『CROSS』LUNA SEAが初めて外部プロデューサーを入れた!

どうもSimackyです。

本日は2019年リリースでLUNASEAの10枚目のオリジナルアルバムである『CROSS』を解説していきたいと思います。

LUNA SEAが初めて外部プロデューサーを起用した!

前作『LUV』から2年の期間を経ての新作となりましたね。

流れとしては前前作『A WILL』制作とそれに伴うツアーをもって、かつてのLUNASEAを再確認するための10年が終わり、前作『LUV』では、「現時点での自分たちが何をしたいのか?」を確認するために自分たちの中にある全てを、飾ることなくさらけ出したと言えるでしょう。

その結果、『LUV』ではLUNASEA史上かつていないほどのポップさが飛び出し、ファンからは「ロックを捨てた」とさえ言われるほどポップ・ミュージックの範囲にかなり寄った作風になりました。

私の見解としては、それまでLUNASEAには持ち込まなかったタイプの曲まで持ち込んでしまったため、収集がつかなくなった側面もあったのだと思います。

「おいおい、この曲ってこの先どうすんの?」

みたいな。

Jのインタビューなどからもそれが分かりますしね。

それはバンドが成長するためには必然の工程であり、彼らならそこで掴んだものを次に生かしてくれることを信じてはいたのですが。

しかし、彼らはさらなる変化を求めました。

姉さん、事件です…(ちと古いか)。

なんとあのLUNASEAが

外部プロデューサー

を使っちゃいました!

音楽活動30年を迎えた彼らがついに『プロデューサー童貞』を捨てました。

デビュー時から頑なに守り続けた貞操を…。

なんという希少種。

「50歳前にして初めて女と関係持っちゃいました」

っていうくらい珍しいとバンドと言えるでしょう。

「え?今頃?オレ中学3年の時にとっくに済ませてるけど?

みたいな目でおもいっきり見下してあげましょう(笑)。

しっかしこの関係持った女ってのがとんでもない女なんですよ!(女じゃねぇよ)

スティーヴ・リリーホワイトというLUNA SEAが敬愛してやまないU2の『闘(WAR)』などで知られるプロデューサーですね。

その起用の効果があったのかどうかは、プロデューサー経験もない私がとやかく言えることではないですし、正直、どのような音楽的影響を与えたのかは聴いてても分かりません。

ただ、インタビューなどで調べてみると、彼は『メンバー間の絆』を大切にするプロデューサーみたいです

中にはトップダウンで音楽を主導していくプロデューサーもいるのですが、彼はそういうタイプとは真逆のようですね。

「プロデューサーが主導するのは自分のエゴのためだ」

と言い切っていますので、相当強いポリシーを持っているのでしょう。

で、彼が言うには

「LUNA SEAは長年やってきたせいで、意思疎通にほころびが生まれているように感じた」

とのことで、メンバー間のやり取りをスムーズにいかせることに重きをおいたプロデュースを行ったみたいです。

「プロデューサーがいるとメンバー同士が意見のぶつかり合いをしなくて済むんだよ。最終的にプロデューサーが決定するのだからね。」

なるほど、言われてみればプロデューサーってそういう効果あるんですよね。

その存在自体があまりにも当たり前なので、考えたことさえなかったですけどそれってデカいですよね。

すぐ衝突し始めるLUNA SEAというバンドでは特に。

これは私見なんですが、どんなにいつものやり方であれ、誰しも望んで衝突はしたくないはずです。

もしかしたらLUNA SEAというバンドは、メンバー間の衝突が創作欲求の足かせになっていた部分もあったのではないでしょうか?

「こいつらと作ると面白いものできるのは間違いないんだけど、精神的に疲れるんだよな…」みたいな。

SUGIZOは今回のスティーブとの仕事について

「熱が20歳代でバンド始めたばっかりの頃のように沸騰してる。すぐにでもまた制作に取り掛かりたい。次の作品でもスティーブとやりたい」

みたいなこと言ってたのでやはりそうなんじゃないかな。

だってぶつかり合いまくってヘトヘトになっていたらそんな発言は出ないでしょうからね。

つまり、プロデューサーの起用によって、LUNA SEAの制作現場はかつてないほどストレスフリーになっており、その意味ではこの先LUNA SEAが活動を停滞させたりする心配はなさそうですね。

残念ならが2019年のリリース後にコロナパンデミックが始まり、それによる活動停滞はあったのですが、コロナによる規制が撤廃された2023年5月現在においてはそろそろLUNA SEAの次なるステップを見せてくれることを待ってます。

『CROSS』楽曲紹介

ガンダム関連3曲、ゲーム関連1曲と非常にタイアップが増えてきましたね。

再結成後はそれだけ、明るく前向きな曲が多いという傾向があります。

しかし、本作が前作と少し違う点は、LUNASEA節が強く感じられるというところでしょうか?

前作『LUV』では「とりあえず自分たちの中にあるものをぶちまけてはみたものの」収集がつかなくなっているというか、落とし所を見つけていないというか。

LUNA SEAの音楽の可能性を間違いなく広げていはいるのですが、まとめきれていない感じはありました。

その結果、ロックやLUNA SEAという『らしさ』からさえ逸脱している局面はありますし、だからレビューも荒れたのでしょう。

今回、こうして新しい音楽性までをもLUNA SEAらしさに昇華できていることが、プロデューサー:スティーブ・リリーホワイトの貢献なのかも知れませんね。

聴き応えのある作品に仕上がってますよ。

ただ、個人的な好みを言わせてもらえば、前作から共通してリズム隊のJと真矢にはもう少し前に出てほしいですね。

リブート後はJがかなり大人になったのかな(笑)?

#1『LUCA

オープニングナンバーはマーチングバンド風で始まります。

3作連続でオープニングは非常に前向きで明るい作風で来ましたね。

もうただひたすら光の世界にいる感じです。

#2『PHILIA

ゲーム『ETERNAL』の主題歌になりました。

途中止まってピアノバラードになるところは、「Xじゃないんだから」とツッコミを入れそうになりましたが、そこにSUGIZOのバイオリンが入ってくるのがやはりLUNASEAですね。

#3『Closer

思いっきりガレージロック風に来ましたね。

パンクです。

こういうナンバーは2曲目にもってくるのが定番だったのでおもしろい試みです。

しかし、サビメロのフックの強さはさすがですね~。

#4『THE BEYOND

SUGIZOのリードギターが印象的。

ポップでドラマティック。

なんかB’zみたいと思わなくもないですが(笑)。

けど好きですね、これ。

なんか『I FOR YOU』を思い出すな~。

ただ、あの頃が『ソロ河村隆一全開』だったのに対し、今回はもうLUNASEAの新しいRYUICHIとしてこのスタイルを確立した感はありますね。

LUNASEAに癒やしの要素が加わっていると思える曲です。

#5『You’re knocking at my door

INORANのリズムギターが非常にオルタナティブですね。

スティーブはINORANを評して「インディー・ロックの要素をLUNA SEAに持ち込んでいる人」と評してましたが、この曲なんかがそんなINORANテイストを感じられる曲です。

前作には絶対入っていないであろうナンバーで、こういう曲を聴くと『LUNASEAのアルバム』を聴いている実感がわきます。

すごくオルタナしているはずなのに、バックでは壮大なオーケストラが常に流れており、独特の世界観をもっています。

こういう聴き込むと気がつくおもしろさが本作の魅力ではないでしょうか?

#6『宇宙の詩 ~Higher and Higher~』

ガンダムアニメのOP曲になりました。

『IN SILENCE』そっくりの雰囲気を持っているのですが、単なるセルフオマージュに終わらず拡大バージョンになっているというか。

サビへ盛り上がる展開が現代版LUNASEAの進化を感じさせます。

これはあらたな名曲が生まれたと言っていいでしょう。

真矢のドラムも『IN SILENCE』っぽいんだけど、非常にパーカッシブで、まるでサンバのようなノリを生み出しているんですね。

再結成以降はJのベースがあんまり目立っていないので、こういう曲は嬉しいですよね。

Jとのリズム隊が初期のサザンオールスターズ『勝手にシンドバッド』っぽいグルーブに感じられておもしろい(笑)。

#7『anagram』

なんか『STYLE』に入ってなかったっけ?っていう雰囲気持ってます。

本作はこういう風に「あのアルバムの雰囲気に近いな」って感じる事が多い。

前作で思いっきりLUNASEAから逸脱してみて掴んだものを、本来のスタイルに注入しているイメージです。

要はLUNASEAっぽいってことなんでしょうが。

#8『悲壮美』

ガンダムアニメのOP第2弾。

ちなみにSUGIZOがガンダム好きを公言しているためタイアップの話も来るんでしょうね。

Gacktもやってましたよね、主題歌(笑)。

『THE BEYOND』に続き『I FOR YOU』っぽいです。

これはOPじゃなくてEDにすべきでしょう。

ラスト部分ではSUGIZOが珍しくスライド・ギター入れて幻想的な雰囲気を出してます。

#9『Pulse』

中性的ですね。

ストロークスみたいな雰囲気をもっているのですが、サビではガラッと変わります。

RYUICHIの熱唱度は本作イチ。

ヴィブラート効かせすぎなのにももう慣れた(笑)。

これはこれで気持ちよくなってくるから不思議です。

#10『静寂』

暗いな~。

やっぱこういう曲あってこそLUNASEAだよね、って感じる曲です。

INORANのコード進行が非常にオルタナですね、アリス・イン・チェインズっぽいというか。

#11『so tender…』

ラストナンバーはなんとアコースティックナンバーです。

どこか寂しさを感じさせる雰囲気で、感情を最後まで爆発させません。

淡々と進行していき、最後の方でやっと展開するのですが、それでも最後まで抑え目で行くのがいいですね。

たったの3分ちょいで終わるLUNASEAとしては珍しいエンディング。

メンバーたちは最初はもっと壮大に展開させて大団円的エンディングを考えていたらしいのですが、プロデューサーのアドバイスで「メインディッシュの後の軽いデザート」を意識してこうなったとのこと。


はい、というわけで本日は「CROSS」の解説をしてまいりました。

なかなかの名盤を生み出してきましたよ!

コロナでツアーが中止になったりして、非常につらい時期に被ってしまった作品ですが、今後あらためて日の当たる場所で評価されて然るべき力作です。

『スルメ盤』と言っているレビューも多いですけど、これかなり分かりやすいですよ。

とにかく良いメロディが多いし、フックも効いているので初心者にもオススメしたいですね。

no music no life!』 

”音楽なしの人生なんてありえない!”

Simackyでした。

それではまた!

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