『エンドレスレイン』X JAPAN 制作秘話から語る名曲の全て
本記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日はX JAPANの
『エンドレスレイン』
を大いに語っていきます。
X JAPANバラードの頂点
この『エンドレスレイン』はX初のバラードシングルであり、そしてXのバラードナンバーの中でも頂点にある1曲だと言えるでしょう。
Xのバラードと言えば『打倒!エンドレスレイン』を目指した「セイ・エニシング」、紅白で出演者全員で歌うために作られた「ティアーズ」、小泉首相が選挙のイメージソングで使った「フォーエバーラブ」、解散ライブ用に作られた「ラストソング」、hideの死を歌った「ウィザウト・ユー」、そして今年に入って久々にリリースされた最新作「エンジェル」に至るまで、名だたるバラードがひしめいています。
どの曲も、並のアーティストであれば人生で1回書けるかどうかのレベルの完成度を誇っています。
しかしこの「エンドレスレイン」はその中での頂点です。
Xファンにとってのナンバーワンバラードは間違いなくこの曲でしょうね。
それはライブの時の扱いからして違います。
ほぼほぼライブのアンコールのラストはこの曲を大合唱して終わりますから。
ツアーなどよりも、東京ドームなどのビッグイベントであればあるほどその傾向は強まります。
1992年の『東京ドーム3デイズ破滅に向かって』の時なんて、最後の大合唱をいつ終わるともなく続けてましたよね。
昔はXファンで人気投票をすればほぼ1位が『紅』、2位が『エンドレスレイン』になってました(ベスト盤『ファンズセレクション』では「サイレントジェラシー」に負けて3位でしたが)。
この並びは鉄板というか。
というかこの曲でも勝てない『紅』って奴は、やっぱあらためて凄いな(笑)。
『エンドレスレイン』は1989年にリリースされた2作目のオリジナルアルバム『ブルーブラッド』に収録されています。
そして6曲目が『エンドレスレイン』、7曲目が『紅』という嘘のような並びになってます(笑)。
ファーストシングルの『紅』に続きセカンドシングルとしてリリースされました。
ファーストシングル、セカンドシングルが人気の1位、2位って考えてみるとすごいデビューですよね。
発売から34年経っても全く色褪せないどころか、現代においてさえ、さらに人々を新たに魅了し続けているのですから。
YOSHIKIの作曲に対する基本姿勢はこの曲から始まった
現在では『X=バラード』とさえ思っている人も多いと思いますが、インディ時代の過激だったころは当然のことながら、バラードはほとんどやっておりません。
1作目のアルバム『ヴァニッシング・ヴィジョン』では、ラスト曲で『アンフィニッシュド』をやってますね。
やはりライブハウスでの活動を中心にしているインディ時代では、しかも血の気の多いXのファンの前ではこういう音楽をやるのにためらわれたということでしょうか?
メジャーに移行するなり、
「一回とことんやってみたかったんだよね」
と言わんばかりに、本格的なモノを作った感じがします。
この曲が生まれたのはアルバム『ブルーブラッド』の作曲のためのメンバー合宿の時です。
夜になり他のメンバーが例によって飲んで騒いでどんちゃん騒ぎをしている時に、YOSHIKIは1人部屋にこもって作曲に没頭します。
そうして途中まで出来上がった曲を、ディレクターであり『すべての始まり』を執筆した津田さんに聴かせたんですね。
津田さんはその時のことを自伝でこう語っています。
「大抵の音楽家が諦らめている名曲を新たに生む行為を、大きいメロディでまったく新しい曲を生むことを、ちゃんとYOSHIKIはやっている」(『すべての始まり』より抜粋)
音楽を作るという行為をずっとやっていると、そして音楽産業に身を置き続けると、やはり売れるための曲を作らなければいけないプレッシャー、時間のプレッシャーは常にある。
そのためのテクニック、技術に染まっていく。
心でメロディを紡ぐのではなく、どこかで聞いたことのある、使い回されたメロティをつなぎ合わせていくような作曲になりがち。
誰だって天才ではないのだから、それは仕方がないことだと割り切って音楽を作っている。
けれどもそうして生まれた楽曲は時代を飾る一過性のものに過ぎず、ベートーベンやモーツァルトのような100年聴き継がれる楽曲にはならない。
YOSHIKIは100年聴き継がれる曲を諦めることなく、追い求めているのだ。
津田さんの言いたいことを勝手に意訳するとこういうことだと思います。
いかにプロと言えども、誰でも無限にメロディが湧き出てくるわけではありません。
アルバム1枚も作ろうものなら
「もう出し尽くした」
ってくらいアイデアをひねり出すので、メロディは枯渇していくんだと思います。
それをどうにかこうにかマンネリにならないように、時代の流行り要素や他ジャンルの要素を取り入れたり、最新の機材・技術を導入したりして工夫して作曲してるのかな、と。
音楽をビジネスとしてやっている以上は、
「曲が作れない」
なんて泣き言は言えません。
そうやって無理くりにでもひねり出さないと、仕入れたネタをこねくり回してでも仕上げないと、契約したペースで作品をリリースできない部分もあるのかもしれません。
けれどもYOSHIKIは、今でもビジネスに振り回されることなく『100年聴き継がれる楽曲』を追い求めています。
小手先で作ってたくさんリリースするということを拒否しているように見えます。
それを物語るように、X再結成から現在2023年に至るまでに平均
5年に1曲くらいのペース
でしか曲がリリースされません(笑)。
YOSHIKIは怠けているから曲をリリースしないんじゃありません。
「100年聴き継がれる名曲でなければ作る意味がない」
という基本姿勢を全くブラしていないが故なんです。
「バカヤロウ!そんなにホイホイと簡単に名曲なんて出来っかよ!けど駄作・凡作を出すくらいなら死んでやるからな!」
YOSHIKIの気持ちを勝手に意訳するとこんな感じでしょうか。
誰からなんと言われようとも自分が納得する名曲でなければリリースしない。
その基本姿勢が生まれたのがこの「エンドレスレイン」の制作であり、今でも「名曲足り得るのかどうか?」の判断基準となっているのがこの曲の存在なのです。
バンドアンサンブルあっての名曲
これまで『エンドレスレイン=YOSHIKI』で語ってきました。
しかし、この特に初期の頃の名曲は、バンドアンサンブルの妙なくしては生まれてはいないと言えるでしょう。
例えば、『アート・オブ・ライフ』がYOSHIKI要素50%、メンバー要素50%だとすれば、この頃はYOSHIKI30%、メンバー70%みたいな。
あくまで例えですよ?
あのライブハウス初期の頃は一見平凡な歌謡曲みたいだった『紅』が、メンバーのアレンジでまったく生まれ変わるくらいですから、メンバーのアレンジ貢献度はかなり大きかったんじゃないかな?
この「エンドレスレイン」でもそれは大きいと思います。
まず、オープニングはYOSHIKIのピアノ伴奏と同時に入り始めるTAIJIのベース。
TAIJIはベースで大きく包み込むようなうねりを出すのが非常にうまい。
この冒頭のベースだけで私なんかは泣いてしまいそうになります。
このTAIJIのムードたっぷりのベースと、やたらリバーブを掛けてタメの効いたYOSHIKIのシンプルなドラミングが合いますね~。
特に奥行きと存在感を放つバスドラはいい仕事してます。
そしてギターソロはHIDEが作ってます。
ここはYOSHIKIがHIDEに一任したそうです。
HIDEとPATAのツインギターのハモリが美しすぎます。
HIDEってパンク命の人だから、こういう作り込んだメロディっていうか、きちんと起承転結で構成されたギターソロを弾くイメージと全然違うんだけど、やはり彼の中にもアイアンメイデンの血が流れていたというところでしょうか(笑)。
「俺はパンクが好きなんだけど、俺らの世代って周りがジャパメタ野郎ばっかりだから、不本意ながらジャパメタ得意になっちゃったじゃねーか!」
HIDEの気持ちを勝手に意訳するとこんな感じでしょうか(勝手な意訳そろそろやめないと怒られるよ?)?
ちなみに私はこのギターソロが好きすぎて、ドラマーであるにも関わらず2年間くらい毎日家で弾いていたら、目をつぶってても弾けるようになったくらい死ぬほど好きです(あと紅のソロも)。
それから全編を通してギターはピアノの伴奏と音が重ならないように、一音一音確認しながら入れたそうです(『ブルーブラッド』のスコアブックでメンバーが語ってました)。
音が絞られているのでほとんど聞こえてきませんけど、実は弾いてます。
ライブでもHIDEやPATAがちょろっと爪弾いているように見えますが、あれは弾いているフリじゃなく本当に弾いてますので、色々なライブバージョンを聴いてみてください。
たま~に聞こえるときがあります(笑)。
最後にTOSHI。
やはりXの曲はTOSHIの声なくして名曲足り得ません。
特にこの頃のバラードにはYOSHIKIからTOSHIへ
「愛情50%、殺気50%」
で歌うようにイメージが伝えられています。
ただ愛のことを歌うだけじゃ愛は伝わらない。
愛情が強いがゆえに『嫉妬』も生まれるし、愛情が強い故に「殺したい」という感情も生まれる、と。
愛憎入り乱れてこそリアルな『愛』だと。
そのため、当時テレビ出演時に「エンドレスレイン」を歌う時のTOSHIの顔は
「それバラード歌う時の顔じゃないんじゃないかな~?」
って顔で歌ってます。