『72 シーズンズ』メタリカ新作アルバムリリース!
どうもSimackyです。
本日はメタリカ2023年リリース、11作目のオリジナルアルバムである
『72 Seasons』を解説します。
2023年現在の最新作です。
2016年リリースの前作『Hardwired… to Self-Destruct』から7年!
ほんっと待たされましたね。
発売から数ヶ月が経過し、私もアルバム解説ブログを書くスキマ時間でコソコソ聴いてきましたよ。
聴いた皆さんのレビューもある程度溜まってきたところなので、一通り目を通しましたが、概ね好評のようで安心しました。
しかしいいねぇ、いいよぉこのジャケ。
赤や青、白や黒といったテーマカラーがあることが印象的なメタリカのジャケットですが、黄色はなかったね~。
メタリカのイメージカラーに全くなかったから、意外だったけどこれは盲点でした。
イエローはイカス(死語)!
ライブではラーズのドラムもイエローフィニッシュ。
ライブ会場って基本暗いからイエローのライトも映えるんですよね。
お見事!
さて、黄色と黒の対比と言えば、そう、『トラテープ』。
注意喚起であり立入禁止だったり。
「今回の作品は視聴注意だぜ」
というわけですがな。
しかぁし、視聴注意どころかかなりの充実作なのでそこんとこたっぷり語っていきますよ!
メタル回帰してから本作に至るまでの流れ
メタリカが2008年の9作目『デス・マグネティック』でメタル回帰を遂げて以来、はや15年が経ちました。
これまでの2作品には賛否両論あるとは思いますが、私なりの解釈をしますね。
『デス・マグネティック』では久々のメタル、それもスラッシュメタルと堂々と呼ぶことができる作風に戻しました。
ザクザクリフもあるし、ドラムの音もおかしなことにはなっていないし、久々に『実験せずに変な方向に走らなかったメタリカの作品』ということで旧来ファンから好意的に受け入れられていると思います。
実際、15年経ってみてかなり評価が高いアルバムだと今更ながらに思います。
しかし、私にはまだまだ全盛期のスラッシュメタルの凄みは取り戻しきれていないかな、と感じられました。
名だたる名曲が並ぶライブのセットリストに分け入って残り続けるような、普遍性、アンセム性が弱いかな、と。
スラッシュメタルではなかろうが、あれだけこき下ろされた『LOAD』や『RELOAD』だって『エイント・マイ・ビッチ』『アンティル・イット・スリープ』『フューエル』『ザ・メモリー・リメインズ』といった生き残る曲がありました。
『デス・マグネティック』は質の高いスラッシュメタルアルバムではありますが、そういったキラーチューンとなる曲が弱かったのかな、と。
そしてその次の10作目『ハードワイアード・トゥ・セルフディストラクト』では全盛期のメタリカもかくやというほどの切れ味とメロディが数曲で戻ってきました。
世間一般的には圧倒的に9作目の評価のほうが高く、私のような感じ方は少数派なのかもしれませんが、あえて声を大にして言いたい。
私はこの10作目がドツボにハマりました。
『ハードワイアード』『モース・イントゥ・フレーム』『スピット・アウト・ザ・ボーン』の3曲からはスラッシュメタルバンド:メタリカの本領が発揮されていましたし、『アトラス、ライズ!』や「マンアンカインド」では『LOAD/RELOAD期』のグルーブ路線をメタル路線で昇華させたような完成度の高さ。
これらの楽曲には久々に強烈な中毒症状を感じましたよ。
しかし、解説記事でも書いたのですが、それらの強烈なキラーチューンが存在する一方で、『LOAD』の頃に見られた延々と同じリフを繰り返すスロー&ヘヴィな部分が散見され、アルバムを聴き通すのにかなり疲れるという側面を感じました。
その意味では平均点では『デス・マグネティック』が上なのかな、捨て曲なしだし。
そこが次作での課題だな、と。
そして7年後の11作目の本作『72シーズンズ』となります。
嫌いになる要素がないアルバム
本作は欠点のないアルバムです。
前作にあった「ちょっとクドくて長いかな」という場面がありません。
つまり、前作で課題だと私が感じた部分が見事に改善されていると言うか。
メロディが充実しているからか?サウンドプロデュースの妙なのか?
聴いていて驚くほど疲れないし、どの曲もきっちり『いい曲』ですね。
前作でようやくスタンダードに戻してくれたドラムの音も余計な実験(冒険)してません(笑)。
ラーズが2作続けて冒険しなかったのは、メタリカ史上初なのではないでしょうか?
それくらいしょっちゅうスネアの音を変えてきますからね。
本作が面白いのはここ2作に近いだけでなく、実は『RELOAD』や翌年1998年に出したカバーアルバムの『ガレージインク』に似た楽曲の雰囲気とサウンドがたまに顔をのぞかせることです。
似ているのが『LOADに』ではなく『RELOADに』という点は、雰囲気だけでなく骨格も似ていますね。
つまり、ジャム感・ブルース感と言ったルーズな要素が少なく、メリハリがあるしきっちりタイトに作り込まれている。
それでいて『RELOAD』ほどにはギター・ベース・ドラム以外の楽器を使ってはいません。
装飾は廃し、無骨なまでにロックの最小限ユニットで構成されています。
また、『ガレージインク』に似ていると感じたのはニューウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル(NWOBHM)のフレーバーがあることや、ニック・ケイブ、ボブ・シーガーのカバーを演った時の雰囲気がちょっぴり出てきたりするからなんですよね。
『72 Seasons』おすすめの曲
それでは私のおすすめ曲をレビューしますね。
前作『ハードワイアード・トゥ・セルフ・ディストラクト』ほど飛び抜けた高速スラッシュナンバーはありませんが、全体的に非常にバランスの取れた安定感を見せるアルバムです。
#1『72 Seasons』
オープニングからロバートの高速ベースピッキング出来ましたね!
この展開は新しい。
のっけから高速リフで突っ走ります。
高速と低速が入り乱れるのですが、低速時のヘヴィさには深みがあり、またくどい繰り返しもなく好感が持てます。
#3『Screaming Suicide』
先行シングルカットですね。
これは『RELOAD』っぽいな~。
かっちょいい!
メタリカ流ロックンロールですが、しっかりメタルしてるのが『RELOAD』との違いで、ひたすらヘヴィリフで硬派に押しまくるとこですね。
カークのギターソロはこういうミドルテンポの時の方が冴えわたっているように感じるは私だけ?
高揚感というか、ワクワクがきますね。
後半のスイング感のあるぶんまわしリフは鳥肌モノ。
#6『Lux Æterna』
「ルクス・エテルナ」と読むらしいです。
シャンプーのLUXと綴が同じなので「ラックス」と読んでいたのは私だけじゃないはず。
先行シングルの第1弾で、期待に胸を膨らませる世界中のファンを歓喜させた名曲です。
これは私も興奮しました。
間違いなく本作の代表曲になるでしょう。
これが先程書いた『ガレージインク』をモロに思い出したナンバーです。
それもなんとクイーンの『ストーン・コールド・クレイジー』(笑)。
よく聴き比べたらそうか、リフがそれっぽいのか!
ジェイムズ今年60歳。
このサビの高音には驚きましたが、まさかライブでもやっているとは…。
頑張って!
「もしやこのスピードでも全てダウンピッキングなのか?」
と、ライブ映像を確認するとオルタネイトでゆるっとやってました(笑)。
#12『Inamorata』
ラストを飾るのは11分もある大作です。
スピードチェンジはありませんが、雰囲気たっぷりにじっくり聴かせてきますよ。
5分過ぎから静になる部分は『ガレージインク』でのブルー・オイスター・カルトのカバー曲『アストロノミー』を思い出しました。
この歳になってもルーツがしっかり消化されてます。
ツインリードはベタと言われながらも『デス・マグネティック』から3作連続で続けてきましたね。
何と言われようとも私は好きです。
しかし、ジェイムズが25年も連れ添ってきた嫁さんと離婚したと知ってこの曲の歌詞を読むのは重いな…。
もう、ジェイムズに「頑張れ!」としか言えない自分がいます。
はい、というわけで本日はメタリカの2023年最新作を語ってまいりました。
聴いていて不快になることが無い良盤ですね。
全部良曲。
こうして振り返ってみると『ハードワイアード・トゥ・セルフ・ディストラクト』がここ3作では一番クセが強かったのかな?
これを聴くことで前作や前前作がまた違った角度から見えてきますので、これからたっぷりと聴き比べをしていくのが楽しみです。
さて、今回のワールドツアーには日本は含まれていませんが、テキサスでのライブが映画館でライブ上映(?)されるので、ライブに行けないフラストレーションを晴らすことにしましょう。
カミさんへは「仕事場の飲み会が入った」とか適当な言い訳付けて、行きましょう皆さん(笑)。
映画館でお待ちしてます!
とか言って抽選外れたりして(笑)。