『ライヴ・アット・ザ・マーキー』ドリーム・シアターの初期ライブの凄みを見よ!
どうもSimackyです。
本日はドリームシアターが1993年にリリースした初のライブアルバム『 Live at the Marquee』を語っていきますね。
『イメージズ・アンド・ワーズ』は”再現可能”であることを証明したライブアルバム
本作は1993年リリース。
3作目『アウェイク』のリリースは1994年。
つまりこのライブの時点で2作目『イメージズ・アンド・ワーズ』までしかオリジナルアルバムは出てません。
でもって、あのカリスマキーボーディストのケヴィン・ムーアが在籍してます。
1~3作目時代に
「ドリームシアターはギター・キーボード・ドラムの三頭政治」
と呼ばれ、マイク・ポートノイ、ジョン・ペトルーシと並びドリームシアターを象徴していた存在。
伝説のキーボーディストですよ。
テクニックだけでなく何よりメロディのセンスがツボを突きまくってくるんですよね~。
楽曲の印象的な主旋律を請け負っている場合が多く、この人の存在がなければ『イメージズ・アンド・ワーズ』がもっと平凡な作品になっていたであろうことは容易に想像がつくというか。
それだけに脱退から30年近く経っても未だに信奉者が多く、ドリームシアターのアルバムレビューを読んでいると
「ケヴィンがいた頃が最高だった。ジョーダン・ルーデスになってつまらなくなった。ケヴィンがいなきゃ駄目」
とか言ってる困った人がどのアルバムのレビューにも必ず一人はいます。
で、他の人達に
「いつの話してんだ馬鹿野郎!いい加減過去を引ずってんじゃねぇ!」
ってヒンシュク買ってることがよくあります。
私も彼は大好きなのでお気持ちは察しますが、彼を好きであることが現在の作品やルーデスを否定する理由にはなりません。
技術やセンスの上下関係をはっきりさせないと気がすまないんですかね?
「どちらも素晴らしい」でいいじゃないですか。
話がそれましたが、とにかくこのライブ盤は凄いですよ。
彼らにとって初の公式ライブアルバムですから。
当時は全世界のリスナーたちも相当驚いたことが予想されます。
なぜなら、大名盤『イメージズ・アンド・ワーズ』であの複雑極まりない演奏を聞いて衝撃を受けた誰もが
「これって本当に生演奏できるの?」
と思っていた(であろう)からです。
そしたら、マジで演奏してるんだもん。
全然あぶなげなく、ってか余裕で。
し・か・も・ですよ。
1作目でそんなにいいとは思っていなかった曲まで凄まじいクオリティで演奏されるんだもん。
「はぁ?こんなかっこいい曲1作目に入ってたっけ?」
みたいな。
なので、ぶっ飛びました。
まあ、ドリームシアターはその後、すごい頻度でたくさんのライブアルバム(DVDも)をリリースしていくので、彼らの生演奏でのレベルの高さをすでに他のライブアルバムで知っている人からすると衝撃性は弱いかもしれません。
しかし、知っている人だからこそ驚くこともあるのが本作のおもしろいところ(笑)。
ジェイムズ・ラブリエの声量がとんでもない
おそらくドリーム・シアターのライブアルバムで見せるラブリエのパフォーマンスではこれを超えるものはないと思います。
声っていうのはやはり年齢とともに音域が狭くなっていくことはしょうがないです。
これには誰も抗うことはできません。
ラブリエが敬愛してやまないレッド・ツェッペリンのロバート・プラントだって、初期2作品で見せるあの圧倒的声量を維持することは無理だったんですから。
しかし、声量があればいいということではなく、一流のボーカリストであれば声量が弱くなっても年齢とともに表現力の幅が広がり、奥行ある味わい深さを見せてくれます。
ロバート・プラントも、そしてもちろんラブリエもその一流の一人だと思います。
そうは言っても、ですよ。
この初期に見せる極上の声の伸び、ハイトーンでも力強さを感じさせるその声の太さは圧巻ですよ。
この次のライブアルバムである「ワンス・イン・ア・ライブタイム」は1998年で本作の5年後になり、ここまでの凄みは感じられません。
先程は「彼らの演奏能力の高さを後に出たライブアルバムで先に知ってしまっている人にとっては衝撃が弱いかも」と書きましたが、このラブリエの声に関しては逆です。
後のライブアルバムしか聴いていなかった人であればとんでもない衝撃を受けるでしょう。
私も久々に今回聴き返してみて「これはやばい!」と思いました。
かつて大学生の頃『イメージズ・アンド・ワーズ』を聞きながら本作も一緒に聞いていた頃は、ここまで声が出て当たり前だと思っていました。
ありがたみもクソもない(笑)。
しかし、後の「かなり苦しそうに無理して歌っているラブリエ」が当たり前になってから本作を聞き返すと、その凄みが分かります。
ギャンギャン出てます。
アドリブでさらに高音のシャウトを入れてきたりもします。
圧巻です。
楽曲紹介
本作はたったの6曲しか入っていません。
うち、1作目からは#2「A Fortune In Lies」#5「The Killing Hand」の2曲、2作目からは#1「Metropolis」#4「Another Day」#6「Pull Me Under」の3曲。
残りの1曲はオリジナルアルバムには未収録のインストナンバー#3「Bombay Vindaloo」です(この曲は別にそんなに好きではないのでノーコメ)。
ちなみに#5「The Killing Hand」はイントロとしてこれまたオリジナル未収録のインストナンバー「Another Hand」が演奏されます。
まず何と言っても本作のハイライトはラブリエの声で蘇った1作目からの楽曲#2「A Fortune In Lies」ではないでしょうか?
私の場合、1作目は近年になるまで聴いておらず、本作でのラブリエバージョンしか聴いていなかったため、原曲とのギャップには驚きました。
オリジナルはこんなすごい曲じゃなかったよ?(笑)。
テンションが全然違う。
あの全てが名曲の『イメージズ・アンド・ワーズ』からの3曲に勝るとも劣らない名曲に生まれ変わってます。
というより本作で一番好きです。
そして#5「The Killing Hand」もすごい。
後半の超絶シャウトは凄まじいです。
しかもイントロで演奏する「Another Hand」が透明感があって、まさにケヴィン・ムーアって感じのキーボードがたまりません。
ペトルーシのギターソロもいかにもこの時期ならではのメロディで嬉しくなります。
これは名曲ですよ。
この曲込みで「The Killing Hand」にすれば良かったのに。
2作目からの3曲は名曲を限りなく再現しており、特に「Pull Me Under」はいいね~。
ラブリエのボーカルは再現どころかオリジナルよりすごみがある。
ラストなんてオリジナルのさらに上の高音域で歌ってます。
あと、曲紹介でラブリエが「ポーミーアンダー」って言ってて笑えます。
歌ってる時じゃなくてもそこは「プルミー」じゃなくて「ポーミー」なの?って(笑)。
「Another Day」は国内盤での収録で、輸入盤では「Surrounded」に変わります。
私はCDでは国内盤を聴いていましたが、現在聴いているストリーミングでは「Surrounded」になっているので、輸入盤みたいです。
「Surrounded」はケヴィンのしっとりとしたピアノを堪能できます。
昔から「Another Day」と甲乙つけがたいんですよね。
しかし、まさかのギターソロが残念。
ガクって肩の力が抜けるというか。
この出来であれば「Another Day」の方が良かったな~。
CD時代はライブ盤の「Another Day」お気に入りだったので、また聞きたいです。