『Starlight(スターライト)』吉井和哉 最後のソロ作となるのか?ポップに突き抜けた痛快な作品
本記事はプロモーションを含みます。
どうもSimackyです。
本日は吉井和哉が2015年にリリースしたソロ通算7作目のオリジナルフルアルバム
『STARLIGHT』
を語っていきますよ。
カバーアルバムやベスト盤を除けば2024年時点でのソロの最新作であり、イエモンが再結成した今となってはもしかすると最後のオリジナル・ソロアルバムとなってしまうのでしょうか?
っていうか最新作とは言うものの、もうソロで10年新作出してないのか…。
ベスト盤やらライブ盤、カバーアルバムは出ていたので、よもや10年も経っていたとは実感してませんでした。
でもソロでは演りきった感あるもんな~。
それほど、ソロ7作品(ミニアルバム『アフター・アップルズ』を含むと8作品)は様々な音楽性に挑戦し、それをかなりのクオリティで仕上げてきました。
2004年のイエモン解散と同年に発表されたソロ初作品『ブラックホール』に始まったたった一人の孤独な旅。
まさにブラックホールの闇の中。
なんの光もささない真っ暗闇の中を、なんの希望も見いだせないような精神状態で走り始めました。
音楽で食っていくことを辞めようと思ってたくらいです。
ソロ活動初期においては、既存ファンの多くを戸惑わせるほどの試行錯誤がありました。
イエモンの音楽性からの脱却や、脱ロックスター的なステージパフォーマンスなどなど。
プライベートもごたついてました。
東京から離れての田舎暮らし、家族との別居、離婚…。
そんな感じで始まった前途多難なソロ活動も、音楽的なわだかまりやプライベートの問題を1作作り上げるごとに克服していき、どんどん前向きになっていきます。
4作目『ハミングバード』5作目『VOLT』6作目『アップルズ』の3作は、どれも
「吉井ソロの最高傑作!」
と呼ばれてもなんら遜色ないほど充実した作品たちでした(個人的には黄金期とでも呼びたいほど)。
そいうして上り調子の先にたどり着いたこの2015年『スターライト』。
このタイトル最高だと思いませんか?
だって真っ暗闇の『ブラックホール』で始まったソロ活動が、最後にキラッキラの『星の光』で締めくくられるわけですよ?
このタイトルは偶然ではなく、これまでのソロを振り返って確信的につけられたタイトルだと思いますよ。
そして翌年2016年にはついにイエモンの再結成…。
私なんぞはこの『スターライト』の解説にたどり着いたことで、なにやら色々な想いが蘇ってきて胸が一杯なんですが(笑)。
「うああああ…良かったな~ロビ~ん…」
みたいな(笑)。
この『スターライト』…個人的に鳥肌モノだった前作『アップルズ』とはまた違った意味でグッと来る力作です。
音楽内容の濃さではまったく引けを取りません。
それでは前作『アップルズ』から今作に至る流れから語っていきましょう。
『アップルズ』から本作に至る流れ
2011年にリリースされた前作『アップルズ』。
個人的には衝撃作だったため、思い余って解説したボリュームが1万文字を超えてしまいました(笑)↓
前作から今作までのスパンは
ソロでは最長の4年!
そりゃあ色々ありましたよ、ありましたとも!
そもそも前作がリリースされる直前の2011年3月11日に、日本における未曾有の大災害がありました。
そう、東日本大震災です。
実は前作『アップルズ』はこの震災のために、3月リリースを4月に延期してリリースしてるんですよ。
先にブッキングしていた『アップルズ』に伴うツアーも、全33公演中、東北エリアで7公演が中止。
なので、中止になった東北エリアを訪問するために12月に別途ツアーを組んで、被災地を応援しました。
震災後初となるミュージックステーションにたまたま出演することになったロビン。
ここで演奏された『アップルズ』ラストナンバーである『フラワー』に、どれだけ多くの被災者の方たちが心を救われたことか…。
この件に関しては『アップルズ』の回で解説してますのでそちらを読んでみてください。
2011年11月には傑作『アップルズ』のアウトテイク音源集としてリリースするはずだったミニアルバム『アフター・アップルズ』を、結局ほぼ新録でリリース。
これも候補曲は13曲はあったというし、その中には収録しなかったシングル候補曲もあったみたいですよ。
このミニアルバムもかっこいいんで、いつか解説しなきゃな~。
ロビンの創作意欲が爆発しております。
『8』の頃に出来上がったわずかな曲を無理くり集めて、なんとかかんとかフルアルバムの体裁を取っていた頃とは大きく違います。
そして2012年にはシングル『点描のしくみ』をリリース。
『半沢直樹』で熱いバトルを繰り広げた堺雅人と香川照之が再び共演した映画『鍵泥棒のメソッド』のエンディング曲です。
ここからは2012年に12公演、2013年には25公演と、精力的にライブ活動を行います。
ちなみに2013年のツアーは『グッバイ吉井和哉』と名付けられ、何やらソロ活動の終焉を匂わすタイトルなのですね~。
しかし、まだツアータイトルを決定する2012年の段階では、イエモン再結成の話は何も動いていないんじゃないかな?
というのも、2013年になって初めて、イエモン再結成に繋がる重要な出来事が2つあるからです。
1つは、ロビンがロンドンのハイドパークでローリング・ストーンズのライブを見て、バンドの大事さを再確認したこと。
↓はトレーラー。
すんごい人の数…。
確かハイドパークって20万人くらい入れるんですよね。
ストーンズの地元だったかな?
このライブを見て「バンドは宝だ!」と感銘を受けたとのこと。
もう1つはイエモンのパンチドランカーツアーのドキュメンタリー映画『パンドラ』の撮影のために、久々にメンバー全員揃ってロングインタビューに答えたこと。
これらの出来事があって、ロビンはメンバーに向けてイエモン再結集の呼びかけをします。
この時期っていうのはロビンにとってエネルギーが爆発したような時期で、ツアーも演りながら、水面下でイエモン再結成に動き出し、ベスト盤『18』(2013年)、
アコースティックライブアルバム『アット・ザ・スウィート・バジル』(2013年)
カバーアルバム『ヨシーファンクJr. 此レガ原点‼️』(2014年)
と企画モノを立て続けにリリース。
吉井界隈(かいわい)がザワついてまいりました(笑)。
この人ってノッてくるとホント、勢いが凄い!
ノッてきたのもそうだけど、自分の楽曲が被災者に勇気を与えていることを実感することで、使命感のようなものに突き動かされたのかもしれません。
4年のスパンが空いたとはいえ、こうして振り返るとめちゃめちゃ内容の濃い時間だったんですね~。
ロビンの魅力であるPOPに振り切った作品
本作を一言で評するならこれほど適切なワードはないでしょう。
『POP』
です。
個人的には『POPな吉井和哉』は大好きなんですよ。
ロビンの魅力って、人によって「ここが一番好き!」っていうのは違うと思います。
イエモン初期の『ジャガー・ハード・ペイン』のようにダークなときの吉井和哉が好きという人もいるでしょう。
ソロ初期の『ブラックホール』『ホワイトルーム』のように、非常に内向的な歌詞世界を表現する吉井和哉が大好きという人もいるでしょう。
ちなみに私のブログ『ひよこまめ』において、イエモン・吉井和哉カテゴリの記事では、アルバムでは『8』、シングルでは『プライマル』の解説記事がアクセス数のトップ2です↓
正直、「え?ここが人気あるの?」って感じ。
これは執筆する前はまったく予想だにしていないことでした。
まあ、ファンのそれぞれに一番好きな時の吉井和哉像は違っていいと思います。
で、私が個人的にロビンに一番魅力を感じる部分は、おバカでスケベな歌詞だったり、とびきりに突き抜けたポップセンスだったりするわけです。
だからイエモンの『フォーシーズンズ』『SICKS』やシングル『太陽が燃えている』『楽園』がどストライクになってしまうんですね。
まあ、それらがリリースされていた前後の時期というか。
もちろんソロ2作目『ホワイトルーム』のような心にバンバン訴えかけてくる歌詞だったり、感情を押し殺したようなボーカルもあれはあれで大好きなアルバムなのですが、一番はやはりポップさが炸裂していた時期かな。
吉井ソロになってからのロビンは、思いっきり内向的な方向性から始めてきて、だんだんとイエモンのポップセンスだったり、ギャグセンスだったり、どんどんイエモンテイストを注入していくのですが、こと『POP』という点で言えば、本作ほど突き抜けた作品はないですね。
つまり私好みです(笑)。
ただ、『ブラックホール』の根強いファンの人がこのアルバムをどう思うかは分かりませんけどね。
ソロ初期の頃のロビン自身がこのアルバムを聴いても
「いや~、ちょっとそれはやりすぎでしょ…」
ってドン引きするんじゃないかな(笑)。
もう、まったく躊躇なく振り切ってますね、痛快なほどに。
POP路線に踏み切ったロビンの真意とは?
このアルバムを聞いた時に私は「ロビンらしいな」と感じました。
ロビンというお人は昔から、
「今現在の既存ファンに満足したくない」
という発言をしてきた人だと認識してます。
初期のイエモンの頃なんて、ライブに来るお客の殆どが女性客だったわけですよ。
けど、その頃のロビンって、
「フジロックフェスでレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやレッチリにヘドバンして熱狂しているような男性ロックファン」
に認められたかったわけですよ。
だからそこを狙ってコンセプト・アルバムであるコアな作風の『ジャガー・ハード・ペイン』を出したりしてたわけです。
その頃のインタビューではっきりと「男性ロックファンを狙った」と言ってるくらいです。
で、今度はそれまでの自分たちの音楽性を支持する人たちの外側、つまり一般リスナーを狙ってシングル『太陽が燃えている』『ジャム』を出す。
ビッグヒットになって、POPな部分に惹かれて入ってきた新規のファンの数が大半を占めるようになると、今度は『メカラウロコ』っていう初期のナンバー(=売れる前の楽曲)でセットリストを固めたコンサートを演ったり。
フジロックではあえてヒットシングルを演らず、マニアックかつ硬派なセットリストで男性ロックファンへのアピールを狙ったり。
ドームライブのラストナンバーでインディ時代の「ウェルカム・トゥ・マイ・ドッグ・ハウス」を演ることに、彼の精神性がすべて現れていると言うか。
そんなことをしてきた人なんです。
つまり新規開拓に余念がないというか、その時その時のファンの状況を見ながらバランスを取ってきたというか。
自分のすべてをまるごと見てもらいたくてしょうがないというか(笑)。
「俺の音楽性はここだけじゃなくて、こんなんもあるんだから1回聴いてみてくれよ!絶対気にいるから!」
みたいなスタンス。
もうとにかく自身の作品を一人でも多くの人に聴いてほしくて、ガツガツしてる(プロとして当たり前のスタンスだとは思いますが)。
そんなロビンがソロになってからは
「いや、別に聴いてもらわなくても細々とやってくからいいッスよ」
みたいな。
いやいやいやいや…。
殻に閉じこもりすぎだし、自信失いすぎだろ、ロビン。
自伝では、イエモンが終わった時に、
「もうイエモン規模での成功はするわけがない。ほそぼそと音楽演っていこう」
みたいなことを語っているのですが、ソロのツアーでも
「自分のライブなんかで満員なんてなるわけがない」
っていう心境なんですよ。
『ホワイトルーム』のツアーの時なんて、照明を薄暗くして
「俺に注目しないでくれ~。俺を見ないでくれ~!俺はもうロックスターなんていう大それたものじゃないんだ~!」
っていう心の叫びが聞こえてきそうです。
だったらライブやんなきゃいいじゃん(笑)。
自分の意思でそこ(ステージ)に立っておいて、でも本音は人前に出たくないし、かつてのように振る舞うこともできず…。
葛藤というか自己矛盾というか。
ツアー演っても演らなくても結局迷うんかい、みたいな(笑)。
私がこのブログでもあの時期のロビンを『ウジウジロビン』ってイジっているのはそういうとこなんですよ。
堂々としていない。
けどね、『ハミングバード』のあたりから、
「俺はロックスターなんだから堂々と売れていいんだ。俺がそれをやらないでどうする?」
っていう自信が、作風から感じられるようになってきたんですよ。
その自信は『VOLT』『アップルズ』と回を追うごとにどんどん強く感じられてきて、この『スターライト』でピークに達したというか。
もはや
「自分がイエモン並みに売れて、イエモン並みの知名度を持っていることは当たり前」
と思っているように堂々としてます。
メジャーバンドの王道感というか。
だからやたら貫禄を感じるアルバムなんですよ、この『スターライト』は。
「みんな、俺に注目しろ!俺は逃げも隠れもしないぞ!ここにいるぞ!」
って宣言しているような潔さを感じるんですよ。
かつてイエモンの解散直前、ロックイベントに出演していた時、ジャージ姿でステージに立つ己自身を振り返って
「もうイエローモンキーを引き受けていない。終わってる。」
と語っていましたが、本作『スターライト』でのロビンは間違いなく『ロックスター吉井和哉』としての責任を引き受けています。
正確には、その責任を引き受ける『覚悟』を感じます。
この変化って一体何がきっかけなんだろう?と思った時に
東日本大震災の影響
というのが私の頭に浮かんだんですね。
以前、ブログを書いた桑田佳祐もやっぱりここが1つの分岐点だったわけで。
ほとんどの国民が、テレビの前で津波に飲まれる人を呆然と眺めていることしかできなかった、あの日本全体を覆う『無力感』。
それはミュージシャンとて同様だったのではないでしょうか?
けど、ロビンは無力感と同時に、偶然にも希望も見たんだと思います。
それは震災後に再開されたミュージックステーションへの出演時のことです。
先述しましたが、ロビンは前作『アップルズ』リリースと震災が同タイミングだったため、ミュージックステーションへの出演は震災前から決まっていたと思うんですよ。
そして震災直後のミュージックステーションで『フラワー』を演奏しました。
当然のことながら、もともとは被災者を励ますための出演なんかではなかったわけだし、『フラワー』だって応援ソングとして作られたわけではありません。
被災地に配慮して歌詞をこの時だけ変えて演奏したことは有名な話ですが、曲の冒頭部分を1,2箇所だけ、それもちょっとした言い回しを微調整したぐらいの変更であって、被災者用にガラリと変えたわけでもなんでもないんですよ、実は。
だから、下手すると
「日本がこんな状況になってる時に不謹慎な歌を歌いやがって!」
ってなるかもしれない状況なわけです。
もう、スタジオもタモリ以下、異様に緊張感が漂ってる。
この頃はテレビCMも自粛してACジャパンばっかり流れていたし、全国で被災地に配慮して節電していたの覚えてます?
そりゃ、そんなタイミングで出演することになったロビンもかなり緊張したと思いますよ。
けれども、この『フラワー』に対する被災地の人たちからの反響の大きさは、ロビンにとって予想を大きく裏切るものだったんじゃないかな?
ロビンのホームページで『フラワー』に寄せられた多くのコメントを読んでみてください。
震災で家族を亡くし、絶望のどん底にいるような人たちから
「あなたの音楽で救われた」
って言わることって、ロビンの価値観に影響を与えるかなり大きな出来事だったのではないかな、と。
自分を表現するための音楽、自分を元気づけるための音楽を作り続けてきたロビンが、初めて『聴く人のための音楽』を意識するきっかけになった出来事というか。
視点が『自分』から『相手』になったというか。
また、「売れる」っていうことの重要さを再確認した出来事でもあったと思うんですよ。
やっぱりね、
「あなたの音楽で救われた」
って言われるためには、音楽をその人達に届けることができなきゃ無理じゃないですか?
もしロビンがソロになって、セールスがチャートの圏外にいるようなキャリアを送ってきてたら、そもそもミュージックステーションに呼んでもらえない人になってたわけで。
『影響力』っていうのはすごく大事で、音楽の世界ではそれはセールス抜きには語れません。
『POPに振り切る』っていうことは『セールスを狙う』っていうことです。
しかし、それは何も浅ましい行為ではありません。
売れるっていうことは、シーンの末端にいることではなく、
メジャーシーンのど真ん中にいる
っていうことです。
そこで影響力を持つってことです。
その発言にしても、行動にしても何かと注目を集める存在でい続けるっていうこと。
それはシーンの末端で、細々と自己満足的な音楽活動を続けることよりも大変なことなんです。
例えば東日本震災のようなことが起きた時に、影響力を持ったベテランミュージシャン、例えば桑田佳祐のような人であれば、真っ先に
「いま東日本が大変なことになっているのですが、音楽業界としてはどのように協力していこうと思っているんですか?」
みたいに聞かれるし注目されるわけですよ。
「ちょっと今日本は怖いので、しばらくハワイにバカンスに行こうと思います」
ではもはや通用しないわけです。
売れていないミュージシャンにはこうした『公人』としての責任なんて求められません。
メジャーシーンのど真ん中にいるということは、後輩のお手本にならないといけないし、業界を代表するような振る舞いも求められます。
深読みしすぎなのかもしれませんが、この『スターライト』のポップさを感じた時に、
「ロビンっていよいよ音楽業界を背負うつもりになったんだな…」
っていう気概を感じたというか。
そんな立場になることは大変なことだと思いますよ。
けど、その分、その影響力によってできることの大きさが変わってきます。
チャリティーライブを、客も呼べないバンドがやったって、いくらの義援金を集められると言うのでしょう?
売れない応援ソングを作って誰の耳にも届いていないのに、一体誰の心を励ますことができるでしょう?
影響力がないと駄目なんですよ。
サザンが応援ソングを出せば売れます。
売れれば多くの人の心を支えてあげることもできます。
桑田佳祐が動けば、福山雅治をはじめとする所属事務所アミューズの後輩ミュージシャンたちが動きます。
単独のチャリティーライブよりも、参加アーティストが多ければ多いほど、より多くの義援金は集まります。
この桑田さんの影響力は彼が今現在も売れ続けて、メジャーシーンのど真ん中にいるからこそできることです。
ロビンにとって今回の変化は、東日本震災の衝撃と無関係だとは思えないんですよね。
『スターライト』楽曲解説
それでは楽曲解説言ってみましょう。
すべての楽器を一人で録った前作『アップルズ』と違い、今回はかつてないほどの数のスタジオミュージシャンをずらりと揃えてレコーディングに臨みました。
ギター、ドラマーなんてそれぞれ4人も起用(笑)。
前回に引き続きとんでもない文字数になってきてるので、楽曲解説はダダーっとエクストリームに駆け抜けますよ。
#1『Hattricki’n』
「はっととりっきん」って読むみたいです。
サッカーのハットトリックとは全く関係なく、これはアニメ『忍者ハットリくん』からの着想で、忍びの一族の歌らしいです(笑)。
もう、若い人は知らないだろうな~。
さんざん「ポップなアルバムだ」と語ってきましたが、オープニングは骨太はナードロックナンバーで来ました。
本作で一番かっこいいナンバーです。
前作『アップルズ』での『ロビンの一人全パート演奏』も味があって大好きだったのですが、やっぱりセッション・ミュージシャンの方々が演奏すると全然違いますな(笑)。
前作で大復活した歌謡ロックの『ロビン節』は初っ端から全開です。
#2『(Everybody is)Like a Starlight』
このMVを最初見た時はあまりのポップさと明るさに
「ここまでいっちゃう?」
って若干引きましたが、よくよく聴き込むとロックナンバーとしてのかっこよさを持ったナンバーだな~。
アルバムに収録されて『ハットトリッキン』の後にくると、すごくロックに聞こえる。
『39108』の頃から、アメリカレコーディングでアメリカ人メンバーというやり方を3作連続でやってましたが、やっぱりロビンにはブリティッシュ・ロックが見事にハマりますね。
最高にクールです。
ちなみにMVは作られててますがシングルじゃないですよ。
#3『You Can Belive』
またしても前曲に輪をかけたポップナンバー。
なんかシンセがキラキラしてる(笑)。
#4『紅くて咲こうとうした恋の』
ここでちょっと怪しい雰囲気に変わります。
「紅くて咲こうとした恋の…」に続く言葉は何でしょう?
#5『Tokyo Noth Side』
ドキュメンタリードラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』のエンディングテーマです。
山田孝之さん御本人が歌詞を提供してます。
っていうかロビンが楽曲をドラマに提供したという方が正しいのか?
というのも実は、ドラマでは山田孝之ボーカルの別アレンジバージョン』が使われてるからです↓
こっちがオリジナル?
例えば、デビッド・ボウイが別のバンドに楽曲提供した後で、自分のアルバムに自分ボーカルバージョンを収録みたいな流れ?
サウンドがデモ音源みたいで粗いのが逆にかっこいい!
ってか歌うますぎだろ(笑)。
俳優って何でもできるの?
こうして聴くと、並のアーティストであれば代表曲になってもおかしくないほどのポテンシャルを持った楽曲だと思います。
山田孝之さんは『ビルマニア』のMVに出演したのを機に交流が始まったみたいですね。
黒髪ロン毛でマイクの前に立っている人が山田孝之さんです。
しっかしこの歌、
「光を浴びる覚悟はできた」
っていう歌詞には、ロビンがメジャーのど真ん中で音楽活動をやっていこうという意思表明のようにも感じていたのですが、まさかの作詞は山田孝之だったとは(笑)。
個人的には『ハットトリッキン』『スターライト』に並ぶ、本作でのハイライト。
#6『迷信トゥゲザー』
めちゃめちゃファンキーですな。
おバカでダラダラしたグルーブでいいねぇ。
ビートルズの『カム・トゥゲザー』とスティーヴィー・ワンダーの『迷信』をモチーフにしているとのこと。
どうりで、なんか聴いたことのある雰囲気だと思った。
ロビンって、これまでもちょいちょいブラックミュージックの要素を取り入れてきたけど、この曲はこれまでで一番『黒い』ですね。
#7『Route69』
シティポップの大人の色気と哀愁が漂います。
『69』って付いてるから、何やらいかがわしい歌なのかと思いきやそうではありません。
『6』と『9』はそれぞれ男と女を表現してるんじゃないかな?
男と女の旅路は交わることもあるけど、また分岐して別れてくんだな~(by 相田みつを)
いや、みつをはそんなこと一言も言ってないけど(笑)。
#8『Set Up Rock』
パワーポップです。
本人は「老いパンク」と読んでるそうです。
この歳でこんなコテコテの青春パンク演るかって感じなんですが、全然スベった感がないのがすごい。
「ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~」を演ったことで、もう完全に吹っ切れてますね。
こういうナンバーが堂々とアルバムに入っていることが、本作の貫禄を感じるゆえんなんだと思います。
#9『Stronger』
ジョンレノン的雰囲気が漂ってます。
自伝を読んだ後だと、これは自分の母親に対する少年ロビンの心の叫びなんじゃないかな~って感じます。
結構ロビンって意味のない歌詞の曲の中にこういう『本音の歌詞』を忍び込ませますよね(笑)。
#10『クリア』
本作唯一のシングルナンバー。
なんてピースフルな映像なんだ。
かつて裸の女性をステージで縛り上げていた人と同一人物とは思えない(笑)。
この曲もホント突き抜けてますよね。
ソロにおけるアンセムソングの誕生ってとこでしょうか。
ポップすぎると侮るなかれ、この曲はソロの代表曲になりうると思いますよ。
はい、というわけで今回は『スターライト』を語ってきました。
ついに吉井ソロ・アルバム7枚の解説が終わりました。
いや~、沼っちゃいましたね、ソロも。
やっぱりロビンは面白い!
それにしてもどのアルバムもなんていうクオリティの高さなんでしょう。
トータルクオリティではイエモンに負けてないんじゃないかな?
時代がまだCD全盛期の時代であれば、ロビンがソロとしてどれほどのヒットソングを飛ばして大御所になっていたことやら。
現在のところ、ソロのオリジナルアルバムとしてはここが最後で、この後イエモン再結成して2019年に『9999』を出す流れです。
けれども、後に発覚する『喉の不調』がこの頃から始まっていたのか、『9999』ではロビンの声がガラッと変わっちゃうんですよね。
年齢的な衰えも間違いなくあると思います。
その意味では我々ファンがよく知る『ロビン節』が炸裂していたのは、この『スターライト』までになってしまうのかな?
これまで吉井ソロを侮ってきた皆さん!(お前が言うな)
皆さんも私のブログでどっぷり吉井ワールドに浸かっちゃってくださいな。
それではまた!