『ライド・ザ・ライトニング』メタリカのエッセンス全てが入った核心の一枚。
どうもSimacky(シマッキー)です。
本日はメタリカのが1984年にリリースした2作目のオリジナルフルアルバム
『RIDE THE LIGHTNING』
(ライド・ザ・ライトニング)
を語っていきます。
「メタリカ=世界で一番速いバンド」と呼ばれた時代があったんです
とにもかくにも衝撃的オープニング!
問答無用の轟音リフが襲いかかる最速ナンバーの#1『 Fight Fire with Fire』。
パンク/ハードコアの強い影響も自分たちのルーツとしてあることを印象付ける、これまた爽快スピードナンバーの#5『Trapped Under Ice』。
どちらも過激でありながらも、メタリカというバンドが本物のメロディセンスを持っていることを感じさせます。
かつて『世界一速いバンド』と呼ばれたメタリカの第2作目は、衝撃のデビューアルバムを凌ぐほどの凶暴性でのっけから襲いかかってきます。
アルバム5作目『メタリカ』、通称『ブラック・アルバム』と呼ばれるセルフタイトルアルバムで1990年代のヘヴィメタルの、いえ、ロックの方向性を大きく決定づけるほど巨大な存在となり、一挙手一投足に世界中の注目が集まるほどモンスター化してしまったメタリカ。
そのブラック・アルバムの現時点での売上累計枚数はなんと3500万枚を超えています。
もはやヘヴィメタルという範疇(はんちゅう)では語れない大物バンドとなってしまったメタリカも、デビュー当時は音楽雑誌に「これは音楽ではない」とまで言われていました。
あまりにも過激すぎるその音楽性に対してつけられた呼称を『スラッシュメタル』といいます。
「速すぎて何を演奏しているのか分からない」
「音楽ではなくただの轟音」
それまでヘヴィメタルというジャンルを聴いてきたリスナーたちからも敬遠されるほどの攻撃性をもったメタリカの音楽性は、世界中のコアな信者を水面下で獲得することになります。
このコアな信者たちの水面下での口コミが広がり、メタリカは人気を獲得していくのです。
『ヒットソングを飛ばしてラジオにかけてもらったり、テレビに出たりする』といった、王道の成功路線を拒否し、音楽性を全く妥協しなかったんですね。
この2曲のスピードナンバーは、メタリカが2作目でも依然としてその「音楽ではない」と呼ばれた音楽性を変える気などサラサラないと宣言しているような力強い曲です。
特に、名曲ぞろいのアルバムの中であまりスポットライトを当てられない#5『Trapped Under Ice』は私の中でメタリカ5本の指に入るほどのお気に入りです。
メタリカはパンク/ハードコアのカバーを演ると、メタリカらしい攻撃性とパンクっぽいキャッチーさが絶妙にマッチして最高にかっこいいヴァージョンになるのですが、この#5はまさにそんな曲です。
ゴイゴイくる高速リフとジェイムズ(ヴォーカル)のシャウトの組み合わせに悶絶してください。
2作目にして攻撃一辺倒から大きな展開を見せる構成の曲も
デビューアルバムでは持ち味である疾走感と攻撃性を十二分に堪能でき、その方向性が大好きなファンにはたまらないアルバムだったのですが、この2作目では1曲の中で大きく展開する曲が出始めます。
#2『Ride the Lightning』ではミドルテンポの曲調がいきなりドコドコツーバスと轟音リフで疾走し始め、美しすぎるギターのユニゾンで聞かせます。
#7『Creeping Death』では怒涛のダウンピッキングで引き倒していたところから、ふっと止まってヘヴィ&die(大)合唱へ。
そして神話のようなドラマティックな物語性を歌(歌詞)を使わず演奏だけで表現しようと試みた#8『 The Call of Ktulu』。
3曲とも前作に比べ大きな音楽的挑戦をしており、この時点で「ただ速い過激な音楽をやっているだけ」という並のスケールのバンドではないことを予感させます。
後の大名盤『ブラック・アルバム』に繋がる音楽性の萌芽(ほうが)
先の3曲も大きな挑戦・変化ではあったのですが、この2曲は当時のファンにとって特にインパクトが強かったと思われます。
なぜなら、超スロー&ヘヴィなナンバーである#3『For Whom the Bell Tolls』、 美しいバラードである#4『Fade to Black』という音楽性は5作目のブラック・アルバムにおいて一部ファンからブーイングが出るほど物議を醸した音楽性そのものだからです。
ブラック・アルバムではそれまでの疾走する音楽性を捨て、とことんヘヴィでスローなナンバーが続き、その合間にスピードナンバーどころかバラードが数曲入ってしまったため、
旧来ファンから「もはやメタリカは変わってしまった。スラッシュメタルではない!」という非難を浴びてしまいます。
しかし、多くのファンはブラック・アルバムの音楽性を支持したし、世界中の多くの新規ファンを獲得したから3500万枚を超えるモンスターアルバムとなったのです。
結局のところ、メタリカはただ単に「音楽が攻撃的で気持ちがいいから」コアなファンに好まれていたバンドなどではなく、しっかりとした音楽性でファンを惹き付けていたということが、この2曲によってすでに証明されていたということです。
なぜならこの2曲は今でもメタリカにとってライブで外せない大人気曲なのですから。
メタリカ入門には『ライド・ザ・ライトニング』がおすすめ
先程から挙がっていますメタリカの代表作は問答無用でブラック・アルバムです。
最も多くのファンを獲得していますし、激しいのが苦手というメタル以外のファンにもおすすめできますしね。
そして初期のスラッシュメタルの決定版としてはこの次の3作目『 Master of Puppets (マスター・オブ・パペッツ)』が挙げられることがほとんどです。
しかし私はあえてこの2作目を推します。
理由の1つ目はこのアルバムが一番『名曲が多い』からです。
ものすごく速い過激な魅力、美しいギターソロで聴かせる魅力、ヘヴィでタメの効いた魅力、静かに聴かせる魅力、そして何よりキャッチーで分かりやすい魅力。
メタリカのかっこいい要素のすべてが味わえるアルバムだし、私が結局いつだってこのアルバムに帰ってきてしまうのは、このアルバムの楽曲が持っている普遍性のあるメロディのせいでしょう。
ライブでファンが大合唱できるアンセム的な要素が多いんですよ。
理由の2つ目は時代の変化です。
’80年代の初期ならともかく、現代はヘヴィメタルに対する免疫もずいぶんとできていると思います。
人気アニメ『進撃の巨人』のオープニングテーマ曲にデスヴォイスが入っていたりするくらいですから(笑)。
日本でもXJAPANのようなサウンドだけ取ればスラッシュメタルとも言える音楽が、普通にチャートトップ10に入った❛90年代を通り過ぎた後なんですよ、現代は。
なので、かつては「こんなの音楽じゃない」と言われたこのメタリカの初期の攻撃性も十分受け入れられる時代になってきたのかなと。
このブログを通して、また1人メタリカのファンが生まれてくれたらこの上ない喜びです。
それではまた!