XjapanMステ1993年末~リアルタイムで見たXの衝撃!もうこれは放送事故
どうもSimackyです。
さて、本日は私の人生を変えたXとの出会いを語っていきます。
この『Xjapan』は私の頃は『X』でしたので今後はXと書いたら全てXjapanのことだと思ってください。
Xと呼ぶ理由もあるのですがそれはまたいずれ。
『Xにプロレス仲間を奪われる』事件発生
Xとの出会いは私が中学3年のときでした。
別の記事でも書いたのですが、私はもともと音楽に関しては早熟と言うほどのものではないにしても
小学校のときにすでにゲームサントラを買って聴くほど好きでした。
中学になり、周りの友達が小遣いでCDとかを買い始める時期になると、
私もご多分に漏れずサザンやB’z、森高千里なんかを聞き始めました。
その辺はどこにでもいる普通の中学生ですね。
そして中学3年になるとプロレス(当時は新日本プロレス)にどっぷりハマっていました。
このプロレス仲間で金持ちのS君というのが、
当時ヘルレイザーズというタッグチーム(佐々木健介ことパワー・ウォリアーとホーク・ウォリアー)のファンクラブに入るほどのめり込み、
しまいには入場曲を探してCDで入手してきます。
これがかのヘヴィメタルの帝王と呼ばれる御大オジー・オズボーンの引退アルバム(その後また活動再開しますが)『ノー・モア・ティアーズ』だったんですね。
ロックへの入り口としてはなんとも凄い変化球の入り方(笑)。
このアルバムの7曲目『ヘルレイザー』が例の入場曲で、
いつも「かっこいいなー、もっと入場曲引っ張ってくんねーかなー」とか思いながら見ていたものです。
しかし、驚いたことにこのアルバム。
それ以外の曲も全部が良かったんです。
それもそのはず。
あのオジー・オズボーンが天才ギタリスト=ザック・ワイルドやモーターヘッドのカリスマベーシスト=レミー・キルミスターと作った最高傑作の呼び声高い作品だったのですから。
ロックへの出会いとしては理想的なほど素晴らしい作品と出会ったわけです。
その次に金持ちのS君は今度は『獣神サンダー・ライガーとグレートムタが選ぶヘヴィメタルバトル』というオムニバスアルバムまで入手してきます。
そこにはマイケルシェンカーやブラック・サバス、メガデス、WASP、UFOなどの名だたるメタルバンドが名を連ねており、
このアルバムで私はすっかりメタルに目覚めました。
で、そうして相変わらずプロレスとメタルという日々を過ごしていたある時、このS君がこんな事言い始めました。
「俺、プロレスはもういいから。俺もうXにはまってるから」
は?いやいや何を言ってるんだS君。
ずっと今まで二人で盛り上がってきたじゃないか。
これからも一緒にプロレスの話で盛り上がろうぜ?
S君は何と言っても気持ちは変わらないようです。
Xに大事な友だちを持っていかれたような気分でした。
「なんなんだよXって。そんな日本のバンドなんてどうせ洋楽のパクリみたいなダサい音楽に決まってるだろ」
Xとの衝撃すぎる出会い
そんな気持ちを引きずりながら年も暮れ始めたある時、テレビをなにげに見ていたときのことです。
ミュージックステーションでやたらキャーキャー言われている派手なファッションで身を包んだバンドが出ています。
「これがS君が言ってたXか。なんか女にキャーキャー言われていけすかねーな。っていうかミュージックステーションでこんなキャーキャー言われるバンド珍しいな。最近の新人か?」
私は結構テレビは見ていた少年だったので、
こんなに異常なくらい人気があるのにも関わらず一度も見たことがない名前を聞いたこともないということに不思議な印象を受けました。
なんかインタビュー受けている感じからするにベテランバンドみたいな感じ。
若干1名頭が真っ赤なのは何者なんだ?(hide:笑)
真ん中で喋っているリーダーみたいなやつ(Yoshiki)は男か女か分からないような美少年で、
金持ちの王子様がニッコニコ喋ってる感じ。
それにしてもこの歓声異常じゃない?
司会のタモリと有賀さつきの二人がお互い会話が聞き取れないってどんな状況?
実はこれ、Xが1992年1月の東京ドーム3デイズ以降、アメリカに渡ってしまい、
丸2年間もの間、バンドとしては日本のテレビに出ていない状況での2年ぶりのライブだったんです。
ただでさえ熱狂的なXのファンが、2年間も待たされたのならあの歓声も今では納得です。
一緒にテレビを見ていた茶の間が唖然とするほどの温度差。
これは『全国のお茶の間』で同じ現象が起きていたことでしょう(笑)。
で、「S君がそこまではまるXとはどんなものか聞いてやろうじゃね-か」という、なかば喧嘩腰で見始めました。
始まったのは派手な衣装のわりにはきれいな曲でした。
北斗の拳の『シン』のような髪型とメイクのボーカル(当時髪を下ろして物議をかもしていたTOSHI)は、
人を殺しそうな目つきで
「それバラードを歌う時の顔じゃないんじゃないかな?」
っていう顔できれいなバラードを歌っています。
曲は当時の新曲の「ティアーズ」。
歌はフルバージョンではないのですごくいい曲という印象はありませんでした。
「まあまだな。結局顔とファッションでキャーキャー言われてるだけの貴公子キャラバンドか」
と思っていた矢先、突然、ステージの照明がさっきまでの青と白のきれいな色から、
黒と赤にガラッと切り替わります。
で、いきなりドスの利いた声でボーカルがMCを始めます。
今でも結構覚えいます。
それぐらいインパクトありました。
「テメーら久しぶりじゃね-か。今日はテレビといえどもXの2年ぶりのライブだからな。やらね-訳にはいかねーな!思いっきり気合い入れていけ!」
その声量もさることながら、お茶の間向けに流している公共の電波で、
こんな乱暴なこと言っていいのかなっていうMC。
家ではばあちゃんも一緒に見てるのに(笑)。
そしてそれをはったりではなく『こういうMCをやり慣れている』感がものすごく伝わってくる貫禄ある態度。
「っていうかこれ、皆が順番に出るスペシャルライブでしょ?Xのワンマンライブじゃないよね?」
とツッコミを入れたくなるほどのふてぶてしさ。
さっきまでの印象とぜんぜん違う。
このバンド一体何が本性なんだ?
「さっきインタビューではリーダーのピアノの人ばっかりしゃべってたけど、やっぱこのボーカルの人が実質リーダーのバンドなのかな?」
そうして2曲目が始まるといきなり爆竹が爆発し、とんでもない速いスピードの激しい曲が流れ始めます。
代表曲の『X』です。
ドレスを着てニッコニコしてた貴公子王子様のリーダー兼ピアノの人は、
いつの間にか裸でめちゃくちゃ激しいドラムを叩いています。
しかもドレス着てた時は分からなかったけど、
パンツの片足は網タイツになってる過激なファッション。
何だそれ?
ほぼXのファンで埋め尽くされた観客席でヘッドバンキングが始まりました!
しかもほぼ女性客!
恥ずかしながら当時ヘッドバンギングを見たことがなかった私はこれにゾッとしました。
「やばい、かなりいかれた人達の宗教だこれ」
曲の途中では今度はギターの頭が真っ赤な人(hide)が人間ではないような無機質な声で叫びます。
「とべとべとべとべとべ!俺達がサンタクロースだぁ!」
これほんとに人間かと思いました。
見た目も声も雰囲気も。
そして曲がエンディングを迎えたときです。
この日一番の衝撃映像が起きます。
いきなりドラムの人がドラムをぶっ壊し始めたんです!
しかも生放送で近くで撮っているカメラに向かってドラムを投げつけるんです。
ということは、つまりお茶の間で見ている皆さんめがけてドラムが飛んできてレンズにビシってヒビが入るんです。
それからカメラが真っ暗になって、生放送なのにカメラが切り替わるたびに映ったり真っ暗になったりを繰り返します。
たまに正常に戻ったかと思うと更にドラムを壊していたり、
ギターの人が寝そべっていたりっていう
『おおよそ生放送で流してはいけない画像』
が流れ続けます。
完全に放送事故の現場です。
ダメ押しで爆竹の爆音。
それでも観客は盛り上がる一方。
もうこっちは怖くて怖くてこの場から逃げ出したいぐらいです。
ここまで読めばディープなXファンならお気づきでしょう。
そう、これが今でも語りぐさになっている1993年12月ミュージックステーションクリスマスライブでの伝説のパフォーマンスの日だったんですね。
全ての出演者がXに食われました。
当時はSMAPなんかがイケメン全開でドラマからバラエティまで全盛期と言ってもいいほどの隆盛ぶりを誇っていたと思いますが、完全にかすんでいます。
正直な感想をいってしまうと映像的な衝撃が大きすぎて音楽はほとんど入ってきてません(笑)。
これまで見てきたどのプロレスのパフォーマンスも超えていました。
あれはどんなに派手で過激でも予定調和の中で演じられたものなのに対し、これは完全にイレギュラーな事故です。
『何をしでかすか分からない人間の怖さ』
それがありました。
『安心して見れないもの=お茶の間で流せないもの』
完全にそれでした。
テロっぽいと言うかテレビをジャックしたような感じ。
よく衝撃映像とかで生中継の最中に殺人事件が起きるとかあるでしょ?
あれ見た時の気分に近い。
完全に『やばいものを見てしまった』感です。
「こんな危ない奴らは大嫌いだ。S君もどうかしてるぜ」
これがわたしとXとの最初の出会いでした。
見た目以上に音楽の発するパワーに打ちのめされる
それ以来S君には「あんな気持ち悪い奴らよくねーよ」と否定的なことばかり言ううちに、
S君も私の前でXの話題は出さなくなりました。
これまでプロレスが二人を繋いでいたんで、
それがなくなりあまり会話をしなくなりました。
受験勉強シーズンでもあり、あまり遊びに行く時期でもなくなっていたので。
そんなある時S君が1本のテープを私に静かに渡しました。
「一回聞いてみ?」
色々言わないS君の物言いに真剣なものを感じて私もこれまでのわだかまりを捨て、ただ
「分かった」
と言ってそのテープを持って返って聞きました。
それはシングル曲だけを集めた『シングルス』というアルバムの中から7曲だけ、
S君が特に気に入ったものをS君のセンスで曲を並べたものでした。
1曲目『紅』
これが音楽的な意味でのXとの出会いです。
私にとってXは『紅』に始まり『紅』に終わる。
原点にして最終的な到達地点。
唯一無二、私にとって人生を変えた史上最高の名曲との出会いでした。
あれほど伝説級にすごかった衝撃のライブがかすむほど、
このテープで受けた衝撃こそ、本当に人生を変えたものと言って過言ではないでしょう。
それほどの曲のパワーが有りました。
と言っても曲が速すぎて何が起きたのか全く分かりませんでした。
音楽を聞くことがこんなにスリリングであることを生まれて初めて知りました。
ドラム缶に蹴りを入れているような暴力的なイメージを想起させる荒々しいドラムの音、
ザクザクとどれだけ早く手を動かしいるのかというほどのギター、
鬼気迫るという表現では陳腐に感じてしまうほど魂というか殺気と悲しみの同居したボーカル。
なまじ映像がないからこそこっちのほうがミュージックステーションで見たときより遥かに迫力があったんです。
心臓に直接届く音楽と言えばいいんでしょうか?
理屈を、頭を飛び越え直接心に訴えかけてくる『何か』がありました。
『ロックの洗礼』という言葉があります。
ロックにハマった人は最初の入口でガツンと頭を殴られたような衝撃を受けます。
私にとってはそれはXより前に知ったオジー・オズボーンとの出会いを指すし、
高校に入ってから聞いていくことになるセックス・ピストルズなんかがそれに当たるでしょう。
Xに受けた衝撃はそれとは似て非なるものでした。
Xは『ロックの中ですごい人』というよりバッハやモーツァルト、ベートーベンのような音楽の長い歴史に名を残す偉人のような存在です。
比較するロックバンドが今か昔か、国内か国外かという問題ではなく、
ロックバンドの範疇を超えている。
もっと言えばミュージシャンでもなくアーティスト、アーティストでもなく表現者・哲学者・革命家といったほうがニュアンスが合うような気がします。
そんなバンドです。
だからこの音楽ブログでの扱いも音楽ブログとXブログは分けて書いていこうと思います。
Xを語ることは人生観を語ることと切っても切り離せないからです。
というわけで、今日は初めてXについて語りました。
今後もXブログと音楽ブログを書いていくのが楽しみでしょうがない私です。