『ザ・シック、ザ・ダイイング…アンド・ザ・デッド!』メガデス最新作を解説

2023年日本武道館公演迫る!!!

どうもSimackyです。

皆さん!久しぶりのメガデスの来日ですよ~。

本日は前作でグラミー賞を獲ったメガデスが6年ぶりに放った16作目2022年リリースの最新作

ザ・シック、ザ・ダイイング…アンド・ザ・デッド!

を語っていきます。

リリース前から期待値大だった本作。

どんな風に皆さんは感じましたか?

本日は私が感じたすべてをここで語ります。

参戦される方はこれを読んで気合い入れていきましょうね!

でも

私は行けないんですけどね。

本当の”原点回帰”とはこのアルバムのことを指す

本作ははっきり言って

近年になかったほど攻撃的

作風となってます。

いや~、本作にびっくりした人は多かったのではないでしょうか?

私は自身のメガデス全アルバム解説で

「もう集大成を作り上げたからやることなくなったのでは?」

と書きました。

以前の記事⇩

【メガデスのおすすめアルバムは!?】最高傑作を探せ!~全アルバムガイドと歴史~

あまりにも前作「ディストピア」が完璧で集大成的な出来だったので。

ずっと進化・挑戦を続けてきて究極のメガデス像はできあがったのかなと。

グラミー賞も取ったし、もう満足かな、と。

けど、デイブ大佐にはまだやり残しがあったのです。

それは

『コアファンの求めるものに特化した作品を作ること』

すなわち

『スラッシュメタルのアルバムだと堂々と言える作品を甦らせること』

だったんだと思います。

んなこと本人が明言しているわけではないので、これは推測の域を出ませんが。

もちろん、近年のメガデスはずっとその試みをしていて、『破滅へのカウントダウン』以降の作風の中にスラッシュメタルの要素を徐々に復活させていはいました。

その意思っていうのは10作目の『ザ・システム・ハズ・フェイルド』あたりからちょっとずつ感じ取れたわけですよ。

「ん?なんかたまにキラって光るよね!?」

みたいなのが。

かつて一時期、あまりにもメタルから離れてしまったから

「おいおい、気がつくとオレたちが本来持っていた最大の武器から離れちまってるから、元に戻そうぜ」と。

で、作品を重ねるごとに往年の要素の度合いが上がってきて、新作が出るたびごとにファンから

「お?なんか全盛期に近づいてきてない!?」と。

でも、やはり時代が違うし、人は変わるものだし、本人たちがもう「あの頃のあの人達じゃない」っていうことはファンも腹の底では分かってて、

「結構初期に近い雰囲気には戻ってきてるけど…でも…

という気持ちはありながらも、やっぱり嬉しいから

「うひょー!メガデスが復活してきた~!」

みたいに毎回のっかっちゃうみたいな。

誤解しないでいただきたいのはスピード感や攻撃性が落ちた、時にはポップにさえなった一時期のメガデスに私は否定的なわけではなく、それはそれで大好きだったんですけど、やはりあのキレッキレのスピードナンバーを求める気持ちがどこかにあったのは間違いないっていう話です。

それってみんな少なからずあったと思うんですよね。

皆のレビュー読んでて感じますもん。

舞い上がるのも乗っかるのも無理はない。

何を隠そう、

私も乗っかってた口なので。

いや、お前もかい!(笑)

だって世界中見渡してもそんなバンドってあんまり例がないから嬉しくなっちゃうんですよ。

ライバルのメタリカでさえ、我々ファンが求める形でかつての作風に戻ることはないじゃないですか?

近年はメタルに戻してきているとはいえ、そりゃ「マスター・オブ・パペッツ」みたいなテイストは望むべくもないわけじゃないですか。

もちろんそれは分かった上で求め続けるのですが。

これは本人たちにしか分からないことなのでしょうが、『戻さない』ではなく『戻れない』んですよ、きっと。

みんなレビューで簡単に「昔と違う」とか「かつての輝きには戻れない」とかいいますけどね?

そりゃ酷ってもんですよ。

時代を象徴するほどの名盤を生み出したかつての自分たちのセンスに戻すというのは、これは至難の業なんだと思いますよ。

だってあなたたちだってかつてはキラッキラの汗を流しながら部活で懸垂腕立て伏せもやってたわけでしょ?

あの時のあなたは輝いてましたよ?

今、あれできます?

できないしょう?

私はちゃんと見抜いてるんですよ(笑)?

ましてやそれを60歳を超えてやろうと思うなんて。

20代が限界と言われるプロボクシングで

40代からカムバックを目指す

ようなものですよ。

けどね、メガデスは、いえ、デイブ・ムステインはそこに戻そうともがいてきました。

それが12作目『Endgame』でピークになり、そこに『破滅への~』以降のメロディを加えていき集大成として前作『ディストピア』の絶妙のバランス感覚と完成度になったのかな、と。

けれども

「ん?これでもまだ文句いうか?それじゃあ次はそこだけを目標に定めて作ってみようじゃないか」

と。

「チャート成績だ、グラミー賞だということは全く無視して、コアなメガデスファンを納得させるに足る作品を作ろうじゃないか」

と。

勝手な妄想ですけど。

でも、これは凄いことなんです。

彼がいまだにあの頃の感覚を持っているということが凄い。

これは多くのバンドに出来ないことなんですよ。

本作から見るとあの『Endgame』さえ、

「かつての雰囲気に寄せた作品だったのか」

と思えてしまう。

16作目にして本作はそれほど

『かつてのメガデスそのものになっている』

と言える、初期の空気感がビンビン伝わってくる作品となっております。

かつてこれほど『原点回帰』という言葉が似つかわしい作品を私は知りません。

そしてレビューを見渡すと

「よくぞやってくれた」

「最高傑作」

と、大絶賛の声が多く見られます。

けれどもこれはスラッシュメタルではあっても、彼らがかつて標榜していた『インテレクチュアルスラッシュメタル』という感じではないのかな

具体的なアルバムで例えるならば、2~4作目の複雑な展開や長いインストゥルメンタル、ギターソロといった要素はそこまで強くなく、デビューアルバムのように攻撃性に特化しているように感じましたから。

まあ、あくまで雰囲気をお伝えしているだけで、『インテレクチュアルスラッシュメタル』の定義がどーのこーのという議論をするつもりは全くありません。

そんな作風であるにも関わらず、チャートアクションが全米では前作同様3位、今回は全英でも3位と絶好調。

この作風でもちゃんと売れているのがすごい(笑)。

一時はデイブ大佐が咽頭がんになったり、相棒のエレフソンが問題を起こしたりと色々あり、前作から6年と、かつてないほどにリリーススパンが開いてしまいました。

しかしよもやこんな形で復活してくるとは…。

恐ろしやデイブ・ムステイン。

ファンがメガデスに求めるイメージに忠実である

事前に公開されていた3本(チャプター3はアルバム発売と同日公開)のMVからも感じてはいたのですが、本作はただごとじゃないほど危険な作品であることがリリース前から感じ取れました。

すごく残虐性や猟奇性がにじみ出ており、デイブ大佐自らが監督を努めるほどなので、イメージ戦略からすでに徹底しているというか。

よぼどコンセプトをブラしたくなかったんでしょうね。

「今回はこれをやる!」

というのがかつてないほどに明確というか。

なんというか、呪縛から解き放たれたかのようにやりたいことだけ演った感じが伝わってきます。

というより、メガデスを知らない人に届けるつもりはあまりなく、これまでメガデスを応援してくれたファンが渇望するものに焦点を絞っているように感じました。

雰囲気的には1stアルバムの『殺戮マシーン』の雰囲気そのもの。

そもそもMEGADETHって『大量死』のわけだから。

その意味ではホントに原点ですよね。

事前のMV見た時は

「え?ラトルヘッドってジェイソンみたいな奴だったの?」

とはなりましたけど(笑)。

なんか前作のジャケットでいきなり八頭身でかっこよくなったかと思えば、今回は殺しまくるって…。

デビューから40年近くが経って初めて明かされる

誰も知らなかったキャラ設定

が明るみになりました。

ディストピア

超かっこよくない?

本作はかつてないほど、ゴールがシンプルで明確だから、それに沿わないものは排除してあるように見えます。

たとえそれが美しかろうとも、華美なメロディ、キャッチーさはあえて抑えてある。

やたらクオリティの高い#14のボートラを聴いてもらえば分かるように、キャッチーなものはあえて選曲から外してあるように感じるからです。

ボーカルメロディもギターソロもそうです。

ドラマティックな展開とかはないです。

それより攻撃性。

ソロの華やかさよりリフの攻撃性優先。

サウンドプロダクションも前作ほど派手ではないですね。

華やかさを押し殺したほうが殺気や不穏さ、ニヒルな感じが際立つから。

このデイブ大佐のニヒルさは久々すぎでニヤッとなりました。

いい歳(62歳)なんだからできないものを無理して若作りしてもしょうがない(失礼!)。

その分、少し抑えることで味を出しているのはさすがです。

シャウトはせずに押し殺しているというか。

そしてギターフレーズ的には2~4作目までのフレーズのオマージュが各所に見られますね。

「これ『ラスト・イン・ピース』っぽい」

とか

「これ『ピースセルズ~』にあったよね」

とかいう箇所がいくつか見つかりますので探してみてください。

これも私にはファンサービスに感じるんですよね。

デイブ大佐が

「これ分かる?」

って昔からのファンだけに分かる仕掛けをしているように感じるんですよ。

その意味では殺伐とした作風なのにも関わらず、実はファンへの愛が、メタルへの感謝が溢れている作品だと感じました。

来日公演への準備と私のおすすめ曲

公演でどの曲を演奏するか?

さて、それでは来日公演ではどの曲を演ってくれるのか?

本作のコンセプトが「コアファンの満足度」という点にあると推測しましたが、もしそうであるならばMVで出したチャプターⅤまでの曲を通してやってくれる可能性もあるので(メドレーかも)、ちょっとここでまとめておきます。

ChpterⅠ「We’ll Be Back」(#12)

ChpterⅡ「Night Stalkers」(#3)

ChpterⅢ「The Sick, the Dying… And the Dead!」(#1)

ChpterⅣ「Life in Hell」(#2)

ChpterⅤ「Killing Time」(#8)

上のリストはYou Tubeにアップされてあるので、そっちで聴いてみるか、ストリーミングであればこの流れでマイリスト登録して聴いておいた方が良いかもしれませんね。

この5本のMVはデイブ大佐が監督を努めた短編映画となっております。

他の収録曲もMVは出てますが、上記5曲とストーリーの関係はありません。

さて、本作は攻撃性への比重がかつてないほど高めになっており、スピードナンバーが#2,3,10,12,後半からギアをあげる曲が#4,11。

と、全12曲中半数を占めるスピードナンバーで、メガデスのスラッシュメタルを堪能できます。

その中から私のお気に入り曲を数曲ピックアップして紹介しますね。

#2「Life in Hell」,#3「Night Stalkers」,#12「We’ll Be Back」

もし、公演でのMV全曲再現がないにしても、#2,3、12はスラッシュメタルとしての完成度も高いので、演る可能性は大きいと睨んでます。

シビレましたよね~この3曲には。

特に、タイトルナンバーの#1が割りとミドルテンポで始まった後に#2,3でスピードナンバーが押し寄せる展開は鳥肌モノでした。

速すぎ!

演奏レベルも音のクオリティも80年代と比べてかなり上がっているので、よりスピーディに感じますよね。

初期はわりとモタっているように感じる部分もありましたから(笑)。

いいドラマー見つけてきたな~。

#10「Cèlebutante」

ライブで演る可能性は低そうですが、私はこの曲が大好きです。

この曲ってメタリカがカバーアルバムでパンク・ハードコアのナンバーを演った時なんかに見せるテイストにそっくりなんですよね。

こういうナンバーを聴くと

「やっぱりメタリカにいた人なんだな」

と強く感じます。

ルーツを同じところに持っているというか。

だから一緒に演っていたんでしょうけど。

そういえばメガデスも3作目でピストルズのカヴァーとかしていたんですけど、パンクテイストがアルバムに出るのってかなり久しぶりすぎて忘れていました。

彼らのルーツには間違いなくパンク・ハードコアがあります。

ボーナストラック#14が出色の出来!

アルバム紹介でボーナス・トラック紹介するのもおかしな話なのですが、今回のボートラはあまりにも出来がいい(ストリーミング配信専用ボートラ)。

#14『This Planet‘s On Fire(Burn In Hell)』ですね。

ヴァン・ヘイレンのヴォーカルとしても知られるサミー・ヘイガーのソロ曲をカヴァーし、ご本人もヴォーカルで参加しました。

デイブ大佐はサミー・ヘイガーがヴァン・ヘイレン加入前からファンだったとのこと。

原曲はアップテンポなロックンロールという感じでかなりノリがいいのですが、これがメガデス流にアレンジするとここまでハマるとは。

なんかワクワクしてくる(笑)。

本アルバム全体にキャッチーな要素が減っているから特に際立つということもあるのですが、それを抜きにしてもこれはかなり出来がいいでしょう。

アンコールで演るかもしれない?

それほどの完成度です。


はい、というわけで今回はMEGADETHのザ・シック、ザ・ダイイング…アンド・ザ・デッド!のご紹介と来日公演対策を語ってきました。

全アルバム解説したのも貼っときますので、来日公演(2023.2.27)までにこれ読んで復習しといてね!

私の分まで楽しんできてください!

no music no life!

”音楽なしの人生なんてありえない!”

Simackyでした。

それではまた!

 

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