メタリカ・ギター:カーク・ハメットのギターソロ傑作選

どうもSimackyです。

本日はメタリカのリードギタリストであるカーク・ハメットを語っていきますよ~。

リードギター担当だけどそれだけではない~意外と知られていないメタリカの制作過程~

この際はっきり申し上げます。

「カークの文句は俺に言え!」と。

まあ、このフレーズ一回言ってみたかっただけなんですが(笑)。

ちょっと皆さん、カークのこと悪く言い過ぎちゃいますか?

ワンパターンだとか、良いフレーズはデイブ・ムステインが作ったものだけとか。

『セイント・アンガー』でギターソロがなくなると非難轟々だったのに、『デス・マグネティック』で復活するなり「カークのギターソロが面白くない」とか。

演っても演らなくても非難浴びるって地獄じゃないですか(笑)。

まったくもって散々な言われようです。

あの天下のメタリカのリードギタリストですよ?

上手くないわけがないのですよ。

まあ、しかし皆さんがおっしゃることも一理あり、

「いくらなんでもそりゃないっしょ、カークさん」

と思うことは私も感じるときがあるので気持ちは分かります。

そんな色々言われるカーク・ハメット。

彼はメタリカでは確かにリードギターを担当しています。

そのためカークを評価する場合にはギターソロ部分だけが取り沙汰されます。

しかし、どうもメタリカの制作過程をインタビュー等で推測していくと違った側面が見えてきます。

おそらく一般的に考えられているメタリカの制作って、もともとの原曲をジェイムズとラーズの2人で作っていく。

骨子となるリフもボーカルもドラムもベース出来上がった状態で、

「じゃあ、カークはこの曲のソロを考えて。ロバートはベースをアレンジしてくれ」

こういうイメージだと思うし、私も最初はそう思ってました。

しかし、カークのインタビューを読むとどうもそうではないらしいです。

ジェイムズ・ラーズコンビによる原曲はあくまで原曲、最初のたたき台みたいなもので、そこにメンバーでセッションをしながらいろんなアイデアを加えてアレンジしていく。

その際に、皆で持ち寄ったリフやベースのアイデア音源なんかを流して、使えそうなアイデアをどんどん試していく。

「ここのパートはこのリフ持ってくるとよくね?」

みたいに話し合いながら進めていくとのこと。

その過程ではほぼ誰が持ってきたアイデアかということはもう分からなくなっていて、ぐちゃぐちゃになっているらしいです。

だから、カークも制作前段階において大量のリフアイデアを持ち寄っているんです。

そして彼の膨大なアイデアはメタリカでは頼りにされているからこそ、『デス・マグネティック』制作時にiphoneに保存していたアイデアが全て飛んでしまったときには大騒ぎになってしまったんだと思います。

そんな大事なものを個人携帯に入れておくなよ(笑)。

せめてクラウドには入れておこうね。

なので、カークは単に出来上がった曲にソロを加えているだけではなく、作曲・アレンジの段階においても十分に貢献していることが推測できます。

しかしライブでの担当がリズム:ジェイムズ、リード:カークとなっているため、制作・レコーディングにおいてもその役割で分担していると思われがち。

けれど、メタリカの名リフと呼ばれるものが全てジェイムズのみによって作られている訳ではないということですね。

最も有名なのが名曲『エンター・サンドマン』のリフですね。

あれ実はカークが作ってます。

スラッシュメタルの元祖バンド「エクソダス」発起人

カークはメタリカに加入する前はエクソダスというバンドに所属していました。

所属していたというより発起人です。

このエクソダスは結成がメタリカよりも2年ほど早く、実はライブハウスシーンではその過激な音楽を最初期に始めていたバンドの1つなんです。

メタリカはもとよりスレイヤーもアンスラックスも影響受けてます。

ライブハウスではメタリカよりも先に盛り上がりを見せていたのですが、公式な音源の発表が遅く、世間一般的にはメタリカのデビューアルバム「キル・エム・オール」が最初のスラッシュメタルアルバムとして認識されることになります。

つまり、カークはメタリカに加入する前から、同じような過激な音楽、すなわちスピーディで重低音のリフを主体とする楽曲を自分でも作り上げていたことになります。

なのでもともとがソロしかできない人なんかではないんですよ。

また、誤解される原因になっているエピソードで有名なのが、

『デビューアルバムのギターソロはデイブが作った』

というもの。

デイブ・ムステインが抜けた後に「キル・エム・オール」のレコーディングに参加したカークは、ほぼすでに完成されていたギターラインを忠実に再現しました。

これをデイブが揶揄して

「あれは俺が作ったフレーズのパクリだ。カークのアイデアなんてどこにもない」

なんて言うものだから、

「デイブが作ったものであってカークの実力ではない」

という世間の認識が出来上がっていったわけです。

けれども、近年になってデイブは

「あれは俺が腹いせにカークを攻撃しすぎた。本当はオリジナルを作った俺に敬意を払ってくれた行動だよ。カークは素晴らしく上手いギタリストだ」

と認めています。

その後カークは2作目以降でその実力を証明することになります。

カークのプレイの特徴

カークはメタルの世界にあるミュージシャンとしては珍しく、意外にもブルース系のミュージシャンに影響を受けています。

正確にはブルースをベースにロックギターのアプローチを生み出した先人たちと言えばいいですかね。

神様ジミ・ヘンドリックスとエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジら『3大ギタリスト』ですね。

私の印象ではジミーペイジの影響が強く、その次がジミヘンなのかな、と。

なので、彼のプレイにはヘヴィメタルギタリストの様式美的な要素が少なく、オリエンタルでサイケデリックな響きを持っていたりします。

分かりやすく言うとイングヴェイ・マルムスティーンのようなプレイスタイルの対極に位置するといえばいいでしょうか?

『ライド・ザ・ライトニング』のタイトルナンバー#2でのバッキバキの様式美ギターソロはデイブが残していったアイデアであって、ああいうのは実は一番カークらしくないプレイとも言えます。

ルーツがルーツなだけに、どちらかというとヘヴィメタルよりもハードロックのアプローチの中でその才能は発揮されると私は思っていますね。

ワウペダルを多用することで知られていますが、『LOAD』あたりではスライド・ギターをやったりとそのブルース魂を聴かせてくれます。

カークのギターソロ傑作選

ギターソロだけの人ではないと言っておきながら、ソロを取りざたするのも矛盾しているのですが、リフに関してはジェイムズと二人で作っているらしいので線引が難しい。

明確に「このリフはカークが作った」と曲ごとに発表しているわけではないし、そもそもそういう「手柄の取り合い」的なエゴは今のメタリカ内において全くないとカークは言ってます。

「マスター・オブ・パペッツ」や「アンド・ジャスティス・フォー・オール」に見られるジェイムズと二人でのギターユニゾンもカークとジェイムズの共同作業なので、ここでは除外します。

また、初期2作もデイブ・ムステインの残したものとの明確な線引が難しいので、今回は3作目以降のオリジナルアルバムから選びました(『セイント・アンガー』はソロが無いので省きます)。

本当は3作目『マスター・オブ・パペッツ』~7作目『RELOAD』までに良いプレイは集中していて、9作目『デス・マグネティック』からはあんまり良いプレイはないのですが(笑)。

各アルバムから1曲ずつ平等に紹介しましょう。

それでは『カーク・ハメットギターソロ傑作選』行ってみましょう!

『Welcome Home』

3作目『マスター・オブ・パペッツ』の#4ですね。

これは泣かせます。

中盤のソロの物悲しさ。

この手の哀愁ギターソロって意外にもメタルの世界ではほとんど見られなくて、初期メタリカの独特の世界観はカークの生み出す雰囲気が非常に貢献してます。

そしてラストのソロではさらに盛り上げてくれます。

この曲のギターソロは初めて聴いたときから大好きなんですが、やっぱり今聴いてもカークのベストはやはりこれかな、と。

一部ジェイムズとのユニゾンが入るので除外対象かどうか微妙なラインですが、その後にさらに一人でおいしいとこもってくのでありにしましょう。

『To Live Is To Die』

4作目『アンド・ジャスティス・フォー・オール』#8ですね。

まさに天才の所業というしかない圧巻の構成力で、ジェイムズと二人で聴かせるギターユニゾンはメタリカ史上最高と言ってもいいでしょう。

しかし、印象的なユニゾン部分以外でもカークのソロが光っており、今回は取り上げました。

この人のギターってホント分かりやすい音階を盛り込まないというか、摩訶不思議で妖艶な雰囲気が、このアルバムをしてメタリカにしか生み出せないものにしています。

このカークのソロで幻惑しておいてズドンとユニゾンで分かりやすいフレーズを入れてくるギャップに揺さぶられるんですよ。

カークのソロをたっぷり堪能したいならやはりこのアルバムが一番かな?

『The Unforgiven』

5作目『ブラック・アルバム』#4ですね。

言わずとしれたメタリカバラードの代表曲です。

一応パワーバラードっていうことになるのですが、カークが弾くと、ヘアメタル全盛期にチャートインしていたような凡百のパワーバラードとは全く違う仕上がりになりますね、やはり。

『わざとらしいドラマティックさ』がないのがすばらしい。

かなりブルースからの影響が濃厚で、ジミヘンばりにギターを泣かせます。

ブラックアルバムで音質が劇的に良くなるので、カークのソロも満足度高いですよ。

『Ain‘t My Bitch』

6作目『LOAD』からはやっぱりこの曲。

アルバム全体としてブルース要素が濃くなるので、カークが水を得た魚のようです(笑)。

いよいよ出してきました、オールマン・ブラザーズ・バンドばりのスライド・ギターです。

全然付け焼き刃感がなくて、むしろ貫禄さえあるのでよほどこの手のスタイルを弾き込んでいるのかが分かりますね。

『Fuel』

批判の多い『LOAD』『RELOAD』期にあって、こっそりと不滅の名曲とも言える楽曲が誕生しています。

この曲相当好きなんだけどな。

こうして今聴いてもワクワクが止まりません。

好きすぎて私ドラマーなのにギターも完コピしてレコーディングしちゃいました(笑)。

「おいおい、ドラムのテンポ走りすぎだろ!」

と自分のドラムに文句言いながら一生懸命弾きましたよ。

ギターソロとしては非常に短い時間の中で、これ以外はないというほど完璧に起承転結をつけた名フレーズです。

『Suicide&Redemption』

7作目『セイント・アンガー』でなんとギターソロが廃止になってしまったため、8作目『デス・マグネティック』は久しぶりにギターソロが復活。

1997年『RELOAD』から12年もブランクが空いてしまいました。

久しぶりのギターソロでアイデアが上手く出てこなかったのか?

それとも『デス・マグネティック』の制作方針でギターソロをあまり前面に出さないということになったのか?

1曲毎の曲の長さの割には、構成比的にあんまり目立ってフィーチャーされていない印象を受けます。

それも仕方ないというか、あんまり本作では冴えてなくて

「そのギターソロ必要だったの!?」

って言いたくなるものまであります(笑)。

これじゃあ、「手癖で弾いている」「マンネリ」とかいう声が上がるのは無理もないというか。

どの曲とは言いませんが。

そんな中、一番良かったのはインストナンバーのこの曲かな。

ぶっちゃけこのアルバムからは1曲も挙げたくはないのが本音というか。

この曲をあげるくらいなら『LOAD』『RELOAD』にさえ他にいいプレイはたくさんありますから。

企画を

『7作目までのギターソロ傑作選』

とかにすれば良かった…。

『Spit Out The Bone』

9作目『ハードワイアード・トゥ・セルフ・ディストラクト』のラストを飾るナンバーで本作イチのギターソロを見せます。

というより、メタリカがスラッシュメタルのスリリングさを本当の意味で取り戻したと感じるナンバーで、このクオリティの高さには久々に脱帽です。

その楽曲のクオリティの高さのため、本作の中で唯一、

「ギターソロをアドリブではなくきっちり作り込んだ」

とのこと。

あ、やっぱり前作からのギターソロは全部アドリブだったのね(笑)。

どうりで。

っていうか、いつも作り込んだほうがいいって、絶対。

まあ、ブルースがルーツにあるミュージシャンなので、即興演奏へのこだわりはやはり強いのでしょう。

あとカークは言ってないけど、実はキッスのエース・フレーリーの影響あるんじゃないかな?

モロにそうだと感じる瞬間があるんですけど、あんまりその事に触れられることってないような。

『Screaming Suicide』

最新作『72シーズンズ』からは#3でシングルカットもされたこの曲。

この曲かっこいいな~。

ギターソロもちゃんと作り込んでる感じはしますね。

このワクワク感、久々に戻ってきましたよ、カークらしい。:


はい、というわけで本日はカーク・ハメットを語ってまいりました。

皆さんはカーク好きですか?

私はなんだかんだでかなり好きなギタリストの一人です。

特に人気の低い『LOAD』『RELOAD』では面白いプレイをしてますので、注目していなかった人は一度聴き込んでみてください。

 

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