『エデン』(LUNASEA)ポップ過ぎだろ?

どうもSimackyです。

本日は1993年リリースでLUNASEAの3枚目のオリジナルアルバムである

『EDEN』

を解説していきたいと思います。

前作『IMAGE』よりポップな作風になったのはセールスによる影響か?

LUNA SEA史上最大の試練~ノーシングルじゃあいられない~

メジャーデビュー作だった前作『IMAGE』。

このブログでも紹介しているのですが、作風は非常にダークでマニアックでした。

私は大好きなのですが、その後『ROSIER』でブレイクしたLUNASEAにキャーキャー言うてたクラスの女子達が好んで聴く音楽かというと…う~ん…

絶対聴かない

でしょうね(笑)。

つまり、あまり一般受けはしなさそうな玄人好みの音楽性だったわけです。

そして当時の彼らはあまり売れることを良しとしていなかったというか、売れることに積極的ではなかったように感じます。

なぜなら『IMAGE』からのシングルヒットが出ていないからです。

それもそのはず。

なんと彼ら、前作ではシングルカットをしていないんですよ。

マジで!?

あんたたち、レッド・ツェッペリンじゃないんだから(笑)。

よくそれでレーベルが黙ってたな。

通常であればシングルを出すというのはレーベルから要求されると思うので、これは明確なポリシーのもと断っているのではないかと思います。

メジャーデビュー作『IMAGE』はチャートこそ9位と善戦したものの、売上枚数は11万枚。

まあ、音楽的にはとことん硬派な人たちなので、

「売れ線なんかに走ってたまっか!」

みたいなのもあったのかもしれません。

なので、『IMAGE』のツアーでも小さめのホールが多くて、アリーナ級にステップアップできてないんですよね。

14公演で26000人とかいう規模なので、1公演2000人未満くらいです。

これらは1980年代であれば、ロックバンドとして「ブレイクした」と評価されるべきセールス規模や集客実績だったと思うのですが、時代は変わっていたんですよ、この頃には。

そう、

Xの登場

で時代は変わっていたんです。

Xのデビュー作『BLUE BLOOD』が71万枚を記録し、ロック、その中でもかなり過激な音楽であるヘヴィメタルのフォーマットでさえ、ゴールドディスク(50万枚)を叩き出せることが証明されたんですね。

さらにアルバムリリース後のツアーでは、アリーナクラスどころか日本武道館公演まで成功させているんです。

デビュー1年で頂上(てっぺん)である東京ドームとミリオンセラーは目と鼻の先っていう状態です。

LUNASEAとしては、なかなか困った比較対象がいたわけです。

ましてやLUNA SEAはXのhideが見つけてきたバンドであり、YOSHIKIのエクスタシーレコードからインディデビューしたという経歴を持つので、実力はXのお墨付き

レーベルだってXに近いセールスを期待していたと思うんですよ。

そんな状況で11万枚では、もはやレーベルも黙っていなかったでしょう。

「おい、ユー達。私たちはXくらい売ってくれるのを期待して契約をしたんだけども」

これは私の想像ですが、レーベルからも今後の方針に関して、かなり厳し目のことを言われたのではないでしょうか?

「ユー達、売れてスターになるか?契約解消か?選びたまえ」

さっきからなぜかジャ○ーズの社長みたいになっとりますが(笑)。

そういうやりとりがあったのかどうかは分かりませんが、本作『EDEN』では初の先行シングルとして『Believe』をカットしてます。

そして続く3作目のフルアルバムとして『EDEN』がリリースされました。

大幅にダークさが減退し、なおかつポップな要素が加わった作風へ変わったのは、セールス面での要因が大きいのかな、と勝手に推測したわけです。

そしたらウィキペディア読むと本当にそうだったらしいことが書いてあって驚いたのですが(笑)。

実は本作はレコーディングにかなり煮詰まったとのことですが、これは「売れる曲を作る」という慣れない作曲プロセスからもきているのではないのかな?

SUGIZOとともにメインソングライターの一人であるは、「売れる曲」作りのプレッシャーからノイローゼになり、精神科への通院、スケジュールのキャンセル、しまいには放浪の旅に出て、ホームレスにまでなったそうです。

どんだけ?

「売らなければならない」というプレッシャーって、我々リスナーが考えているのよりもかなり重圧なんだと思いますよ。

しかし、本作での『一般リスナーの目線に合わせる曲作り』を経験することが、次作『MOTHER』で大ブレイクを果たす原動力になるのです。

”売れ線”への拒否反応は出るかもしれません

本作はポップとは言っても、私のようなマニアックさを好む人間からすると、逆にとっつきにくかったですね。

これってライブハウス時代からのLUNASEAファンからクレームとか来なかったんでしょうか?

前作で持っていた幻想的な雰囲気や耽美さといった、初期LUNASEAらしい要素はあります。

しかし、凶暴な攻撃性やダークな世界観がほぼないですね。

ライブハウス時代からのファン、特に男性のコアなファンなんかは、あのダークさや攻撃性を支持してた人もいたと思うんですよね。

それが思いっきりポップなシングル「Believe」は出るわ、アルバムもかなりポップになるわ。

当時の私の場合、『IMAGE』を聴いて、立て続けに『EDEN』を友達から借りて聴いていたのですが、

「これって別に出さなくても良かったんじゃね?」

って思ってました。

あの思春期の頃の感性ってエグいくらい潔癖というか、少しでも音楽に商売っ気を感じると許せなかったのかもしれません。

「Believe」には正直言って「うわっ…」ってなりましたし。

「早くも売れ線に走っちゃった。で、アイドルみたいになってくの?」って。

「Believe」は、まだLUNA SEAを聴き始めて日が浅い私でさえ、あまりにも『売れ線っぽさ』を感じて拒否反応が出た。

まあ、今では好きなので、こうして記事にもするのですが。

というよりLUNASEAは全部良いので、苦手に感じるアルバムも聴き込んでいただきたいところですね。

こうしてブログ書いてる私でも「今回のアルバムはクソだな!」ってなったアルバムは何回かありました(7~8作目とか)。

そうは言いながらも最終的には好きになってきた過去があるので、音楽とは気長に付き合っていきましょう(笑)。

『EDEN』楽曲紹介

本作の変化で大きなポイント挙げるとすれば、まずはRYUICHIのボーカルです。

1作目の頃からあったシャウトやダークな歌いまわしが全くなくなりました。

ボーカリストとしての”表現の幅”という点では前作よりバリエーションが減っているため、私にはこっちの方がインディ感を感じたというか、『IMAGE』の方が本作より後に出た作品のように感じたものです。

また、凝り過ぎるくらい凝っていたサウンドプロデュースをシンプルにして、素直なバンドサウンドを聴かせているように感じます。

なので悪い言い方をすれば「音がスカスカ」に感じる時もありますが、良く言えばバンドサウンドっぽいし、ライブっぽい音。

リラックスして人間味のあるサウンドというか。

前作にあった張り詰めた緊張感はないですよね。

また空間がすごく大きく空いているから、ドラムの音がかなり前面に出てきます。

曲によってかなりドラムの音を変えてますので、当時の真矢の試行錯誤を楽しんでください。

SUGIZO得意のロングサステインやバイオリンもかなり減っています。

減っているというよりも音量を下げてるんでしょうね。

そのため大げさな感じがなくなり、パンクっぽい側面が出てきてるのがおもしろいかな。

#1『JESUS』

この曲は最初から好きになれた数少ない曲です。

かっこいいとしか言いようがないですからね。

もう、RYUICHIはこんなかっこいいセリフ言ってくれないのかな~。

変化球も何もない、らしくないほどのど直球のロックで、初めて聴いた時は

「え?そのまま何事もなく終わっちゃった!?」

ってなりました(笑)。

それほどLUNA SEAって曲者だという印象が強かったので、のっけからびっくりしたのは私だけではないはず。

#2『BELIEVE』

問題のシングルです。

ボーカルのパターンが2~3パターンぐらいしかなくシンプルすぎる作りになっています。

バース→コーラスみたいな。

コーラス繰り返すところで「来るか変化球!?」と期待させてまた同じフレーズ繰り返す、という(笑)。

ガクッてなりましたがな。

けれどもこの潔いほどのシンプルさは今では好感が持てますね。

拒否反応はやはり歌詞…。

そないに『愛しすぎた愛しすぎた』叫ばんといてくれ、小っ恥ずかしい。

#3『Rejuvenescence』

う~ん、もっとドラム以外の楽器は音量上げれなかったのかな?

あんまり聴こえなくてドラムの音だけが浮きすぎています。

本作は全体的にその傾向強いけど、この曲とかは特に耳につきます。

リマスターでこういうとこ改善されてるのかな?

レビュー読むとリマスターで劇的に変わったと評判なので、気になる人はリマスター版をどうぞ。

#4『RECALL』

ゆったりしたリラックスナンバー。

こういうのLUNA SEAで初じゃないかな。

でもちょっと空間空けすぎ。

スッカスカのインディバンドみたいに感じます。

#5『ANUBIS』

本作で一番お気に入りかな。

何と言ってもイントロでいきなりノックアウトされるこのギターリフは最高でしょう。

ドラムはトリガーかなんか使っているのかな?

すごく打ち込みっぽい音になってますが、ライブでは普通に叩いてましたね。

#6『LASTLY』

ギターを効果音的に使っているのがうまいですね。

6:00という曲の長さを聴かせるにはもう少しメロディが欲しかった。

途中でだるくなりますね。

#7『IN MY DREAM (WITH SHIVER』

最初は『Believe』同様、大嫌いだった曲ですね。

まあ、今となってはやっぱり名曲と言わざるを得ませんね。

その意味では本作を象徴するナンバーとも言えます。

#8『STEAL』

これはかなり異色な曲ですよね。

LUNA SEAがこの曲をライブでやっている姿がまったく想像できません(笑)。

#9『LAMENTABLE』

この曲も『MOTHER』以降のようにギターの音圧上げてれば、かなり名曲に生まれ変わると思うんだけど。

サビ部分は初期LUNA SEAでもトップクラスに入るほどのハイトーンです。

コーラスの声って一体誰?。

#10『Providence』

タンタンタンと三拍子のワルツのようですね。

これこれ、こういう世界観が欲しかったんだよ。

こういう耽美的な雰囲気って、LUNA SEAではこの曲以降はなくなります。

#11『STAY』

最後はこんなにポップに終わるのか。

もうこれはLUNA SEAというよりBOOWYとかのノリに近いというか。

間違いなく80年代日本のロックからは影響受けてると思いますが。


はい、というわけで本日は「EDEN」の解説をしてまいりました。

このアルバムは最初の10年くらいは大嫌いだったですね。

合いませんでした。

しかし後々、私が参加することになるLUNA SEAのコピーバンドで「Jesus」を演るようになって、ついでに他の曲も聞き出したら、だんだん好きになっていきました。

これってその後の私のあるあるパターンです(笑)。

皆さん、アルバムとは長い目で付き合っていきましょう!

LUNASEAに関する全ての記事はこちら

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