『パスト・ライブ』ブラック・サバスのとんでもない遺産

どうもSimackyです。

本日はオジー期ブラック・サバスの『パスト・ライブ』を語っていきたいと思います。

え~、ブラックサバスを愛する全人類の皆様、ヘヴィメタルを愛する皆様。

この作品は金字塔であり名盤中の名盤であり、この世に降り立った以上は必ず聴いてから死んだほうが良いほどの作品です。

ライブ盤というカテゴリーで本作を超えるものは地球上に存在しないと言っても過言ではないでしょう。

ブラック・サバスにはオリジナルアルバムの傑作の数々がありますが、彼らがどうしてミュージックシーンにおいて後進のミュージシャンたちからリスペクトを集める偉大なバンドとして君臨できたのかは、この作品を聴けば分かります。

私が友達に

「こいつには絶対サバスの魅力を分かって欲しいな」

と思う時に、おすすめの1枚を選べと言われたらオリジナルアルバムを差し置いてやっぱこれかな。

とにかくやばすぎです。

現代のメタルバンドが70年代初期にすでに存在していたかのような衝撃を受けることでしょう。

2020年代を生きる私達から見て、1970年代はすでに50年も昔の時代。

そんな大昔においてこんな音楽がすでに登場していたことは驚嘆に値します。

こんな轟音を鳴らしたらきっと怒られる時代ですよ(笑)。

何より、こんな時代の20~30年も先のことをすでにやっているにも関わらず、誰もその凄さを理解できていないことが笑えます。

というより本人たちもでしょうけど(笑)。

いつの音源か?

オリジナルメンバー期の公式ライブ音源(非公式との声もあり)は昔はこれしかなかったです⇩

1980年リリースの『ライブ・アット・ラスト』です。

#1『トゥモローズ・ドリーム』~5『スノウブラインド』までが1973年3月11日マンチェスター(イギリス)の音源。

#6『チルドレン・オブ・ザ・グレイブ』~9『パラノイド』までが1973年3月16日ロンドン(イギリス)の音源。

これがね~音は悪いけどその勢いはガンガンに伝わってくるヤバい作品で、知る人ぞ知る作品でしたね。

あんまり有名じゃないのが残念なんですけど、当時オジーが抜けたサバスが最初に出したあの「ヘブン・アンド・ヘル」よりもチャートアクションが上だったのでかなりの注目を集めたものとは思われるのですが。

マネージメントとのトラブルの中でバンド非公認でリリースされたため、かなり出自が怪しいと言えば怪しいし、レコード盤は相当音も悪かったとのこと。

しかし、私はCD版を聴いてたので、ライブアルバムとしては歴史上最高の評価を受けているオールマン・ブラザーズ・バンドの決定版「フィルモア・イースト・ライブ」を唯一超えたライブ名盤だと私は思っていました。

このCD音源がもう一回リマスターされた上で(リマスター効果は感じないけど)、ディスク2としてもう1枚ブートレグのライブ音源が加えられ2枚組となったものが本作となります。

なので「ライブ・アット・ラスト・デラックスエディション」という名前で出したほうが紛らわしくなかったのではないか?という声も一部にはあります(笑)。

そういうわけなので、もう『ライブ・アット・ラスト』は存在理由がなくなってしまいました。

ディスク2の内訳は

#1『ハンド・オブ・ドゥーム』、#5『アイアンマン』~9『フェアリーズ・ウェア・ブーツ』が1970年10月3日ブリュッセル(ベルギー)の音源。

これ以前はパリのオリンピアシアターという表記がしてあったそうですが、こっちが正しいです(ちなみにストリーミングでは未だにパリ表記のまま)。

#2『ホール・イン・ザ・スカイ』~4『メガロマニア』が1975年8月5日アズベリーパーク(アメリカ)の音源

つまり本作『パスト・ライブ』を聞けば、ブラック・サバスオリジナルメンバーの全盛期時代である1970・73・75年のライブを網羅することができるわけです。

オリジナルアルバムでは1作目『ブラック・サバス』から6作目『サボタージュ』までの楽曲を網羅してます。

1作目から4曲、2作目から5曲、3作目から2曲、4作目から3曲、5作目から1曲、6作目から3曲。

「おや?一番ライブ映えしそうな3作目からが意外にも少ないな。残念。」

と思われた方は、後に再結成して1998年にリリースするこちらを聴いてください⇩

3作目からは「え~っ!?まさかその曲までやってくれるの!?」というナンバーまでたっぷりやってくれてます。

ちなみに私はこの選曲に狂喜乱舞しました(笑)。

本作に話を戻しますが、やはり「ブート音源」という謳い文句もあり、ディスク2のほうが若干音が悪いようにも感じますが、おそらくそれは先入観のせいで、そこまで大きな差を私は感じてません。

なぜならディスク1の『ライブ・アット・ラスト』も元々ブートレグに毛の生えた様な出自だったと思うので(笑)。

本作の聴きどころ

やはり4作目から6作目の楽曲が7曲も収録されていることがこのアルバムの最大の目玉でしょう(1~3作目までの楽曲ってなんだかんだで色んな作品に入ってますから)。

だってのっけから4作目収録の『トゥモローズ・ドリーム』ですよ?

意外!

「コーニュコピア」のこのどん底の重さときたらどうでしょう?

重さの代表作「スイート・リーフ」を凌ぐかと言わんばかりのヘヴィさです。

「スノウブラインド」はもうこれが決定版。

これに比べたらスタジオ音源は曲の真価を発揮していなかったことが分かります。

4作目ってスタジオ盤はギターの音を重ねすぎてギーザーのベースが引っ込んでしまい、サバス独特のあのグルーブ感が若干失われていることが残念でならなかったのですが、ここではまるで3作目までのグルーブ感で4作目の楽曲たちが演奏されており、個人的には「モンスターソングに化けた…」と物凄く興奮します。

ディスク1のラスト3曲「ウォーピッグス」「ウィキッド・ワールド」「パラノイド」にはかなり違和感を感じるかもしれません。

「なんかこんな重かったっけ?」

オジーのボーカルが低過ぎで歌い辛そうにしているんですよね。

ちょっとここのからくりをお話しましょう。

これね、実はトニーのギターが原因なんです。

トニーは3作目から1音半下げチューニングにしてますから、3作目以降の楽曲に関してはライブで演奏しても原曲キーと変わらずですが、1,2作目の楽曲をライブでやると原曲よりも1音半下がってしまっているのです。

なので不自然なくらい低く感じるし、オジーのボーカルがマッチしていない。

ちょっと残念な点です。

ディスク2の「アイアンマン」以降の楽曲はすべて1,2作目からの楽曲ですが、1970年のライブ音源のため、まだレギュラーチューニングでライブやっているんですよ。

なので1,2作目からの楽曲とは言え普通に歌えているんですね。

こうして聴き比べると、『重ければ正義』というわけでもないことがよく分かります(笑)。

そして6作目「サボタージュ」からの選曲である3曲は、原曲が原曲だけに鬼気迫るものがあります。

「ホール・イン・ザ・スカイ」をあの高さでほんとに歌っているオジーがいます。

絶対歌えないと思ってた(笑)。

かなり辛そうですが。

この頃のツアーでは相当に地獄を見たのでしょう。

7作目「テクニカル・エクスタシー」からは明らかにキーを下げましたからね(笑)。

「シンプトン・オブ・ザ・ユニバース」はスラッシュメタルの原型と呼ばれることも多いのですが、原曲よりもテンポが早くてほんとにスラッシュメタルそのものですね。

まだ1975年だぞ?

信じられない光景が繰り広げられてます。

「メガロマニア」は意外にも原曲の長さで再現しましたね。

なんか迫力というか殺気が凄い。

しかしオジーには試練が続きます。

ついには1オクターブ下で歌っちゃってます。

そりゃ無理だろ、この曲高音パートがずっと続くし。

「ああ、ついに限界迎えた…」

見るも無惨…聴くも無惨…。

こういうボーカル泣かせの曲作っちゃ駄目だよね(笑)。

まあ、サバスではボーカルメロディは全てオジーが作っているから、誰のせいにもできないのですが。

そして最後なんですが、なんだかんだで一番凄みを感じるのは、いつでも演奏される定番曲たちです。

他のライブアルバムでも聴けるからこそ、全盛期の違いが分かるというか。

『スイート・リーフ』なんてオジーソロでザックが演奏しているのを聴くことのほうが多かったから、本家本元のしかも全盛期の『スイート・リーフ』の格の違いっぷりが分かります。

『チルドレン・オブ・ザ・グレイブ』はもっとやばいです。

この曲に関しては、オジーソロの『ランディ・トリビュート』でランディが演奏したものがとにかく素晴らしくて、オリジナルを超えたとさえ思ってたんですよ。

「こりゃランディに神が降臨してる!」って。

多分これ「分かる!!!!すごく分かる!!!!」って人多いと思うんですけど(笑)、ノンノンノンでした。

ランディのプレイを軽く凌駕してきます、はい。

この「チルドレン・オブ・ザ・グレイブ」を聴いた時に何が衝撃だったかって、「神が降臨してる」どころか「トニー・アイオミは神そのものだった」という事実を知ったことですね。

「う、海が割れていく~~!!!!」みたいな、

人知を超えた所業のように感じます。

あの天使ランディ・ローズをもってしてもトニー(ゼウス)超えはできなかったか…。

いや~それにしても、トニー先生ってどうしてジミヘンと同格に扱われないんだろ?

この世で一番過小評価されているギタリストだと思うんだけどな。

あのヘヴィメタルの帝王であるオジー・オズボーン御大がステージの中央を譲って、ステージ右端で歌うくらいすごい人なんですよ?(笑)

あなたそんな絵面(えづら)見たことあります?

サバスの曲はトニー先生が弾かないとサバスの魔力が出ないんだな~、と痛感させられます。

というよりも魔力はもう一人の『リフメーカー』であるギーザーが持っているのかもしれません。

なんだこのベースの音圧(笑)。

なんかギターとベースが完全に一体となって爆発するみたいなリフなんですよ。

爆発力はビルの癖のあるリズムにジャストのリズムで乗っかってるからというのもあります。

誰にも真似できない無敵のサバスグルーブの本領が発揮されてて鳥肌が立ちますよ。

1973年音源の『ウォーピッグス』『パラノイド』は1音半下げチューニングでちょっと残念な結果に終わってますが、1970年音源のディスク2のラスト5曲はとにかくやばすぎです。

ディスク2のこのラスト5曲は「ガクッと音質が落ちる」というレビューが多かったのですが、無視してください、そんなレビューは。

これは音質とかちゃちぃ問題は蹴散らすほどの圧倒的パフォーマンスですよ。

これ聴いて音質がどうのとか言ってる人は、この演奏の持つパワーやバンド間にほとばしる緊張感とかいう一番大事なものを感じきれていないのでは?

この「ビハインド・ザ・ウォール・オブ・スリープ」の出だしのイントロでは何回聴いても涙が出ます。

「俺たちがブラックサバスだ!!」

って世界中に声高らかに宣言しているみたいに突き抜けたエネルギーを感じるではないですか。

何ですかこのビルのど迫力のドラムは!

ジョン・ボーナムよりすげぇぞこの赤タイツ男

いかん、「本作の聴きどころ」とか言いながら結局ぜんぶ喋ろうかしてる(笑)。

語りだしたら止まらない、聴きだしたら止まらないブラック・サバスの決定版『パスト・ライブ』!

皆さん、地獄まで持っていく一枚としてはピッタリですよ~!

 

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