Xjapanのベストアルバムと言えばこれ!『シングルス』を解説
こんにちはSimackyです。
本日はXの『Singles』をご紹介します。
Xのベストアルバムとしてはこれが最高である理由
この『シングルス』は、単にデビューから6枚のシングルをリリース順に並べただけの、なんの編集もしてないやる気のかけらもない
『シングルの寄せ集め』です。
1.『紅/21センチュリーボーイ(ライブ)』
2.『エンドレスレイン/Xライブバージョン』
3.『ウィークエンド/エンドレスレインライブバージョン』
4.『サイレントジェラシー/サディスティックディザイア』
5.『スタンディングセックス/ジョーカー』
6.『セイ・エニシング/サイレントジェラシーライブバージョン』
ホントに出した順番で並んでるだけです(笑)。
しかしね、これがめちゃめちゃ価値があるんですよ!
その理由をまとめます。
音が悪かったオリジナル楽曲を録り直している
『ウィークエンド』『サディスティックディザイア』はそれぞれ2nd『ブルーブラッド』1st『ヴァニッシングヴィジョン』に収録されたものを、新しいアレンジで録り直しています。
『リマスター』ではありませんよ?
『リアレンジ』です。
そしてXの1,2作目は非常に音が悪いことで有名なんです。
それが音質が飛躍的に向上しほとばしらんばかりの名曲へと生まれ変わっています。
音質だけではなく、詰めの甘かったアレンジもギュッとタイトになり曲が締まっています。
貴重なライブバージョンが4曲も入っている
この4曲はかなりレアです。
他のアルバムには未収録だからです。
実はXって初期の公式ライブアルバムは1992年の東京ドーム3デイズ『破滅に向かって』が初なんです。
1993年の東京ドームあたりからは公式のライブアルバムがたくさん出るようになりました。
Xが契約期限までにリリースするはずの作品をまったくリリースしないため、レコード会社が矢継ぎ早にライブ盤やベスト盤を連発することになったためです。
考えてみたらおかしいでしょ?
Xってオリジナルアルバムはたったの4枚しかないのにベスト盤はそれ以上ありますから(笑)。
同じ理由でシングルも連発してリリースしてましたよね、アルバム『ダリア』のリリース前は。
話がそれましたが、初期に関して言うとビデオはたくさん出てましたが、CD音源でのライブ盤がないんですよ。
なので、この4曲は初期の荒々しいXが詰まった超貴重な音源というわけです。
しかも海賊版じゃないから、音もかなりいいんですよ。
『シングルス』のみのオリジナル音源が入った唯一のアルバム
先に挙げた『サディスティックディザイア』と『スタンディングセックス』は3rdアルバム『ジェラシー』に収録される予定でしたが、結局間に合わなかったんですよね。
なので、シングルとして発表する形になりました。
次作のフルアルバムである『ダリア』は『ジェラシー』から5年後のリリースということもあり、次作へ収録するというわけにもいかず、宙ぶらりんになってしまっていたというわけです。
『シングルス』収録の楽曲を紹介
Silent Jealousy
なぜかこのネット社会になり最近の若い世代に絶大なる影響を与えている『silentjealousy』。
You Tubeでは『神曲』とまで称されるほどの伝説の名曲です。
Yoshiki曰く「『silentjealousy』でドラマーとしてやりたいことを全てやった」というほど、
「これぞXのドラム!」という魅力が全部詰まっています。
BPM(リズムの速さを表す単位)は187の超高速、手数の量はほぼドラムソロだし、
ここぞという場面でのツーバスのドコドコのド迫力!
しかしそれはドラムだけじゃなく、ベースラインもそうだし、ツインギターのユニゾン、
メタルとクラシカルの融合、緩急の入り乱れた曲構成、
そしてビートに乗せたリズミカルでありながら伸びのあるハイトーンボイスなどなど
我々が「X」と聞いてイメージする要素のほぼ全てが入っています。
確かに言われてみれば『神曲』だったんだな、と思いますが、
我々の世代はその後の『ART OF LIFE』の縮小版みたいな扱いを受けていたような?
7分以上ある大作であることと、印象的なサビフレーズが何回も曲中に流れるといった構成ではないため、
テレビ向きじゃないことは確かですね。
ただ2枚目のアルバム『BLUE BLOOD』までにはあったTOSHIのドスの効いた凄み、
一番ロックを感じさせていた声質が若干きれいになりすぎた感は否めません。
個人的には1枚目1曲目の『Vanishig Love』での荒々しいTOSHIの声が非常に好きです。
実はこの声質の変化には理由があります。
TOSHIはライブでも観客あおるために普通のボーカリストの何倍もシャウトするんですよね。
『BLUE BLOOD』ツアーの頃なんかの映像をYou Tubeでみてください。
だいたい声はガラガラになってます。
そりゃそうでしょ、あんなMC続けてたら。
それがインディーの頃から積み重なって、3枚目『JEALOUSY』のレコーディングでついに声が出なくなります。
ちなみにその時期の通訳付きのインタビューもYou Tubeに上がってますので探してみてください
TOSHIの喉を心配するメンバーの愛を感じられるコメントもあります。
今後、声が出なくなるかもしれない不安を抱きながらの手術を乗り越え、
喉に負担をかけない歌い方を工夫した結果、『JEALOUSY』の声質になったというわけです。
深いですね-。
sadisticdesire
シングル『silentjealousy』の2曲目に入っているもので、
アルバム『vanishigvision』に入っているものから、アレンジを変えてます。
ライブでやっているのがこっちのバージョン。
ライブでも長く演奏されたファンの隠れ人気曲。
マイナーな曲調でずっと進むでしょ。
最初は「なんでこの曲が入ってるんだ?」
って思うわけですよ。
でもね、この曲はずーーーっと楽しめるんです。
聞き始めた当初からこの曲への評価はずっと緩やかな右肩上がりなんですよ。
で、ある時、ある瞬間「ガツン」とやられる。
特に洋楽ロックを聞きまくった後くらいからそうなります。
聞けば聞くほどアレンジがどれだけ練られているのかが分かります。
それもそのはず、この曲はhideがX加入前の自身のバンド『サーベルタイガー』の頃の曲なんですから。
ちなみにその頃のライブもYou Tubeで上がっているので探してみてください。
サーベルタイガーの曲の歌詞をYoshikiが作り直し、
Xでアレンジして、ライブハウスで揉んで『vanishigvision』にレコーディング、
そしてBLUE BLOODツアーでもやり続けて、
アルバム『JEALOUSY』のために再アレンジとレコーディング(結局アルバムには間に合わず)。
つまりXのなかでも他に類を見ないほどインディース時代から練りに練られてきた曲というわけです。
Xの、特にhideとTAIJIのマニアックなロックに対するこだわりをこれでもかとぶち込んだような1曲ですね。
ここでのYoshikiのプレイも見どころで、ツーバスでやりきったのが『silentjealousy』だとしたら、
ワンバスのリズムパターンでやりたいことやり尽くしたのがこの曲なのではないでしょうか?
私はXのhide曲の中ではこの曲が一番好きです。
スルメ曲ってまさにこれ。
そしてテープはB面に移りここからの展開がすごいんですこのテープ(笑)。
ENDLESS RAIN
こんなに美しい曲を後にも先にも私は聴いたことがありません。
オープニングはピアノとベースで始まるんですが、このベースの旋律のやさしさ。
私は楽器の演奏に『愛』を感じることはあまりありませんが、
このラインはホント『愛』としか表現できません。
技術じゃなく『心で弾く』っていうのはこういうのを言うんですね。
散々洋楽ロックを聞いてきて、Xを聞き返した時にTAIJIはやはり世界でも類まれなベーシストだったことに気付かされます。
そしてボーカル。
TOSHIのボーカルには『殺気と愛の表現』が常にYoshikiから求められます。
その中にあってこの曲ほどそれが表現されたものはないでしょう。
二人にとってもこれは究極でしょう。
この曲以降、Yoshikiは『打倒ENDLESS RAIN』を掲げて次々とバラードを作り続けていくんですが、
その後本人の口から「ENDLESS RAINをやっと超えることが出来た」という発言はありません。
そしてギター・ソロ、、、。
一体私に何回『天才』と言わせれば気が済むんでしょうか、この人達は。
hideはソロでの成長著しく、後追いの人はソロの印象が強いかもしれませんが、
ギタリストに専念していた頃のhideはすごい。
表現手段が限定されることで花開く才能もあるのだと、強く思います。
オールマイティな鬼才hideがすべてをギター限定で表現するとこうなるんですね。
紅、Silent Jealousy、ART OF LIFE、、、、伝説級のギターソロはたくさんありますが、
このENDLESS RAINのギターソロを一番に挙げる人も多いのではないでしょうか?
hideとPATAのユニゾンに絡まり付くTAIJIのフレーズも絶品。
この曲を聞くと作曲からプレイに至るまでXには一貫して『心を表現する』がコンセプトとしてあるということが理解できます。
すべてが完璧です。
Say Anything
そして6曲目。ここで2曲続けてのバラード『Say Anything』!
この流れエグすぎ(笑)。
Yoshikiは「ENDLESS RAINを超えることが出来ていない」と、
最後の最後、記者会見で日本に戻る飛行機が出る直前までロスで粘りました。
東京に着いてからも隙間時間にスタジオでギリギリ時間いっぱいまでエディットやミキシング作業を続け、
レコード会社に対し
「まだだ、まだやりきっていない。これじゃ渡せない」
と泣きながら抗議したとの逸話があります。
それほど、Yoshikiの中での『打倒ENDLESS RAIN』のプレッシャーは大きかったんだなと。
「自分を超えることが出来なかった。Say Anythingを自分のイメージするところまで持っていくことが出来なかった」
その思いもあってか、この曲ほとんどライブで演奏されませんでした。
唯一演奏されたのが、『VIOLENCE in JEALOUSY』ツアーの1回目の東京ドーム講演のときだったかな。
You Tubeにも上がっていましたので探してみてください。
しかし、こうしてこのS君編集のテープで2曲続けての並びで比べてみても、
個人的にはこのテープをもらって最初の1年くらいは『Say Anything』の方が若干好きだったような。
それくらいの名曲です。
ライブでやらない分、最後のカーテンコールでは鉄板の曲です。
この曲が流れ始めると「ああ、もうライブが終わったんだな」としみじみ感じます。
この曲が流れる中、フリスビーやタオル(Yoshikiはバラ)を観客席に投げ込み、メンバー同士抱き合い、最後に手を取り合って観客に応えるシーン。
ああ、思い出すだけで涙が。このうち二人が死んでしまったなんて、なんてバンドなんだ。
X ライブバージョン
『エンドレスレイン』のしみじみとした流れからいきなり荒々しく。
この静と動のコントラストこそXの最大の魅力。
『singles』で本当に特筆すべきはこの日比谷野音ライブの『X』。
シングル『ENDLESS RAIN』のカップリングとして入っていたものですが、
これはYou Tubeでも色んなライブ盤が上がっている過去の『X』の中でも、
音質、演奏クオリティ、パフォーマンス共に頂点にあるでしょう。
確かデビュー直前じゃないかな?
一番ライブ漬けの時期で、バンドとしてジャストのタイミングでリズムが合っているのが、
もうメトロノームかっていうくらい。
この曲が入っているだけでも『singles』は買う価値がある。
もはやサブスクの時代になったので、アルバムを買うという行為はしないでしょうけど、
だったらなおさらこの1曲のために高いお金を払う必要がない時代だからこそ、ぜひ探して聴いていただきたい。
このヴァージョン、最初が『ドンドコ』で始まるんです。
初期のファンならこの『ドンドコ』まで含めての『X』と思っている人も多いはず。
私は原曲よりこっちが先だったのでスタジオ盤を聴いたときに
「え?ドンドコないの?途中から始めるの?」
ってなりました(笑)。後に出る色々なベスト盤・ライブ盤でもドンドコは省略されてます。
それほど貴重な1曲。
ちなみに当時のXのセットリストには「ドンドコ~X」とはっきり書いてありますでの、ドンドコは正式名称です(笑)。
ドンドコをバックにTOSHIの全盛期のMCが聞けます。
hideをして『MCの帝王』と言わしめたTOSHIの神がかったアオリが聴けます。
『X』はミュージックステーションクリスマスライブでもやっているはずなのに、
『こんなかっこよかったっけ?」
ってくらいシビれる。
そう、楽器の音が生々しい。
「プレイしてる」って感じがすごくする。
ごまかしがなくプレイが生々しいからこそ、その演奏の凄みが伝わってきます。
当時の私は楽器なんて触ったこともないから、何がどの楽器なんだかさっぱり分かりません。
とにかく「バタバタバタバタってヘリコプターの音みたいなのが聞こえるのがかっこいい」と言ってました。
それがバ・ス・ド・ラ(笑)。
当時はギターとベースの区別もついていなかったのですが、
印象的なフレーズを口ずさんでいたら後でベースということが分かったというパターンが多かった記憶があります。
観客数は武道館とかほど多くはないにも関わらず、この歓声と熱狂。
まさに生々しいまでの『伝説真っ只中のリアルな記録』がここに残っています。
ベスト盤買うくらいなら絶対『シングルス』の方がいい
『singles』は「Xのメジャーな曲はベストで一通り聴いた」という人は是非とも聞いてもらいたい、隠れた名アルバムです。
当時はアルバム『JEALOUSY』に間に合わなかった『スタンディングセックス』のスタジオバージョンが聞けた唯一のアルバムだし、
『WEEKEND』『sadisticdesire』のニューアレンジバージョンも当時はこれだけ。
『20thセンチュリーボーイ』や『silentjealousy』、そして最高の『X』という4曲のライブ盤も入っていて、
メジャーな部分でもマイナーな部分でも喜ばせてくれる実は凄いアルバムなんです。
はい、というわけで、シングル集である『SINGLES』解説でした。
X大好きな皆さんからのコメントお待ちしてます!
「昔Xが大好きだった」という方にも「なんかまた聴きたくなってきたな」と思っていてだければ幸いです。