『 THE ONE~Crash to create~ 』LUNASEA極めつけの大作

本記事はプロモーションを含みます。

どうもSimackyです。

本日はLUNASEAが2012年にリリースした超大作

 The one

~Crash to create~ 

を語っていきますよ。

本作に至るまでの流れ

まず、2000年に終幕したLUNASEAは、突如、2007年に『一夜限りの復活』として、一度だけコンサートを行います。

しかし、再結成を期待するファンの気持とは裏腹に、ここからは何も動き出しません。

翌2008年には、hideの死から10周年としてのイベント『hide・メモリアルサミット』にも、LUNASEAとして出場しますが、ここに至っても再結成という話は出てきませんでした。

ようやく動いたのは翌2010年8月。

再結成記者会見と同時に、ワールドツアーを発表。

ドイツ、アメリカ、香港、台湾と周り、最後に東京ドーム3日間公演を行い、これにて無事、国内に置ける再結成お披露目となりました。

こうなると当然、期待されるのは新作ですよね。

そしてそんな期待の中、翌2011年には、復活第1弾として、インディアルバム『LUNASEA』をセルフカバーします。

セルフカバー『LUNASEA』

これはかっこよかった。

もともと原曲が良かったのに、インディ版はサウンドが古かったのですが、ここで生まれ変わったサウンドは見事の一言。

ある意味、オリジナル作品出されるより、こういうのが嬉しい時もありますよね(笑)。

そして、期待の新作は突如としてリリースされます。

2011年に起きた東日本大震災への復興支援を目的として、Amazon Music限定で『Promise』が配信リリースされます。

『Promise』

この配信による収益は全額、被災地へ募金されました。

地震が起きたのが3月11日で、配信の開始は4月9日ですよ!?

なんというスピード感。

実は、2010年のワールドツアーの追加公演として行われた、神戸の年越しライブで、この曲は1度だけお披露目されていましたので、すでに手持ちの曲として存在してました。

それにしてもここまで躊躇なく、すぐに動けるっていうのは偉い、偉すぎる。

確かSUGIZOは、被災地の現地に行って、復興支援を手伝ったんじゃなかったかな?

LUNASEAってこういうとこ本当に人としての意識が高いというか、人格者というか。

Amazon Music限定(あと特設ダウンロードHP)だったので、聴いたことがない人が多いと思うので、こちらを御覧ください⇩

これは2011年の単発ライブ(埼玉アリーナ)の映像です。

SUGIZO以外、皆ふっくらしてますね。

長いソロ期間で、みんな気が緩んでいたのか、LUNASEAの活動が続くに連れ痩せていくんですよね(笑)。

『Promise』は入手方法が限定されていたし、音楽配信にまだ馴染んでいない人もいて当然の時期でもあったので、知らない人がかなり多いと思います。

なのでこの『Promise』が、ラストシングルとなった『LOVE SONG』以来の新曲だとは、世間一般的にはあまり認識されていないでしょう。

その意味では、再結成後初の新曲として認識されてるのは、シングルCDとしてリリースされた『THE ONE』になるのかな、と。

これぞ復活の狼煙

この『THE ONE』は、『Promise』よりさらに1年が経過した2012年にリリースされました。

CDシングルとしては『LOVE SONG』以来12年ぶり!

待たせたね~。

しかし、そんな待ちに待ったファンたちのお腹と心を一杯に満たす作品になりました。

なんと、この『THE ONE』は1曲の長さが

約23分

にも及びます。

やってくれます、ひねくれてます(笑)。

あなたたち、プログレバンドのドリーム・シアターじゃあるまいし(まあ、彼らはこの長さの曲をアルバムのラストとかに持ってくるから質悪いんですが)。

当然のことながらLUNASEAでそんな長い曲は初めてです。

これまでのLUNASEAの楽曲で、長尺の曲は

GENESIS OF MIND 8:10

FOEVER & EVER 10:25

VIRGIN MARY 9:15

などがありましたが、これらと比べても段違いの長さですね。

あの超規格外作品、Xの『ART OF LIFE』(29分)に迫る勢いです。

気になる原曲は「J,SUGIZO、INORAN」?

おお!再結成後は原曲も一緒に作るようになっちゃった!

そこまで仲良くなったの?

あなた達、仲があまり良くないことで有名な、あのLUNASEAさんですよね?(笑)

しかも、一番バチバチやり合ってそうな、メインソングライター3人が共作だなんて。

またでも呼ぶ気ですか(LUNASEAは『嵐を呼ぶバンド』との異名を持つ)?

LUNASEAにおいて、『作曲:LUNASEA』と表記されてるのは、メンバーの誰かが持ち込んだ原曲を、メンバー全員で「あーでもないこーでもない」と演奏しながら練り上げていくからだと思います。

なので、原曲者が誰であれ、クレジットは『作曲:LUNASEA』と表記されてきたのかな、と。

しかし、原曲者が複数になるというのは初ですね。

雨でも振りそうな勢いです。

この曲を絶対に野外ライブではやっちゃ駄目ですよ?(またいつかみたいになるので)

メインソングライター3名の共作ということもあり、LUNASEAのあらゆる部分を包括しているようでもあり、終幕前のLUNASEAとまったく別物のような雰囲気も持っている側面があります。

これは大作ですよ~。

『THE ONE』楽曲解説

余りの長さのため、レビューを読んでいると

「なんか起伏がないし繰り返しがないから掴みづらい」

とか言う声も多かったので、ここでは一旦ライブ映像を見てもらったうえで解説していきましょう。

確かにこの長さだと全体を把握するのが非常に難しい。

『ART OF LIFE』のような分かりやすいパート分けになっていないため、どこが『メインテーマ』か分かり辛いですしね。

ご覧のように、この『THE ONE』の特徴は、『ART OF LIFE』やドリームシアターの長尺曲のような長いインストがないです。

RYUICHIがずっと歌ってるところが、LUNASEA流のプログレの特徴かな?

この大作を大まかにパートに分けると、

①『導入部(メインテーマⅠ)』

②『ダーク&ヘヴィ』

③『ムーディ(メインテーマⅡ)』

④『サイケデリック』

⑤『バイオリン・ピアノ』

⑥クライマックス(大サビ)~アウトロ

こんなとこでしょうか?

「メインテーマって本人たちが言ったの?ムーディって?」

とか思ったでしょ?

呼び方は私がここで説明しやすいように便宜上、勝手に名付けたものです。

苦情は受け付けません(笑)。

この⑥つのパートが組み合わさって

①→②→③→④→⑤→①→③→⑥

という流れで構成されます。

歌詞の内容としては、『LUNASEAの歴史』とも呼ばれており、メンバー結成時の溢れんばかりの表現欲求を爆発させていた頃から、数々の苦難を経て、また再集結する、みたいな感じかな?

歌詞の内容に合わせた、各パートの雰囲気になってますよ。

それでは、先程の動画のタイムに合わせ、それぞれのパートごとに解説していきましょう。

①『導入部(メインテーマⅠ)』op~3:22

INORANの単調に刻む、しかし何故かワクワク胸膨らむリフに、SUGIZOのリードメロディが乗っかり始まります。

このSUGIZOのメロディ良いな~。

そこに真矢の重低音の聴いたタム回しと、その後からjのベースが入ってきます。

ギターは大きなメロディで、コードを「ガーン」って鳴らす感じで、なんかジェーンズ・アディクションとかサウンドガーデンなどのオルタナバンドを彷彿とさせますね。

ボーカルが入るまでに2分30秒ありますので、たっぷりインストを楽しんでください。

その後からようやくボーカルが入ってくるのですが、このパートの歌詞としては

「oh 降りしきる光 so 高鳴る鼓動 今 頬伝う痛み so 伝えきれない思いを」

までの部分が該当します。

希望に胸を高鳴らせ、野心に燃えたぎっていた頃のLUNASEAが、音楽で見事なまでに表現されているように感じました。

ここまでですでに3分を超えてくるんですよね。

曲によっては1曲終わってるくらいの長さなのに、本当に冒頭1分くらいしか経っていないように感じさせるのは、さすがというか。

緊張感と、惹き付けるポジティブなパワーが音に漲ってますもんね。

ちなみにこのパートは、17:00あたりのピアノソロが終わった後に、もう一度登場します。

なので、この部分のメロディが「メインテーマⅠ」とでも呼べばいいでしょうかね?

「Ⅰ」にしたのは、この『THE ONE』には2つのメインテーマがあると思うので。

②『ダーク&ヘヴィ』3:23~5:05

このパートに該当するのは

「その光は消えては灯された その新たな時に命をかけた

その小さな魂は知ってた 月光の我が海原をおさめた

moomlight 託して… 呼び起こしてmoomlight 壊して…目覚めて…」

までの歌詞になります。

3:30あたりで、ガラッと雰囲気が変わります。

それまでのポジティブな明るさから、一気にダーク&ヘヴィへ。

ここの部分、いい感じにシンフォニーも入ってて、ゾクゾクするんですよね。

③『ムーディ(メインテーマⅡ)』5:07~9:57

5:00過ぎから、今度は一転してムーディで落ち着いた感じになります。

大人の色気漂うLUNASEAです。

該当する歌詞は

「さあ囁いて今 優しい声で 全てを差し出すから

心に深く沈めていたよ 真実の姿を(長いので中略)

空の彼方へ キミの翼で空の彼方へ」

までの部分です。

このパートは5分近くあり、しかもこのパートだけで曲としての起承転結が出来ているというか。

分かりやすくいうと、「Aメロ、Bメロ、ギターソロ、サビ、アウトロ」みたいな、1つの楽曲のような構成になってます。

このパートにおける”サビ“部分が、全体としての「メインテーマⅡ」と呼んでも良いのではないでしょうか?

最後の20分過ぎあたりのクライマックス(大サビ)前にも、再度登場しますしね。

しかし、オープニングからこの時点で、SUGIZOは一体何回ギターソロやるんだ?

これ、かなり大変ですよ?

よくもネタが尽きないものです。

④『サイケデリック』

10分あたりからは『サイケデリック』パートです。

非常に幻想的・幻覚的なパートです。

リバーブ、エコー、ディレイなどの空間系エフェクターが多用され、さながらドラッグでラリってる時みたいな感覚にさせられます。

別に私やったことないですけど(笑)。

レッド・ツェッペリンの代表曲「ホール・ロッタ・ラブ」を思い出しますね。

浮遊しているボーカルとギターを下から支えているのは、単調でねちっこいJのベースラインで、ひたすら4分くらい繰り返してます。

これが中毒性高いです。

このパートでもパート③の「メインテーマⅡ」が挿入されますが、ここではINORANのアルペジオをバックに歌い上げます。

このパートに該当する歌詞は

「空の彼方に舞う真実の欠片を 空の彼方に舞う真実の姿を

(中略)恐れていたよ 壊れる夜の唄」

までです。

ロックシーンの大スターとなって、あまりにも多忙で過酷な日々は夢か現実か?

そんな日々を送るうちに、「真実=音楽をやる意味」さえ見失ってしまった。

崩壊寸前のLUNASEAの混乱状況を、その幻覚的で儚いメロディで表現している秀逸なパートですね。

⑤『バイオリン・ピアノ』パート14:20~16:50

14分過ぎからサイケパートにバイオリンが加わります。

心の悲鳴をバイオリンが表現しているようです。

バックではINORANのアルペジオがポロンポロンと。

そして一旦止まって、ピアノ。

LUNASEAでここまで前面にピアノが出てくるのは初かな?

そのピアノを優しいコーラスが包み込みます。

そしていよいよ最終章へ。

⑥クライマックス(大サビ)~アウトロ16:51~23:34

①のパートに戻り、真矢の地響きのようなタム回しにINORANの単調なリフが重なります。

これまで、7分ほど続いてきた浮遊感から、いきなり地に足をどっしりとつけたような力強いメロディになるので、ここで鳥肌がゾワゾワ~っとなります。

ここでは導入部であったSUGIZOのリードメロディはありません。

ここで「メインテーマⅠ」

「so 今応えよう so 高鳴る鼓動 

今 闇を切り裂け 今 刻み込まれた想いよ」

そして「五つの魂は~」から③のパートのメロディに入り、そこから「メインテーマⅡ」です。

「キミが見つけた僕は あの日の風に散って

失いかけていたんだ この想いさえ

記憶の風が 夜空を染めていくから 今

新しい時が ほら 輝き始める」

SUGIZOのギターが「ここにはこれしかない!」っていう申し分ないメロディを奏でます。

一気にフィナーレにまで盛り上げられますね。

そして大サビです。

「切り裂け翼よ はてなき空 答えよう 高鳴る想いのまま

切り裂け翼よ はてなき空 もう二度と 止むことはない 想いを」

最後はアウトロなんですが、ここってイエモンファンの方なら

「この終わり方は『天国旅行』そのものじゃないか!?」

と思われた方もいらっしゃるのかな、と。

これって偶然?オマージュ?

しかもライブではいきなり照明が真っ赤になるとか、ホントに『天国旅行』みたい。

まずは30回くらいリピートしてください

いや~、大変だった。

長い!

たった1曲の解説で、よもやここまで長くなるとは…。

6000文字を超えとりますぞ!

一体誰が読むんだ?(笑)

構成を紙に書き出していって、頭の中で整理してようやく解説できましたよ。

なんか私の中では楽曲コピーしたのに等しい(笑)。

っていうか、これバンドで合わせたら楽しいだろうな~。

他のメンバーが絶対演りたがらないでしょうが(笑)。

ものすごい分かりやすいキャッチーさとか、スピート感の起伏とかがほとんどなく、ちょっと聴いてもこの曲の良さは恐らく分からないですね。

正直な話、これまで聴いてきてもあんまり好きになれてなかったのですが、今回この記事を書くために、ここ3,4日でかれこれ30回くらいは聴き込んでるのですが、それくらい経ってようやくメロディが『入ってくる』ようになるというか。

いや、遅すぎだろ(笑)。

なんか、それまでのLUNASEAのメロディと違うんですよね、特にRYUICHIのボーカルメロディが。

バックは割とLUNASEAらしいのですが。

で、レビューで書いている人が多かったのですが、不思議と何回繰り返し聴いても飽きが来ないというか、聴けば聴くほど心地よくなってくる魅力を持った作品です。

私としては、以前から

「LUNASEAがプログレ作ってくれたら面白いと思うんだけどな~?」

と思っていたので、念願叶って嬉しいですね。

っていうか、こういうのって作れば作るほど進化していくと思うので、今後もどんどん演ってもらって構わないのですが、かれこれ10年以上経っても作ってくれませんね(笑)。

それから今回、ちょいちょい名前が出てきた『ドリームシアター』っていうバンドも全アルバム解説してますので、気になった人は読んでみてください。

ちなみに、ドリームシアターで一番長い24分の『オクタヴァリウム』という曲もかっこいいですよ~。

『THE ONE』と聴き比べてみてくださいな⇩

LUNASEAに関する全ての記事はこちら

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