『ライブシット:ビンジ & パージ』メタリカ全盛期の映像がこれでもかと詰まった映像作品
どうもSimackyです。
本日はメタリカのライブCD+VHS(DVD)セットである
『Live Shit: Binge & Purge』
(ライブ・シット:ビンジ&パージ)
をご紹介します。
昔から読み方も意味も分かんなかったんでこの際調べてみました。
意味は『ビンジ』が『熱中する、大騒ぎする、過食』、『パージ』が『清める、粛清』ということでした。
う~む…
つまり、
「このボックスセットで腹一杯にめちゃくちゃ騒ぎまくって、その胸につかえているクソッタレのモヤモヤをスッキリさせやがれ!」
みたいなイメージかな?
まあ、そういうタイトルが付いてもおかしくないようなどえらい内容なので、そのあたりを解説していきましょう!
初のライブ盤がとんでもないボリューム
このボックスセットが発売されたのは1993年なのですが、デビューアルバムから10年目にして公式音源としては初のライブアルバムです。
発売当初はCD+VHSのセットでしたが、再発された時にDVDに変わってます。
内容はCDがなんと
3枚組!
1993年メキシコの首都メキシコシティでのライブをたっぷりと収録したそのボリュームは
24曲3時間!
そして気になる映像の方はDVDが
2枚組!
1枚目が1992年カリフォルニア州サンディエゴでのライブを収録し、
24曲3時間20分!
2枚目は1989年ワシントン州シアトルでのライブを収録し
19曲2時間20分!
つまり、CD+DVDを通して視聴すると、メタリカの時代の違う3都市でのライブをお腹いっぱいに堪能でき、その時間は
8時間40分
にもなるというとんでもないボリュームです。
日曜日が丸一日メタリカまみれで終わること請け合いです。
ね?タイトルはあの意訳で大体合っているでしょう(笑)。
これだけのボリュームのためお値段はかなりお高く、再発後に現在は販売中止となっているため新品だと24,800円とか付いてました(笑)。
もともと再発時(2003年)の正規の価格がちょっと分からないのですが、おそらくは1万円以上はしたのではないかと推測します。
私は大学の時に先輩にVHSで借りたので自分でお金払ってないんですよ(笑)。
CD3枚組は最近になってストリーミングで聴いて、あまりにもテンション上がったので今回記事を書きたくなったというわけです。
私の記憶では、高校生の頃(1996年あたり)に音楽雑誌のBURRN!で
「凄まじいボリュームだが凄まじい内容のためかなり人気が高く、プレミア価格がついている」
という紹介記事を読んだことがあります。
とんでもなく高いけど、満足度もとんでもない、といったところでしょうか。
購入者のその満足度を表すようにその売上数はなんと
1500万セット!
「ぜったい嘘でしょ!?」
って思ったでしょ?
だってウィキペディアに
「US(全米):15×プラチナ」
って書いてあるんだもん!
あまりにも驚いたので調べてみました。
それによると、ミュージックビデオの認定基準は音楽作品の10分の1に設定されていることが分かりました。
つまりプラチナは音楽では100万枚ですが、ミュージックビデオなので10万枚。
つまり150万枚が正確な売上というわけです。
私と同じようにウィキペディア見てびっくりする人のためにちょっとした豆知識のご提供でした。
しかし、このボリュームと価格で150万枚でも十分凄すぎるのですが(笑)。
メタリカのすべてが詰まっている
このボックスセットの目玉は間違いなくDVDです。
聴くだけじゃなくて、見てもらわなきゃこの凄さは伝わりません。
もうね、はっきり言ってこれがメタリカです。
メタリカってどんなバンドって聞かれたらこれ観せるのが早いです。
メタリカファンはマストの作品ですよ。
っていうかこれ見たことない人はにわかの誹(そし)りを免れないでしょう、もはや。
初期5作はすべて傑作と言われるメタリカのその5作からの曲しかやんないんだもん。
そりゃいいに決まってるでしょう。
演奏もパフォーマンスもMCもチームワークも観客のテンションもすべてが最高。
会場の屋根をふっ飛ばしてしまいそうなほどの観客野郎どもの怒号は凄まじいものがありますよ。
こういうスラッシュメタルの激しい音楽っていうのは荒々しいパフォーマンスが求められるので、若い頃ほどパフォーマンスが高いと思ってました。
しかし、意外にもメタリカの1980年代中期まで、『マスター・オブ・パペッツ』ツアーあたりまでのパフォーマンスって、野暮ったいんですよね。
ステージセットも普通だし、ジェイムズの弾き方もあんまりかっこよくないし、ファッションもダサい。
ステージではあまり動かずその場で頭振りながら弾く程度。
何よりMCが全然駄目なんですよ。
声がかっこよくない。
ほんとに初期のライブハウス時代なんてMCをデイブ・ムステインがメインでやっていたくらいなので、ジェイムズは引っ込み思案で喋るのが苦手だったのかもしれません。
このボックスセットに収められた1989~1993年の時期というのは、彼らが長髪だった最後の時期で、この後、1996年『LORD』のブックレットではバッサリ切ったメンバー写真が確認できます。
この時代のあたりからメンバーが黒の服装で統一し、長髪を振り乱しながらのパフォーマンスは迫力がありますよ。
特に大化けしたのはジェイムズで、本作で見せるジェイムズの立ち姿。
すなわち、細身の黒服を身にまとい、長い足を大きく開き腰をぐっと落とし、ギターを低く右膝に乗せゴリゴリ引き倒すその立ち姿は、「メタリカ」と聴いて人々がイメージするトレードマークそのもの。
まさにアイコン。
さらに特筆スべきはそのMC。
声のハリもすごいけど、観客とのコール&レスポンス、煽(あお)り、盛り上げ方の上手さからは貫禄がにじみ出ています。
まるで『ライブエイド』の時のフレディ・マーキュリーもかくやというほどのカリスマオーラが出まくってます。
ラーズも負けてはいません。
こんなMCしまくるドラマーがかつていたでしょうか(笑)。
そしてほぼ「ファッ●ン」しか言ってません。
下品で野蛮な魅力があります、この頃のラーズには。
この人って絶対フロントマンとしての才能あったと思うんだよな。
おそらくロック史上最も『でしゃばり』なドラマーは彼で、まあスタート前の楽屋からマイク持って煽る煽る。
字幕がついていないので何言ってんのかわかんないけど、多分こんな感じ。
「ようサンディエゴのくそ虫ども!肥溜めの中這いずり回ってるようなてめぇらのくせぇ息だだもれのファッキン嫉妬なだみ声をこの会場いっぱいにクソ響かせやがれぇ!!!!てめぇらのタマキン噛み切ってやるぜメーーーーーーン!!!!」
後半は若干ジョジョが入ってるような気がしなくもないですが、こんなもんでしょうか。
しかしおしゃべりなだけではありません。
振り幅大きくぶっ叩くラーズのドラミングはド派手。
基本とかすっ飛ばしたような独特のフォームで叩くので、下手っぽく見えるし、実際リズムも変なのですが(笑)、これぞ『ヘタウマ』の典型というか、リズムが変なりに安定感があるという。
とにかくクセがすごいけど快感指数が高い。
カークはいつだってあんまり変わりません。
ステージをとにかく移動しまくってどの観客にも平等に見てもらえるように気を配ってます。
よくあれだけの速弾きをしながら駆け足できるものです。
そしてカリスマベーシスト・クリフ・バートンの交代要員であるジェイソンですよ。
今にして思うとジェイソンいなくなったのってかなりもったいないですね。
クリフ信者からするとジェイソンは受け入れられなくて、加入直後は観客席から物が飛んできてたらしいんですけど、そのパフォーマンスでファンたちに認められています。
この人の七面六臂(しちめんろっぴ)の活躍はすごいですよ。
デスヴォイスのコーラスもできるし、たまにジェイムズの代わりに歌うし、MCもできるし、フロントマンのジェイムズばりに観客を煽りまくります。
これはクリフでもできてなかったことですよ。
彼の顔芸とヘッドバンギングは非常にエネルギッシュで、クリフの存在感を超えてますね、もはや。
メンバー4人の全盛期のテンションが収められた最高のDVDです。
特に注目すべきは1989年のシアトルでの公演が収録されたDVD2枚目。
選曲が『アンド・ジャスティス・フォー・オール』からが多く、今となってはかなりレアなセットリストです。
あの物議を醸した『アンド・ジャスティス~』のちゃちい音がど迫力のライブ音源で再現されるのですから、これを見ない手はありませんよ。
目玉となっている巨大な女神像が「おおっ!」ってなる瞬間は見どころです。
CDの方もメタリカのライブ盤の頂点にあると言ってもいいでしょう。
これを見てなきゃメタリカを知ったうちに入りませんよ!
ネタバレになるのでこれ以上の情報は書きませんが、後はご自分で買って見てください!