『熱い胸さわぎ』サザンデビュー作は実はすごい!
どうもSimackyです。
本日はサザンオールスターズの記念スべきデビューアルバムを解説していきたいと思います。
『熱い胸さわぎ』1978年リリース
1.勝手にシンドバット
2.別れ話は最後に
3.当たって砕けろ
4.恋はお熱く
5.茅ヶ崎に背を向けて
6.瞳の中にレインボウ
7.女呼んでブギ
8.レゲエに首ったけ
9.いとしのフィート
10.今宵あなたに
伝説の名曲『勝手にシンドバッド』が収録されている
今さら説明するまでもない日本ロック史に燦然(さんぜん)と輝くデビューシングル『勝手にシンドバッド』で始まるこのデビューアルバム。
これね、色々調べてみて一般的には重要視されていないと感じたんですけど、私は大好きです。
最近、サザンの全アルバム15枚を一気聴きした中で、一番の収穫はこのアルバムに出会えたことと言っても言い過ぎではないほど。
「サザンってもともとロックバンドなんだな」っていうのを強く感じました。
そして原点がここにあるだけに、実験的にいろいろな方向性に振れても、ちょいちょいここに戻ってきているんだなと。
「勝手にシンドバッド」の当時の世間に与えたインパクトはすごかったらしく、
このアルバムも単に「『勝手にシンドバッド』が入っているアルバム」として認識されがちなんですが、
このアルバムはそんなちいちゃいものじゃないですよ。
これは初期サザンではワタシ的に別格の1枚です。
傑作ですよ。
デビュー作にしてバラエティ豊かなサザンの音楽性が全て詰まっている
「自分たちが通ってきたロックの影響を日本の歌謡曲の中にどういう風に取り入れて、洋楽にも負けない日本流のロックをどういう風に作っていくのか?」
そこに焦点を絞った10パターン(10曲)の実験とも言えます。
その後のサザンの歩みを全てここで宣言しているというか。
そしてそれがファーストアルバムにして完成度が高いという。
どのパーツを切りとってもメロディがいいんですよね。
伝説の名曲「勝手にシンドバッド」に他の曲達が全然負けていない。すごいです。
その後2作目以降のオリジナル・アルバム数枚を一気聴きした後だと、
『デビューするまでに数年分貯めてたメロディのストックをここですべて吐き出したのか?』
って思ってしまうくらいです。
バラエティ豊かだけど、とっちらかって感じない。
聞き手をぐいっと引き込む魅力が最後まで集中力を切らせることなく続きます。
そうですね、このアルバムには「この曲飛ばそっと」と思う瞬間がないんですよ、驚くべきことにね。
ちなみに私はこの#8『レゲエに首ったけ』の影響で42歳にして初めてレゲエに興味がわき、その後ハワイアンレゲエやUB40にハマりました。
#9『いとしのフィート』の影響でリトル・フィートも聴いてみました(別段好きにはなれませんでしたが)。
つまりいろんな音楽ジャンルを「真似してる感」がなく、消化して自分たちのものにして魅力的な音楽として生み出しているからそんな風に興味を抱かせるんだと思うんですよね。
そんな色んな音楽があくまで「バンドサウンド」として表現されているところがこのアルバムの魅力で、
「世に万葉~」から入った私としては骨太なギターソロやリズム隊(ベースとドラム)のアグレッシブさにびっくりさせられました。
色々なジャンルには手を付けているけど、アウトプットは完全にバンドサウンド。
余計な楽器は使っていないっていう。
いい意味で「上手さ」がないんですよ。
「シンセサイザー?いや、よく使い方わからんからとりあえず全部楽器でやっとくわ」
みたいな(笑)。
いまだに色褪せない普遍的メロディ
一番凄いと思うのが1985年に活動休止するまでの全8作品の中で「一番古臭さを感じさせないこと」。
これを伝えたいです。
1980年代って「バッド80’s(エイティーズ)」と言われるように、あの時代特有の打ち込みリズムやシンセ音があるんですよね。
だから当時最先端のテクノを導入した6~8枚目、特に8枚目「KAMAKURA」なんかは最高傑作とは言われながらも、
今聞くと「うっ」ってサウンドへの抵抗を感じる部分があったりするんですが、このアルバムはそれがまったくない。
それだけ、普遍的な要素を持っていると感じました。
このアルバム、是非一度聴いてみてください。ある意味彼らのすべてが詰まっています。
そして#7「女呼んでブギ」で腹抱えて笑ってくさい!