『キリング・イズ・マイ・ビジネス~』メガデスのデビューアルバムは殺傷力抜群の激しさ!

どうも、Simackyです。

本日はメガデスの記念すべきデビューアルバム『Killing Is My Business… and Business Is Good!』を解説していきたいと思います。

本作を指して最も多く使われる形容が

『メガデス史上最強の殺傷力!』

なかなかに穏やかじゃありませんね(笑)。

「殺傷力て…。殺虫剤じゃないんだから。」

そう思ったそこのあなた!

なんてこと言うんですか!

これはゴ●ジェットの謳い文句ではござぁませんよ!

こうした形容をされるのは彼らのバンド名と主張に要因があるのです。

そもそもメガデス(MEGADETH)というバンド名は『MEGADEATH』からきています。

これは核兵器などの『同一の死因による死者数の単位』で1MEGADEATHあたり100万人の殺傷力があることを指します。

それだと直接的すぎるということで『A』が外されたものがバンド名になったというわけです。

なんでこんなバンド名にしたかというと、もちろん響きがかっこいいとかインパクトがあるからとかもそうなんでしょうが、偶然にもこのバンド名にすることでデイブ・ムステインという人が政治的なものに対して物を申すスタンスを表明していることにもなっているのがおもしろい。

おそらく意図せずしてメッセージにもなっているんですよ、バンド名自体が。

「俺たちは言う事は言うよ?タブーに触れちゃうよ」と。

『MEGADEATH』なんて言葉は政治・軍事的な専門用語であり、一般人が日常的に使う言葉じゃありませんから、ほとんどの人がなんとも思わないと思いますが。

政治に関心ある人が聞けば、政策批判的な匂いを嗅ぎ取ることになるんだと思います。

実際、核戦争や検閲、環境などの政治的な事象に言及する楽曲も多いです。

デイブの愛称が『大佐』であるのもこの辺の絡みからきているんだと思います(諸説ありますが)。

そのため、彼らの作品を形容する側としても、作品の内容に関連付けて『殺傷力』とかいう表現を使うようになったというわけです。

意外に深い(笑)。

「オレのドスは殺傷力抜群よ!」

とか言ってるその辺のヤンキーとは違うのです(いるかよそんな絶滅種)。

知的(インテレクチュアル)なヤンキー、それがデイブ・ムステインというお人なのです。

そんな知的さも持ち合わせながら、本当に聴いた人が死んでしまいかねないほどの攻撃力を内包した記念すべきデビューアルバムが本作なんですね~。

2度のリマスターを経ている

本作は年々と評価を上げ、現在では最高傑作に挙げる人さえいるようになった名盤です。

「え?なんでそんなことになってんの?俺が知ってる1作目は音が酷いもので聴けたものじゃないはずなんだけど…」

と思ったそこのあなた!

こいつは成長してやがるんです!

デビューアルバムは実は3パターンあります。

オリジナルはこれ⇩。

ジャケットのセンスの無さには目も当てられず、まるで昭和の理科の実験室のような匂いが漂っていました。

ジャケットだけで言えば、メガデスのオリジナルアルバム全16作品のうち、9作目『ワールド・ニーズ・ア・ヒーロー』の次にダサいです。

見てくださいこのジャケ。まったくもって正気の沙汰ではありません。⇩

このオリジナルは音質も野暮ったく、なんていうか『いかにもB級メタルを漁っている時に出会いそう』な雰囲気がプンプンしていました。

原因は確かデイブが予算をクスリに使い込んだせいで足りなくなったんじゃなかったっけ?

またしても自業自得です。

こんなんばっかり(笑)。

あんた仮にも『インテレクチュアル』を標榜しといて引き算も出来ないなんてなかなかだな、おい?

とにかく「お、荒っぽいことやってんな」っていうことはよく伝わってくるのですが、ここまで音が悪いと、楽曲の持つ本当の良さが台無しにされていると言うか。

基本的に私は「音楽は技術と音質だけではない。下手で音悪くてもいいものはいい」という考え方なのですが、本作の場合はあてはまらなかったかな、とあらためて思います。

評価のスタートラインにさえ立てていないと言うか。

これを分かりやすく説明するために女性に例えましょう。

例えば、顔が整いまくってる女性がたまにいますよね?

彼女らなんかは化粧なしのすっぴんでもすごく美人さんでいられます。

けど、ほとんどの女性がすっぴんで人前に出るのはかなり抵抗があるでしょう?

っていうか男としても出てこられたら困るというか。

普通、「美人かどうか?」はすっぴんでの勝負ではなくて、最低限の化粧は込みで初めて評価のスタートラインに立つというか。

そう、女性には最低限の化粧はマストなんです!

化粧があってデフォルト。

例えば、美人コンテストの候補者が、朝寝坊して化粧する時間もなく『眉毛がない状態』で現れたら、

審査の対象から外されます。

浅田真央がオリンピックで眉毛を書き忘れていたら、どんなに完璧に演技をしたとしても『眉なし減点』が50点くらい付きますので、金メダルは無理でしょう。

分かりますか?

それほど化粧=音質は大前提なんです。

つまりこのオリジナル盤を一言で評するならば

『眉毛がない女性』。

うん、しっくりきた!ぴったりだ。

・・・・・・

って、

この例え話いる?

これ以上、このネタを続けると色んなところに敵を作るのでやめておきましょうか。

さて、かなり脱線しましたが、意外にも私の大学生当時は「音質悪いから台無しになっている」とかあんまり考えてなくて、そのことに気がつくのは2002年にリマスターされた時なんですがね。

それがこちらです⇩。 

もともとメンバーが出していたジャケット案は実はこっちに近く、ガイコツのイラストだったんですよ。

レコード会社のセンスのない人たちが、オリジナル版のジャケットを決定したみたいです。

そして音質がまあまあ向上してます。

もう『眉なし女』なんて呼ばせません。

これ聴いて1作目をわりと見直しましたよ、私は。

しかしとどめを刺されたのは2018年にリリースされたリミックス&リマスター盤、その名も『ファイナルキル』⇩。

これがまたとんでもない。

『音質向上』とかいうレベルじゃない。

大化けしてます。

誰ですか!?

本作のことを

『しょせん眉なし女は元ヤン女』

なんて言ってた人は!

私が女性人類に替わってお仕置きしますからね!

しかしこの化け方には驚きを隠せません。

眉毛を描いたどころか、整形疑惑が浮上しそうなほどの化けっぷりです。

「お、おまえ、もしかして鼻やあごも何かしただろ?」

っていうぐらいの勢いです。

現代の整形技術って怖い…。

ついでに言うと女性も…。

いや、怖いのはリマスター技術なんですが(笑)。

っていうか『リミックス&リマスター』って書いてあるから、手は加えてあるのは当然か。

こんなことが可能なのであれば、80年代の作品は全部やってもらいたい気もします。

某メタ●カの『メタル・●ャスティス』とか(笑)。

あれはリマスターではあんまり変わんなかったからな~。

リマスターの効果はいかに?ようやく他の作品と『比較』できるスタートラインに立てた

この一連のリマスターの流れから、デイブ・ムステインの1作目に対する思い入れが伺い知れるのですが、こうしてパワーアップした音質で聴き直すと

「確かにこの完成図がイメージできていたのなら、絶対にリマスターやりたくなるよな」

と思えますね。

私がリマスターを聴いて驚いたのは2作目『ピースセルズ・バット・フーズ・バイイング』との共通点が見えたことでした。

オリジナルを聴いていた時は1作目と2作目が断絶していたと言うか、『メガデスのスタイルは2作目から固まってきた』という印象だったんですよ。

まあ、オリジナルの音質が悪いからあんまり聴き込んでいないことも理由にあるのでしょうが、1作目と2作目の間に発展性連動性があることを考えようとさえしていませんでした。

そういったものを考察するには同じ土俵に上がっていなければいけないのに、音質が悪すぎて『比較対象外』だったんですよ。

けれども、2度のリマスターで1作目と2作目が完全に『地続きの作品』であることがすごく分かりました。

さらに、このデビューアルバムの時点でその後のメガデスの色んなアルバムに見られる音楽性の萌芽が見られることはすごいですね。

「あれ?この雰囲気って●作目のあの曲っぽくない?」

みたいな瞬間が結構あると思いますよ。

また『攻撃性』に目が行きがちなんですが、かなり展開を重視した楽曲構成になっていることに、今更ながらに驚かされます。

リマスター盤を聴いていない人に是非ともおすすめしたい曲

だいぶ文字数が多くなってしまったので、今回は全曲解説はやめて、リマスター盤でのおすすめ2曲のみピックアップします。

誤解しないでいただきたいのは全曲かっこよくなっているということです。

 Rattlehead』

もうね、これこそリマスターによって新たに生まれた傑作でしょう。

オリジナルではこの印象的なリフが奥に引っ込んでいて、大した曲だとは思っていなかったのですが、「これぞインテレクチュアルスラッシュメタルを象徴するナンバー!」と言いたくなるほど生まれ変わりましたね。

『Mechanix』

これはもともとメタリカのデビュー作に収録されている『The Four Hourseman』の原曲です。

それを「俺たちのほうがメタリカよりも速いの♪上手いの♪やっすいの~♪(キン肉マン)」という牛丼音頭のような悪ノリによって激烈に過激なナンバーに仕上げています(んなわけあるか)。

これはまさにメタリカへの逆恨みパワーの為せる技です。

計測するとBPM200を軽く超えています。

これね、演った人しか分かんないですけど、相当難しいですよ?

これだけのスピードだと8部音符なのかシャッフルなのか弾き分けるのはかなり難易度が高いのですが、リフに耳をすませばしっかりこのスピードでシャッフルを刻めているのは、神業としか言えません。

比較的遅めのテンポのメタリカバージョンでさえシャッフル感を出すのにかなり難しかったですからね。

言うまでもなくメガデス史上最速のナンバーです。

この曲だけはオリジナル盤でもかなりかっこよくて聴き込んでいたのですが、リマスターされることで楽曲としての”格”が上がっています。

以前のバーッジョンは「やけくそ」で演っているようにしか感じませんでしたかが、今回リマスターバージョンには『凄み』が出てきているからです。

メタリカにおける『Fight Fire With Fire』のような伝説的な位置づけになったと言ってもいいでしょう。


はい、本日はメガデスのデビュー作をたっぷりと語ってまいりました。

メガデスの全作品を聴いているという方も意外にこのデビュー作は盲点というか、昔ちょっと聴いたきりほったらかしにしていた人も多いのではないでしょうか?

リマスター盤を機に本作を見直すきっかけになったら私も嬉しいです。

 

メガデスに関するすべての記事はこちらから

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です