『マザー』LUNA SEAと言えばこれ!

どうもSimackyです。

本日は1994年リリースでLUNASEAの4枚目のオリジナルアルバムである『MOTHER』を解説していきたいと思います。

LUNA SEAがついにブレイク!あっという間にヴィジュアル系の頂点へ!

私が本作と出会ったのはリアルタイムで高校1年の頃です。

高校に入るなりXやhideのCD・ビデオと一緒にLUNA SEAの『IMAGE』『EDEN』を友達から推され

「う~ん、なんだかな~。よく分かんないや。まあ、世の中には売れてはいないけど頑張ってるバンドもいるってことで」

程度の認識でした。

まあ『IMAGE』は割と好きになりましたが、本格的にお気に入りになるのはまだまだ後の話ですね。

当時の私にとってはXやhideのビデオを毎日のように見まくってそれどころじゃなかったので。

それが夏休み前のある日、CDを貸してくれた友達が学校にウォークマン持ってきてて、

「今回のLUNA SEAはめっちゃ成長してるよ!」

と興奮気味に聞かせてくれたのが『ROSIER』でした。

成長も何もこれまでのLUNA SEAをまだ詳しく知らんのだが(笑)。

あんな興奮して

「な?凄いだろ?」

って言われたら

「だね!」

っていうしかないじゃないですか(笑)。

まあ、確かによりストレートなハードロックになっていたし、サウンドが全然良くなってた。

あのマニアックさがなくてすごく聴きやすい。

そうこうしていると2ヶ月後くらいに今度は『TRUE BLUE』が出て、今度はもっとシンプルで分かりやすくなってて

「なんか一気に売れ線の方向に行ったな」

とか思ってたらシングル1位とかになって、めちゃめちゃテレビに出るようになったんですよ。

もう、それまでXとかロックの話が出来た友達だけじゃなく、そのへんの女子たちまで

「SimackyもLUNA SEA好きなの?RYUICHIって超かっこいいよね❤」

とか騒ぎ始めちゃって。

「ああLUNA SEA?ずっと前から聴いてるけど?」

好きと言えるほど聴き込んでもいないくせに、『とっくに知ってたけど』感を出しまくって威嚇してやりましたよ(笑)。

ちなみに自分の周りで入学当時にLUNA SEA知ってる人は、そのCD貸してくれた友達だけだったです。

シングル1位を取ると世界が変わるんですね~。

「ブレイクするってこういう事を言うのか…」

って思ったものです。

で、テレビで観るとRYUICHIは短髪になってるし、SUGIZOは真っ赤な髪になってるし、Jはワイルドになってるしで

「IMAGEやEDENのブックレット写真と違いすぎて誰が誰か分からないんですけど」

みたいな(笑)。

なんかアンダーグラウンド感が抜けて、めっちゃ垢抜けてるんですよ(笑)。

モテるのも納得なほどRYUICHIのイケメンっぷりはすごくて、髪切るだけであんなに印象変わるんですね。

以前の写真は『教祖様』にしか見えなかったのに(笑)。

もうここからは完全にLUNA SEAフィーバーでしたね。

音楽雑誌もLUNA SEAばっかりになったし、ヴィジュアル系専門誌とかが増えだしたのもこの頃です。

後々、日本のヴィジュアル系の代表格として売れてくるラルク、ペニシリン、黒夢、グレイなどに先駆けてLUNA SEAがぶっちぎってましたね、この頃は(他にも今は消えてしまった有象無象がたくさん湧いてましたけど)。

そしてそんなイケイケの流れの中、満を持してリリースされたのが本作『MOTHER』というわけです。

チャート順位は過去最高の2位、そのセールス枚数はなんと前作の22万枚から3倍以上の71万枚!

本作が出たことにより『Xに続く新世代』という位置づけから、一個の独立した一流バンドとして確固たる地位を確立したように思います。

LUNA SEAの最高傑作!日本ロック界に燦然と輝く名盤

本作はLUNA SEAの代表作であり出世作でもあります。

LUNA SEAの人気アルバムランキングとかやると必ず1位です。

票が割れることはほぼほぼないと言っていいでしょう。

それほどの完成度、楽曲のクオリティを持っております。

「ヴィジュアル系が好きならこのアルバムは是非おすすめ」

とかいうことではなく、これは日本ロック史のなかでも歴史的名盤に入ると言っていい。

世界的なビッグアーティストの作品とも肩を並べる内容なので、全世界リリースして世界を驚かせてほしいくらいです。

2023年の今聴いてもまったく古くない。

CDを貸してくれた友達はこれを『成長』と呼びましたが、もはや『覚醒』してます。

まったく別のバンドというような変貌ぶりです。

そして変わっただけでなくLUNA SEAのスタイルを確立しました。

この後のアルバムはここで確立した音楽性が基本になっているからです。

つまり3作目『EDEN』と4作目の本作の間に太い境界線が入ってるんですよ。

ここからは私の私見で語りますのでご容赦くださいね。

1作目『LUNA SEA』2作目『IMAGE』では、自分たちの信じる本当にやりたい音楽を妥協なく『やりすぎた』感があります。

その作風は好きな人にはたまりませんし、自己表現としての純度で言えば凄まじいものがあります。

ちなみに私が一番好きなアルバムは『IMAGE』なので、感じられる人には突出した魅力が感じられる側面は間違いなくある。

しかし、まだ多くの一般リスナーを捉えるほどの『大衆性』が弱かった。

作る側の視点』でのみ音楽を作っているように感じました。

これは別に音楽的に悪いことではありません。

そのバンドがどうあるべきかは自分たち自身で決めればいいことですから。

自分たちがどこで良しとするのか?どのラインで納得するのか?

そして自問自答してみた。

これまで通り、自分たちの音楽を支持してくれる人だけに音楽を届けるのか?

それとも、もっと売れて多くの人に自分たちの音楽を届けるのか?

表現を変えれば

アンダーグラウンドのヒーローでいたいのか?

ロックスターでありたいのか?

ということです。

そして彼らは後者を選択し、3作目『EDEN』では『大衆性』に挑戦してみた。

不慣れな作業ながらも、そして完全に煮詰まりながらも『EDEN』を完成させることで、彼らは『作る側の視点』に加えて新たに『聴く側の視点』を手に入れた。

『IMAGE』のセールス枚数は11万枚、『EDEN』は22万枚

これは一般大衆レベルに認知されているとはとても言えない状況です。

『売れているバンド』とは呼ばないでしょう。

『売れていない』ということは、『作る側の視点』と『聴く側の視点』の間にギャップがあったということです。

本作『MOTHER』は『聴く側の視点』を手に入れたLUNA SEAが、その客観的なバランス感覚を持ち合わせた上で、自分たちの表現欲求を思う存分に発揮した作品と言えます。

なのでやりたいことをやっているのに、やりすぎず、聞き手の許容範囲を超えない。

それどころか、その音楽は聞き手の求めるど真ん中に突き刺さる。

本作をもってしてLUNA SEAは『ニューLUNA SEA』に生まれ変わったと言ってもいいでしょう。

『EDEN』と『MOTHER』の間に太い境界線が入ると言ったのはそういうことなんですね。

『MOTHER』楽曲紹介

驚くべき完成度を誇る本作。

こういう作品をロックの世界では「ケミストリーが生まれている」とか「マジックが起きている」とか表現しますが、私なりの表現をさせてもらうと

「そのバンドの歴史の中で1回起きるかどうかの奇跡」

となります。

完璧なコンディションで、黄金メンバーで、潤沢な時間と金を惜しみなく突っ込んで作っても、これほどのレベルの作品をもう一度作り出すのは難しいということですね。

このレベルの作品を作るには「神のいたずら」が起きないと無理だと思います。

ヴィジョンが浮かんでくる作品、というか。

これほど映像を想起させる作品はなかなかないですよ。

表現方法の幅が広がって「その道何年のベテランなの?」っていうほどの表現力を見せつけます。

効果音などのかなり細かい演出も抜かりなく、「そんなこといつ覚えたの?」っていう工夫がこれでもかと詰め込まれていますね。

サウンド面も完璧でドラム、ギター、ベースの音がいちゃもんのつけようがない!

前作『EDEN』のスッカスカのアマチュア感が微塵も残っていません。

さらにこれまで使ったことがなかったようなサウンドが目白押しでワクワクが止まりません(表現がちゃちぃな)。

それでは楽曲紹介いってみましょう!

#1『LOVELESS

完璧なオープニング。

この曲以外ではありえないし、これ以上のオープニングはLUNA SEAでないですね。

フェイドインしてくるRYUICHIのセリフからいきなり世界に引き込まれます。

INORANのアルペジオにSUGIZOのロングトーンが静かに始まり、そこに入ってくる真矢のバスドラが傑作のオープニングを声高らかに宣言しているようです。

このバスドラの説得力すごいです。

そしてJの地を這うベースが圧倒的な存在感で曲を引っ張っていきます。

なんという貫禄。

自信と確信に満ちあふれています。

冒頭1分であなたは虜。

めくるめく『MOTHER』の世界へようこそ。

このオープニングをリアルタイムのライブで体験できた人が羨ましすぎる…。

#2『ROSIER

J作曲の第1弾シングル。

もともとJの作る曲は、原曲段階ではストレートで骨太なロックなんだと思います。

後のソロ活動を見ても彼の嗜好が分かりますから。

そこにSUGIZOの変態アレンジが入って曲者になってしまうのがかつてのLUNA SEAだったし、それはそれですごく好きだったのですが、今回はSUGIZOまでもがハードロックの土俵で仕上げてしまったといったところでしょうか?

なんというか、全体的にSUGIZOからJへの歩み寄りを感じるというか。

多くは語りますまい。

そんな必要のない問答無用のアンセムですから。

#3『FACE TO FACE

マリリン・マンソンばりのインダストリアルロックです。

ものすごくダークなんですがこれも聴きやすいな~。

ヴィジュアルが浮かんでくる、と先に述べたのはこういう曲ですよ。

聴き込むほどに色々気が付きます。

INORANがギター・シンセサイザーも使ってるみたいですから。

色んな効果音が入ってて情報量がかなり多く、スルメナンバーですよ。

#4『CIVILIZE

怪しい雰囲気だけど、マニアックではなくかっこいいと言わせてしまう。

このあたりがニューLUNA SEAなんですよね。

本作がこれまでと違うと一番感じるのが「男っぽさ」です。

この曲で聴けるラウドでノイジーなサウンドも荒っぽさを感じるし、ここで「DON‘T CARE!」と叫んでいるコーラスと前作の『Jesus』でのそれを比べれば違いは明らかです。

SUGIZOのノイズプレイがエキセントリックで非常にかっこいいですね。

「あなたは誰?何をしたいのか?生きているのか?」

この部分のリズム感気持ち良すぎる…。

中毒性が高い曲です。

#5『GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜

RYUICHIが死んでしまった友を歌った曲。

8分もある大作です。

かなり大きな流れでゆったりと進んでいきますが、後半に展開が変わります。

クライマックスのRYUICHIの魂の叫びをしかと受け止めてください。

#6『AURORA

雰囲気的にはいかにも前作『EDEN』に入ってそうな曲です。

核となるのは儚いピアノの旋律でしょう。

前作収録の「IN MY DREAM」や次作収録の「IN SILENCE」といった曲に近い世界観を感じますが、それらと一線を画すのはこのピアノの存在があるからでしょう。

綺麗なだけの世界で終わらせないと言うか。

#7『IN FUTURE

多くのバンド少年が食いつくこと間違いなしの疾走ナンバーです。

切り裂くようなギターリフが快感指数マックス。

RYUICHIのボーカルに最初はイコライザーがかけてあるのが、それが今度はリバーブたっぷりかけて悪魔が語りかけてくるような瞬間がすごく好き。

さらにサビではエフェクトを外すのでかなり凝ってますね。

ギターソロはSUGIZOにしては珍しく速弾きをしてます。

SUGIZOにメタルっぽさを感じることってあんまりないので、これは新鮮でした。

#8『FAKE

私は海外のロックばかり普段は聴いてて、基本的に歌詞を読まない派です。

そんな私にとって

「ああ~、歌詞が分かるってのもいいかも…」

と思わせてくれるのがこの曲です。

「自分さえ愛せないまま 毎日が終わる。自分さえ分からないまま また日が昇る」

ここの部分がかっこよすぎる。

本作は全体的にメッセージ性が強いし、RYUICHIの言葉が刺さるな~。

#9『TRUE BLUE

第2弾先行シングルの『売れ線』曲です(笑)。

LUNA SEAとしては初となるシングルチャート1位を獲得。

前作の『Believe』のように拒否反応が出なかったのは歌詞のせいかな?

『ROSIER』と同じくJ作曲で、この頃のJはヒットメーカーとしての才能が開花したみたいですね。

#10『MOTHER

タイトルナンバーはINORAN作曲。

物悲しくも雄大なバラードです。

PVは雄大さを演出するためかアイルランドの荒野で撮影してます。

本作が凄いのは、曲の雰囲気とジャケット・ブックレット・PVに至るまでイメージが統一されていること。

PV観て曲の印象が壊れたりしません。

アルバムリリースから4ヶ月後に第3弾シングルとしてカットされた時は意外だったのですが、これって本作がいかに息の長いセールスを続けていたのかが分かりますよね。


はい、というわけで本日は「MOTHER」の解説をしてまいりました。

LUNA SEAのことをヴィジュアル系とかいう色眼鏡で見ていたそこのあなた!

本作はカテゴリーなんて関係のないノンジャンルの傑作です。

聴いてみれば、日本にもこんなすごいロックの作品が生み出されたことに誇らしい気持ちになることでしょう。

no music no life!』 

”音楽なしの人生なんてありえない!”

Simackyでした。

それではまた!

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