『刺激!』(DVD)Xjapan これを見なきゃXは語れない
どうも、Simackyです。
さて、絶好調のXブログも4回目ですね。
この『Xブログ』のコンセプトはただXの作品をレビューするといったことはしません。
私の人生のストーリーを追いながら、過去の私にとってその時々でXにどういう刺激を受けたかを語っていきます。
あくまで当時の私の感性の変化とか、その時々の人との出会いや関わりを、つたない記憶を頼りに語っていきます。
この記事を読むことでかつての全盛期Xの片鱗が少しでも伝われば幸いです。
『刺激』との出会い
前回は高校に入ってすぐに仲良くなった友達(T君)から『東京ドーム3DAYS破滅に向かって』を借り、
「高校生活がロック漬けになること必至」というほどの作品を語り尽くしました。
このビデオを貸してくれたT君、実は相当にマニアックと言うか、進んでいたというか。
周りにそんな音楽を聞いている人いないのに、よくここまで詳しくなったなっていうほど詳しかった。
彼にとってXはすでに過去のものになっていて、ヴィジュアル系の後輩バンド「LUNASEA」とHIDEのソロにハマっていました。
彼がよく言っていたものです。
「Xなんてもう古い。やっぱ時代はHIDEとLUNASEAだよ」
おいおい、俺は今Xがキテるんだからそんな言いなさんな(笑)。
っていうか当時(1994年4月)のLUNASEAはまだまだ4枚目アルバム『MOTHER』が出る直前(直後?)で、
一般的な知名度はほとんどなかったし、HIDEもhideとして1stソロアルバム出したばかりの頃です。
ちなみに彼はその後、奥田民生とJUDY AND MARYに走っていき、ほとんど接点は見いだせなくなりました(笑)。
「じゃあ、中学時代にXに関してこれだけのことを知っていたってこと?すげっ」
って思いますよね。
で、彼は「今さらX?遅れてる~」みたいなノリで「早くLUNASEA語ろうよ!」
って感じ。
だからXのアルバム、ビデオは惜しげもなく貸してくれました。
「どんだけでも持っていってよ。もう俺には必要ないから」状態でしたね。
だからそのまま『借りパク』状態になってしまいました(笑)。
で、当時の私はCDを借りてもプレイヤーを持っていなかったもので、
借りてもあまり聞けず、ビデオから主に見ていくことになる、と。
そして『3DAYS』の次に借りたのが本日紹介する『刺激!』です。
ドキュメンタリーからPV、ライブ映像までてんこ盛り!これを見なきゃXを語れない!
1989年のアルバム『BLUE BLOOD』の曲をメインに、
当時のXの過激なパフォーマンスを映像として見ることができるビデオです。
プロモーションビデオ(PV)はもちろん、デビュー直後のツアーをドキュメンタリータッチにした曲もあり、
ライブ盤もありでいろいろな角度でおいしい。
メンバーをして「これを見なきゃXは語れない」というほどの内容です。
オリジナルメンバーで一番勢いがあって、とんがって突き放すだけじゃなく、
『包み込む愛情』さえ垣間見えるユーモアもあって、メンバー間のチームワークもよく、
一人一人の個性が際立ち、新しいアイデアで急成長していく、、、
そんな時期のXがまるごと詰まった作品。
YOSHIKIの個人プロジェクト色が強くなっていく後期とは全く違い、
バラバラの個性が奇跡的に集まったまさに“バンド’’以外の何物でもない時期。
このビデオを見た時の初心者Simackyの一番最初に出た感想。
「YOSHIKIとHIDE目立ってねェな~」
「メンバーが手作りした感のあるビデオだな」
こういうのって初心者で先入観も知識もないほうが、核心をついているのかもしれない。
5人ともものすごくキャラが立っているから、5人全員が主役。
扱いも平等って感じを受けました。
『3DAYS』を見た直後なだけに。
3DAYSはやっぱりYOSHIKI、TOSHI、HIDEがカメラに写っている時間が圧倒的に長い。
1993年以降はその割合はもっと高くなります。
けど、この頃(1989年)は全員、『個性の強さ』全開。
PATAもメンバーから『赤毛の貴公子』と呼ばれていた頃です。
実は髪を赤にしたのはHIDEよりPATAが先。にわとりのような真っ赤なトサカモヒカン(笑)。
で、『1992東京ドーム破滅に向かって』で一人葬式状態だったTAIJIのヤンチャ丸出し。
立ち姿や振る舞いがロックなんだよね~。
ほんと絵になる人。
衝撃のオープニング
このビデオは何と言っても冒頭~1曲目の始まり方しびれますね。
『WEEKEND』が流れるBARにメンバーが私服でバラバラに座って飲んでいます。
そこへ腹部(心臓?)から血を流すふらふらのYOSHIKIが登場し、
テーブルをひっくり返し大の字になって倒れる。
でテレビがどーんと爆発して、煙の中から全員ツンツンヘアーの戦闘態勢に入ったXのメンバーが浮かび上がってくる、といった演出です。
その後真っ暗な画面に
『X AT INDIES』
の文字が浮かび上がる。
もうドキドキ・ワクワクです。
これはマジでかっこよかった。「ヴィジュアル系」っていう言葉もそうですけど、
アマチュアのことを「インディーズ」って表現することは当時一般的には殆どなかったから、
こうした新しい言葉もXによって(Xの影響で)広がって来たんだなぁとつくづく思います。
で、いきなりウニ頭(自由の女神ヘア)のYOSHIKIのドラム回しから1曲目『VANISHINGLOVE』のライブが始まります。
「動いている髪立てYOSHIKIだ!」
これはびっくり。
あの髪型はアルバム『BLUE BLOOD』の裏ジャケット撮影のためだけに作っただけの髪型であり、
その頭でライブなんてやってないはず、と思っていたからです。
だって折れそうじゃない?
パンクも真っ青な過激な髪型。
髪の半分を角のように立てて、半分は流す。
なんかゲーム『ファイナルファンタジー』の作画(天野喜孝氏)みたい。
ヨシキティをこの髪型にしようと発案した人は天才です(笑)。
これで頭振りながら叩くんですよ?で、一瞬ライブ映像が流れるんですけど、
すぐにインディーズ時代のライブハウス映像がこれでもかとドキュメンタリー風に流れます。
これが伝説級に凄い。
YOSHIKIがドラを叩くとこに始まり、爆発、CO2もって観客席への乱入、
客席ダイブ、モッシュ、ヘドバン、しまいにはドラムを客席に投げ込む映像までが立て続けにパッパッパっと流れます。
目が点になります。
これは『刺激』というより他はない。
この映像はインディーズ時代のXを見たことがない人には刺激が強すぎます。
ちなみに当時なんのCDの時だったか使われていたキャッチコピーが
「お前の瞳にドロップキック!」です(笑)。
暴れん坊すぎるでしょ。
当時のXは発想が極端に振り切れている思い切りの良さが好きです。
オープニングは圧倒的に見た回数が多いです。それくらい衝撃的で刺激的。
ここの部分だけYou Tubeにも上がっていますので、探してみてください。
ライブドキュメント映像
全ての収録局を全部説明すると長くなるので、印象の強いものだけを順に語ると、
次にインパクトがあったのが『BLUE BLOOD』と『オルガスム』です。
どちらも音源はCDのもので、映像だけがツアーの映像が流れます。
テロップで会場の名前も表記されています。
ほんと全会場が大盛りあがりで、お客さんが男性が多いのが印象的ですね。
私は『ミュージックステーションクリスマスライブ』で初めてXを見たので、
ほぼ99%の熱狂的な女性客のイメージしかなかったのですが、
『荒くれる男たちがエネルギー発散に集まっている』ような雰囲気は意外でした。
『うおーーーーっ!!』って拳を突き上げてる。
「やっぱりXの魅力ってこれだよな」って思います。
若い男たちが血のたぎりを抑えられなくなる衝動というか、
体がいても立ってもいられなくなる感覚。
それが観客に見事に現れていると言ってもいいでしょう。
まあ、若い男だけじゃなく若い女性にも心を裸にさせる何かがビンビンあるんでしょうね。
心だけじゃなく服まで脱ぎだす女性客たち。
ワイドショーから批判されても言い訳できるように、
TOSHIも「野郎ども上着脱げ」って一応言ってるんだと思うのね(笑)。
この2曲は「エンジン全開!」って感じですね。
当時のメンバーの中の良さが垣間見えるレア映像
『Celebration』はアメリカに行った4人(YOSHIKI以外)の私服でのプライベート映像になってます。
フランスとアメリカで1対4で意見が分かれたらしいんですけど、それでも一人でフランスに行くYOSHIKIのわがままさ(笑)。
仲いいな~。
ステージではメンバーの目つきがあれだから、和気あいあいは伝わってこないですもんね。
HIDEかTAIJIがタトゥーを入れている貴重映像もあり。
公式の映像として、Xがプライベートな映像を公開することなんてまずなかった時代なので、
これは穴が空くほど見ました。
野生むき出しの頃のライブ
印象に残っているので言うとやはり『X』のライブですね。
『singles』に入っていた日比谷野外音楽堂のものが映像で見れます。
おそらく長いライブのラストだからか皆汗だくでメイクは崩れ、
ヘアーも崩れといった格好になっています(『X』はだいたいライブのラストなんでどの映像見てもそんな感じです)。
この『X』のライブを見て当時の私は「CDでイメージしていたものと違う」と感じました。
Xといえばやはりバキバキに決めているイメージがあったからです。
TOSHIやHIDEの髪なんてツンツンではなく「しにゃ」ってるし(笑)。
でもこの人たちのかっこよさは「格好」ではないということが逆に一番分かるのがこのライブ映像ではないでしょうか?
カッコなんて何であってもこのエネルギーだけで十分人を惹きつける。
それからここでの『X』はドンドコの前に珍しい映像が見れます。
オープニングの『VANISHINGLOVE』と同じ京都スポーツバレーでの映像。
ドラムのシンバルに注がれたガソリンに火が着いています。
そこから松明(たいまつ)をもって火を移すHIDEとTAIJI。
中央にXの旗を持つTOSHIが立ち、その旗に向けて左右からHIDEとTAIJIが火を吹きかける。
その後TOSHIが「WE are X!!!」と叫びながら、火の燃え移った旗を床に叩きつけ、折るというパフォーマンス。
この映像は象徴的でインパクトあったなー。
「俺達がXだ。覚えとけ!」みたいな。
美しすぎるラスト
そして最後にあげるのが『ENDLESS RAIN』。
これはあったかい。
音楽もそうなんですけど、メンバーのお互いに対する愛情とかファンに対する愛情とかがすごく伝わってくる。
こういう一面を見せたのって、今振り返るとこのビデオが初だったんではないでしょうか?
これはドキュメンタリー映像とプロモーション撮影が合体したような作りになっています。
一番印象的なのが、雨の中のギターソロで、HIDEとPATAのユニゾンでの手の動きが鏡写しのようにピッタリ合わさっているのが美しいですね。
で、その合間に差し込まれるTAIJIのプレイがマジでかっこいいです。
そして最後は雨の中YOSHIKIが倒れ、バラの雨が降るというエンディングです。
きれいな中にも『破滅』という毒を匂わせる、この頃のXの独特の魅力が詰まった映像なのではないでしょうか?
映像にも魂を込めるX
これはファンなら必ず見てほしい大満足の一本となるはずです。
このビデオはインディーの頃の荒々しさ、過激なパフォーマンス、
熱狂的な観客の盛り上がりが見れることに加え、
『ビデオはプロモーションの一貫だけではない、もう1つの表現手段』
という考えに根ざしているところが素晴らしい。
「音楽さえちゃんとしてればあとはオマケ」
「レコード会社に言われて仕方なしのPV撮影」
ではなく、
曲の世界観を映像としても表現するためにはどうすればいいか?
そこにメンバーのアイデアが詰め込まれている。
このビデオでは
『ROSE OF PAIN』『Xclamation』『ENDLESS RAIN』
なんかに特にその姿勢が見えます。
「映像監督に丸投げして自分たちは言われるままに撮影するだけ」
ではありませんね。
特にHIDEなんかは意欲的に取り組んでいる印象があります。
蛇巻くか?
普通(笑)そんなマフラーみたいに。
この後、『刺激2』や『CELEBRATION』といった意欲的なビデオ作品を出していくのですが、
HIDEは他のメンバー以上に自己の世界を表現しています。
それがソロになってからの強烈なビデオ作品群に昇華されている感があります。
インディー時代の手作りビデオにしても自主制作音源にしても、
レコード会社を起こすことにしても、何でも人に任せず自分でやってみる。
だから最初は下手くそだしクオリティも高くはないんだけれども、
回を重ねていくにつれて進化し、独自の方法論を王道にしてしまう。
YOSHIKIのこういう部分から非常に影響を受けたとデビュー当時のHIDEも語っていたのを覚えています。
LUNASEAのSUGIZOが語っていたことが言い得て妙です。
「音楽だけをしっかりやるっていう人達もいます。
それはそれで俺はあり方として認められるんだけど、俺たちがXに影響受けてやってきたことっていうのは、
自分たちを表現するあらゆる方向のベクトルに魂がこもっているっていうところ。
そこはXが教えてくれたことだし、自分たちもそうしてきたこと」
YOSHIKIの表現だと
「だって耳で聴くだけじゃつまんないじゃん」
という表現になるんでしょうけど、SUGIZOは理論的で分かりやすいですね(笑)。
派手なファッションをすると「色モノ」「音楽性が伴っていない」と批判されていた時代にあって、
『ビジュアル的な要素に徹底的にこだわる』姿勢は時代の遙か先を見ていたと言っていいですね。
「人に何と言われようが俺たちがかっこいいと思うことをやる」
このビデオを一言で表現するならこれでしょう。
高校時代のSimackyは強烈に影響受けました。
目で見ても耳で聴いても楽しめるてんこ盛りの全盛期X。
皆さん、「Xとはなにか?」と聞かれたら
「『刺激』を見とけ!」で大丈夫です(笑)。
はい、というわけで、DVD『刺激』レビュー解説でした。
X大好きな皆さんからのコメントお待ちしてます!
「昔Xが大好きだった」という方にも「なんかまた聴きたくなってきたな」と思っていてだければ幸いです。