『PATA~酔っ払いの回顧録~』Xメンバーによって語られる真実

本記事はプロモーションを含みます。

どうもSimackyです。

本日は2024年2月に出版された

『PATA~酔っ払いの回顧録~』

を紹介したいと思います。

なんか最近、SUGIZOや吉井和哉の自伝本があまりにも面白かったので、

「他にも誰か出していないかな~」

と調べていると、

「ん?PATA?え?いつ?えぇ?先月!?」

なんとPATAが自伝を出しているではないですか!

アマゾンの画面を二度見してしまいました(笑)。

あのPATAが!?

あの『Xで最も寡黙な男』と呼ばれたお人が!?

ついにXを語ります。

これって超久々だな~。

Xメンバーによる自伝としては久々

本作『PATA~酔っ払いの回顧録~』は、Xという秘密のヴェールに包まれたバンドをメンバー自身が証言したものとして非常に重要度が高いです。

これまでXのメンバーの『自伝のような』書籍は、これまで色々出版されてきました。

時系列で追っていくと、まず初っ端なが当然のことながらリーダーYOSHIKI。

メンバーの誰よりも早い1993年の出版『YOSHIKI アメジスト~青い血の微笑~』。

女性ファンであれば、神棚に飾って毎日拝んだであろう美麗なYOSHIKIの表紙(笑)。

YOSHIKIに張り付いて取材した人の本なのですが、ちょっと妄想入っているというか、美談が入りすぎているというか。

カリスマ像を描こうとしすぎていて、夢見る夢子ちゃんが読むような内容と言えば言いすぎでしょうか?

「これ明らかに女性読者を意識してない?」

って思いました。

男としてはちょっと引く箇所もところどころあるのですが、それでも私は個人的に好きで何度も読みました。

とにかくXの情報が殆どなかった時代の話ですからね。

しかも今から振り返ると、Xの現役中に唯一出版された本としてかなり貴重ですよ。

次に、Xを脱退して浮浪者同然となっていたTAIJIが、hideの死後2000年に出した本。

『伝説のバンドXの生と死~宇宙をかける友へ~』が最初。

hideの死後に、色んな人がhideを語る本が出して、それらが出尽くしたかな?っていうタイミングで出ましたね。

当時は

「え?今頃?」

って感じもしたのですが、それもそのはず。

当時のTAIJIはとても本なんて出せるような状況ではありませんでしたから。

その意味では衝撃的な内容です。

「かつてXのメンバーとしてスターにまで昇りつめた人間でもここまでなるのか!?」

TAIJIの脱退理由に関して、クビにされた本人が語っているし、色々と赤裸々な内容でもあるのですが、肝心のところはごまかしているようにも感じる部分がなきにしもあらず、でしたね。

実はHIDEと喧嘩してトラブっていた事実には触れていませんしね。

X脱退後はインタビューでもXの話題に触れたがらなかったTAIJIが、本音をぶちまけていて、なんというか、メンバー達に対する愛情が伝わってくる本です。

次に2009年に出版されたYOSHIKIの『YOSHIKI/佳樹』。

これは、前回から16年経っているだけあり、『偶像としてのYOSHIKI』を描いているわけではないところが好感持てます。

結構、泥臭い部分もあるというか(笑)。

高校~インディ時代が特に面白いです。

Xというバンドの全盛期に触れた自伝としてはこの3冊までですね。

その後はX自体を主題とした本は出版されてません。

例えば、2014年に出版されたTOSHIの『洗脳~地獄の12年からの生還~』

TOSHIの場合は、確かに自伝ではあるのですが、ほぼ『洗脳』されていた期間に起きていたことを綴った本なので、Xに関しての記述がメインというわけではないですね。

面白さで言えばピカイチではあります。

トラウマになりそうなくらい、あまりにも重すぎますけど(笑)。

Xはあんまり関係ないかな~。

で、次はHIDE(hide)。

hideの場合は関連本がたくさんありますが、『自伝』というよりも、hideの死後に関係者が出版したものであり、『自伝』ではありません。

代表的なものではhideの相棒:稲田和彦が2018年に出した『君のいない世界』があります。

これはとにかくギャグが多くて面白いのですが、X全盛期より後のお話です。

どちらかというと、hideソロの裏話ですね。

それからSUGIZOも2011年に『SUGIZO~音楽に愛された男。その波乱の半生~』を出版していますが、こちらはXのメンバーとはいっても、SUGIZO加入からXはほとんど活動していないのでXに関しての記述は少ないし、内容のメインはLUNASEAです。

と、こういう状況なので、「かつてのXの伝説」を知ることができる資料としては、やっぱり2009年に出版された津田さんのこれが決定版だったかな?

私が勝手に「6人目のX」と読んでいるソニーのディレクター津田さんの本。

これは本当に面白いですよ。

それからもう15年が経ちました。

なので今回のPATAの自伝は久々に

「で、出た~!」

って感じです。

しかも、『一番そういうのは出さなそうな男』であるPATAが出したっていうんだから驚きです。

本書の内容とは!?

YOSHIKIやTAIJIと違い、PATAは『自己陶酔』とか『美談としての誇張』とかが、一番なさそうな人なので、ある意味、一番リアルとも言えます。

しかし、逆に言うと、あまりにも素朴すぎてドラマ性が欠如しているので、淡々としていて

「なんかあっさりし過ぎてるな」

という感想を抱くかもしれませんね。

PATAの表現があっさりしているからなのか?それともXへのスタンスがあっさりしているからそうなるのか?それとも色々問題になるセンシティブな部分には触れないように意図しただけなのか?

それは最後まで分かりません(笑)。

PATAというお人はなかなか心理が読めないですよね。

さらに、驚くのが、いえ、ある意味分かってはいたけど、嫌な現実を突きつけられることになります。

それは

「ああ、やっぱりXってとっくにバンドなんかじゃなくなっていたんだな」

ってことです。

本書を読むと、いかにXがYOSHIKIのソロプロジェクトなのか?という現実を突きつけられます。

だって、メンバーのPATAがTAIJIのクビに関して、結果報告をされるだけなのですから。

TOSHIの脱退にしてもYOSHIKIがクビにしたのか、TOSHIが言い出したことなのか?

PATA自身よく分かっていないような記述もあり、かと思うと、

「久々にTOSHIに合うときはぶん殴ってやろうと思っていた」

とか珍しく感情的な発言があったり。

本当にこの人はよく分かりません。

ただなんていうか、組織が巨大化しすぎて、YOSHIKIが遠くに見えるというか。

昔は皆でミーティングして「あーでもないこーでもない」って色々と案を出し合って力を合わせていたのに、今では大本営発表(YOSHIKIの決定)を待つだけ、みたいな。

「入社は同期だったのに、かたや社長、かたや末端のイチ社員』

みたいな。

同期のよしみで、たまに二人で会えばタメ口で親しく話すけど、組織としての指揮命令系統は社長と下っ端みたいな。

そんなXの実像が見えてきます。

PATAがやっている『Ra:IN』というバンドは、そういうXのあり方に対するアンチテーゼというか。

メンバー各個人が自由に、そして何の決まりもなく自己表現をぶつけ合うという、ある意味本当のバンドの追求であることは、Xの活動からの反動なんじゃないかな~。

PATAは、Xの仕事に呼ばれりゃ行きますけど、別に積極的にそれに携わろうという姿勢ではありません。

スターであろうとは望んでいないし、お金を儲かろうとも思ってないし、それどころか音楽(ギター)で生活できようができなかろうが「知ったこっちゃ」なくて、ただ好きだからやっているだけというか。

なんていうか、人としての芯の部分がどっしりしてるんですよね。

現代人って

「稼がなきゃ!食ってかなきゃ!」

って怯える余り、好きなことをやれていないんじゃないか?

とか考えせられてしまいました。

これぞ、『PATAのペース』ですね。

野心や虚栄心で、自分が好きなプレイ以外をすることはありません。

この本読んでて思ったのですが、”バンド”としてのXが、今後復活することはありえませんね、どうやら。

というより、もう『あの頃』は戻らない。

そんなこと誰も望んでいない。

それを唯一望んでいたHEATHは亡くなってしまったので。

HEATHが加入してすぐの頃はまだ全然バンドしていたことが分かるエピソードもあるんですよ。

東京ドームを3日間いっぱいにするくらいの稀代のカリスマバンドなのに、皆で千葉のマザー牧場に遊びに行くとか、いかにもYOSHIKIの発想って感じで微笑ましい。

東京ドームライブ~マザー牧場~ロックフェラーセンターでの世界デビュー記者会見とかいうわけの分からないスケジュールに、まさに『コントバンドX』を垣間見ると言うか(笑)。

今後、YOSHIKIのソロプロジェクトとしてのXが、再稼働することはあっても、それはもはやバンドとは非なるものです。

完全復活を遂げたLUNASEAと対象的に、バンドとしては終わっているX。

そうか、だからラストロックスターズなのか…。

けど、もうちょっと本腰入れないと、そりゃSUGIZO、HYDE、雅に申し訳無さすぎるでしょ?

Gacktも手を引くわけだ…。

hideとの思い出

この本の中で唯一、光る部分があるとすれば、相棒hideへの友情が垣間見られるシーンでしょうか?

すごいドライというか、感情表現が少なく、誇張のないPATAが語るからこそ、『hideの死』へのショックに説得力があるんですよね。

「あのPATAがそこまでなるってことは相当ショックだったんだな」

っていうのが理解できます。

他のメンバーがどれだけ語ろうとも、それはファンを意識した発言だったりっていう『匂い』が付きまとうのに対し、PATAの発言からはそれを感じません。

YOSHIKIやTAIJIの自伝からでさえ、その『匂い』は若干なりとも感じるんですよ。

後輩たちの発言にもそれを感じます。

まあ、批判覚悟でずばり言ってしまうと、hideの死があまりにも社会現象になってしまったがために、それに便乗した発言だったり、その後のイベント参加だったりがいやらしく感じた人って私だけじゃないと思うんですよ?

「実はhideさんのことを尊敬していた」

とか

「hideさんへの追悼の意味を込めて」

とか言っているミュージシャンたちが嘘っぽく感じると言うか。

PATAに関してはそれはまったく感じませんね。

っていうか、やっぱりhideはバンドを超えて友達だったんだな~って感じましたね。

PATAは今も昔も変わらず、等身大で野心のない石塚智昭のまんまなんですよね。

昔はXで一番目立たないメンバーだったけど、こうして振り返ると一番自分をぶらさず維持している

完全ロッカー

なのはPATAだけですよね。

 

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