『バンチド・バース』イエローモンキーのインディ1作目
本記事はプロモーションを含みます。
どうもsimackyです。
本日はイエローモンキーがインディ時代にリリースした正真正銘、最初のアルバム
Bunched Birth
(バンチド・バース)
を語っていきます。
なんて卑猥なジャケットなんでしょう。
CDショップでジャケ買いする時にはまず手に取らないであろうジャケットですね(笑)。
これ「地下の見世物小屋」を表していて、半分女、半分男の体の両性具有者が見世物小屋でショウをしている絵です。
こうして見るとなかなか秀逸なジャケで、イエローモンキーの持つ、エロス、いかがわしさ、グラマラス(妖艶さ)、そして男っぽさという要素をごった煮で表現出来ているところがすごい。
考えてみると『男でも有り女でもある両性具有』って、彼らの敬愛するデビッド・ボウイのかつてのファッションコンセプトでもありますしね。
1000枚ほど販売した旧版は廃盤のため現在はプレミアが付いており、リマスターされた新盤は10万枚くらい売れたそうです。
旧版の音の悪さがかなり改善されていると概ね好評だったみたいです。
苦労人イエローモンキーの『地下時代』の作品
さて、イエローモンキーをあなたはいつ知りましたか?
私の世代の場合は高校の頃が彼らのブレイクとドンピシャです。
今でも忘れもしません。
1995年の冬、当時高校2年生だった私が学校行く前にコタツに潜ってテレビを眺めていると、「太陽が燃えている」が流れ始め
「太陽が…燃えている!イエローモンキー『TOUR ’95 FOR SEASON』熊本県立劇場」
みたいな全国ツアーのCMが毎朝流れ始めたんですよね。
これがめっちゃかっこよかった!
『なんか気取ったモテモテバンド』っていう先入観がふっとばされました。
高校入ってから音楽雑誌『月刊ギグス』は読んでて存在を知ってはいたんですが、グラマラスなその雰囲気からは
「あ~、ファンはほぼ女性なんだろうな~」
的な匂いがプンプンしてて、私の中では
「ラルクとかの最近女にキャーキャー言われて粋がってる奴ら」
っていうくくりに入ってました(笑)。
「ルックスで女ファンを作ったらそりゃジャニーズと変わらんだろ!ロックなら音楽で野郎どもを虜にせんかい!」
みたいなのがやっぱあるわけですよ、私も血気盛んな10代だから(笑)。
とはいえ、この頃は一般的な認知度はまだまだ低く、メジャーデビューしているとはいえアンダーグラウンドな存在だと思ってました。
けど、テレビCMでも見かけるようになったことで
「お?いよいよブレイクし始めたんだな」
と感じたものです。
その直後、兄貴が発売されたばかりの5作目のアルバム『フォー・シーズンズ』を買ってきたので、そこでガツンとやられ、聴くようになったのですが、これが1995年の話です。
ちなみに彼らってこの時点で結構な年齢なんですね、実は。
メンバーの生まれはボーカル:吉井和哉1966年、ベース:廣瀬洋一1963年、ギター:菊地英昭1964年、ドラム:菊地英二1967年です。
年齢的にはバクチク、X、ブランキー、ユニコーンとかと同じくらいなのですが、この同世代のバンド達の中ではメジャーデビューが一番遅い1992年です。
バクチク、ユニコーンはメジャーデビューが1987年なので、同世代よりかなり遅いデビューを果たしたことが分かります(メンバーの菊池兄弟は1986年にメジャーデビューしてましたが)。
っていうか結成が1988年なんで、スタートがそもそも遅いんですね。
さらにデビューしてからブレイクまでがまた長くかかり、『フォー・シーズンズ』でブレイクした頃には、メンバーの殆どが30代になっているというわけです。
ファンではない一般人がイエローモンキーを知ったときには、あの独特の大人の色気を漂わせていたのは、もちろん個性・センスということもありますが、実年齢が高かったから、というのもあるってことです。
もう二十歳そこらの若造ではなかったんですね~(笑)。
どうりで。
つまり、
イエローモンキーは苦労人
です。
苦労人好きなんですよね~(笑)。
先程はラルクも当時いけ好かなかったとか言いましたが、実はラルクも同世代のLUNASEAなんかよりかなり遅れてブレイクするので、あれも苦労人ではあるんですよね。
しかし、ロックの歴史を紐解くと、後に超大物バンドになるのにデビューが遅いっていうパターンはあります。
QUEENなんかがそうで、あの天才フレディー・マーキュリーは27歳でデビューまでやっとこぎつけます。
なので、デビューまでに時間がかかるということと、長い目で見た音楽的な実績には関係がないってことが分かりますよね。
ラルクもトータルで見るとLUNASEAとは比べ物にならないくらいのセールスを叩き出したわけだし。
で、このイエロー・モンキーなんですが、先に挙げた同世代のバンドたちよりも遅れたスタートではあったのですが、人気・知名度で言えば、もはやXに並ぶくらいは高いんじゃないかな?
解散前は第1回フジロックフェスで日本バンドのトリを務めるし(全体のトリであるレッチリの直前)、ドームクラスの箱をソールドアウトさせる大物バンドになっていくのですから。
再結成時の世間の注目の高さを感じた時に、イエモンの存在の大きさを痛感しましたね。
この第1作目『Bunched Birth』は荒々しくも未熟ですが、後に彼らが認められていくであろう音楽性の片鱗がたっぷり詰まってます。
もともとはジャパメタバンド
XのHIDEもかつて言っていましたが、この世代の人たちって80年代メタルの影響をモロに受けた世代で、
「バンドやってる奴はジャパメタ(ジャパニーズメタル)ばっかだった」
とのことで、ご多分に漏れずイエモンのメンバーもジャパメタバンド出身です。
後のイエモンのイメージからすると、
「あのスタイリッシュな彼らがそんなもっさりとしたことをやったなんて…」
と意外に思われるかもしれませんが、メタルにも色々あって、ブリティッシュメタルのような本当にもっさりとした男臭いメタルもあれば、華やかなLAメタルに代表されるようにグラムロックから影響を受けたグラマラスなメタルもあるわけですよ。
LAメタルのことをヘアーメタルとかグラムメタルとか呼ぶのはそのためです。
イエモンのメンバーはおそらくそういったグラムメタルバンド所属だったと思われ、それが後のグラムロックスタイルに繋がっていくんだと思います。
ロビンはLAメタルの代表格であるモトリー・クルーに影響を受けたと公言してますしね。
で、意外と言えばボーカルであるロビン(吉井和哉)の担当パート。
イエモン結成当初はなんとベースなんです。
ベースのヒーセ(廣瀬洋一)が加入した時にギターに転向し、後にギターのエマ(菊地英昭)が加入した時にボーカルへ転向します。
この黄金メンバーが揃うのが1989年なので、本作がリリースされた1991年時のロビンのボーカル歴はなんと
2年程度!
それでこの表現力と個性を持ち合わせているというのは驚きです。
ロビンもそうなんですけど、本作では演奏にもプレイからなんか貫禄が感じられます。
メタル的なテクニックに裏付けされた演奏技術がある上に、メンバー二人(菊池兄弟)はプロ活動の経験済みなので、インディーとは言えども技術の拙(つたな)さなんかはほとんど感じられないんですよね。
若干のインディ臭さやマイナーな雰囲気は否めないにしても、まあメジャーデビュー作と言われても違和感のないクオリティです。
『Bunched Birth』楽曲解説
本作はロビン曰く
「イエモンで一番聞いたアルバム」
とのことで、この出来には相当満足しているみたいです。
今後、メジャーデビューしてからもアルバムを完成させるごとに本作と比較を行い、出来上がりを測る基準とした作品なので、それだけロビンの考える『イエモンらしさ』が詰まった作品だということでしょう。
基本スタイルがこの時点で出来上がっていることが伺えますね。
その証拠に、この時期に作曲をした楽曲はのちのメジャーデビュー後のアルバムにも収録され、それが5作目の『スマイル』まで続くのだから驚きです。
ロビン曰く
「メジャーデビュー後のために収録を我慢した」
とのことですが、それらクオリティの高い楽曲を収録せず、つまり余力を残した状態でリリースしたのが本作なのです。
それでこの内容というのはすごい。
もはやインディとしてのレベルを超越していたんでしょうね。
ちなみに、ロビンの中で創作意欲が爆発している時期がこのインディ時と7作目『Sicks』制作時みたいですよ。
#1『BUNCHED BIRTH』
オープニングを飾るのはタイトルナンバーでありインストナンバーです。
かなり不穏な空気感で始まり、ポエトリーリーディングが入ります。
やりたいことやってるな~。
#2『WELCOME TO MY DOGHOUSE』
ここでイエモンの代表曲の登場です。
解散前の最後の最後まで演奏され続けた名曲ですよ。
イエモンのナンバーの中でかっこよさだけ言ったらこれを超えるものはないんじゃないかな?
まさにイエモングルーブ!
そしてロビンのボーカルもこの時点でスタイルが完成されているのは驚異的です。
この手のハードな曲では珍しく、エマのギターリフにロビンがアコギを重ねているんですよね。
それはこの曲だけじゃないんですが。
このあたりにデビッド・ボウイからの影響を感じるところで、一見メタルに行きそうでギリギリでグラムロックに収めてるバランス感覚がすばらしい。
#3『FAIRY LAND』
もうイントロからイエモン節。
ロビンが本作を『基準』にするのも頷けます。
後のイエモンスタイルがこの時点で出来上がってる。
だってこれ『フォー・シーズンズ』に収録されてたってまったく違和感ないですからね。
#4『LOVERS ON BACKSTREET』
イントロのサウンドは90年代グランジのダイナソーJrみたいに感じたのですが、歌が始まると80年代Jロックをすごく感じるナンバーです。
本作では一番イエモンらしくないと感じるかもしれません。
私はイエモンを『フォー・シーズンズ』で初めて聴いた時に
「なんて洋楽的なバンドが出てきたんだ!日本で何聴いて育ったらこんな雰囲気出せるの?」
とか思ったものですが、ここで聴けるイエモンは
「あなたたちもやっぱり日本人だったのね」
と妙に親近感を覚えてしまいます(笑)
後のシングル『熱帯夜』では再録されてカップリングとして収録されました。
アコギのシャラシャラがかなり奥に引っ込んだため骨太にハードロックしてます。
#5『HANG ONTO YOURSELF』
ベースのヒーセが主役の曲です(笑)。
先程、彼らの世代はジャパメタが多いといいましたが、少数派のニューウェーブ・ポスト・パンクから影響を受けてる人たちもいます。
イエモンはそんな人達で、そういう影響が出てるのがこの曲ですね。
耽美的で気だるい、どこか物憂げ。
この要素も後のイエモンにしっかり継承されます。
#6『SLEEPLESS IMAGINATION』
イエモン流ロックンロールです。
本作ではグラムロック色が最も強いかな。
っていうかモロに初期デビッド・ボウイを感じます。
アコギの使い方もそうなんですが、ボーカルエフェクトに強くそれを感じます。
女性コーラスのゴージャスな感じなんかはT-REX風だし。
本人たちも意識したのか?グラムロックイベントでこの曲を演奏したみたいです。
グラムロックイベントなるものがあること自体驚いたのですが(笑)、そこでこの曲を聞いた人たちがファンになってくれライブの動員が増えたそうです。
#7『TEARS OF CHAMELEON (Mr. PAPER MOON)』
すごく耽美的なナンバー。
アニーのスネアロールがちょっと軍歌っぽくも感じます。
エマのギターの音色は終始QUEENのブライアン・メイっぽい。
いいね~。
12月28日はイエモンの日♬そんな日にイエモンの記事をアップしていただいてありがとうございます😊感謝です✨神〜〜〜✨
コメントありがとうございます!
そういえば12月28日は結成記念日でしたね。
まったく意図せず2本もアップしてしまったのはイエモンになにやら導かれたのかもしれませんね。
というよりカミさんと喧嘩したので、いじけてひたすらブログに没頭しただけなのですが(笑)。