲気ということです。
こういうのセルフ・オマージュっていうんじゃないかな?
それだけに、ロビンの声質がかつてと変わったと一番強く感じる曲でもあります。
#13『I don’t know』
これがラストに来ましたか。
タイトル聞いたとき
「オジー・オズボーンかよ!?」
って思いましたが、確かロビンって「ヨジー・カズボーン」とかいうふざけた名前でなんか出してなかったっけ?
う~ん、『バルーン』のようなもう一捻りが欲しい!
むむぅ、なんだかんだでこんなに好きなアルバムだったのか。
8割くらい好きな曲だぞ…。
ん?
もう2024年?
「9999」からやがて5年?
おい!
そろそろでしょ!