『スタブ・ミー・イン・ザ・バック』Xjapan:YOSHIKI最速のドラミング

どうもSimackyです。

本日はX JAPAN(以下X)”とある”魅力に迫ります。

自分でドラムコピーもやった人間の感想を交えて語りますので、X の凄さの一端が伝わることかと思います。

Xの象徴は『速さ』だった

高校に入学した時、アルバム『JEALOUSY』を借りる時の友達とのやりとりはこうです。

「『JEALOUSY』ってどんな曲入ってんの?『silentjealousy』より速い曲は?」

「かっこいい曲一杯入っとるよ。Xで一番速い『Stab Me In The Back』ってのが超速い。」

「Xで一番速えーの!?そんな速えーの?『Orgasm』より速えーの?」

「速い速い」ってうるさい(笑)。

もう当時の私には『速さ』が最重要テーマだったもので。

それぐらい当時の若者の心を強烈に捕らえて離さなかったのは、

Xのメロディ以上に『スリリングさ』だったということでしょうか?

「ドッパンドドパン」の8ビートではなく「スッタンスッタン」の16ビート(俗に言う『スネア4つ打ち』)。

そして高速で刻まれる「ズクズクズクズク」の歪んだギターリフ。

「ドドドドドドドド」という地鳴りのようなバスドラの振動。

この魅力っていうのはそれまで「ヘビメタ」という言葉にイメージされるコミカルなものと全く違っていましたから。

さらにピリピリと張り詰めた一瞬も気の抜けないような緊張感。

殺気といいますか。

Xにはそれがありました。

「く~っ!たまんねぇ!ゾクゾクくる!」みたいな。

これが1980年代中期ごろからMETALLICAらがメジャーになってきて日本にも浸透してきた

「スラッシュメタル」

というジャンルだったのですが、その魅力を一般の多くの人達にまで届けたのがXというわけです。

このスピード感には中毒性があり、血気盛んなティーンエイジャーは家でむち打ちになるくらいヘッドバンギングをします(勝手な主観)。

かくいう私も首の振りすぎでいつもむち打ち状態。

体は細いのに首だけボクサーのように太くなるというおかしな現象が起きます(笑)。

狂ったようにヘッドバンギングをしているところを、

「電話よ~」と言ってガチャッと部屋を空けた時の母の衝撃を受けた表情と、

『ザ・ワールド』で時を止めたかのような固まった空気感は忘れられません(JOJOネタです)。

ふと気がつくと、じいちゃんが唖然と見つめていたこともあります。

これも「ロックのあるある」ですよね?

私だけでしょうか(笑)。

今ではYou Tubeにライブハウス時代の映像がたくさんアップされてる時代です。

まだ、PATAやHIDE、それどころかTAIJIさえも加入前のXの映像がありますので探してみてください。

1曲でもミドルテンポの曲をやろうものなら、すぐさま客から

「遅ぇ遅ぇ!速ぇ~曲やれぇ!」

とやじが飛んでいます(ライブハウスだからマジではっきり聞こえます)。

「うるせー!今やるから黙ってろ!」

TOSHIもこの頃はMCがかなりのコワモテ。

そんな時に荒ぶれる客をいつも黙らせるように演奏されていた曲が

伝説の神速曲 

Stab Me In The Back

です。

インディー時代、まだ、TAIJI、HIDE、PATAの加入前から存在する曲であり、メジャーデビュー後も当たり前のようにセットリストの中に組み込まれる非常に人気の高かった曲で、公式音源としてはメジャーデビュー直前のライブを収めたDVD『爆発寸前GIG』で見ることが出来ます。

オリジナルアルバムとしては3作目の『JEALOUSY』(#7)でやっと収録され、コアファンを狂気させます。

『Stab Me In The Back』は何がすごいのか?

泣く子も黙る問答無用の速さ。

X史上最速の

BPM200!

通称『YOSHIKI殺し』

本日一番語りたかったのはXの『速さ』

そしてそれを最も象徴するキング・オブ・スラッシュナンバーたるこの曲です。

インディーズ当時ヘルプでたまに参加していたPATAも、X加入直後のHIDEも速すぎて弾けなかったと語っています。

PATAはそれがかなり悔しかったらしく、ヘルプない時でも「次は完璧に弾いてやる」と練習していたそうです。

HIDEは『JEALOUSY』のインタビューでこの曲を振り返って

「この曲がどんだけすごい曲か皆分かってないよ。それぐらい未知の領域だよこの速さは。ライブハウス時代に今よりもっと遅いテンポでやっていた『KURENAI』だって当時としては相当速かったのに。」

みたいなことを語っていたのを覚えています。

TAIJIの場合は

「Xに入る前からこういうことは家で曲を作ったり、弾いてみたりはしてたけど、やっちゃいけないものだと思ってた」

らしいです。

ちなみに、インディーの頃に参加したオムニバスアルバム(スカル・スラッシュ・ゾーンだったかな?)の『Stab Me In The Back』ではまだYOSHIKI、TOSHI、TAIJIの3人(TAIJIは2回目の加入)でTAIJIがギター弾いています。

HIDEとPATAにこの手の速い曲の弾き方を教えたのはTAIJIとのこと。

TAIJIってすごいんですよ。

テクニックではXナンバーワン。

あのYOSHIKIに唯一駄目だしする男。

PATAは

「この曲をバンドでコピーしようと思ったら、まずはこれを叩けるドラマーを日本中探して見つけてくるんだな」

と語っています。

この頃のXは速さに対して異常なほどの自負とプライドを持っています。

特にYOSHIKIはもう誰に対して負けん気出してんだってほど。

「昔、ギターの奴に『このぐらいのスピードなら楽勝だよ』って言われて『絶対ギターのカッティングが追いつかないくらい速く叩けるようになってやる!』とかって陰で練習してた」

・・・一体何と戦ってらっしゃるんでしょう?(笑)。

1970年代のブラック・サバス(ヘヴィメタルの生みの親)が一体何と張り合ってるんだってくらい『重さ』で前人未到の領域を独走していましたが、それに近いものを感じます(笑)。

ちなみに『BPM』とうのは「Beats Per Minite」の略で「1分間に4分音符が何個あるか?」という速さの単位。

BPM200なら1分間に4分音符が200個ということです。

Xが驚異的なのはこれを8ビートではなく16ビートで演奏していることにあります。

つまり同じBPMでも普通の8ビートロックの曲に比べ『倍の音数』を詰め込んであるということです(あくまで単純計算の話ですが)。

4分音符は16分音符4個分の長さ。

つまりBPM200は16分音符800個ということになりますね。

つまりYOSHIKIのあの「ドドドドドド」っていうバスドラ16連打は、1分間に800発もバスドラを踏んでいるということです。

それって換算すると・・・

1秒間に13.3回も踏むんですよ?

当然足だけじゃなく手も動かしながら。

これが『YOSHIKI殺し』と呼ばれる所以(ゆえん)ですね。

HIDEやPATA、TAIJIも同様にピッキングのアップダウンをやっているということです。

あんたら高橋名人目指しとんのか(ファミコン時代に1秒間に16回もボタンを連打できたゲームの達人)。

8ビートの曲でここぞという時に速弾きを見せるギタリストはたくさんいます。

けれども、16ビートの曲ということはずっと速く演奏しっぱなしだということです。

さらにYOSHIKI特有のスネアの4つ打ちは、8ビートの倍のペースでスネアが入ってくる特徴があります。

だから体感速度が8ビートの曲の倍に感じる。

Xで言う『速い曲』というのは、この『Stab Me In The Back』『silentjealousy』のように16ビートのスネア4つ打ちで演奏されるものを指します。

『sadisticdesire』や『JOKER』のようなBPM180以上あっても8ビートである曲のことは指しません。

相当な鍛錬の上で気合を入れなければ「おととい来やがれ」の体力勝負。

まるで「やれるもんならやってみろ!」と言わんばかりです。

っていうか言ってました、すでに(笑)。

これ、当時の友人S君の家で見つけた時に爆笑してしまいました。

『JEALOUSY』のバンドスコアです。

これマジで貴重な1冊ですよ。

『JEALOUSY』発売(1991.7.1)からきっかり半年でTAIJIの解雇。

TAIJIの暴走に歯止めが効かなくなり、YOSHIKIだけでなくHIDEともメンバー間トラブルを起こし、スタッフからも煙たがられる存在となったTAIJI。

YOSHIKIに1991年末、『破滅に向かって』の1週間前にクビを言い渡されるのですが、まだこの時はアルバムリリース直後。

TAIJIとメンバーの仲が悪化する直前といったところでしょうか?

その時期にメンバー全員(YOSHIKIだけ別撮りだったかな?)でインタビューに応じ、

各曲を和気あいあいと楽しそうに語っているかなり貴重な、というよりかなりレアな記事が差し込まれています。

廃盤になってますが、ネットの中古で見つかりますよ

これは買いです。

それから触れておきたいお話が1つあります。

本当の『YOSHIKI殺し』は別にある…

ここからは余談になるのですが、せっかくなのでこの話題に関しても触れておきましょう。

この曲を評して通称『YOSHIKI殺し』という語られ方に関してです。

『JEALOUSY』のレコーディング中YOSHIKIは人生で初めて体験する首の激痛に襲われます。

長年、ライブで首を振りすぎていたため、骨が削れて尖り始めており、

それが神経に触れて激痛を起こし、レコーディング作業が中断します。

これを

『Stab Me In The Back』が速すぎてレコーディングが過酷だからYOSHIKIが倒れた」

という語られ方をコメントで見かけますが、違います。

『ART OF LIFE』のレコーディングが近くなってきたので(当初は『JEALOUSY』収録予定だったため)、めちゃめちゃ気合を入れていたYOSHIKIが、ただでさえ過労気味なのに16時間飲まず食わずでドラムのリハーサルをしてしまった結果、ヘルニアが発症したことが原因です。

当時、YOSHIKIが雑誌のインタビューでそう語っていました。

実はドラムの下に敷くドラムマットが日本からなかなか届かず遅れてしまったため、焦りもあったという後日談もあります。

何の話がしたいかと言うと、『速い』ことと『きつい』ことは別問題ということです。

X最速の曲はこの曲ですが、一番体力的にきついのはこの曲ではありませんから。

ずばり!

『紅』『X』『Orgasm』

この3曲が本当の『YOSHIKI殺し』です。

この3曲がピカイチにきつい。

違いはずばり。

ツーバスを踏んでいる時間の長さです

『Stab Me In The Back』は速いですが、ツーバス踏みっぱなしの時間はそこまで長くないです。

しかし、この3曲、、、地獄(笑)。

ライブの時を思い出してみてください。

『紅』はサビで演奏やめてお客さんに歌わせるし、

『X』でもラストのサビ部分ではツーバスを1回抜きます。

『Orgasm』も1回目のサビが終わるとコール&レスポンスが始まります。

これらのライブバージョンはYOSHIKIの体力を温存するために編み出されたんだと思います。

しかしスタジオレコーディングではとぶっ通しで録っているのが驚異的です。

ドラムセッティングまで忠実にコピーした人にしか分かりません、このきつさは。

YOSHIKIはインディーズの時に『Orgasm』のレコーディングが1日に1回しか撮れなかったことをインタビューで話しています。

「筋力的にもたないから、1回が限界。ちょっとでもミスしたらまた明日取り直し(笑)。このあたりの時期とか階段が登れなかったもん、足が震えて。」

それぐらいきついんです。

最近ではYou Tubeで「Xの紅叩いてみた」とかやっています。

見たことある人も多いかと思います。

ケロッとした顔で皆叩いていますよね?

YOSHIKIのセッティングを忠実に再現すると

絶対あんなに涼しい顔で叩けません。

なぜなら極限まで各メンバーが音量をでかくするXの大音量ド迫力ライブでは、

負けないようにバスドラの音量を上げる必要がある。

そのパワーを生み出すためのペダルのセッティングはビーター(バチの部分)をかなり長くして、

振り幅を大きく取るようセッティングします。

その分、ペダルを深く踏み込むことになるため、通常のペダルワークと違い足の重さに頼らず、筋力で踏み込まなければならなくなります。

これがめちゃくちゃきついんです。

もうこれは楽器を演奏しているという感覚ではありません。

800メートル走とかの中距離レースみたいなノリですね。

短距離走のような全力スピードで結構な長さを走んなきゃいけない、みたいな。

ちなみに逆のセッテティングで、ビーターを短くして、振り幅を狭くするとかなり楽です。

力いらないし。

そしてYOSHIKIは当時から色々調べてYAMAHAの一番パワーのあるペダルを選んで使ってたらしいので、ペダル設定が相当に重かったとのこと。

だから倒れるんです。

でもライブでは倒れちゃだめだから、色々曲の展開を考えた結果、ああいうバージョンになるんですね。

いやー深いですよ。

ちなみに私のペダルのセッティングはさらに極端で、1つ間違えればビーターが外れてしまうほど長さを限界MAXに設定するので、そのままやっちゃうと『紅』は最後まで叩けません(笑)。

途中で倒れますね。

ここまで極端にセッティングすると跳ね返ってくるビーターが足の甲に当たってメチャメチャ痛いから、こんなバカなセッティングはしてはいけません。

数年前(35歳くらいの時?)、You Tubeにあげようと思い、叩き切るために半年間毎日ジョギングして週5でスタジオでみっちり『紅』だけを反復する日々、、、。

それでも最後のコーラスの途中で死にます。

頭にきたので途中で倒れるところまで含めてYou Tubeにアップしました(笑)。

最後に私がぶっ倒れているザマを見て笑ってください。

これはラストのコーラス2回目のあたりでダウンしてますね。

もうね、ギターソロの最中からきつすぎてオカズも叩き間違えてるし、スピードもどんどん遅れております(笑)。

ちなみに「はぁはぁ」言ってるのは演技じゃないですよ(笑)。

こんなものバカ正直にやったら1曲でライブ中止です。

本人曰く「もはや体力じゃなく気力との戦い」

並の気合じゃ叩けません。

YOSHIKIは体力だけじゃなく気力も化け物だったということです。


はい、というわけで本日はX最速の曲を語ってまいりました。

どうです?

ドラマーYOSHIKIの住んでいる世界がちょっとイメージできましたか?

それが分かったのなら、明日から気合い入れて走り込みしましょう(笑)。

今日紹介した曲もそうなんですが、Xのスピードナンバーは、首に爆弾を抱えた今のYOSHIKIではもう二度と再現することは不可能です。

もともと今の年齢でプレイすること自体が不可能だし、ヘルニアもあるのでね。

それでもどうにかやり方を考えて『紅』や『X』を演奏している様は心を打ちますね。

X大好きな皆さんからのコメントお待ちしてます!

no music no life! 

”音楽なしの人生なんてありえない!”

Simackyでした。

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