「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」(レッチリ)~スルメのように噛むほどに魅力が分かる~

本記事はプロモーションを含みます。

どうもsimackyです。

本日はレッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズのが1991年にリリースした5作目のオリジナルアルバム

『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』

を私なりに語っていきます。

さて、それではレッチリ名盤いってみましょう!

影響力絶大の歴史的名盤:『世界最強バンド』の意味とは?

ついにこのアルバムを語る日が来ました。

私にとってレッチリとの出会いとなったアルバム。

まだ、ロックのこともよく分かっていない高校2年生のときに、CDプレイヤー(コンポ)さえも持っていないのに勇気を出して買ってしまった思い入れ深い作品です。

このアルバムはレッチリの名盤ランキングなんかで見るとほぼほぼ1位になるほど評価の高い作品。

4作目の『マザーズミルク』でもチャートの50位程度の売れ行きだったのに、いきなり

全米700万枚セールス

という大ブレークを果たします(全世界では1000万枚を超えたのでは?)。

でも高校の頃の私、

全ッッッ然良さが分かりませんでした(笑)。

私の場合、大学になってこのアルバムをドラムでコピーするようになって、このアルバムの恐ろしいまでの深みと凄みにドはまりしていくのですが、バンドマンではないリスナーがこのアルバムを好きというのが未だに信じられないんですよね。

よくこんな玄人好みな音楽が大衆受けしたなと。

逆に音楽シーンに影響を与えたことに関しては納得できますね。

これは楽器を演奏する人からすると『おいしすぎる』。

さて、ここからが本題です。

このアルバムのリリースは1991年なのですが、この年はロックの界隈が激震する非常に重要なターニングポイントです。

まず、グランジ/ オルタナティブの革命児:ニルヴァーナが『ネヴァーマインド』でデビュー。

この『ネヴァーマインド』は全世界で3000万枚を超える大ヒットを記録し、それまでのLAメタル勢がヒットチャートから一掃されます。

産業ロックのヘアーメタルはダサいもの」扱いされ、ボン・ジョビ、ガンズ、モトリー・クルー、スキッド・ロウといった大物バンドさえ、かなり批判的な目で見られ始めます。

そんな中、先見の明があったメタリカはいち早くメタルにオルタナティブの『スロー&ヘヴィ』の要素を取り入れた通称『ブラック・アルバム』をリリースし、その後のヘヴィメタルの流れをガラリと変えます。

ちなみにこのアルバムも2022年現時点で3500万枚を超えるセールスを記録するモンスターアルバム。

この2枚のアルバムは『1990年代ロックシーンで最も重要なアルバム』と呼ばれるのですが、

私は個人的にこの『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』もそこに加えたいです。

なぜならこのアルバムに影響を受けた後続バンドたち、

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、コーン、リンキン・パーク、リンプ・ビズキットなどの、

ロックにヒップホップの要素を加えたジャンルが、その後一大ムーブメントとして一気にブレイクし始めるからです。

また、ニルヴァーナを始めとするオルタナティブ・ロック勢もレッチリからの影響を公言するバンドは非常に多く、

まさに『ミュージシャンズ・ミュージシャン』の面目躍如のアルバムと言えるでしょう。

私はドラマーなのでドラムマガジンを読んでいたのですが、チャド・スミスの人気は非常に高かったし、

ベースマガジンではフリーが、ギター・マガジンではジョンが圧倒的人気を得ていました。

つまりどの楽器のプレイも一級品の評価を受けているということです。

『世界最強バンド』と呼ばれるのは、決して大げさでもなんでもないことなんです。

そしてどの『●●マガジン』でも『名盤』として必ず取り上げられるのがこのアルバムなのです。

すんごいアルバムだということが伝わりましたでしょうか?

それにしても1991年ってあらためて凄い年ですよね。

素材で勝負:装飾を完全に削ぎ落とした作品

このアルバムははっきり言って最初は

地味キャッチーではない

と感じると思います。

あくまで私の見解ですよ(笑)。

しかし、素材の味で勝負しているので、噛めば噛むほど味の出るいわゆる『スルメ盤』の代表的な例でしょう。

好きになるのに時間はかかりましたが、ずーーーーっと味の失くならないガムみたいなものです。

その最大の特徴はヴォーカル、ギター、ベース、ドラムという必要最小限の4つパートでの表現を突き詰めていることでしょう。

前作『マザーズミルク』と比べると違いは明らか。

ホーン、サックス、キーボードといった装飾的要素はほとんど使わず、楽器の数を減らすことでそれぞれのパートの表現の幅を広げています。

こんな手法は各パートのプレイヤーが表現力があるからできる技で、そうじゃなければ単にスッカスカの作品ができてしまうだけです。

このアルバムでもっとも重要な役割を果たしているのはジョンだと思います。

前作でプロデューサーのマイケル・ベインホーンにメタルのようなギターを弾かされた反動からか、真逆のプレイですよね。

あれも大好きだったのですが、ジョン本人は大嫌いだったみたいで。

歪み系の音を最小限にし、ロックなのにクリーントーンの利用がかなり多い。

楽器を減らした部分をギターで埋めるのではなく、『隙間』を『間』としてうまく活用するプレイをしています。

その結果、リズム隊の表現の自由度が格段に上がっているんです。

ギターがギャンギャンなっていないし、『間』を作ってくれるから、フリーもスラップベースに頼らずベースを目立たせることができるんです。

普通の指弾きだけでもいろんなフレーバーを表現できるんです。

逆に言うと次作『ワン・ホット・ミニット』はデイブ・ナヴァロが歪ませた音をビッチビッチに敷き詰めるから、またスラップベースを弾かざるを得なくなる。

それはチャドにしても同じです。

本作ではチャドの持ち味であるハイハットの繊細なプレイが、ドラマーとしてはヨダレが出るほど堪能できます。

前作と次作ではこんなプレイは全く入れる余地がありませんから。

#2『イフ・ユー・ハフ・トゥ・アスク』や#4『ファンキーモンクス』などのファンクナンバーなんかがその典型で、表現豊かなハイハットプレイが聴けます。

だからこのアルバムはチャドとフリーのリズム的なコンビネーションが絶妙で、ドラマーとしてコピーしていて最高に楽しい。

レッチリのコピーバンドを組む前に、ベースの相方と二人で1年半くらいスタジオで合わせてました、楽しすぎて。

「ギタリストが見つからないからライブに出れない?もういいや、2人で十分楽しいから」

みたいな(笑)。

普通は、使う楽器が多いほうが表現の幅が広がりそうなイメージがありますよね?

でもこのアルバムは『楽器を減らすことによって逆に表現の幅が広がる』ことを知らしめた、

非常にエポックメイキングな作品です。

極上のファンクを堪能:体が動き出すノリとコミカルなレッチリ

さて、皆さん。

レッチリの魅力といえばやっぱり『ファンク』ですよね。

私は自分でコピーするまではこのファンクのノリというのがイマイチ理解できなかったので、

ハードロック色の強い『マザーズミルク』のほうが先に好きになってしまったのですが、一度このグルーブ感にハマってしまうと体が自然と動いてしまいます。

特にこのアルバムではそれが濃厚で、ここまでファンキーなのは2nd『フリーキースタイリー』以来じゃないですかね。

ただ、2ndはロックのパンチが足りないんですよね。

『ミクスチャーロック』というより『ほぼファンクミュージックそのもの』と言うか。

『フリーキー・スタイリー』

ノリもそうなんですけど、アルバムに漂う『コミカルさ』も2ndと共通しているものを感じます。

地を這うベースのうねりがアルバム全体をダークな雰囲気で包み込んでいるようにも最初は感じます。

しかし、#2『イフ・ユー・ハフ・トゥ・アスク』の人をおちょくったようなコーラス、

#7『メロウシップ・スリンキー・インBメジャー』のふざけているとしか思えないチープな鍵盤(そのおもちゃどっから持ってきたの?)、

極めつけは#16の『サー・サイコ・セクシー』の歌詞も歌唱もお馬鹿なアンソニーのノリ、

などなど、まさにこの頃のレッチリならではのコミカルさが味わえることもこのアルバムの楽しさでしょう。

本来レッチリって、ライブだけじゃなく作品の中にもかなりお馬鹿な要素があったバンドなのですが、

このアルバムを最後にそういった面白さはなくなりましたね。

最高傑作だからといって最初に聴いていいアルバムとは思わない

歴史的名盤なのでそりゃ、誰でも抑えていて損はないアルバムなのですが、自分がそうだったので、合わない人は結構いるんんじゃないかなと思います。

入門編で『マザーズミルク』ハマったらまずは3rd『ジ・アップリフト・モフォ・パーティ・プラン』→6th『ワン・ホット・ミニット』と行くのが良いのではないかと思います。

このアルバムはそれからでいいんじゃないかな?

私も実際好きになった順番はそうなりましたし。

先程もあげたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが好きな人であればハマると思います。

これまた装飾を廃した名盤の2nd『イーブル・エンパイア』あたりを気に入っている人はおそらく抵抗なく聴けるでしょう。

他にはストロークスなんかも飾りっ気ない素朴なロックしいるので近いかもですね。

この辺好きな人もハマるかと。

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