『サボタージュ』ブラック・サバスの狂気が込められた実験作

どうもSimackyです。

本日はオジー期ブラック・サバスが1975年にリリースした6作目のオリジナルアルバム『サボタージュ』を語っていきますね。

ちなみにこのジャケ大好きなんですよ。

酷評されることの多いジャケですが(笑)。

逆にすごく人気の高い前作のジャケが私はあまりピンときません。

少しセンスがずれているのかな?

第一、このオジーかっこ良くないですか?

オジーを「かっこいい」なんて感じることは、生きていてそうそうあることではありませんよ!

自販機でジュース買ったら「ピピピピピピピ~~~!!」てもう一本当りがが出てくるくらい滅多とないですよ。

あれ、絶対ピーピー鳴ってるだけで当てる気ないですから。

オジーの衣装ってかっこいいと感じたことが一切なかったのですが、このロングコートに皮のロングブーツはマジで痺れます。

帝王の貫禄がにじみ出ているじゃないですか。

すごい存在感。

ギーザーは普段からかなり奇抜な服を着ていたらしく、オジー曰く

「どうしてそれを着ようと思ったのか理解に苦しむ服をよく着ていた」

とのことなので、これはステージ衣装ではなく私服の可能性があります(笑)。

まあ、でも決まってますよね、かっこいい。

トニーはまあ普通。

取り立てて言うことはありません。

惜しむらくは若干1名、

「ファイナルファンタジーに登場したら間違いなくお前のジョブは『シーフ(盗賊)に決定ね」

みたいなのがいることです。

赤いタイツを履いたそこの変質者!

そんなにもっこりさせてたら『わいせつ物チン列罪』で捕まるよ?

あんたなんてきっと武器はナイフしか装備できないし、得意技は『とんずら』なんでしょ?

ビル…

それしかなかったのか?

サバス史上最もラウドでハードな作品

「サバスの全盛期はいつまでか?」

という議論の中で、ほぼ異論がないのが4作目「ボリューム4」までという意見。

5作目「サバス・ブラッディ・サバス」は賛否が別れますが、オジーは5作目までが全盛期と自伝で言い切っています。

しかし、近年では6作目である本作までが全盛期と呼ばれる事がもっとも多いでしょうね。

それは前作と本作が賛否は割れながらも圧倒的に高い音楽性を見せつけていたからです。

個人的には次作「テクニカル・エクスタシー」までが全盛期、次次作「ネバー・セイ・ダイ」も良作だと思うのですが、7作目までに比べると個人的な評価は一段落ちます。

まあ、「テクニカル・エクスタシー」がいかにすごい作品であるかは次回たっぷり語りますけど。

「じゃあ、オジー期のサバスはネバー・セイ・ダイ以外全部いいってこと?」

と思ったそこのあなた!

全然違いますよ、分かってないな~。

分かるまで何回でも言いますよ(笑)。

オジー期サバスの作品は全部すばらしいです。

「オジー期サバス」とかいう表現をすると単にオジーびいきなだけと思われるので、表現を変えると

オリジナルメンバー期がすばらしい

ということです。

さて、3作目「マスター・オブ・リアリティ」までに並ぶもののないドゥームなサバスサウンドを完成させ、4~5作目では『ヘヴィなだけではないサバスの音楽性の広さ・深さ』を見せつけた我らがブラック・サバス。

「サバスと言えばヘヴィなリフ」というイメージを完全に払拭するかのごとく、リフが主役の座を失った前作「サバス・ブラッディ・サバス」に比べると真逆の方向性に振り切った作品となりました。

本作では3作目までの作風をもっとコアに進化させた感じなんですよ。

悪魔的なリフに次ぐリフ。

「マスター・オブ・リアリティ」以来にリフが前面に出てきます。

「おい、リフマスター・トニーを舐めんなよ?」

って感じです。

「ヘヴィメタル=悪魔崇拝」

っていうイメージに一番近い。

リフがデビルなんですが、楽曲の雰囲気自体もかなり暗くてデビルなんですよね。

ただ、攻撃一辺倒、デビル一辺倒かというと、それだけの浅い作品ではないところが本作の凄みです。

こんだけリフで押しているのに音楽的な幅の広さは前作にまさるとも劣らない。

深く聴き込むと、前作の「スパイラル・アーキテクト」に見られるような、希望さえ感じさせる明るい雰囲気がところどころ垣間見えるという、かなり懐の深い作品となってます。

ただ、あまりにもデビルのインパクトが強すぎるため、本作でのオジーのシャウトは『ハッスル』というより『悲鳴』『奇声』に聞こえます。

作品全編に漂うただならぬ不穏な空気感…。

う~む…。

よっぽどムカついていたのでしょう(笑)。

しかし、ここで彼らが完成させた世界観は、後進のミュージシャンたちのみならず自分たち自身にさえ強く影響を与えているようで、オジーソロのイメージ戦略って完全に本作の世界観を基盤にしてますよね。

特に初期の5作、その中でも名盤のほまれ高い2作目「ダイアリー・オブ・ア・マッドマン」とかはこのアルバムを目指したんじゃないかな?

それにオジーのライブの時に最初に流れてるSE(クラシック?)なんて本作の「スーパーツァー」のイメージそのものだし。

実はミュージシャンに影響力の強いアルバムで、スラッシュメタル・ビッグ4と言われるメタリカのラーズ、スレイヤーのケリー・キングが本作を最高傑作に挙げています。

『サボタージュ』楽曲紹介

これだけ悪魔的イメージで固めて、久々にヘヴィで秀逸なリフがこれでもかと詰め込まれているのにもかかわらず、本作の評価が割れたことだったり、セールスが落ち込んだりということがにわかには信じられません。

前作に比べ、楽曲のクオリティは下回るどころかさらに上回っている感すらありますし、アルバム全体を通した一貫性もすばらしい。

ただ#4でちょっとダレるかな?

それ以外は非の打ち所のない作品だと思うんだけどな。

それでは楽曲紹介行ってみましょう。

#1『ホール・イン・ザ・スカイ』

なんじゃぁこりゃぁっ!

これホントに1975年の録音なの?

エアロスミスやキッスの当時の作品聴いてみてください。

笑ってしまうくらいしょぼい音を鳴らしてますよ?

時代の最先端どころか、完全に『次の時代の音』になってます。

凄まじい音圧と圧倒的な説得力の職人リフ。

これに誰が文句のありましょうや。

ギーザーのベースが特殊だから後進のメタルバンドのグルーブと明らかに異質で、ものすごい粘っこいんですよ。

そこにオジーの過去最高のシャウトが決まってます。

ボーカリスト生命をここで終わらせようかというほどのヤケっぱち加減(笑)。

#2『ドント・スタート』

いつものごとくアコースティックな小曲ですね。

アコギで不穏な音楽を演出するのって、考えてみるとサバス以外にやってないんじゃないかな?

次曲に向けてのこれ以上ないくらいの序曲ですな。

#3『シンプトン・オブ・ザ・ユニバース(悪魔のしるし)』

おそらく本作でもっとも人気の高い曲じゃないかな?

この曲は「スラッシュメタルの原型」とよく言われます。

私は「何を今さら」って感じですが。

個人的にはスラッシュメタルに影響を与えるようなリフは1作目からあったと思ってます。

っていうかデビュー作「ブラック・サバス」の「ブラック・サバス」が初っ端からそうだったというか。

なので、世間一般の評価の高さには迎合できません。

しかし3:40あたりからの展開は大好きですね。

あんなデビルなリフとこういうワクワクと気分が高揚するリフが1曲の中に混在するのがトニーの懐の広さと言うか。

さらにはラストで美しいアコギソロまで入っているんですから、とんでもない男ですよ。

曲の冒頭とラストを聴き比べると同じ曲とは信じられませんからね。

#4『メガロマニア(誇大妄想狂)』

本作の重苦しさをもっとも象徴しているナンバーです。

この曲も人気高いですよ。

10分に届こうかという大作であります。

同じ長尺曲でもなかばジャムで長くなった1作目の「ウォーニング」とは全く違い、ちゃんと構成があります。

しかし、さすがに10分を飽きずに聴かせるほどのもうひと工夫が欲しかったというか。

繰り返しが多いので、私のようにこのリフがツボらないとちとだるい。

多分、この曲がなかったら本作が物議を醸すこともなく、評価が割れない作品になったと思うのですが。

#5『スリル・オブ・イット・オール』

おいおいおいおい。

全然ピックアップされることのない曲ですけど、これすっごい名曲だって知ってました?

この曲って前作「サバス・ブラッディ・サバス」に入っていても全くおかしくない楽曲ですよね。

先程言っていた「スパイラル・アーキテクト」のような雰囲気が出てくるというのはこの曲のことです。

前半のブルース・ロック調から3:00あたりでガラッと変わります。

これまで悲鳴と怒号だったオジーの叫びが高らかな人生讃歌に変わるというか。

この「パーッ」と開けるような明るい展開はオジーのソロでもよく見られる展開で、よほど気に入っているんでしょうね。

しかしキー高いな~。

#6『スーパーツァー(帝王序曲)』

出た。

まさにサタンが生み出し給うた悪魔神曲。

トニー・アイオミという人はサタンの生まれ変わりなのでは?

これまで「ブラック・サバス」「アイアンマン」「エレクトリック・フューネラル」などデビルな楽曲はいくたありましたが、その究極系ではないでしょうか?

なんという完成され尽くした世界観。

オジーは自伝で語ってます。

「完璧すぎてボーカルを入れる気にならなかった」と。

こういう楽曲があるからオジー時代のサバスは神格化されるんですよね、オジー歌ってないのに(笑)。

#7『アム・アイ・ゴーイング・インセイン(発狂)』

当時としてはアルバムセールスを良くするためにシングルカットされた曲のようですが、私は全然好きになれません。

最初に買ったベスト盤にもこのアルバムからはこの曲だけしか入ってなくて

「こんなんが選ばれるアルバムなら聴く価値ないな」

とか思っちゃって。

オジー期のベスト盤

そのせいで本作を買う気にならなかった過去があります。

なんでこの曲をベスト盤に選ぶの?

本作の中で一番好きになれない曲。

「スーパーツァー」が選ばれてたらあと5年は早くこのアルバムと出会っていたことでしょう。

#8『リット〜ブロウ・オン・ア・ジャグ』

オジーが作詞し、

「このアルバムで唯一誇れることはリットを作れたこと」

と語るほどその出来に満足している曲。

狂気に始まり狂気で終わるアルバムですね。

このヒステリックなまでの金切り声はまるで当時、薬物やら税金問題に頭を悩ませ始めたメンバーの「もううんざりだ!」という声を代弁しているかのようですね。

前作までは楽しさが創作意欲の源泉になっていましたが、本作ではうっくつしたマイナス感情が源泉となっていることが伺えます。

9分近い長尺曲をまったくダレさせず聴かせる力量には恐れ入りますよ。

4作目辺りから「もしや…」とは感じていましたが、もうプログレメタルというジャンルを半分生み出しちゃってますね。

くどいようですが、確かこの当時1975年だったはずなんですが(笑)、信じられません。

この人たちは過去にタイムスリップした現代人なのではないでしょうか?

最後の明るくアコースティックになる部分も、オジーの歌い方が狂った宣教師のようにも感じてなんか怖いです。

このボーカルスタイルってのちのソロでもやっていくので、この曲で掴んだものは大きいのでしょう。


はい、というわけで今回は『サボタージュ』を語ってきました。

こうしてあらためて本作を聴き直すと、オジーってこのアルバムの方向性をソロで追求したくてたまらなかったのでしょうけど、私にはこれを超えることはできていないと思っています。

オジーのソロだって凄まじいんですよ?

けどね、やっぱりこの時代はなんか次元が違います。 

なんかね、信じられないことやあり得ないことが起きているんですよ。

というより

ブラック・サバスは神だ。

やはり、餅は餅屋。

この手のことをやるのならばやはりこのオリジナルメンバーの化学反応が起きなきゃいけないんだろうな~。

 

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