『ラスト・イン・ピース』メガデス黄金メンバーでの1作目はメンバー4人の個性が火花を散らす!

どうもSimackyです。

本日はメガデス1990年リリース4作目のオリジナルフルアルバムRUST IN PEACEを語っていきます

このアルバムはめっちゃ思い入れあります。

私は1994年当時高校3年の時に5作目『 COUNTDOWN TO EXTINCTIONでメガデス童貞を捨てたのですがね(正確には中学の時にオムニバスで聴いてるけど)。

当時は「メガデスの最高傑作」という触れ込みを何かで読んで買ったと思うのですが、このアルバムの3、4曲ぐらいはめっちゃ気に入ったけど、他の曲はあんまりピンとこずに次のアルバムを買おうとは思わなかったんですよね。

で、大学に入ってバンド組んだ時にメンバーが

「いやいやメガデスの最高傑作はそれじゃないよ(笑)。こっちだって!」

と貸してくれたのが本作RUST IN PEACEです。

まあ、衝撃受けましたわ(笑)。

「本来のメガデスってこれだったの!?これが本気のメガデスか!童貞捧げるべきはこっちだったか…」と。

そう、例えるならば晩年の『男はつらいよ』しか見てなくて、ある時、大昔(白黒TV時代)の『男はつらいよ』を見たら妹さくらが異常なほど可愛かった時の衝撃に近いです。

「本来の倍賞千恵子ってこれだったの!?童貞捧げるべきはこっちだったか…」と。

もうここからはメガデス沼にどっぷりですね。

あまりにもニック・メンザのドラムが美味しすぎて明けても暮れても耳コピしました。

この時期の私にとってはパンテラのヴィニー・ポールと双璧をなすほどの存在で、狂ったようにコピーしたものです。

そんな思い入れたっぷりのアルバムを本日はたっぷりと語っていきますよ~。

前作『So Far~』から今作に至る流れ

メタリカにいたときからドラッグ・アルコールの常習で、何かとトラブルを起こしてきたムス大佐。

それがメガデスのオリジナルメンバーであるガルとクリスの影響でさらに悪化します。

彼らは大佐とジュニア(エレフソン)ががまだマリファナをやっている程度の時にすでにコカインからヘロインへと進んでおり、かなり重度のジャンキーになっていました。

彼らと過ごした日々はデイブブラザーズをさらなるドラッグの沼に引きずり込むんですね。

そして前作『So Far~』の時にはかなりひどい状況になっており、デイブ大佐は日によって人格が豹変するほどだったと言います。

デイブブラザーズは二人して厚生施設へ入りますが、大佐はまたすぐに再開してしまいます。

ジュニアはこれ以降は二度とやってないんじゃないかな?

この頃の大佐には幻覚が見え、「見ろよ。オレの皮膚の下にウジ虫が動いている」とか言っていたみたいです(笑)。

で、完全に錯乱状態の大佐は母親の実家でドラッグが出来ない間、当時のメンバーであるジュニア、ジェフ、チャックたちにドラッグを手配するようしつこく電話をかけてきた、と。

留守電60件残すくらい異常だったらしいです。

で、それに対してメンバーが動かないでいたため、ブチ切れた大佐はメンバー全員に解雇を告げます。

ジュニアも含めてですよ?

正気に戻った時に解雇は取り消されますが、あまりのやばさにドン引きしまくったギターのジェフとドラムのチャックは自らバンドを辞退する道を選びました。

なんだこれ?

まるでバンドの解散前エピソードのようです。

・・・・・・・・・・・

ちょっと私の超能力で今あなたの脳裏をよぎった言葉を言い当ててみせますね。

「とてもじゃないけど最高傑作が出来上がりそうな気配が微塵もない」

でしょう?

しかし、心配ナッシング。

これはメガデスの

ルーティン

です。

メガデスのキャリアを通して振り返ると、ドラッグにまみれているとかまみれていないとかいうことと、作品の質は一致してませんから。

お待たせぃ!ついに黄金メンバーの登場!

まあそういうわけで、本作は前作からバンドメンバーをガラッと刷新しての作品になりました。

例のごとく、デイブ大佐とエレフソンのデイブブラザーズは不動メンバー。

で、リードギタリストはジェフからマーティ・フリードマンへ。

以前からジャム仲間だったガンズのスラッシュや、パンテラのダイムバッグ・ダレルにも声をかけたらしいですが実現しませんでした。

めちゃめちゃ大御所に声かけとります。

本当にクスリは抜けてんの?

まだそこまで売れていなかったパンテラはともかく、この時期のガンズからスラッシュ引き抜いたら世界中のガンズファンから殺されますよ?

やってることが正気の沙汰じゃありません。

ドラマーはチャック・ビーラーからニック・メンザへ。

今後10年続くことになる黄金メンバー期としての最初の作品であり、ヘヴィメタルの歴史に燦然と輝く歴史的名盤が本作なのです。

誤解しないでいただきたいのは、1~3作目のメンバーもかなりの凄腕なんですよ。

ギターのクリス、ジェフ、ドラマーのガル、チャックも素晴らしいテクニシャンだったし、はっきり言って彼らのプレイに文句はありません。

というより私は個人的に彼らのプレイも大好きです。

しかし、今回の二人が大佐と相性良すぎたんだと思います。

彼ら二人が別格の人気を誇るゆえんはやっぱり『センス』『オリジナリティ』なんだと思います。

技術じゃないんじゃないかな。

それまでの作品と本作の違いを私なりの勝手な解釈で説明するとこうです。

それまでの3作のイメージは、全て大佐が頭脳となって各メンバーへ具体的な指示を出し、メンバーは持てる技術を駆使して大佐の表現したい世界観を忠実に具現化する、というイメージ。

すべて大佐の頭脳の中というか、目の届く範囲の中というか。

「俺がやれっていうことをやってろ!」って感じ。

もちろん完璧に譜面を作った上で譜面通りにプレイさせるような極端なことはないでしょうが。

それに対して本作はニックやマーティが大佐に対して

「こんなプレイ考えてみたんだけどどう思う?」

「え!?マジか!?そんなすげぇプレイは考えつかなかったよ!そっちの方が断然良いじゃん!採用だ!」

みたいな感じで、大佐の想像の範囲の外からアイデアが飛んでくるイメージ。

つまりリーダーと子分という関係だったメンバーが、横並びのバンドメンバーになったというか。

あくまで勝手なイメージですよ?

まあ、いうても大佐が主導権を握っていることには変わりはしないのですが、メンバーの案をかなり取り入れるようになったというか。

もちろん貧相なアイデアであればきっと却下されるんでしょうが、そのアイデアが大佐を唸らせるものであったため、ある程度の裁量を任せられているようなイメージがこの黄金ラインナップなのかな、と。

「こいつらにアイデア出させたら、オレの想像以上のものが出来上がる」

と大佐に一目置かれているというか。

当時のインタビューからもメンバーに対する敬意が感じられましたしね。

『信頼関係』という、メガデスのバンドイメージからもっともかけ離れた言葉が成立していることに軽く感動を覚えます(笑)。

あのひねくれ者のデイブ大佐から信用を勝ち取るという快挙を成し遂げたのがマーティとニックなんじゃないかな?

そこんところはクリスやガルの時代のエピソードがあまりにも見つからないため、比較の出来ない勝手な憶測なんですけど。

このラインナップの頃のメガデスってすごくバンド(チーム)として見えてましたよね。

逆に言うと『メガデス=デイブ・ムステイン』のイメージが一番弱かった時期、とも言えます。

マーティもニックもすごく魅力的で人気があった。

そんな2人は別記事にてたっぷり語りましょう。

楽曲紹介

#1『Holy Wars…The Punishment Due』

この時期のメガデスの代表曲ですね。

すんごい切れ味のリフで進んでいきます。

リフの合間合間にドラムとのキメが入って快感指数が非常に高いです。

リフとバスドラムの見事なシンクロはこの時期ならではの醍醐味。

#2『Hangar 18』

代表曲が続きます。

歌詞は本作ジャケットの元ネタになってます。

多くのファンが

「おいおい、今回のギタリストやばくね?」

って気づいたであろうナンバー。

マーティも圧巻ですが、そのウラで刻んでるリズム隊の跳ね具合が病みつきになってます。

#3『Take No Prisoners』

隠れた名曲。

思いっきりマシーンなメガデス全開で攻めてきます。

個人的にはマシーンメガデスの最高傑作に挙げるナンバーです。

序盤のニックのツーバスドラムがやばすぎる。

なんなんだ、この大佐のカオスすぎるリフは…。

最後のコーラスもかっこよすぎ。

#4『Five Magics』

ニックはほんっとリフにドラムをシンクロさせるのが異常に巧い。

この手の方法論を確立した第一人者と言ってもいいでしょう。

ラスト、怒涛のスピード感で攻めてくるところは鳥肌がすごいことになりますよ。

#5『 Poison Was The Cure』

爽快に突っ走る疾走チューンです。

単にスピードがあるというだけでなく、リフがすごくメロディアスです。

パンキッシュで、メタルと言うよりハードコアに近いノリですね。

7作目『クリプティック・ライティングス』にも通じる部分があるというか。

これまでのメガデスにありそうでなかったナンバー。

最後ギターソロ好きだな~。

っていうかここまで5曲のクオリティやばすぎじゃない?

#6『Lucretia』

イマイチ好きになれない曲なのですが、ギターソロだけは好きですね。

っていうかたった4分の曲で1分半くらいギターソロしてるってどんだけ(笑)。

#7『Tornado Of Souls』

これまた代表曲。

マーティのギターソロとして最高傑作に挙げられることが最も多いナンバーです。

後半の大佐とマーティのユニゾンが始まったところ辺りからゾクゾク来て、その後はマーティの独壇場です。

個人的にはそこまで大好きということはなく、『 Hangar 18』のソロの方が好きかな。

#8『Dawn Patrol』

ジュニアのベースと大佐の不気味なつぶやきボイスでたんたんと進んでいく箸休め的ナンバーです。

前作のレビューでも言ったことなのですが、すごくオルタナティブですよね。

後のオルタナティブ勢がやることを完全に先取りしています。

#9『Rust In Peace…Polaris』

リフとバスドラのシンクロが気持ちいいな~。

後半にガラッとスピードナンバーに豹変するのですが、そこからは大佐とニックが主役。

本作で築き上げたこの2人のコンビネーションは圧巻です。


はい、本日はメガデスの4作目を語ってまいりました。

いや~、これはすごい。

メガデスにして初めてメンバー全員にスポットライトが当たった作品という感じですか。

最強の仲間を迎えてまさに『鬼に金棒』状態のメガデスが聴ける傑作です。

 

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