「ガレージ・インク」(メタリカ)カバーだからこそ本当のセンスが光る傑作!
Simacky(シマッキー)です。
本日はメタリカのアルバム『ガレージ・インク』を私なりに語っていきます。
本日は隠れ名盤中の隠れ名盤と呼べる作品のご紹介ですよ。
一般的にはあまり語られない作品ですが、これが異常なほどかっこいい。
どうしてこのアルバムが隠れたま名盤なのか?
がっつりプレゼンしていきますからね!
メタリカのルーツを辿ることができる傑作カヴァー・アルバム
はい、今回は『ガレージ・インク』をご紹介していきます。
このアルバム、カヴァーアルバムです。
このアルバムはちょっと特殊で複雑な経緯を辿っているアルバムなんで説明しますね。
ご存知ない方がほとんどだと思うのですが、かつてメタリカが4thアルバム『アンドジャスティス~』を出す直前の1987年、
ベースがクリフ・バートンからジェイソン・ニューステッドに変わってすぐのタイミングでこんなEP(ミニアルバム)が出ていたんですよ、実は。
『マスター・オブ・パペッツ』が商業的に大成功して、ますますメタリカの知名度がうなぎのぼりに上昇していた時期。
なんと、このミニアルバムも結構売れているんですよ!
アメリカ28位、ドイツ16位、イギリス27位、日本ではなんと初のオリコンチャート入り!
私が存在を音楽雑誌で知ったのは高校の時(1994年ぐらい)で、その頃には廃盤になっていました、確か。
すでにとんでもないプレミアム価格がついていたんじゃなかったかな?
これが欲しくてね~。
実はメタリカは自分たちのルーツである先人たちのカヴァーを、このミニアルバム以外でもちょいちょいやってきてました。
ミニアルバムやシングルのカップリング、アルバムのボーナストラックに収録された、それらバラバラの曲群を1枚(DISC2)にまとめ、
さらに『LOAD』『RELOAD』発表後(もしくは制作中?)のタイミングで追加録音された曲群をもう1枚(DISC1)にまとめた2枚組として発売されたのが本作『ガレージ・インク』なんです。
なので、録音時期がかなりの範囲に渡っており、初期の音源のものから当時最新作『RELOAD』のサウンドで取られたものまで幅広く、まとまりは全く無いです(笑)。
初期のスラッシュ・メタル期のカヴァーもあるため、スピード&アグレッシブな初期メタリカを彷彿とさせるナンバーも当然あります。
これが当時は嬉しかった!
「溜飲が下がる」
とでも言うんですかね。
このカヴァーアルバムが出ていなかったら、6枚目「セイント・アンガー」あたりで暴動が起きていたかもしれませんから(笑)。
とはいっても、初期の音楽性が感じられるだけでなく、音楽性が変遷していっても根底にあるメロディセンスが高いことが感じられるアルバムです。
それに選曲のセンスも抜群です。
ボブ・シーガーやニック・ケイブなど日本ではほとんど知られていない『スモール・イン・ジャパン』な大物アーティストをチョイスするセンスはさすが。
というよりも仕上がりが良すぎるからチョイスが良いように感じるだけかな?
ロックの先人たちでも、クイーンやブラック・サバス、モーターヘッド、シン・リジーは別格としても、
ダイヤモンドヘッド、マーシフル・フェイト、ミスフィッツなんかは、メタリカを通して再評価の流れが起きたといってもいいでしょう。
私もこのアルバム聴いていなかったらボブ・シーガーやブルー・オイスター・カルトとは出会えてませんから。
Disc1レビュー:『RELOAD』発表後のカヴァー
正直、『RELOAD』期の音源であるDISC1は最初の頃はあまり聴きませんでした。
長年ずっと聴きたかったEP『メタルガレージ』が聴けるDISC2を目的で買ったというのもありまして。
当時のメタリカファンとしての心境は
「もう『マスター・オブ・パペッツ』の頃のようなスカッとする速い曲はやってくれないのか?」
というものだったので。
それを満たしてくれるDISC2の方ばかりを聴きまくっていました。
しかし、このDISC1は奥が非常に深い。
じわじわと良さが分かってくるスルメアルバムです。
オープニン2曲は大好きです。
#1「Free Speech For The Dumb」(ディスチャージのカヴァー)は久々にジェイムズのシャウトが聴けるし、
#2「It’s Electric」(ダイヤモンドヘッド)なんてもうイントロからワクワク感が止まりません。
その後も#5「Die, Die My Darling」(ミスフィッツ)#7「Mercyful Fate」(マーシフル・フェイト)など、
ミディアムテンポながらも骨太なメタルソングを聴かせてくれ、これが気持ちいいのなんの。
#4「Turn The Page」(ボブ・シーガー)、#6「Loverman」(ニック・ケイブ)の2曲は全然メタリカっぽくないです。
しかし、ジェームズの歌唱法がハマりまくってます。
この選曲が激シブな上、『LOAD』以降のヘヴィ&スローな方向性に進んだメタリカの方向性とぴったり一致して、
『LOAD』よりもこっちのほうがハマっているくらいです。
『LOAD』『RELOAD』もこれくらい思いっきり振り切れたほうが良かったのではないかと思えるほど出色の出来ですね。
そして個人的なハイライトが#8「Astronomy」(ブルー・オイスター・カルト)、#9「Whiskey In The Jar」(シン・リジィ)の2曲。
泣かせてくれます。
このアレンジセンス何なんでしょうか?
#8「Astronomy」は最近ストリーミング配信で原曲聴いたのですが、ブルー・オイスター・カルトを超えてます。
原曲もかなりかっこいいのですがね。
ジェイムズのヴォーカルもカークのギターソロも
本業よりも力が発揮されているのでは?
#9「Whiskey In The Jar」はガッツをもらえるような、物悲しいような不思議な名曲ですね。
これPVも出ているのですが、パーリーピーポーたちが騒いでいる中でメタリカが演奏してるという、
曲のイメージをぶち壊しにするPV
なので見ないほうがいいです(笑)。
Disc2レビュー:初期~ブラック・アルバム時までのカヴァー
こっちのディスクは最初、聴きまくりましたね。
こっちしか聴いていなかった。
のっけから#1『Helpless』(ダイヤモンドヘッド)で悶絶します。
とにかくこの1曲目。
DISC2はこれに尽きます。
このアルバムが発売された時はリアルタイムで買いましたが、
「うひょーー!!これこれ!メタリカはやっぱこうでなきゃ!」
っと思ったファンの方は非常に多かったことでしょう。
なぜなら当時『LOAD』『RELOAD』はオルタナティブロックの方向性にかなり寄ったアルバムで、
メタリカの疾走感やあの職人芸のようなスラッシュメタルのリフを期待するファンの声は相当大きかったからです。
そこには往年のあのリフが蘇り、地鳴りのようなツーバスも健在なんです。
これが狂喜しないわけがない(笑)。
「問題作『アンド・ジャスティス・フォー・オール』が音作りの失敗なしにちゃんとした音で録れていたらどうなったんだ?」
同時期にレコーディングされたであろうこの曲にこそ、その答えがあると言っていいでしょう。
#5「 Last Caress/Green Hell」(グレン・ダンジグ)はライブのアンコールなどで定番だった「Last Caress」に「Green Hell」をメドレーでくっつけた形になってます。
やっぱりパンク/ハードコアはハマりますね、メタリカは。
ジェイムズの当時のヴォーカルがこういう曲調に見事に合うんですよ。
「Green Hell」のテンポの速さが異常すぎ(笑)。
ダウンピッキングがどこまでもつか?体力勝負してるみたいで笑えます。
#9「The Prince」(ダイヤモンドヘッド)は国内盤「アンド・ジャスティス~」にボーナス・トラックで収録されていたもの。
普通ボートラってアルバムの世界観や完成度を損なうから、結構ブーイングになるんですけど、個人的にはオリジナル・アルバム時に違和感ありませんでした。
非常に人気が高く、逆にこの曲が「アンド・ジャスティス~」を救っているという声もあるくらいです(笑)。
#10「Stone Cold Crazy」(クイーン)を聴いたときにはその速さに驚き、「クイーンをここまでメタルに仕上げるか?」と思いましたが、原曲聴いても結構激しいんでびっくりしました。
クイーンって初期はかなりハードロック色強かったことがうかがえる名チョイスです。
これもクイーンの初期に遡るきっかけになりました。
最後に#11「So what」(アンチノーウェアリーグ)~#12「Killing Time」(スウィート・サヴェージ)。
最初っから最後までテンション全開。
シンプルでキャッチー、分かりやすいくらいの極上のロックンロールですね。
こういうの聴くと、メタリカってやっぱりかなりパンク/ハードコア寄りのメタルバンドって感じがするんですよね。
「様式美」とかいう言葉がメタリカにははまらないところが、好きなんだと思います。
なぜ『ガレージ・インク』を推すのか?
このアルバム、「ガレージ・インク」とググってもウィキペディアでページさえ作られていないんですよ(あるのは先に述べたEPのみ)。
これだけメジャーなバンドの、人気絶頂期の作品としてはあまりにも扱いが少ない(翌年に出た『S&M』あたりのほうがまだ知名度高い)。
けれど、作品としてのクオリティは1級品です。
カヴァーといえども、いえ、カヴァーだからこそある意味、メタリカの原点がここにあります。
そして、ここを出発点としていろんなバンドに遡っていける楽しみもあり、私がブルー・オイスター・カルトやダイヤモンドヘッドに出会えたように、様々なバンドに出会っていただけたら嬉しいですね。
音楽性としては初期の音楽性が好きな方から、「評判良くないけど実は『LOAD』が好きなんです」といった方まで、多くの方にぜひとも聴いていただきたいです。