『GREEN』R.E.M オルタナの重鎮的存在なのに、実はすごくキャッチーなポップ・ロック

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Simacky(シマッキー)です。

本日はR.E.Mの入門アルバム『GREEN(グリーン)』を語っていきます。

R.E.Mの不思議で味わい深い世界へ入門しましょう!

R.E.Mとはどんなバンド?

インパクトはなかったが”あと引く”音楽

1998年頃かな?

このアルバムは私の大学生時代、なんの期待もなく出会ったアルバムです。

この頃はCDレンタルショップで、古くなったCDが格安販売されていたのですが、その『かご売りセール300円』の中で見つけた一枚。

ケースもブックレットも使い古されてボロボロ。

何ならケースの割れ目がセロテープで補修されていたりして、見るも無惨なその姿からは『名盤』のオーラは微塵も出ておりませんでした(笑)。

当時読んでいた音楽雑誌で、何度が作品紹介を見かけたことがあったため、

「人気があるオルタナのグループなのかな?」

程度の認識です。

私のまわりでは好きだという人もいないし、安く買ったものだから、他のCDに比べ特に聴き込んだというほどの記憶はありません。

「買ってすぐちょっとは聴いたけど」ぐらいの認識です。

なのにその後10数年くらいの間、何故かこの作品のメロディが頭で流れてきて、たまに聴きたくなることが何度となくありました。

何なんでしょうねこれは?

当時の印象としては別段インパクトがあったわけではなく、どちらかというと『薄い』印象でした。

『オルタナティブロック』と聞けば、当時はニルヴァーナやパールジャムらの音をイメージしたと思うんですよ、誰だって。

けれど、のっけから全然違って、

「なんじゃこのポップさは。しかもなんか変なポップさだ。」と。

まあ、ヘヴィなサウンドを期待もしていなかったし、300円で買ったものなので逆にこだわりも抵抗もなく

「こういう音楽もオルタナティブって言われるのか」

と自然に受け入れることはできましたが。

しかしおかしなことに、この時聞いたメロディがずっとあと引いてたんですよ。

別に好きなバンドという認識をしないまま、気がつくと

ある時「あ、好きなんだろうな。」となってくる変な存在。

それが私にとってのR.E.Mです。

オルタナティブの重鎮的存在

CDで音楽を聞かなくなって10年ほどが経ち、久しぶりににストリーミング配信でR.E.M.を聴き始めます。

そしたら、記憶していたより遥かに音楽がいい。

「あれあれ?」みたいな(笑)。

興味が湧き始めた私は、このバンドに対しての基本情報などをネットで読み漁りました。

そうして段々と分かってきたことなのですが、実は1980年代初期から活動しているかなり古株のバンドとのこと。

ニルヴァーナの2,3年前ぐらいにデビューした人たちという勝手な勘違い(笑)。

オルタナ系のバンド達が非常にリスペクトするバンドという位置づけだったんですね。

インディー時代が非常に長く、1981年インディデビューした後、5枚の作品を発表後に1988年にメジャーデビューしたのがこのアルバムというわけです。

もうこれはオルタナムーブメントよりも80年代前半のポスト・パンク、ニューウェーブ側の世代の人達です。

かなり意外。

意外と言えばもう1つのオルタナのカリスマであるソニック・ユースもそうですね。

この人達も80年代の初期から活動してます。

当時はヒットチャートの若者版『カレッジチャート』があり、そのカレッジチャートでカリスマ的な人気を誇り、インディー時代最後の5thアルバム『ドキュメント』ではミリオンセラーを記録。

インディで100万枚?それって化け物では?

というより、アメリカのインディレーベルと日本のインディレーベルのセールス規模がぜんぜん違うということが分かる事例なのかもしれません。

音楽的な評価の一例としては、1983年にローリングストーン誌の選ぶアルバム・オブ・ジ・イヤーでデビュー作の『マーマー』がなんと1位。

その時のノミネートがマイケル・ジャクソンの『スリラー』、U2の『WAR』など名だたる名盤が並んでいるところを見ると、これはとんでもないデビューをカマしているのが分かります。

ちなみにこの『カレッジチャート』がメインのヒットチャートに対して『もう1つ別の(オルタナティブ)チャート』と呼ばれていたことから、

このチャートに名を連ねるようなバンドの音楽性を指して『オルタナティブ・ロック』と言われるようになったようです。

そこに無冠の帝王として君臨していたR.E.Mはまさにオルタナティブ・ロックの代名詞と呼んでもいいのかもしれません。

そして、このアルバム『グリーン』でメジャーに移籍した後は、ミリオンセラーは当たり前。

グラミー受賞や大ヒットも連発。

ニルヴァーナのカート・コバーンが自殺する時に流していた作品として有名な『オートマティック・フォー・ザ・ピープル』は1800万枚セールス!

押しも押されぬ’90年代を代表するビッグネーム。

にも関わらず、日本では扱い小さい典型的な『スモール・イン・ジャパン』ですよね。

少なくともこのアルバムを買った1998年時点で私の周りに聴いている人が誰もいなかった(笑)。

スター性があんまりないルックスと音楽性

世代的にはU2やレッチリ、メタリカぐらいの世代だし、ビッグネームとしてまったく見劣りしないほどのセールスもある。

しかも、‘90年代オルタナティブ・ロック勢から崇められている割には日本では知名度が低いR.E.M。

どうしてか?

理由1:話題性があんまりないから

U2であればボノが社会派のメッセージで物議を醸したり、レッチリはそのファッションや奇抜なパフォーマンス(ち●こソックスとか)、メタリカはなによりその音楽の過激さがあります。

それに対し、R.E.Mはファッションも地味だし、ライブも特に個性的というものは見受けられません。

問題行動というのも聞いたことないし(一応政治的メッセージはありますが)。

見た目にしても地味です。

LAメタルのガンズアンドローゼズやスキッド・ロウのように、特別目を引くようなイケメンのフロントマンがいるということもない。

まあ、マイケル・スタイプも黙って立っていればすごく独特のオーラをもっているのですが、MVなどではがっかりすることが多いです(笑)。

理由2:音楽性がオルタナティブ・ロックのイメージと違う

その音楽性にいたっては、オルタナティブ・ロックの源流で語られる割にはそれらのバンドと似ていない。

大半の人がニルヴァーナやパールジャムの大ブレイクがきっかけでオルタナに入ってると思います。

そして、インタビュー記事なんかを読んで

「カート・コバーンがリスペクトするバンドなら聴いてみるか」

と聴いてみると私が感じたような

「え?これもオルタナティブっていうの?」

という違和感を感じる。

そもそも、オルタナティブ・ロックは先述したようにカレッジチャートにランクインしている音楽を漠然と指したものなので、さまざまな音楽性が混在しています。

しかし‘90年代に入り後輩バンドたちがビッグヒットを連発するので一般的にはそっちのイメージが完全に定着しているんですよ。

ニルヴァーナのようなヘヴィでパンクな要素ですよね。

そこからかなり遠いところにいるのがR.E.Mの音楽性であり、特にこのアルバムは最もかけ離れていると言っていいでしょう(笑)。

『GREEN』アルバム解説

GREEN(グリーン)

1988年発表6thアルバム

  1. ポップ・ソング89  – 3:05
  2. ゲット・アップ – 2:41
  3. ユー・アー・ザ・エヴリシング – 3:44
  4. スタンド- 3:12
  5. ワールド・リーダー・プリテンド- 4:19
  6. ロング・チャイルド – 3:38
  7. オレンジ・クラッシュ- 3:51
  8. ターン・ユー・インサイド・アウト – 4:17
  9. ヘアシャート- 3:55
  10. アイ・リメンバー・カリフォルニア- 5:03
  11. – 3:11  ※11曲目は隠しトラックで曲名は付いていない

突き抜けたキャッチーさとポップさ#1,2、4

最近、ストリーミング配信で全15作品を一気に聴いたのですが、この『グリーン』はトップクラスにポップです。

このアルバムからメジャーレーベルに移籍したことでも分かるように、『アンダーグラウンドの帝王』であったR.E.Mが、

『もっと多くに人に音楽を届ける』=『売る』

ということに意識を向け始めたことの現れでしょう。

その象徴が#1「ポップソング89」。

ひねくれてると思いません?このヴォーカル(笑)。

もう完全に人を食っているというか。

「メジャーに行ったから売れ線の曲演ると思ってるだろ?ああ、やってやるともさ」

とあざ笑うかのように聴こえます。

なんかセックスピストルズのジョニー・ロットンみたいに感じる(笑)。

#4も強烈にポップです。

実はポップなナンバーの構成比がそんなに大きいわけではない、バラエティ豊かなアルバムであるにも関わらず、

この作品が「ポップ」と語られるのはこの曲の存在抜きには語れません。

皆さん、この曲で幸せな気分に浸ってください(笑)。

神秘的なアコースティックナンバー#3、6、9

#3,6,9なんかはアコースティックナンバーなんですが、これが普通のアコースティックとなんか違う。

マンドリンがなってるんので、独特の雰囲気を醸し出します。

例えるならば、レッド・ツェッペリンのナンバーにありそうな北欧の民族音楽的な雰囲気といいますか。

静かで幻想的で神秘的な雰囲気をまとっています。

超ポップなナンバーを挟み込む形でこれらのアコースティック曲が、アルバムに起伏をつけています。

私は朝の散歩中に聴くのが好きで、これらのナンバーを聴きながら散歩すると、

朝もやに包まれた近所の森林公園が、

エルフの森に迷い込んだように神秘的に感じられる

ので大好きです(笑)。

R.E.M入門に最適な一枚

単純に私が最初に入った入り口だったので(笑)。

というのは冗談で、やはり非常にとっつきやすいからです。

7th「アウト・オブ・タイム」と最後までどちらにしようか迷いましたが。

R.E.Mは全作品、非常にクオリティが高い。

まったくはずれがありません。

そして雰囲気が明るかったり暗かったりはあっても、基本的にすんなり聴けます。

拒否反応が起きるようなクセがないというか。

なので、その時の気分によって一番好きなアルバムは変わりますね。

no music no life! 

”音楽なしの人生なんてありえない!”

Simackyでした。

それではまた!

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